新世紀エヴァンゲリオン灼熱の炎《京都編》

第十二話「墓参り」

by.イフリート


何時も通りの朝、しかし碇家は何時もと違っていた。
詳しく言えばシンジミサの様子が違っていた。

「ミサ〜まだ支度できないのか?」

シンジがミサの部屋へと声をかける。

「もう少し待って下さい、もうすぐです。」

「わかった。」

こんな会話がシンジとミサの中で行われている。
二人で何処かへ行くようだ。
その為ミサは先ほどからめかし込んでいる。
この時、近くにいたアスカがシンジに近づいてきた。

「シンジどうしたのよ、こんな朝早くから・・・」

「ああ、ちょっとミサと出かけてくる、二、三日帰ってこないからアスカとレイにはネルフの保安部が護衛に着く様にしたから」

「何処行くのよ」

「・・・京都さ」

シンジは何やら遠くを見ながら呟いた。

「何、二人でデートがてら、旅行なんて行くの・・・それよりアタシ達チルドレンはこの第三新東京市から出ちゃ駄目なはずよ」

「大丈夫、母さんの許可は取ってあるから」

「よくデートなんて理由で許可降りたわね」

アスカは何故か嫌味っぽく言う。

「デートじゃ無いよ」

「じゃあ何よ」

「ちょっと・・・ね」

その時ミサが準備を終えた。

「お待たせいたしましたシンジさん」

「ほ〜、可愛いなミサ、似合ってるよ」

「そうですか・・・ありがとうございます、シンジさんも格好いいですよ。」

シンジはミサの格好を見て褒める。
ミサも褒められて満更では無いようだ。

今のミサの格好は、服装はいつもとほぼ同じ白の丈の短い着物だが
髪型がツインテール、そして薄く化粧をしていた。
まるでナデ〇コのル〇ちゃんその物だ。

シンジの格好はこの言葉が一番だろう・・・黒ずくめ
黒のジーパン、黒のワイシャツ、この暑いのに黒のロングコート
勿論腰には日本刀

「まあいい、そろそろ行くか」

「はい」

「そう言う事でアスカ、行ってくるわ」

「ちょっ、ちょっと待ちなさいよ!!」

アスカの声に振り向きもせず、シンジ達二人は家を後にした。

「何なのよあの二人は!!・・・こうなったら追いかけてやる・・・っとその前に」

アスカはポケットから携帯電話を出すとケンスケに電話をした。

prrrrrr、がちゃ

『はい相田です』

「惣硫ですが、ケンスケ君をお願いします」

『惣硫か、俺だケンスケだ、どうしたこんな朝早く』

「あんたミサの事、好きよね」

『な、何だよ突然』

「正直に答えなさい」

『・・・ああ、好きだよ』

「そのミサがシンジと二人っきりで泊まりの旅行へ行ったって言ったらどうする?」

『な!?何だと!!それ本当か!!』

「ええ」

『・・・追跡だ』

「そのつもりであんたに電話したのよ」

『シンジ達は何時家を出たんだ』

「今よ」

『じゃあ追うぞ』

「じゃああんたは今から駅へ向かいなさい、アタシは今からシンジ達を追うわ」

『シンジ達は何処行くって言ってたんだ?』

「京都よ、だから駅へ向かいなさい、解った!!」

『了解!!』

そう言ってアスカは電話を切った。

「さてと、追いますか」

アスカはサイフと携帯電話を持ち、家を後にした。


家を出るとちょうどレイと鉢合わせになり、レイもそのままアスカに同行した。

「・・・わたしも行きたい、八つ橋食べたいの」

だそうだ。

それはさておき、レイとアスカはシンジ達を追った。
シンジ達はすぐに見つかり、アスカとレイはばれない様に尾行していった。





「シンジさん・・・アスカさんとレイさんが着いてきてますよ、どうします、まきますか?」

二人の行動は、ばればれだった。

「う〜ん・・・いいや、母さんに連絡して二人とも連れてくことにしよう。」

シンジは携帯電話でユイに連絡して、ふたりの同行の許可を得た。
使徒が来たらどうするかって・・・無敵の髭が居るだろって感じで説得した。

「よし許可が得られたと言う事で・・・そこの、こそこそ隠れてる二人!!」

それを聞くとレイとアスカは隠れていたビルの影から姿を現した。

「何だ、ばれてたのね。」

「当たり前だ、この僕が気づかないと思ったか」

「それもそうね」

「・・・お兄ちゃんおんぶ」

そう言ってレイはシンジの背中に飛び乗る。

「おっとっと・・・甘えん坊だなレイは」

そう言いながらレイをちゃんとおぶる。
それを見てむっとするアスカ

「何してるの兄妹で!!不潔よ!!」

どこぞの委員長みたいなことを言うアスカ
しかしレイを見て諦めた。

「すぴー」

シンジにおんぶしてもらった途端、レイは寝ていた。

「何なのよこの子は・・・」

「まったくです、レイさんの眠り癖と食い意地のはったのは何とかならないのでしょうかね。」

「まあ、良いじゃん、可愛いんだから♪」

碇シンジは極度のシスコンであった。

「それよりそろそろ駅へ向かわないと、電車出ちゃうよ」

「そうですね、急ぎましょう」

そう言って四人は駅へと向かった。






駅に到着すると軍服に身を包んだ少年が立っていた。

「あれ、ケンスケさんこんな所で何やってるのですか?」

「ミサちゃん!!」

「はい?」

「シンジと二人で旅行ってのは本当か!!」

興奮しまくるケンスケ
嫉妬ここに極まりである。

「何言ってるのですか、ただの里帰りですよ」

「な、何だ・・・そうだったのか」

「それに今や二人っきりじゃありません、アスカさんとレイさんも一緒です」

「あ、本当だ」

ケンスケはミサの後ろを見ると、シンジとその背中におぶさっているレイとそれを恨めしそうに見ているアスカを確認した。

「それでケンスケさんは何してるのですか?」

「い、いやね、俺もついていこうかな〜何て思ったり何かして・・・」

「良いですよ」

「やっぱだめ・・・・って良いの!!」

「はい、この際ケンスケさん一人が増えても大した事ありません。」

「ありがと〜!!」

「いえいえ、それでは電車へ乗りましょうか」

そう言って駅にはいるとキップを五枚買い電車へと乗った。






電車へ乗ると五人は楽しくお喋りをしていた。
お喋りをしている内にお腹が空いたとレイが言いだし、駅弁を食べることになった。
シンジ、アスカは焼き肉弁当
ミサ、ケンスケは幕の内弁当
レイは七段重ねデラックス弁当だ。
レイの頼んだ弁当は他の人間の頼んだ弁当の七倍の量だ。

「おい碇、綾波の奴あれを食うのか」

「多分レイにはあれでも足りないよ」

「・・・そうなのか」

「ああ、あの細い身体の何処に入るか僕も不思議なんだよ」

そんな会話をしている内にレイは五段目を食べていた。

ガツガツ、モグモグ、ベキベキ、グキャッ!!

いつもの通り変な音をたてて食べるレイ

「なあ碇、何の音だ今の?」

「・・・聞くな、碇家七不思議の一つだ」

《碇家七不思議  レイ、食事中の異音》

絶対に音のしない料理を食べても変な音をたてて食べるレイの事
その原因は今だ不明、スーパーコンピューターマギを使っても解らなかった。


「ははっ・・・はははははっ・・・」

「でも、可愛いだろ」

ウットリとレイの食べっぷりを見るシンジ

「そ、そうか?」

「そうなのだ」

シスコンここに極まりである。
多分、レイを苦しめる輩は地上に一秒と生息して居られないだろう。

「レイ、美味しいか」

「・・・ミサさんの料理の方が美味しい」

「だってさミサ」

「ありがとう、レイさん」

「・・・本当のこと言っただけ」

「それでも嬉しいです。」

「・・・そう」

そう言うとレイは最後の一段を食べ始めた。
シンジ達もそれにつられ食べ始めた。

「・・・お兄ちゃん」

「なに、レイ」

「・・・足りない」

「そうか、じゃあ僕の残りをあげるよ」

「・・・ありがとうお兄ちゃん」

そう言ってシンジの焼き肉弁当を食べ始めた。

「シンジ、あんたは良いの?」

「何て事無いよアスカ、一食抜くなんて昔は当たり前だったから慣れてるよ
それよりアスカ・・・ピールでも飲むか」

「良いの」

「良いの、前にも言っただろ、飲み過ぎなければ良いって」

「そうね」

「・・・私も飲む」

「ミサとケンスケはどうする、奢るぞ」

「わたし飲みます」

「んじゃ俺も」

「そうか、すみませ〜ん、ビール五本下さい。」

定員が来てシンジ達の前にビールを五本置いた。
未成年にビールを売るこの定員もどうかしている。

「「「「「かんぱ〜い」」」」」

その後、一本だけビールを飲むと京都に着くまで眠りに入った。


京都に着いたシンジ達一行は、駅を出ると目的地へ向かう。
ケンスケは目的地の場所を聞いたとき驚いた。

「京都D−13地区!?マジか!!」

「ああ、あそこを通らないと目的の場所まで行けないからな」

「危険だぞあそこは・・・」

「大した事無いよ、僕とミサが居るだろ」

「それはそうだが・・・」




《D−13地区》

この日本で一番治安の悪い場所、犯罪の宝庫と呼ばれている。
麻薬、殺人、人身売買、臓器密売、これらが当たり前に行われている。
いや、二年前まで行われていたと言った方が良い。
今はそんな事はない、二年前はこの近くの山にシンジが住んでいたのだ
そんな横暴をシンジが許すはずもない。
ただケンスケはそんな事を知らない。




「治安が悪かったのは二年も前の事だよ」

「本当か」

「ええ、シンジさんが治安を良くしました。
一年前に帰って来た時は少なくとも治安は良かったです。」

「じゃあ今は」

「わかりません」

「お喋りはこの位にして、行くか」

そう言ってシンジ達一行は、京都D−13地区へと向かった。





D−13地区に入ると、そこは・・・

「何なんだこれは!!」

「ひ、非道い・・・」

その回りの光景に目を疑った。
まるで北斗の拳の世界のようなことが繰り広げられていた。

「シンジ!!何よここは!!何処が治安が良くなってるのよ!!」

アスカが余りの非道さにシンジを怒鳴る。

「わからん、一年前はこんな事にはなっていなかった」

その時、頭の悪そうなヤンキー風情が五人ほど、バイクに乗ってシンジ達に近づいてきた。

「おうおう、可愛い女の子連れて良い身分だなおい」

その中の一人がシンジに対して挑戦的な事を言う。

「・・・・・・・」

何も反応しないシンジ

「おう、いっちょまえに刀なんかさして・・・お仕置き、死ね」

ヤンキーは訳の解らないいちゃもんをシンジにつけると、手に持っていた鉄パイプで思いっきりシンジの頭を殴った。

ガンッ!!

もろに直撃するシンジ、しかし微動だにしない。

「なぁ!?」

驚くヤンキー

「・・・誰だ」

シンジはドスの聴いた声で独り言のように言い始める。

「シンジ・・・あんただいじょ・・・」

アスカはシンジが殴られたのと、その後のシンジの変化を心配して声をかけた。
しかし、シンジの表情を見て途中で何も言えなくなった。

「・・・誰だ・・・俺とナミの思い出の地を汚した輩は・・・ゆるさん」

そう言うとシンジは頭を殴ったヤンキーの顔を鷲掴みして上に持ち上げる。

「ここの・・・D−13地区の今の責任者は誰だ」

ぎりぎりと音のしそうな感じでシンジは鷲掴みした指に力を入れる。

「ぐあぁぁ!!ぶ、豚尻様です・・・」

「豚尻だと・・・あのデブが今の責任者だな」

「は、はいぃぃぃ・・・・げふっ!!」

シンジは持ち上げていたヤンキーを頭から地面に叩き付けた。
頭が地面に埋まるヤンキー
ピクピクと痙攣していたが、やがて動かなくなった。

シンジは残りの四人に鋭い視線を送った。

「豚尻に伝えろ・・・人斬り火龍が明日会いに行くと。」

それを聞くと残りのヤンキーは蜘蛛の子を散らす様に逃げていった。

「・・・行こう」

「シンジさん」

「心配するなミサ、俺達の思い出の地は明日中には何とか元に戻すよ」

「わたしもお手伝いします。」

「・・・頼む」

「はい」

そう言ってシンジ達はD−13地区を後にしていった。
アスカ、レイ、ケンスケは余程この場所がシンジとミサにとっては、思い出深い場所だったと言う事を知った。


D−13地区を後にしたシンジ達、今は山を登っていた。
登り初めて二時間は経過していた。
D−13地区を通っている途中は何人かに絡まれたが、シンジとミサによってねじ伏せられた。
素手で殴っていたので確認はしていないが、中には死んだ奴も居ただろう。
山に入ってからはそんな事は無くなっていた。

「シンジ、何処まで登るのよ」

「もう少しだ、我慢してくれアスカ」

「・・・お兄ちゃん、お腹空いた」

それを聞いたみんなは・・・

((((さっきあんなに食っただろが!!))))

っと心の中で叫んだ。

「いったい何処へ向かってるのよ」

「着いてくれば解るさ」






その後、十分ほど登ると素晴らしく眺めの良い所に到着した。
その近くの地面には氷の十字架が立っている。
ミサの作った、万年氷の十字架だ。
この暑い中でも一切溶けていない。

「・・・・これは」

アスカが呟くように言う。
そして氷に掘ってある文字を読む。





《碇ナミ、ここに眠る》




「そう、これはナミのお墓だ・・・・今日でナミが死んで丁度二年目なんだ」

そう言いながらシンジは途中で積んだ花をナミの墓前へとおいた。

「一年ぶりです姉様・・・・わたしもシンジさんもお元気ですよ」

ミサはお墓の近くに生えている雑草を奇麗に取り除く。

「そうだ、今日は妹と友達を紹介するよ、まずこの子が綾波レイ、僕の妹だ」

「・・・よろしく」

レイは手を合わせナミの墓前へお辞儀をする。

「そしてこの子が友達の惣硫・アスカ・ラングレー」

「惣硫・アスカ・ラングレーよ、よろしくね」

アスカもレイと同じ事をする。

「そしてこいつはミサと異常なほど仲の良い男友達の、相田ケンスケだ」

「よろしくお願いします、ナミさん」

ケンスケも二人と同じ事をする。

「それじゃあ改めてみんなに紹介するよ、僕の恋人であり、ミサの姉の碇ナミだ」

シンジはナミのお墓の横に立つとみんなにナミを紹介した。

「「「よろしく」」」

それを聞いた三人は声をそろえて言う。

「それじゃ、そろそろ僕達の住んでいた家へ行きますか」

「家、近いの?」

「ああ、すぐそこだ・・・じゃあ、また後でな、ナミ」

そう言うとシンジはナミのお墓にキスをする。
それを見て胸がズキッと痛むアスカ
明らかにナミに対する嫉妬だ。

「どうしたんだアスカ」

暗い顔になったアスカを心配するシンジ

「何でも・・・何でもないわ」

「そうは見えないけど・・・」

「うっさいわねバカシンジは!!それよりそろそろ行きましょうよ!!」

「そうだな、それじゃ行くか」

そう言って五人はナミのお墓を後にした。


シンジ達はお墓を後にして、シンジとミサの住んでいたほったてごやへ着いた。
ほったてごやと言うよりはログハウスに近い、それも結構でかい。
ミサは扉へ近づくと鍵を開けた。

「「ただいま」」

シンジとミサは声をそろえて挨拶をする。
そして中へと入っていく。

「さあ上がって下さい、皆さん」

「それじゃあお邪魔するわ。」

「・・・お邪魔します。」

「お邪魔します。」

ミサの一声で三人は家の中へと入っていった。

「まあ、何もないけどくつろいでくれよ」

「シンジさん、わたしはご飯の支度をします。」

「ああ、頼むよ」

それを聞くとミサは台所へ向かった。
料理の材料はミサが一年前に買い置きをして、絶対零度の氷で凍らしてある。
それなので腐ることもない。

「本当、何もないわね」

「確かプレ〇テのデコトラとドリキャ〇のナデ〇コがあるだろ、後はビデオで極道の妻達があるよ」

「だ、誰の趣味よそれ」

アスカは少し引きながら聞く
外人のアスカが題名を聞いただけで何か解ると言うのも凄いことだ。

「デコトラと極道の妻達はミサ、ナ〇シコは僕」

それを聞いた人はこう思った。

(((ミサちゃん渋い)))

「それよりどうする、ゲームする?ビデオ見る?」

「「「ゲーム」」」

「そうか、待ってて、今用意するから」

シンジはプ〇ステを用意すると、デコトラを入れた。
TV画面にはカラフルなトラックが映し出される。

《爆走、デコトラ◯説2、男人生夢一路》

などと言う渋い声まで出てきた。

「あ!!デコトラやっているのですね、わたしに貸して下さい。」

台所から音楽を聞きつけて戻ってきたミサ
シンジからコントローラーを引ったくると、メモリーロードしてゲームをやり始めた。

「おい、ご飯はどうしたんだミサ」

シンジがミサに声をかける、すると・・・

「五月蠅い!!殺しますよ」

っと言う返事が返ってきた。

ミサの口調が厳しい、顔も何時になく真面目な感じだ。

「ミサの奴どうしたの、何か変じゃない」

「・・・忘れてた、ミサはコントローラーを持つと人が変わるんだ、特にデコトラの場合」

「車に乗ると人が変わる・・・ミサトみたいな物ね」

「そう、だから今のミサにちょっかいだすと・・・・マジ殺されかねないよ」

「ほうっておいた方が身の為ね」

「そう言う事」

しかしケンスケだけは・・・

「ミサちゃん格好いい」

などと言っている。
恋は盲目ってやつだ。

「しょうがない、ご飯は僕が作るよ、待っててくれ。」

シンジは立ち上がると台所へ向かった。

その後、シンジの作った食事を終えると、順番にお風呂へ入り、晩酌が始まった。
ミサだけはデコトラをやっている。
時折・・・

「きいぃぃぃぃ!!銀次郎さん速すぎる!!」

などと騒いでいる。






晩酌の最中、途中でシンジの姿が無くなっていた。

「ねえレイ、シンジ知らない?」

「キャハハハハハ、お兄ちゃん?うんとね〜さっきコップとお酒を持って外へ行ったよ〜」

酔っているせいか、レイは笑っている、笑い上戸らしい。

「そう、ありがと」

それを聞いたアスカは外へと向かった。
しかし玄関を出てもシンジの姿はない。

「何処行ったのよ」

アスカはきょろきょろと回りを見るが、やはり居ない。
そこでジシンジがお墓の前で言っていたことを思い出した。

《また後でな、ナミ》

それを思い出すとアスカはナミのお墓へ向かった。


お墓へ着くとそこにはシンジが居た。
お墓の前にコップを置き、お酒をついでいた。
アスカはばれない様にシンジを見ていた。

「ほら、お酒持ってきたよ、一緒に飲もう。」

シンジも自分のコップを持つとお酒を入れ、一気に飲み干す。
その後、ナミのお墓に向かって話し始める。



「僕・・・・俺さ、今幸せだよ、念願の家族との暮らしと、同年代の友達
大切な物が沢山出来たんだ。
妹のレイは可愛いし、ミサも相変わらず元気だし、母さんは生きてたし
アスカと居ると楽しいし、ケンスケやトウジも面白い奴らだし・・・俺、幸せだよ・・・・でも」

そこまで話すと、シンジの身体が震え始めた。
それを影から静かに見ているアスカ

「どうして・・・・どうしてそこにナミが居ないんだよ・・・どうして・・・うぅっ・・
何で俺より先に死んじゃったんだよ・・・答えてくれよ!!
一生一緒に居るって言ったじゃないか・・・うぅっ、うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

等々シンジは悲しみに押しつぶされ大泣きし始めた。
普段のシンジは絶対この様な所は見せない。
ナミの事で悲しそうな顔をする事はあっても、すぐに明るく振る舞っていた。
こんな弱音など吐いたことはない・・・特にミサの前では・・・


「・・・シンジ」


それを見ていたアスカは、何もできなかった。
そしてそれが悔しくて、もどかしくてたまらなかった。
無意識に、シンジの名前を呟いていた。

《つづく》


【あとがき】

こんにちは、イフリートです。

ここからオリジナルシナリオの京都編に入ります。

これも一応本編です。

溶岩の中の使徒は初号機でゲンドウにでも残滅して貰いましょう。

題して《マグマダイバー髭》

これは書けたら書きます。

では、次回予告を・・・

《京都D−13地区へ向かう私とシンジさん
そこで思わぬ人達と出会う
そして、一緒に行動する事となる
荒れ狂ったD−13地区を救うために》



次回、新世紀エヴァンゲリオン灼熱の炎《京都編》

第十三話、『救え、思い出の場所』


次回もサービス♪サービス♪


マナ:あんな形で死に別れちゃったんだもんね。

アスカ:亡くなった人が恋敵なんて・・・。

マナ:普段は明るくしてても、やっぱり心の傷はそう簡単にはねぇ。

アスカ:こういう時って、どうしたらいいのかしら。

マナ:シンジを癒してあげるしかないわね。

アスカ:だから、それが難しいんじゃない。

マナ:周りの空気を和やかにするのよ。

アスカ:和やかにねぇ。どうやったらいいかなぁ。

マナ:お墓の前でヒゲダンスでも踊れば、きっと和やかになるわよ?

アスカ:そうねっ! うんっ! やってみる。(スタタタタ)

マナ:きっと殺されるわね・・・。(ーー)
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