灼熱の炎外伝?

「シンジ君、朝の稽古」

by.イフリート


シンジと住んで数日過ぎたある日、アスカは朝四時頃目が覚めた。
トイレへ行こうと部屋を出ようとすると、玄関が閉まる音がした。
アスカは不審に思い確かめようとするが、一人では危ないと思い、シンジの部屋へ向かいシンジを起こそうと部屋の扉を開けた。
しかしそこには誰も居ない。

「あれ、シンジの奴何処行ったのよ。」

そこでふっと思った。
シンジの奴はいつも朝七時頃外から帰ってくる。
確か剣の稽古と言ってた気がする。

「こんな朝早くから?」

実は剣の稽古と称して誰かと会っているのでは・・・

・・・誰と?

・・・こんな時間に?

・・・まさか女!?

そんな思考がアスカの頭の中にうごめく。

「シンジに限ってまさか・・・ね」

シンジが今は女性とはつき合えないのを知っているアスカだが
そう思っても、頭の中の思考が消えない。
しかしそこまで考えて一つ思ったことがある。

「何で、アタシがシンジの事こんなに気にしなきゃいけないのよ!!」

アスカはいきなり叫ぶと、頭をぶんぶんと振って頭の中の事を追い出そうとする。
しかしスッキリとしない。

「あぁぁぁもぉぉぉぉぅ!!シンジの行方が気になるなら調べれば良いのよ!!
あいつが女と会っていようがアタシには関係ないんだから!!」

アスカは怒鳴ることで心の中のモヤモヤを消す。

「今日はもう無理ね・・・明日実行よ。」

この後アスカはミサトに明日の朝、車を出してくれる様に頼んだ。
ミサトも乗り気でOKした。


次の日、アスカとミサトはマンションの外、車の中でシンジが出て来るのを待っていた。
時間は昨日シンジが外に出たと思われる、朝四時だ。

「来たわよミサト」

「解ってるわ」

シンジがマンションの中から姿を現した。
そしてそのまま走り出す。
もの凄いスピードで・・・

「は、早い!!」

「早いなんて物じゃないわよ、わたし一瞬シンちゃんが消えたかと思ったわ。
それよりアスカしっかり掴まってなさいよ、シンちゃん追うから」

「ええ」

二人の乗った車はばれないように走っているシンジを追った。






「ちょっとシンジの奴、何処向かってるのよ」

「このまま行けば多分双子山ね」

「あの先にある山の事?」

「ええ、そうよ」

「それにしてもシンジ、今どのくらいのスピードで走ってんの?」

「約90kmよ」

「・・・化け物ね」

「それをシンちゃんの前では言っちゃ駄目よ」

「わかってるわよ」

そんな会話をしている内にシンジは双子山へと到着する。
少し遅れて二人も到着した。

「シンジ、山登って行っちゃったわよ・・・・どうする?」

「行きましょう、ここまでせっかく来たんだし・・・でもアスカ」

何やらミサトの顔がニヤけている。

「な、何よ」

「良かったわね〜シンちゃんが女の子と会う様な事がなくて」

「な!?何言ってんのよ!!シンジが女と会っていようがアタシには関係ないわよ!!」

怒っているのと裏腹に、アスカの顔は真っ赤っかだ。

「はいはい、まあ良いわ・・・シンちゃん追うわよ」

「本当にシンジの事、何とも思ってないんだからね」

そうは言ってるが、否定するアスカの声が小さかった。
そんな事を話しながら、二人も山の中へと足を踏み入れた。


シンジの後を追った二人は案外早くシンジを見つける事が出来た。
山を登り初めて数分、シンジは竹藪の中、少し広場となった場所にいた。
そこに居たシンジは目を瞑り、精神集中していた。
その光景を少し離れた所から見ている二人
何やら異様な雰囲気が辺りを覆っていた。

薄暗い山の中・・・その中にぽつりと立つ少年

異様なのは当然と言えば当然だろう。
あの状態のシンジを見ていると、二人には一分が一時間位に感じられた。
何故かは解らないが緊張までしてくる。

少し・・イヤ、一時間・・・二人にそう感じられた時、シンジが、カッ!!っと言う感じで目を開く。
二人はビクッとした。
目を開いたシンジは自分の横に張ってあったロープを刀で切断する。

その瞬間、シンジの前から竹槍が凄いスピードで数百数千とシンジに襲いかかってきた。

「あ、危ない!!」

アスカは知らぬ間に叫んでいた。
しかしシンジは避ける所か、その竹槍に対して突っ込んでいった。

「「な!?」」

驚く二人
しかしもっと驚いたのはその後の光景だった。

「龍神硫、龍連殺!!」

ドドドドドドドドドドドドッ!!

シンジは技の名前を叫ぶと、数百数千の竹槍に対して連続突きを放つ
一寸の狂いもなく全ての竹槍を粉々に粉砕していく。
刀を振って竹槍を斬り壊していくなら少しは話が分かるが
あの先の細い竹槍を、突いて破壊するのは普通出来るはずがない。
それをやり遂げるシンジ

「何て奴」

「凄すぎるわシンちゃん、人斬り火龍の名は伊達じゃないって所ね」

感心している二人だがシンジの訓練はつづいていた。
前から来た竹槍が全て壊れると、今度は上から振ってきた。
竹槍の数は先ほどとあまり変わらない。

「うらうらうらうらうらぁぁぁぁ!!」

上から来たのは斬り壊していく。
竹槍が全て終わると、巨大な岩が振ってきた。

「龍神硫、龍円殺!!」

《龍神硫、龍円殺》

凄い早さで下から上へと円を描く様に斬る斬撃技、対空用の技

ジャキィィィン!!

斬られた岩は真っ二つになりシンジの左右に落ちる。
岩が斬られると、振り子の原理を利用した大木三本が前と左右からシンジを襲う。

シンジはベルトから鞘を抜くと、刀を納め、腰を低くして、右手を何時でも刀を抜ける様に柄寸前の所に持ってきている。
大木三本がシンジに近づいた。

「龍神硫抜刀術、龍尾殺!!」

《龍神硫抜刀術、龍尾殺》

目にも見えない早さの鞭を打つ様な抜刀術、シンジの剣技の中では一番神速の技

チンッ!!チンッ!!チンッ!!

刀を納刀する音が辺りに木霊する。
アスカとミサトには剣先など見えてはいない、刀を納めた音だけが聞こえていた。

「はあっ!!」

真ん中から斬られた大木三本は、六本になりシンジに襲う。
斬られたからと言って大木の襲う力は衰えてはいない。
それをジャンプして回避するシンジ
そして少し離れた所に着地する。

「ふうぅ〜清々しい、良い運動になるな〜」

全てのトラップの破壊が終わると、シンジはこんな気楽なことを言う。

「それにしても・・・そこの二人!!そろそろ出てきたらどうだ!!」

アスカとミサトの方に叫ぶシンジ

「やばい!!・・・ニァ〜ン」

「ニァ〜ン」

猫と鳴き真似をして誤魔化そうとする二人

「な〜んだ、猿と牛か」

正体が分かっているのでボケるシンジ

「誰が猿よ!!」

「誰が牛よ!!」

怒鳴りながらシンジの前に姿を現す二人

「何やってるんだ、アスカ、ミサトさん」

「あんたの行方が気になって追ってきただけよ、それより・・・誰が猿ですって!!」

「うそうそ、冗談だよアスカ」

「じゃあ、わたしはどうなのよ・・・シンちゃん、牛って言ってたわね、わたしの何処が牛なのよ!!」

「ここ」

ムニュッ

シンジはミサトの胸をさも当たり前の様に鷲掴みする。

「あん♪って、何すんのよシンちゃん!!」

パァァァァン!!

ミサトはシンジをはり倒す。

「・・・痛い、何をするの葛城一尉」

「レイの真似して誤魔化さない!!」

「痛いわね!!何すんのよミサト!!」

「アタシの真似すんな!!」

ドゲシッ!!

アスカにまで蹴られるシンジ

「ふっ、痛いではないか葛城一尉、セカンド・・・減棒一ヶ月」

「「誰それ」」

(うぅぅぅぅ、可哀想な父さん・・・忘れられてるよ)

「まあそんな事より・・・二人とも何やってんの?」

「だから、あんたを追ってきたのよ」

「何で、剣の稽古だって言ってただろ」

「良いじゃない!!見たかっただけよ、あんたがどんな稽古をしているか」

「あっそうなの・・・で?感想は?」

「「凄すぎるわよ」」

ユニゾンしながら言うアスカとミサト

「そう?ありがと」

「アタシ・・・あんたと張り合おうとしてたのね、あんたの強さ・・・もはや張り合うんじゃなくて、目標、いや理想よ」

あの凄さを見たアスカは最早シンジの事を認めるしかない。
こんな奴と張り合ったって、勝てるはずがないのだから。

「強くなるしか生きる道が無かったからね、裏の世界は」

「「・・・・・」」

それを聞くと何も言えなくなる二人

「さてと、帰ろうか」

「・・・そうね、そうしましょうか」

「シンちゃんも車乗ってきなさいよ」

「そうですね、それじゃお言葉に甘えて」

こうして三人は双子山を後にした。




余談だが、ここのかたづけとトラップの仕掛けは、黒服の男達がみんなでやっていたそうな。



《おわり》


あとがき

シンジの修行風景を書きたかったので・・・・

化け物ですね、本当にこれじゃあ、はははっ(^^;)

まあ、良しとして下さい。

剣術の紹介もしたかったのも少しありますが。


それでは!!


アスカ:夜這いでもしにいってるのかと思って、ヒヤヒヤしたわ。

マナ:そんなことするはずないでしょ。

アスカ:追跡するのも大変だったんだからねぇ。

マナ:シンジって、凄い特訓してるのねぇ。

アスカ:いくらシンジって言っても、日頃の鍛錬を怠るわけにはいかないんじゃない?

マナ:鍛錬はいいけど、やってることが凄過ぎるわよ。

アスカ:それはそうかも。(^^;

マナ:人間業じゃないものねぇ。

アスカ:そうだわ、アタシも一緒に特訓しようかしら。

マナ:できるわけないでしょ。

アスカ:同じことはしないわよ。

マナ:じゃ、何するのよ?

アスカ:鞭の練習でもしようかしら。

マナ:早くもシンジの下僕化を企ててるわね。(ーー;
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