2013年、某月某日、晴れ時々曇り・・・


今日、シンジ様と思いが繋がった。

長年生きてきて、これほど嬉しかったことは無い・・・

わたし達雪女は人間より遙かに長生きができる。

それが良いこととは、わたしは思わない。

今まで、戦国の戦い、幕末の狂乱、第一、第二次世界大戦、そしてセカンドインパクト・・・

わたしは色々と人の醜さ、残酷さを目の辺りにしてきた。

長生きをしていると、やはり良いことばかりではない。

しかし長年生きていて昨日の夜初めてわたしは女になった。

わたし達雪女は人間と繋がりを結ぶと、人になれる。

元々名字と言う物の無いわたし達雪女は相手の名字を名乗ることもできる。

力その物は変わらないが、寿命が人間と同じになれる。

今のわたしは約十六歳

これから残り少なくなった人生をわたしはシンジ様と一緒に過ごして行きたいと思う。

そして今まで生きてきた長い人生よりも、濃い物にしていきたいと、わたしは思う・・・



碇ナミ





この物語はシンジがナミやミサと初めて出会い、そして別れの物語である。


新世紀エヴァンゲリオン灼熱の炎外伝



《雪・
後編

by.イフリート


ここは山の奥地、シンジ達の住んでいる家の少し離れたところ・・・
そこに一人の男が立っていた。

身体を黒い西洋の鎧に身を包み、腰にはやはり西洋で作られた刀を刺している。
いわゆるロングソードの事だ。
その男は何やら呟いていた。

「ふふふ・・・美しい雪女か・・・死ぬときどんな顔をしてくれるのか・・・
殺すのが楽しみだな・・・ふははははっ」

そう言って男は何やら黒い空間へと消えていった。


シンジとナミが結ばれて、早三ヶ月が過ぎようとしていた。
そんなある日・・・

「ゴホッ、ゴホッ」

「大丈夫かナミ」

「大丈夫ですか姉様」

「大丈夫ですわ、少しのどが痛くて、せきが出るくらいですから・・・ゴホッ、ゴホッ」

ナミはどうやら風邪を引いたようだ

「まったく、氷水何かに入るからそう言うことになるんだ。
もう昔のお前じゃ無いんだから、今は人間だろ」

「解っているんですけど、どうも熱いお風呂は苦手で・・・」

「まったく・・・今日はゆっくり寝て、早く風邪治すんだぞ。
飯のしたくや洗濯は俺達がやっておくから」

「・・・はい」

それを聞いたナミは布団をかぶると直ぐに寝息をたてはじめた。

「それじゃやるぞミサ」

「はい、シンジさん」






シンジ達は洗濯を終えると、ナミの風邪薬を買いに街へ行くしたくをし始める。

「ナミ」

「う〜ん、どうかしました、シンジ様」

「ちょっと風邪薬を買いに街までミサと行って来るよ。」

「ええ、わかりました。」

「じゃあ、ちゃんと寝てるんだぞ。」

「そのつもりです。」

「いくぞ、ミサ」

「ええ」

そう言ってシンジ達は家を後にしようとする。

「いってらっしゃいまし」

後ろからナミの声が聞こえたのでシンジは振り返った。

「ああ、行って・・・・!?」

振り返ってナミを見た瞬間、シンジの目にはナミが消えた。
シンジは目を擦り、再度ナミの居た場所を確認した。
そこにはちゃんとナミがいた。

「どうかなさいました、シンジ様」

「いっ、いや、何でもない、行ってくる」

シンジは何となく胸に不安を抱えながら、家を後にした。

この時気づいておくべきだった、これから起こる惨劇のことを・・・


シンジとミサは空を飛び街に向かっていった。

「・・・・・・・」

先ほどからシンジは一言も発していない。
険しい表情をしながら、ただ飛んでいる。

「さっきからどうしたのですか、シンジさん」

「・・・いや、何か凄い胸騒ぎがするんだ、ナミ大丈夫かな」

「心配しすぎですよ、ただの風邪なのですから」

「そうじゃなくって・・・・何かが起こるような気がしてさ」

「そうですか?
わたしは何も感じませんけど・・・心配でしたら早く薬を買って帰りましょう。」

「ああ、そうだな」

そう言って二人はスピードを上げ街へと向かった。


その頃ナミの寝ている家では・・・

ドンドンドン

家のドアをノックする音が聞こえる。

(誰ですかね、こんな山奥の掘った手小屋に来るのは・・・シンジ様やミサさんならノックなんてしないですし・・・
多分山で遭難した迷い人ね)

ドンドンドン

ノックの音がつづく

「は〜い、少しお待ち下さい」

ナミが応対に出ようとした瞬間・・・

ドカァァァァァン!!

ドアが蹴破れた。
そしてナミの前に黒い鎧の男が立ちはだかった。

「誰ですか、アナタは!!」

いきなりドアを壊した男にナミは怒鳴る。

「ほ〜、お前が雪女か、これは美しい」

「答えなさい!!どういうつもりですか!!」

男は不適な笑いをしながら言い出す。

「俺の名前はマシュラ、暗黒使いマシュラだ。
覚えておかなくても良いぞ・・・・どうせ死ぬんだから」

マシュラはそう言って腰のソードを抜き、ナミに斬りかかっていった。

「お前はどんな恐怖の笑みを浮かべてくれるかな!!」

「くっ!!」

ナミはマシュラの一撃を何とかかわす。
今の一撃でナミは自分の方が強いことを感じる。
しかしそれはあくまで万全の体制の時の話だ。
今のナミは風邪をひいている。

「どうした、調子が悪いみたいだな、顔色が悪い」

「な、なぜ、この様なことを・・・」

「理由か?」

「そうです!!わたしがアナタに何をしたと言うのです!!」

「別に、強いて言えば・・・暇つぶし」

「な!?」

「後は、俺の趣味のためだ。
俺は女の、特に美しい女の恐怖の死に顔と、その相手が死んで悲しむ奴の顔が好きなんだ。
考えるだけで楽しいぜぇぇぇぇぇぇぇ!!
ヒャーッヒャッヒャッヒャァァァァァ」

「狂ってる」

「何とでも言え、さてそろそろショーのつづきを始めますか。」

マシュラはゆっくりとナミに近寄る。
後ずさるナミ

「どうした、反撃しないのか?
じゃあ、こっちからいくぜ」

マシュラはナミに飛びかかっていく。
ナミはマシュラの攻撃をことごとくかわすが
今の状態では長くつづかないのもナミは自分でわかっていた。
万全でも多分ナミはマシュラを攻撃しないだろう。
実を言うとナミは人や妖怪を殺したことはない。
優しすぎるのだ。

(助けて、シンジ様)

今のナミには祈るしかなかった。


その頃シンジ達は街につき、薬局で薬を買い終わっていた。
その時、シンジの耳に、いや頭に直接ナミの声がした。

(助けて、シンジ様)

「ナミ!!」

「ど、どうしたのですか。」

いきなり大声を出すシンジを不思議そうに見るミサ

「ナミが・・・ナミが危ない!!」

「え!?」

「話は後だ、急いで帰るぞ」

「は、はい!!」





シンジ達は家の近くに来ると、家のドアが破壊されているのを見た。

「何だ、ドアが壊れてるみたいだぞ、やっぱり何か起こってる見たいだ、急ぐぞミサ!!」

「はい!!」

シンジ達は空の上から飛び降りるかの用に急降下して家へと急いだ。






家では・・・

「おらおらおらぁぁぁぁぁ!!」

マシュラがナミに向かってソードで連続に攻撃を仕掛けていた。

「くっ!!」

何とかかわし続けるナミ、しかし風邪の為に一瞬ふらついてしまった。
それを見たマシュラは最後の攻撃を仕掛けた。

「もらった!!」

マシュラは手の平をナミに向けた。

「これで終わりだ、暗黒波ぁぁぁぁ!!」

マシュラの手の平から、黒い光線が飛び出した。

「しまっ・・・・!!」

黒い光線はナミの胸を貫通した。

「がはっ!!」

ナミは血を吐きながら、倒れてしまった。

倒れたところは血の海とかす。

その時、シンジ達は到着した。

「ナミ!!」

「姉様!!」

叫びながら家に入って来たシンジ達の見た物は
血の海の中に倒れているナミと、それを笑いながらナミを踏みつけているマシュラの姿だった。

それを見たシンジは一瞬で切れて、マシュラに斬りかかった。

「きっ、貴様ぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

しかしマシュラは黒い空間を作り、その中へと消えていった。
その時消えながら捨て台詞を残して・・・

「お前ら、こいつの知り合いか?
この女はなかなか楽しませてくれたぞ
この女をこんなにした俺が憎いか?憎いだろ?
ヒャアーヒァッヒァッヒァァァァァァァ」

「何処だ!!出てこい!!」

怒り任せに叫ぶシンジ

「シンジさん、姉様が!!姉様が!!」

泣き叫びながらシンジを呼ぶミサ

「ナミ!!」

シンジはナミに近づき抱き上げる。

「ナミ、しっかりしろ、ナミ!!」

「シ・・・・シン・・ジ・・様」

うっすらと目を開けるナミ
しかし視点が合っていない、もう見えないようだ。

「しっかりしてくれよぉ、ナミぃ」

涙を流しながら言うシンジ

「何処に・・居るの・・・シンジ・・様・・・もう目が・・見えない・・で・・す。」

シンジに抱き抱えられたナミは、手をゆっくりと上に上げながら言う。
そんなナミの手を優しく自分の手で包むシンジ

「俺ならここにいる、だからもう喋るな・・・ミサ、何とか出来ないのか!!」

ミサは横に首を振る。

「無理なのです、雪女の技は、雪女には効かないのです。
それは攻撃系だけてはなく、回復系も同じなのです。
例えそれが人間になった雪女でも・・・」

「そ、そんな」

「ミサ・・さんも・・そこ・・に居る・・のね」

「います!!、いますから喋らないで下さい!!」

「いいから・・聞い・・て・・・もう・・わたしは・・ダ・・メ見た・・いです。」

「そんなこと言わないで下さい!!」

「そうだぞナミ!!」

しかしシンジ達は気づいている、この傷ではナミは助からないことを・・・

「わたし・・の・・身体です・・助から・・ない・・事くら・・い・・わかります・・・ゴホッ」

血を吐きながら喋り続けるナミ

「ミサ・・さん・・」

「は、はぃ」

「シンジ・・様の・・事・・よろしく・・頼み・・ます。」

「何を言ってるのですか・・・グスッ・・自分の彼氏を・・グスッ・・わたしに押しつけないで下さい。」

「フフッ・・・それと・・シンジ様・・・」

「何だい、ナミ・・」

「あなたに・・・会えて・・わたし・・は・・幸せ・・でした。」

「何言ってるんだ、これからもっと幸せになろうよ・・・な」

「ごめんな・・さい・・もう・・ダメ・・見たいです・・・」

ナミの身体から力が抜けていく。
抱き上げてるシンジにはそれが良く解る・・・

「ナミ!!」

「さよなら・・・シンジ様・・・あなたに・・会えて・・本当に・・よかっ・・・・・・・」

そう言い残すとナミは、天に召されていった。

「ナミ?・・・おい、冗談だろ・・・ハハッ・・ほら起きろよ・・
何時も見たくご飯作ってくれよ・・・キスしてくれよ・・・なあ・・・ナミィィィィィィ!!」

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「嘘だ!!嘘だ!!嘘だ!!嘘だ!!嘘だ!!嘘だ!!嘘だ!!嘘だぁぁぁぁぁ!!
こんなのは嘘だ!!夢だ!!悪夢だ!!ナミが俺を置いて死ぬはずが無い!!
夢ならさめてくれよぉぉぉぉ!!
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!!!」

とうとうナミの死を認めてしまったシンジは泣き崩れた。

その時、ナミを殺した張本人の声がした。

「ウッヒャッヒャッヒャッヒャッーーーーーー!!
あ〜愉快愉快、ほら泣け、もっと泣け、ダッヒャッヒャッヒャッヒャッーーーーーー!!」

「貴様!!何処にいやがる!!姿を現しやがれ!!この腐れ外道!!
それにナミが貴様に何をしたと言うんだ!!」

「現せと言われて、現れるバカが何処にいる。
それに何をしただ?何もされてないぞ、そいつを殺したのは・・・・暇つぶしだ。
ダッヒャッヒャッヒャッヒャッーーーーーー!!」

「てめぇぇぇぇぇ!!」

「まあいい、帰る前にお土産だ。」

マシュラは空間を少し開くと、そこから手を出してきた。

「ほら受け取れ、暗黒波ぁぁぁぁ」

黒い光線がシンジに向かって放たれた。

ズボッ!!

黒い光線はシンジの肩から胸にかけて貫通した。

「これがナミを殺した技だな・・・こんな技、ナミが万全なら効かなかったろうに・・・」

肩から胸にかけ穴が開き、大量の血を流しているにも関わらず、シンジは平然としている。

「なっ!!効いてないのか!!」

これにはさすがのマシュラも驚いた。
しかしそれが隙となった。

「ファイヤーボール!!」

シンジはマシュラの少し開いた空間にファイヤーボールをぶち込んだ。

ドカァァァァァン!!

「ぐきゃぁぁぁぁ!!」

マシュラの空間から突き出していた手の平が吹き飛んだ。

「この程度ですむと思うなよ!!ナミのかたきだ!!殺してやる!!」

しかしマシュラは開いていた空間を閉じ、捨て台詞を残し逃げていった。

「今日はここまでだ、この暗黒使いマシュラ様に怪我を負わせたことを
今度会うとき後悔させてやるわ」

「まちやがれ!!」

しかしその声はむなしく響くだけだった。

「後悔させてやるだと、今度会ったときは必ず殺してやるわぁぁぁぁぁぁ!!」


シンジは肩から血を流しているにもかかわらず、ナミの遺体を抱え上げている。
そしてそのまま外に出る。

「シンジさん、肩の傷治しますから」

「いや、いい、この傷を糧に、俺は生きていこうと思う。
この傷を見る度に、マシュラへの復讐を思い出すように・・・」

「・・・そうですか、なら何も言いません」

「ありがとうミサ」

「・・・いえ」






シンジ達はこの山で一番見晴らしの良い所へ着くと、穴を掘り、ナミを埋めた。

「ナミ、これから俺はまた旅に出る
マシュラへの復讐のために
お前は反対するだろうが、このまま居たら気がすまん
お仕置きは俺があの世に行ったときいくらでも受けてやるからな」

「シンジさん・・・」

シンジはミサの方に振り返る。

「ミサ、お前はこれからどうする?残るか?」

「いえ、わたしもシンジさんと一緒に行きます。
姉様からシンジさんの事をよろしくと言われていますので・・・」

「・・・そうか、じゃあ行くか」

「はい」

「またな、ナミ」

こうしてシンジ達はゲンドウに呼ばれるまで、日本各地を歩き回った。
マシュラへの復讐の為に・・・



ナミ、君のことは一生忘れないだろう。
雪女であり、月のように美しく、花のように可憐な貴女のことを・・・・


雪月花《劇終》


あとがき

こんにちは、イフリートです。

これほど書くのに心苦しい作品は有りませんでした。
一応、これで雪月花は終わりです。
次からは本編へともどります。
どうかよろしくおねがいします。


マナ:うぅぅぅぅ。ナミさん可哀想・・・。(・;)

アスカ:自分が危ないなら、応戦するべきだったのよっ!

マナ:そこが、あなたと違うのよ。それ程優しい人だったのよ。

アスカ:だからって、死んじゃったらおしまいじゃないっ!

マナ:でも、ナミさんの魂は今でもシンジの中に生き続けてるわよ。

アスカ:そんなのっ! アタシはイヤっ! 死ぬのはイヤっ! 死ぬのはイヤっ!

マナ:このわがまま娘は、ほっといて・・・。シンジもこの後辛かったでしょうねぇ。

アスカ:そういや、あの外道は何処行ったのかしら?

マナ:碇司令?

アスカ:ちがーーーうっ! マシュラって奴よっ!

マナ:さぁ、シンジが見付けたんじゃない?

アスカ:もしっ! アタシが見付けたら、ただじゃ済まさないわねっ!

マナ:そうとう怒ってるわね・・・。

アスカ:死ぬまで、外道同士。碇司令のキスを浴びせ続けるんだからっ!

マナ:シンジに殺された方がマシかも・・・。
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