新世紀エヴァンゲリオン灼熱の炎

第十話「瞬間、心、重ねて、前編」

by、イフリート


アスカが学校へ転校してきてから、一週間が過ぎた。

「知ってるか」

「何が?」

「美人の転校生だよ、惣硫・アスカ・ラングレー」

「しらん、何奴の事だ?」

「あの子だよ」

「ん・・・うお〜!!すげえ美人!!」

「だろ、帰国子女だって・・・・・やっぱすすんでんのかね」

「ば〜か、向こうできっと辛い別れがあったんだよ」

「俺、絶対アタックするぜ」

「お前じゃ無理だよ」

そこらじゅうでアスカの話題で持ちきりになっていた。

「グッテンモーゲン、シンジ、ミサ、ファースト」

アスカはそんな話題の中、シンジ達に声をかけた。

「朝から元気だな、お早うアスカ」

「お早うございます、アスカさん」

「・・・・・・」

何も言わないレイ

「ちょっとファースト!!こっちが挨拶してんだから、返してきたらどうなのよ!!」

アスカが怒ってレイを怒鳴る、レイはそんなアスカに無表情のままこう言う・・・

「・・・わたしの名前は、ファーストじゃ無いわ、レイよ」

「うっさいわね、良いじゃない別に」

「・・・レイって呼んで」

「う!?」

「・・・レイって呼んで」

「わ、わかったわよ・・・レイ」

「ありがとう、お早うアスカさん」

「あんたね、アタシの事もアスカでいいわよ、さんはいらない」

「そう・・・わかったわアスカ」

「よし」

こんな話をしながら、シンジ達は下駄箱へと向かった。






バサバサバサ・・・

下駄箱を開けるとその中から手紙のような物が沢山なだれ落ちてきた。
アスカ、ミサ、レイに対するラブレターだ。

「また!!懲りない奴らね!!」

「本当ですね、勘弁してほしいです」

「・・・ラブレター・・・資源の無駄遣い・・・ラーメンなら喜んで貰うのに・・・」

そう言って三人は雪崩落ちたラブレターを放っておき、教室へと向かう。
その後、シンジがそのラブレターを拾い上げると、ゴミ箱へすてた。
そしてアスカ達を追い教室へ向かった。






授業が始まると、教室が静かになる。
みんなしっかり授業を受けてると思いきや、そんなことはない。
それでは、個人的に授業風景を見てみよう。

《シンジ、トウジの場合》

「ぐご〜、ぐご〜」

授業が始まって三分、彼らは爆睡していた。
何しに学校来てるんだ此奴ら

《アスカの場合》

大学を卒業しているアスカにとって、中学の授業など暇の何ものでも無い。
鉛筆を口にくわえ、シンジの背中をボーっと見ている。
ちなみにアスカの席はシンジの後ろだ。

《レイの場合》

レイは窓際の席なので、外を見ている。

「・・・綿飴が食べたい」

多分雲を見ているのだろう。

《ミサ、ケンスケの場合》

「今日も良いお天気ですね」

「そうだな、空なんてミサちゃんの髪の毛と同じ色で奇麗だな」

「もう、ケンスケさんったら♪」

グサッ!!

「ぎゃ!!」

ミサが照れ隠しで無意識にケンスケを鉛筆で刺していた。

「え!?どうしたのですかケンスケさん!!・・・あっ!?肩に鉛筆が・・・
誰ですかこんな非道いことをしたのは」

お前だ、お前・・・いい加減照れ隠しで攻撃する癖直せよ。

この様な事はに四時間目の授業終わりまでつづく
やはりまともに授業を受けている奴はいない。
そして昼休みになる・・・






お昼を食べるため、シンジ達は屋上へ行く。
みんなてんでにお弁当を広げる。

シンジ、レイ、ミサのお弁当はミサが作った物
ケンスケ、トウジ、アスカは購買のパン
ヒカリは自分で作ってきているお弁当だ。

「ミサさんも大変でしょ、三つもお弁当作って」

ヒカリがミサに言う。

「ええ、それはそうですけど、レイさんもミサトさんもユイさんも、誰も料理出来ないので仕方有りませんよ。」

「碇君は?」

「シンジさんは出来ますよ、ですから手伝って貰っています。」

「碇君って優しいのね」

「まあ・・・しかし昔からそうでしたので」

「昔?」

「ええ、シンジさんと暮らし初めてから三人で順番こっつに作ってましたから」

そこにケンスケが割り込んできた。

「ちょっと待った、ミサちゃんってシンジと昔から一緒に住んでたのか」

「ええ、言ってませんでしたっけ」

「聞いてないぞ、俺はてっきりシンジが旅の途中で出会ったのかと思っていたぞ」

ケンスケやトウジはシンジの正体を知っている、今まで旅をしていた事も
ヒカリには言ってはいないが、シンジの仕草や行動を見ている限りただ者ではない事くらいは察しがついている。

「まあ、シンジさんが旅の途中でわたし達に会ったのは間違いないです。
二年前に空腹で倒れていたシンジさんを姉様が拾ってきたのですから・・・」

「ちょっとミサ、恥ずかしいだろ」

「事実でしょ」

「うぐっ・・」

何も言えなくなるシンジ
あの時シンジが空腹で倒れたのは確かだが、まさか・・・

(本当の理由は、ナミの全裸を見て鼻血を吹いて倒れたなんて言えんだろが・・・)

だから本当の理由を知っているのはシンジしかいない
ナミは自分のせいで倒れていたことは気づいていなかった。
この世にはもう居ないし・・・

「それはそうと、昔からシンジと一緒にいて何かされたりしなかったのか?」

「え!?何かと言いますと」

「ほら・・だから、襲われたりとか・・・」

ケンスケはシンジにたいして嫉妬したのか、変な事を聞く。

「さっ、されていませんよそんな事!!」

「ケンスケ貴様、俺をそんな目で見てたのか」

それを聞くとケンスケは慌てる。

「い、いや、だってさミサちゃんってやたらと可愛いし、四六時中一緒にいれば
変な気ぐらい起こすだろ」

「そんな事出来る分けないだろ、恐ろしくて」

「それってどう言う意味ですかシンジさん?(^^#」

顔は笑っているが、こめかみに青筋を立たせているミサ
いつの間にかシンジの首筋に氷の小太刀を突きつけていた。

「いっ!!まっ、まてミサ、僕が言いたいのはミサがどうこうじゃなくって・・・ナミが・・・」

それを聞くとミサが納得し、氷の小太刀を消す。

「は、ははは、確かにそうですね、わたしに何かしていたら今頃シンジさん、あの世にいますね」

「だろ」

「ちょっと、さっきから聞いていれば・・・いったい誰よナミって」

アスカがシンジ達に言う。

「ナミって言うのはわたしの姉様です。」

「そのお姉さんが何故シンジがあんたに手を出すと怒るのよ」

「だって姉様はシンジさんの恋人だったのですから、当たり前でしょ」

「「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」」」」

ナミがシンジの恋人だと聞くと回りは一声に驚きの声を上げる。

「ちょっとシンジ、あんた恋人いるの」

「碇君、振った女の子に言っていたセリフ、あれは嘘だったの!!」

「なんやセンセ、恋人いるんだったら、教えてくれてもええやんけ」

「何だ、そうだったのか」

みんながシンジを追求し始める。
シンジはそれに答えた。

「ちょっと待てよ、さっきミサは“恋人だった人”っていっただろ」

「あっ、そう言えばそうね・・・だったって事は・・・別れたの?」

アスカがみんなの代表で聞く

「いや・・・死んだんだ」

シンジは一気に暗い顔になる。
今にも泣き出しそうだ。
ミサを見るとやはりシンジと同じ様な物だ。

「あっ・・・悪かったわねシンジ、ミサ」

「ご免なさい、碇君、ミサちゃん」

「悪かったなセンセ」

「すまんシンジ」

みんなシンジやミサに謝る。

「いや・・・こっちこそ暗くなってごめん」

その時だった、一人の男がシンジ達のいる屋上にやって来た。
見た目は格好いい男だ、シンジ達の上級生らしい。
男は直ぐさまシンジの前に立った。

「お前が碇シンジだな」

いきなり現れたその男はシンジを挑発するかの用に言う。

「あんたこそ誰?」

「俺の事はどうでも良い・・・質問に答えろ」

「あんたが思っている通り僕は碇シンジだが」

それを聞くと男の目は鋭くシンジを睨み付ける。

「そうか・・・」

そう言うと座っているシンジに対して男は蹴りを入れた。

ドガッ!!

もろに喰らうシンジ

「ぐはっ!!」

シンジはそのまま後ろに倒れ込んだ。

「ちょっとあんた!!いきなり何すんのよ!!」

「大丈夫かセンセ!!」

「お兄ちゃん!!」

「碇君!!」

「シンジ!!」

みんないきなりの事で慌てだす。
しかし約一名そうじゃ無い人が居る。
ミサだ。

「・・・馬鹿な人」

ミサはシンジを蹴飛ばした男に同情する。
そんな中、男は倒れているシンジに蹴りの連打を入れている。

ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!
ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!

「ちょっといい加減にしなさいよね!!シンジがあんたに
何したって言うのよ!!」

アスカが男に食ってかかる。

「こいつは、惣硫さんに出した俺のラブレターを
ことごとく捨てるから、痛い目にあって貰ってるだけさ。」

「ハンッ!!そんな理由でこんな事するとは、最低ねあんた・・・
シンジが捨てなくてもどの道アタシが捨てるわよ、そんなもん」

「・・・惣硫さん、まだ立場が解っていないようだね
あまり俺に挑発的なことを言うと、こいつにもっと痛い目にあって貰うことになるよ」

ドガッ!!

そう言うと男はまたシンジを蹴った。

「ぐっ!!」

それを見たアスカは何も言えなくなる。

「シンジさん、そろそろお芝居を終わりにしたらいかがですか」

ミサが倒れて動かないシンジに言う。

「ばれてた」

今まで蹴られていたシンジが、何も無かった用に立ち上がった。

「な!?」

男はそんなシンジを見て驚く
それはそうだろう、思いっきり蹴飛ばしていたのに
平然と立ち上がっているのだから

「当たり前です、シンジさんがあんた蹴り喰らうはずありませんから」

「な〜んだ、流石はミサ、何でもおみとうしか」

「シンジ、あんた大丈夫?」

「ああ、何ともないよ」

そう言ってシンジは男を見る。

「何故立てる!!」

「ふっ・・・優越感に浸れましたか先輩」

「畜生!!」

男はシンジに殴りかかる。

ひょい、ガシッ!!

シンジは男のパンチを首を動かしただけでかわすと
その隙に男の顔を鷲掴みした。

そしてそのまま・・・

ドガンッ!!

コンクリートの地面に頭を叩き付けた。

「ぎゃ!!」

男はそのまま頭から血を出し気を失った。

「さてと・・・殺すか」

そう言うとシンジは刀を抜き突き刺そうとした。
その光景を見る人は目を背けた。

シンジは刀を突き落とした。

ガキィン!!

しかしシンジの刀は男の身体から大きく外れた。

「駄目ですシンジさん、殺しては・・・」

ミサがシンジの前に立っていた。
両手には氷の小太刀を持って構えていた。
そう、ミサが氷の小太刀でシンジの刀を叩き、軌道を変えたのだ。

「邪魔をするなミサ」

「殺すほどの相手では無いのじゃ有りませんか?」

「エヴァのパイロットである俺に手を出したんだ
保安部の人間として当然だろ
何か間違ってるのか」

「でも殺す必要は無いと思います。
束縛してネルフへ渡せばすむことです。」

「五月蠅い、これが俺のやり方だ・・・
ミサだって解っているだろ、こういう場合、俺が何をするかくらい」

「だから止めているのです!!」

「・・・何を言っても無駄みたいだな」

シンジは剣先を男からミサに変えた。
それを見たミサはシンジを睨み構える。

「ちょっ、ちょっと・・・あんたたち何を」

いきなり異様な雰囲気なり、アスカはシンジとミサに
声をかけながら近寄ってきた。

「来ちゃ駄目ですアスカさん!!」

その声が引き金となり、シンジがミサに斬りかかった。

ガキィンッ!!

受け止めるミサ

「ぐっ!!」

「どうした、その程度か?」

「舐めないで下さい!!」

ミサは受け止めていたシンジの刀を弾くと斬りかかる。

「小太刀二刀流、山茶花!!」

ミサの二本の小太刀が凄い早さでシンジを襲う。

小太刀二刀流、山茶花
ミサの剣術で、乱舞型の斬撃だ。

「龍神硫、龍連殺!!」

ミサと同じくシンジの剣がミサを襲う。

龍神龍、龍連殺
突撃しながらの神速の連続突きだ。

両者の剣技がぶつかり合う。

ガギギギギギギギギギギギィィィィィィィィィィンッ!!

異様な音が響きわたる。
回りで見ている人達は何が起こっているのか全く解らない。
目にも留まらぬ早さの二人に、目が付いていかない。
っと言うか、見えていない。

「キャッ!!」

力負けしたミサがよろめいた。

「てりゃ!!」

その隙にシンジはミサに目掛けて刀を振り下ろす。

「甘いです」

ザシューン、ザシューン、ザシューン、ザシューン、ザシューン

ミサはバクテンをしてかわす。
そこから・・・

「行きます、ダイヤモンドダスト!!」

強烈な吹雪がシンジを襲う

「バーストフレアー!!」

その吹雪に対して火炎放射状の炎を叩き込むシンジ

両者の攻撃はぶつかり合い相殺された。

そしてシンジは最後の攻撃を仕掛けた。

「終わりだミサ!!」

先ほどと比べ物にならない早さでミサに突っ込んでいくシンジ
しかしミサは動かない
ただ大きく息を吸い込んだ。

そして・・・

「シンジ様!!いい加減になさい!!お仕置きしますよ!!」

そう叫んだ
ナミの声と口調をまねするミサ

その瞬間、シンジは体制を崩す。
神速の早さでミサの所までひとっとびしようとしたシンジだ。
この時体制を崩せばどうなるか・・・・

ドッカラガッシャーン・・・・ヒュゥゥゥゥゥン・・・・ベチャ

ミサに向かって飛んだシンジは、ミサから軌道が外れ
そのまま屋上のフェンスに激突
そして、そのフェンスを突き破り、屋上から下まで真っ逆さま
その後地面に激突、地面に埋まり、ピクピクしていた。

「私の勝ちですね・・ふふっ」

回りはシンジ達の戦いを見て声も出ない。

ミサはその中、先ほどシンジに気絶させられた男を
氷で束縛すると、ネルフへ連絡し、男を引き取りに来て貰った。

その後、屋上から墜落し気を失っているシンジの所へ行き、シンジも氷で束縛すると
シンジを担ぎ、屋上まで戻る。
そして足をロープで縛り、残った方のロープをフェンスに縛ると
屋上から投げ捨てた。

シンジはそのまま逆さ吊りになった。

「さて、お昼のつづきをしましょう」

そう言ってミサは自分のお弁当の所へ戻ると、お弁当を食べ始めた。

そして回りのみんなはこう思った。

(((((この子だけは絶対怒らせてはいけない)))))

こうして昼休みは過ぎていった。
その後、シンジはミサのお許しが出るまで宙づりにされていた。

「ミサ〜、ご免よ〜、許して〜」

ミサにお許しを請うシンジ、しかしミサは放課後まで許さなかったそうな。


シンジ、レイ、アスカ、ミサは、学校が終わるとネルフへと向かった。
今日はシンクロテストの日だ。

ネルフへ着くとミサ以外はプラグスーツに着替え、テストプラグへ入る。

「では、シンクロテストを開始します、テストスタート」

リツコの号令がかかり、テストが始まった。

《零号機、63%》

《初号機、100%》

《弐号機、89%》

この様な結果になる。

「さすがアスカ、凄いわね」

ミサトがリツコに言う。

「まったくね、まさかこれ程とはね」

「でもシンちゃんにはまだまだよね」

「何言ってるの、シンジ君の場合、もはやシンクロしているとは言わないわ
シンジ君の遺伝子であれば、誰が乗っても100%になるのよ今の初号機は・・・
集中する必要さえ無いのよ。
だから見てみなさい、今のシンジ君の様子を・・・」

そう言われてミサトはモニターでシンジの様子をうかがった。
そこに写っているシンジは・・・

『ぐご〜ぐご〜』

寝ていた。

「は、はははは、寝てる」

「わかった、そう言うわけなのよ。
もはや初号機にはパーソナルデーター何て関係ないのよ、書き換えも出来ないし・・・
それにシンジ君の身内が乗れば誰でも起動するわ。
例えばユイ司令や髭なら50%のシンクロ率が出せるし
レイなら25%のシンクロ率になると思うわ。
その代わり、いくら小さい頃から訓練したアスカと言えども、初号機は動かないわ
他人だから」

「ふ〜ん、何か初号機って、凄い単純な物になっちゃった見たいね」

「まったくよ、わたしの今までの苦労は何だったのかしら」

こうして、シンクロテストは終わりになる。






テストが終わった後のアスカは、機嫌が悪かった。
一番でいなければならないアスカにとって、シンクロ率がシンジに劣っている事が屈辱なのだろう。

「アスカ、気にすること無いわよ」

リツコがアスカの様子に気づいている様だ。

「駄目よ!!あたしは何としても一番じゃなきゃ!!負けらんないのよ!!」

「アスカ、あなたは負けてないわ」

「は!?何いってんのよ、シンジは100%じゃない・・・
それに比べてあたしは89%・・・
何処が負けてないのよ!!」

「だからそれを今から説明するわ。」

そう言ってリツコは先ほどミサトにした説明をアスカにした。

「・・・・っと言う訳なの、わかったアスカ」

「って事は・・・」

「そう、ちゃんと意識的にシンクロを高めて、その数値が一番高いのは、アスカ貴女なの。
だから貴女は間違えなくトップよ、シンジ君は例外」

「そう・・・やっぱりトップはあたし、まっ、当然ね!!」

そんな話をしていると突然警報が鳴り響いた。

フオーン、フオーン、フオーン

「まさか使徒、総員第一種警戒体制!!
アスカ、シンジ君、戦闘準備
レイはそのまま待機、わかった。」

ミサトがシンジ達に命令を下す。

「「はい」」

「・・・わたしも出撃します」

「零号機は改造中で動かせないのよ、わかったレイ」

「・・・わかりました、待機しています」

「よろしい、ではシンジ君、アスカ、頼むわよ」

「わかりました」

「任せなさい!!」

そう言ってアスカ、シンジは出撃の為ゲージへと向かった。


発進の終える初号機と弐号機、目の前には使徒がいる。

『いい、先の戦闘によって第三新東京の迎撃システムが受けたダメージは
現在までに復旧率26%
実戦における稼働率はゼロと言っていいわ。
したがって今回の迎撃は上陸直前の目標を水際で迎え撃ち、一気に叩く!!』

「「了解」」

シンジとアスカは先頭位置につく。

「あ〜あ、初めての日本の戦いだって言うのに
何であたしだけに任せてくれないのかしら・・・
いいシンジ、足を引っ張るんじゃないよ」

「へいへい」

「行くわよ!!」

そう言って弐号機は大きく使徒に向かってジャンプした。

「そりゃ、ファイヤーボール!!」

シンジはアスカの援護の為、使徒にファイヤーボールを投げつけた。

ドカァァァァァン!!

ファイヤーボールは使徒の張るATフィールドで弾かれる。
しかし爆発の煙でめくらましにはなった。

「どりゃぁぁぁぁぁぁ!!」

ズバッ!!

使徒は弐号機の持つソニックブレイブにより、真っ二つにされた。

「どうシンジ、戦いは無駄なく美しくよ」

『ナイス、アスカ!!』

ミサトが通信でアスカを褒める。
しかしシンジは釈然としなかった。
使徒が余りにも弱すぎるのだ。

(おかしい、こんなに呆気ないなんて、まだ何かあるはずだ。)

「ちょっとシンジ、聞いてるの!!」

アスカは使徒に背を向けシンジを怒鳴る。
シンジはアスカの方を見ると、アスカの後ろにいる使徒が動き出した。

「アスカ!!そいつから離れろ!!」

「え!?」

アスカは後ろを振り返ると、真っ二つの使徒がそのまま二体に増えた。

『何てインチキ!!』

ミサトがありったけの声で叫き散らす。

ドカァァァァン!!

「キャアァァァ!!」

アスカは使徒に後ろから蹴られた。
吹っ飛ぶアスカ

しかしシンジがそれを支えた。

「ありがとう」

「お礼は後だ、二体に別れた以上、一体はアスカに任せるぞ」

「ハン、言われなくともそうするわ」

そういて二人は使徒へ突っ込んで行く。

「こんちくしょう!!」

ズバッ!!

アスカは使徒の手を切り落とす。
しかし直ぐに再生される。

「何なのよこいつら!!」

「こっちもだ」

シンジの方も刀で斬っても斬っても再生されていた。

「こうなりゃこれでどうだ!!」

シンジはしとのATフィールドを中和する。

「バーストフレアー!!」

火炎放射状の炎が使徒を包み込み灰にした。
しかし、灰から使徒は再生された。

「何だと!!」

「ウッソー」

さすがのシンジとアスカもこれには驚いた。
さっきので倒したと思ったのだろう。

それが隙となった。

ドカァァァァァァァン!!

ズカァァァァァァァン!!


「うわぁぁぁぁぁ!!」

「きゃぁぁぁぁぁ!!」

二人とも使徒に吹き飛ばされ、飛んでゆく。

『二人とも大丈夫!!』

ミサトの叫びがシンジ達に送られる。

「やってくれるじゃねえか・・・殺してやる
ヒャアッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャァァァァァァッ!!

シンジが唐突に切れた。

初号機は両手を広げる。

「輪廻の先まで消し飛ばしてくれるわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

両手に集中し始める。

『あの構えは・・・駄目よシンジ君!!』

『シンジさん!!それは使わないで下さい!!
アスカさん!!シンジさんを止めてぇぇぇぇぇ!!』

「何!!どうしたって言うの!!」

『アスカ!!初号機を思いっきり蹴飛ばして!!』

ミサトはアスカに訳のわからない命令を下す。

「は!?何馬鹿なこと言ってるのよミサト!!」

『早くなさい!!シンジ君は炎龍波を・・・自爆技を使おうとしているのよ!!』

「何ですって!!わかったわ!!」

アスカはシンジの所へ近づき、隙だらけの横っ腹を思いっきり蹴った。

「おべすっ!!」

初号機は吹っ飛び飛んでいく。

『アスカ今よ!!初号機を担いで撤退して!!』

「この状態じゃ仕方ないわね、わかったわ!!」

こうして、第一戦は敗北に終わった。


《本日午後6時58分15秒、弐号機の攻撃により初号機は吹っ飛び
ビルの上で、シェーーーー!!っとしながら活動を停止、その後弐号機により初号機を回収
E計画担当者のコメント・・・・》

「すっっっっっっっっっっっっっっっっごく、無様ね」

《同05分、新型N2爆雷により目標攻撃》

「また地図を書き直さなければならんな」

《これにより、構成物質の28%の焼却に成功》

「死んでるんですかこれ」

「足止めにすぎんよ、再度進攻は時間の問題だな」

アスカの問いに冬月が答える。

「パイロット両名」

ゲンドウが凄む、ユイが居ないことを良い事にえらそぶっている。

「君たちの仕事は何だ」

「・・・エヴァの操縦です」

アスカがゲンドウの問いに答える。

「違う!!使徒に勝つことだ!!そんな事もわからんのかボケ!!
こんな醜態をさらすためにネルフが存在している訳ではない、アホ!!」

「ぐっ!!」

ユイが居ないで調子にのっているゲンドウは、アスカにそう言う。
言葉の詰まるアスカ
それを聞いていたシンジは・・・

ガタン!!

唐突に立ち上がり・・・

ドバキッ!!

ゲンドウの顔面に真空飛び膝蹴りを入れた。

「ふげっ!!」

吹っ飛び倒れるゲンドウ
そんなゲンドウをシンジは胸ぐらを掴んで立たせる。

「・・・もういっぺん言ってみろや」

「いっ、いや、あの・・・」

「もういっぺん言って見ろと言ってんだよ髭爺!!」

ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!ドガッ!!

シンジは胸ぐらを掴んだままゲンドウの鼻っ柱に
ヘッドバットの五連打を入れる。
これは痛い・・・

「やっ、止めてくれシンジ」

しかしゲンドウにはあまり効いていないようだ。

「貴様がぐちゃぐちゃ言えた義理か!!
それもよりによって命を懸けて戦った相手に対してボケだアホだなんてよく言えるな!!
こうなったのも使徒に対する情報が不足しているからだろ!!
それを調べるのは大人であるお前達の役目だろ!!
それを全部俺やアスカのせいにしやがって・・・
いい加減にしねえとマジで殺すぞ!!」

ドカァァァァァァァァン!!

シンジはゲンドウの胸ぐらを掴んでいる手で、爆発を起こす。

「ぎぃゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

これはさすがのゲンドウも効いたようだ。

「ふん、人を馬鹿にする暇があったら使徒の倒し方でも考えるんだな。」

そう言ってシンジは部屋を退室した。

「ちょっと待ちなさいよシンジ!!」

「・・・わたしも行くわ」

「シンジさん、待って」

ムギュ、ムギュ、ムギュ

アスカ、レイ、ミサはシンジを追っていく。
その際、黒こげのゲンドウを踏んでいくことを忘れない。
こうしてチルドレン達全員が退室していった。


「シンジ!!わかってんの!!使徒に負けたのはあんたのせいよ!!」

アスカは負けたことが悔しいのか、シンジにあたる。

「そうさ、全部俺のせいさ・・・ど畜生!!」

ドアァァァァン!!

シンジは近くの自動販売機を素手で粉砕した。

「畜生!!畜生!!畜生!!畜生!!畜生!!畜生!!畜生!!畜生!!
負けた・・・この俺が・・・畜生ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!

「ちっ、ちょっと・・・落ち着きなさいよ・・・あたしが悪かったわ・・・言い過ぎた・・ごめん」

さすがのアスカもシンジの豹変ぶりに、自分の言った言葉を後悔する。
しかしアスカの言葉でシンジは悔しがっている訳ではない。
使徒に勝てなかったことが悔しいだけだ。
今回は足止めして、次のチャンスがあるから良い物の、戦いは常に負ければ死だ。

所詮この世は弱肉強食、弱い物が死に、強い物だけが生き残る・・・

これがシンジ達の生きてきた裏の世界での言葉だ。
そんな世界で生きてきたシンジだ、次のチャンスなど考えたことはない。
生か死か、それしかないのだ。
シンジにとって今回の負けは、死んだのと同じである。

「誰が悪い何てハッキリ言ってこの際どうでも良い
俺の戦いは常に勝たなきゃいけないんだよ。
今日のミサとのじゃれあいとは違うんだ。」

あれはじゃれあいだったのか・・・
それはさておき・・

「その気持ちは痛いほど分かるけど・・・良いじゃない、次のチャンスが在るんだから!!」

シンジを攻めようとしていたアスカだが、逆に慰めることになってしまった。
あのアスカがここまで他人を慰めるのは珍しい。
それほどシンジは自分を責めていた。

「・・・そうだな、ここは裏の世界とは違うんだよな
チャンスがあれば何度でも立ち向かえばいいか
ありがとうアスカ、おかげで少し気分が良くなったよ・・・」

「わかればよろしい、そのかわり・・・」

「そのかわり?」

「今日の晩御飯、ご馳走しなさい、慰めてやったお礼よ」

「おう、良いよ」

「じゃあ、あんたん家早く行くわよ!!」

「へいへい、お転婆アスカさん」

「誰がお転婆だ!!」

「自覚してないのか?」

「こんの〜〜〜」

アスカは大きく手を振り上げる。
逃げるシンジ

「待ちなさいよ!!こら、逃げるな!!」

「やだよ、逃げるなと言われて逃げない馬鹿は居ないよ。
悔しかったら追いついてみな」

「ぬぁんですってぇぇぇ!!待ちなさい!!」

「はははは、ここまでおいで」

「きいぃぃぃぃぃぃぃ!!」

こんな状態でシンジ達は家へと向かった。

「レイさん、わたし達も帰りましょうか」

「・・・そうね」

この二人も実は居たりして・・・


《後編へつづく》


あとがき

あまりに長くなりそうなので、前後編に分けることにしました。

最初が良くなかったんだよな・・・最初が

あ〜あ、早くシンジ復讐編を書いてアスカとくっつけたいよ。


マナ:シンジでも負けることがあるのね。

アスカ:お仕置きに?

マナ:違うわよっ! 使徒よ使徒っ!

アスカ:さすがに、やけに落ち込んでたわねぇ。

マナ:でさぁ、流れから行くと次がユニゾンになるんだろうけど・・・。うーん。

アスカ:どうしたのよっ!?

マナ:このシンジってさ、運動神経かなりいいじゃない?

アスカ:そりゃ、そういう世界で生きてきたんだもん。

マナ:きっと、あなた・・。ついていけないわよ。

アスカ:このアタシがっ!? そ、そんなバカなっ!

マナ:シンジの横でどんくさいことになっちゃったりしてぇっ?

アスカ:ンなわけないでしょうがっ! シンクロだけじゃなくて、運動神経もアタシが上よっ!

マナ:さぁ、どういう展開になるか次回が楽しみねぇ。

アスカ:今の間に練習しとかなくちゃ・・・。いちに。いちに。

マナ:あーーーっ! フライングは駄目ーっ!
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