新世紀エヴァンゲリオン灼熱の炎《京都編》

第十五話「圧倒的な力」

by.イフリート


剛鬼を倒し、二階へと上がるシンジ達一行
上へと上がるにつれ、何やら温度が下がってくる。

「う〜ん、快適な温度になってきましたね」

みんなが白い息を吐いて寒がっている中、ミサだけが元気になっていた。

「快適なのはミサ、お前だけだ」

シンジも炎を使う人間だけに、寒さに弱い様だ。

「何なのよ!!いきなり寒くなってきたじゃない!!どういう事よシンジ!!」

アスカが寒さのあまりシンジに八つ当たりをする。

「知るか!!俺に聞くな!!」

シンジも負けずに言い返す。
そんな言い争いをしている内に、二階へと辿り着いた。

そこは凄い事になっていた。
辺り一面、壁全てが氷で覆われており
完全に巨大な冷蔵庫と化していた。

同時に階段を上がってきた時よりも、数段寒くなった。

その中、一人の男が部屋の真ん中に立っている。

「俺は、三羽烏の一人、雪夜、水を自由に操ることの出来る
剛鬼を倒したのは褒めてやるが、あんな力だけのボンクラと俺を一緒にしない事だ」

「まったく、あんた達邪魔よ、三馬鹿の癖に」

マナも少し寒いのか、イライラしている様だ。

「三馬鹿って言うな!!三羽烏だ!!」

「対して変わらないでしょ・・・まあいいわ、寒いからさっさと死んで貰うわよ」

マナはすかさず斬りかかろうとするが、ミサがマナの前に右腕を出し止める。

「マナさんはさっき戦ったでしょ、今度は私が行きます。」

そう言ってずんずんミサは前へと出ていき、雪夜の前に立ちはだかる。

「ほ〜う、小娘、お前が俺の相手か」

「そうですよ。」

「お前がどんな技を使うか知らんが、この腕輪をした俺に勝てると思うなよ。」

そう言いながら雪夜は、腕に着いた水色の腕輪を見せびらかす。

「へ〜、六種の神器の一つ、水の腕輪ですか・・・通りでこの部屋をこんなに出来た訳ですね。」

「お前、六種の神器の事を知っているのか」

「ええ」

二人が会話をしている内容が解らないアスカはシンジに聞く。

「シンジ、六種の神器とか水の腕輪とか、よく解らない事を言ってるけど・・・何それ?」

「六種の神器って言うのは、神達が作ったと言われるマジックアイテムの事さ
この世の中に六種類のマジックアイテムが存在していて
彼奴が持っているのはその内の一つ、水の腕輪さ。」

「六種類ってことは他にも五個あるって事?」

「ああ、他には風神の指輪、炎の小手、稲妻の杖、マナの持っている光の剣
最後に俺とミサの仇であるマシュラが持っている闇の首輪って所だ」

「何?マナが持っているのもそうなの」

「えっへん、良いでしょ♪凄い武器でしょ♪
この光の剣は霧島家代々から伝わってきた優れ物なのよ
どの代のご先祖様が手に入れたか知らないけど、霧島流光術と一緒に伝えられて来たの」

いきなり会話に割り込んでくるマナ

「それじゃあ、他の三種類はどうしたのよ」

「炎の小手は俺が見つけて、俺の炎を強化出来ると思って使ったら壊れた。神の作った武器なのに、もろすぎだよまったく。
そして稲妻の杖は、一人の男が持っていたが、神を気取って殺戮を繰り返して居たんで、そいつと一緒に杖も灰にした。
最後に風神の指輪は・・・」

シンジは懐から何かを取り出した。

「これさ」

青い色の宝石の着いた指輪をアスカに見せる。

「奇麗・・・」

風神の指輪に見惚れるアスカ、そして・・・

「あのさ、シンジ」

「何?」

「これ頂戴」

いきなり風神の指輪をよこせとせがむアスカ

「別に良いけど・・・それはエヴァと同じで、適格者じゃないと使えないぞ
正確に言うと、誰でも使える才能は持ち合わせているがな。
風神の指輪がアスカを認めれば・・・認めたとしても、最初うちはつむじ風程度の物しか出来ないけどな。
まあ、そこは才能だ、才能があればいきなり鎌鼬辺りの技がが使えるだろうな」

「そうなの、まあ良いわ、私はただ奇麗だから欲しいの」

「わかったよ・・・はい」

シンジは風神の指輪をアスカに渡す。
アスカは右手の薬指に付けた。

「ありがとシンジ」

「お喋りもここまでにしておこう、ミサの戦いが始まるぞ。」

そのシンジの一声で、全員ミサと雪夜の方を向いた。


「それじゃ始めるとするか、言い残す事は無いか」

「もう勝った気でいるのですか。ちょっと気が早すぎませんか、戦ってもいないのに」

「やらずとも解る、この世に俺に勝てる相手など、人斬り火龍か光の女神、氷の妖星くらいさ」

こいつら三羽烏は、どうやら豚尻から何も聞かされてはいないようなので
今自分が相手にしようとしているのが、氷の妖星ミサと言うのが解っていない様だ。

「お喋りはもう良いです、そろそろかかって来たらどうなのですか、こちらは急いで居るのです。」

「それじゃお言葉に甘えて、くらえ!!俺の絶対零度の水を!!」

雪夜はミサに向かって右手を向けると、手の平から液体窒素と同じ様な液体が放射される。

ビシャァァァァァァ!!

それをもろに喰らうミサ
その瞬間、ミサの身体は氷の彫刻のように固まる。

「ミサちゃん!!」

ケンスケはそれを見て叫ぶ。
そして・・・

「貴様!!」

相手に向けて銃を突きつける。

「何だ、呆気なさ過ぎだな、今度は小僧、お前が相手をしてくれるのか?」

「よくもミサちゃんを!!」

引き金に力を入れ、発砲しようとするケンスケ、その時

「心配はいりませんよケンスケさん」

氷の彫刻と化したミサが喋った。

「ミサちゃん!!」

「なっ、何だと!!」

バリーン!!

何か割れた音と共に、ミサの身体の氷は消えて無くなる。

「この程度の冷たさで絶対零度ですか・・・こんな物では雪女の私は凍らせられません。」

「ゆ、雪女だと!!それじゃまさかお前は・・・氷の妖星!!」

「ご名答」

そう言った瞬間、ミサと雪夜の回りに吹雪が舞う。

「ぐっ」

雪夜は踏ん張って耐えている。
その中ミサは、吹雪のせいで水色の長い髪が横に靡き、幻想的な雰囲気を醸し出している。
テレビや映画や本などで出てくる雪女の登場シーンの様だ。

「凍らないのなら、これならどうだ!!」

雪夜は氷の矢を放つ。

「馬鹿ですね、水系の技は雪女である私には効かないですよ。それに・・・」

ミサに向かって一直線に飛んできた氷の矢は、ミサの前で停止する。

「こんな事もできるのですよ」

ミサの前で止まっている矢が、いきなり雪夜の方に軌道を変え向かう。

「なぁ!?」

グサッ!!

その矢は雪夜の肩に刺さる。

「ぐわぁぁぁぁぁぁ!!何故、何故俺の放った矢が戻ってくる!!」

「霧、水、氷、雪、この種類の物は全て私には自由に扱えるのです。
そう、いわゆる下僕見たいな物です。
その私に対して水系の技とは・・・愚かですね。」

「ちっ、畜生!!」

自棄になった雪夜は、沢山の氷のつぶてをミサに向かって飛ばす。

「無駄です。」

つぶてがミサの前に来ると、ミサの目の前で波紋のようになって消える。

「本当の絶対零度と言うのを教えて上げます。
代金はあなたの命です。行きます!!ダイヤモンドダスト!!」


ヒュゴォォォォォォォォォォォォォォォ!!


とてつもなく強烈な吹雪が雪夜を飲み込んだ。

「ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・」

吹雪が消え、雪夜の回りが晴れると・・・

「どうなってるの!?消えた?」

アスカが雪夜が居ないのを不思議に思う。

「消し飛ばしたのですよアスカさん、何もシンジさんの炎や、マナさんの光術だけが消し飛ばす技じゃ無いのです。
私の場合は、凍らした挙げ句、そのまま吹雪の風圧で粉々のサラサラにしただけなのですけどね。」

「そ、そうなの」

「まあ、私の技の説明などどうでも良いです。次へ行きましょう。」

「ミサちゃん、怪我は?」

「ありませんよケンスケさん、雪女が氷や水で怪我したら笑い物です。
さあ、そろそろ行きましょう、皆さんは寒いみたいですからこの部屋、私は快適ですけど」

そう言ってミサは次の階へ向かう為、階段を上っていく。
ケンスケもその後を直ぐに着いていった。

「ミサちゃん、強くなってない?私と戦った時はあれ程の吹雪はひねり出せなかった筈でしょ。
いつの間にあれ程までに腕を上げたの?」

「マナの言う通り、ミサは強くなったよ。
うかうかしてると、俺達より強くなっちゃうかもな」

「そうね」

「まあ、ミサには本当は戦って欲しくないけどな、女だし・・・」

「じゃあ私は♪」

「お前はどうでも良い」

「何でよ!!」

そのマナの言葉を無視して、シンジはさっさとミサを追いかける。

「待ちなさいよ、私だって女よ、何で私はどうでも良いのよ!!」

「・・・お前は戦っている時が、一番輝いてるからだ、止めろとは言えないよ。」

「え?今なんて?」

「うっ、五月蠅いな、何でもない、さっさと行くぞ」

何故かシンジは顔を赤く染めて、逃げるように階段を上っていった。
その後を残りのメンバーが追いかけていった。

この時アスカだけが追いかけながらも、自分の非力さに悔やんでいた。

(さっきは奇麗だったから欲しかった指輪だけど、この指輪にも力があるなら、その力か欲しい。
シンジとミサを手伝うことの出来る位の力が、ミサには氷の力、マナには光の力、レイにはATフィールド
アタシだけ何もできないなんてイヤ!!シンジは戦うことを反対するかも知れないけど、それでもアタシはシンジ達を手伝いたい。
お願い風神の指輪、アタシに力を)


そう思いながら氷の部屋を後にするアスカだった。
風神の指輪が、何故か薄く光を放っているのに気づかずに・・・


《つづく》


あとがき

本編の中では一番短いかも・・・

一階ずつ進んでいるから仕方ありませんけどね。

それでは次回予告を・・・


《二人の敵を倒し、三階へすすむシンジたち一行
そこで待ち受けていたのが、何と女の戦士だった。
女を斬れないシンジは、どういう手段に出るのか
そして、その結果は・・・》

次回、新世紀エヴァンゲリオン灼熱の炎《京都編》

第十六話、『心の奥底へ』


次回もサービス♪サービス♪


アスカ:おおおおおおおおおっ!!!!!!(@@)

マナ:な、なによぉ。煩いわねぇ。

アスカ:指輪よーーーーーーーーーーーーっ!

マナ:指輪がどうしたのよぉ?

アスカ:フフフフフ。シンジから、すんごい指輪貰ったじゃないのっ!

マナ:ま、ある程度素質あるみたいだけどね。

アスカ:うっ。うっ。うっ。苦節14年・・・。

マナ:シンジに会ったの、最近でしょ。

アスカ:なんでもいいでしょ。これは、凄いことになるわよぉっ!(^O^v

マナ:ま、わたしにはかなわないって。

アスカ:アンタなんかどうでもいいわよ。

マナ:わたしに、あの指輪だけで勝てると思うのぉ? 光の女神よ?(^^v

アスカ:婚約指輪よぉぉぉぉーーーーーーーーーーーっ!!!!(*^O^*)

マナ:もう1度、最初から読みなおしなさいっ!(ーー;
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