一人の狂った老人が起こした悲劇・・・

その悲劇のヒロインとなってしまう、一人の少女・・・

その行く末は・・・







新世紀エヴァンゲリオン灼熱の炎【過去の章】


「殺戮の宴」

by.イフリート



〜戦略自衛隊訓練場〜


ダダダダダダダダダダッ!!!

ダンッ!!ダンッ!!ダンッ!!ダンッ!!ダンッ!!

ドカァァァァァァン!!


あちらこちらで銃声などが木霊している。
自衛団体が訓練をおこなっている。
そんな中、大人と混じって一人の少女と、一人の少年の姿がある。
少女は、右手に光で出来た剣を持ち、少年は短銃を右手に、更に肩から機関銃をぶら下げていた。

この二人は、どうやら二人で一人と言うような感じの訓練をしている。
少年が少女の後ろから銃を撃ち援護、その隙に少女が斬りかかって行くと言う寸法らしい。
しかし・・・


ドカァァァァァァァァァァァン!!!!


少女は少年の援護が届く前に、ターゲットである木の人形を跡形もなく粉砕した。
それだけではない。木の人形が立っていたと思われる場所は、とてつもなく大きなクレーターになっていた。


「マナ〜、頼むからいきなり大技を使って粉砕しないでくれよ・・・俺の出番がない。
それにこの訓練は、一人が援護、もう一人が攻撃って言う物だぞ。
マナ一人でやったらこの訓練の意味がない。」

「ごめ〜ん、ムサシ、ついつい癖で♪」

「まったく」


そんなこんなをしているうちに、日が沈み、辺りが暗くなる。
そして訓練も終わりを告げる。
あの後は、どうにかマナがムサシの援護を受けながらっと言う訓練は上手く行った。







夜、戦自のテントにて・・・

今、マナ達のいる、訓練所は
戦自の基地からもの凄く放れている為、外にテントを張って泊まっていた。
要するに、マナ達以下戦自の団体は、特殊訓練のため泊まりでここに来ているようだ。
そしてテントは、何故かマナとムサシが同室だ。
戦自でもこの二人の中は公認の様だ。


「ねえ、ムサシ・・・」

「どうしたんだ?」

「私のこと・・・・好き?」

「・・・そんな当たり前のこと聞くなよ。」

「答えて」

「好きだよ。この世界の誰よりも」

「嬉しい・・・」


そう言って二人は近づいていき、二つの影が一つになる。
そして少し立つと放れて、また二つの影になる。


「どうしてあんな当たり前の事を聞いたんだ?」

「わたし・・・不安なの。
こんな訳も分からないくらい強大な力をもってるし・・・
それに自衛隊なんて因果な商売もしているし・・・
挙げ句の果てには、戦自の光の女神なんて異名までついてるし・・・こんな女を本当に好きになる人が!?」


マナが喋っていると、突然ムサシがマナにキスをする。


「それ以上言うな。
マナはマナだろ。それ以上でもそれ以下でもない。
マナがどんな奴だろうが俺には関係ない。俺はお前が好きだ、愛してる。もう少し大きくなったら結婚しよう。
辛い事からは俺が守ってやる・・・まあ、お前より数段弱い俺が言っても説得力に欠けるけどな・・・」

「そんな事無い。
ムサシは強い。腕っ節とかそんなものじゃなく、心が・・・
ありがとう・・・本当に嬉しい。」

「・・・マナ」

「・・・ムサシ」


そして、また一度、気持ちを確かめ会うかのような、大人のキス。
その後、二人に何があったかは、天空に輝く、月のみぞ知る。



朝、少し放れた森の中・・・

マナは、起きると隣で寝ているムサシを起こさぬ様、布団から出る。
そして服を着て、手に光の剣の柄だけの状態の物を持ち
今いる場所より、少し離れた森の中に来た。

森の中に着くと、手に持っている光の剣の柄に気を送り込む。
その瞬間、柄から黄色の光の刃が姿を現した。


「やあ!!てい!!せや!!」


そしてマナは、剣の稽古を始める。
そこら中を飛び回り、剣を振り、岩や木々を粉砕していく。
そして有る程度剣を振り終えると、今度は地面の上に座禅を組み、精神を集中する。

しかしそんな時だった。
戦自の訓練場の方から爆発音がした。
最初マナは、訓練を始めたのかと思ったが、それにしては時間が早すぎる。
また、朝食をとる前くらいの時間だ。


「・・・・おかしい、訓練の時間はまだの筈よ。
それなのに爆発音がするなんて・・・何かあったのかな。」


そう思った瞬間、マナは異様な胸騒ぎに襲われる。
いても立ってもいられず、直ぐに立ち上がり、森を抜ける。
そして、みんなが泊まっているテントへと向かった。







その頃、戦自団体のテントでは・・・


「ギャアァァァァァァァァァッ!!!!!」


一人の兵士が、とてつもなく大きな大男に首を引きちぎられて絶命していた。
その大男の隣には、今度は逆に小柄の老人が立っている。


「ひょっひょっひょっ、戦自の特殊部隊もこの程度の実力しか無いのかの〜
この、麻薬ブラックエンジェルで身体が無敵になり、狂ったこいつを止められる奴はいないのか?
まあ、無理じゃろうがの」

「グルルルルルルルルル!!!!」


大男は更に手に持っている超巨大なモーニングスターを振り回し、銃とかで応戦している兵士をことごとく肉の塊に変える。
辺り一面、ぐちゃぐちゃの人間の屍で埋め尽くされていく。
大男には、銃とかそう言った類が一切通用しない。
兵士の撃った銃の弾なども当たってはいるが、大男の鋼鉄の肉体の前にことごとく弾き返されていた。
もし玉が食い込んだとしても、ブラックエンジェルの作用のため、効きはしないだろう。


「この化け物!!」


兵士達と一緒にいたムサシが、ロケットランチャーを構え、発射する。
打ち出されたロケットは、見事に大男に命中する。
しかし・・・


「無駄じゃ小僧、そんな物ではこの化け物を倒すことはできん。」


煙が晴れて、ロケットのあたった大男を見ると、傷は負っているが大した事はない。
狂ったように吠えているだけだ。


「・・・・何て野郎だ」


ムサシもこの異常な化け物に驚く。
最早こいつを倒すには、ここに持ってきている通常兵器では倒せない。
多分ムサシの撃ちはなったロケットランチャーが最強の武器だったのだろう。

大男はムサシの方を見る。
そして・・・








マナは大急ぎで戻ってくると、そこは・・・・


「なっ、何これ」


自分の仲間達が無惨に引き裂かれた後の光景だった。
その屍だらけの中央に立つ、大男と小柄な老人
マナは大男を見ると、左手に下半身を引きちぎられた少年を持っていた。


「ムサシ!!!!」


その声で小柄な老人はマナの方を見る。


「ほ〜、こんな小娘までいたのか。
何だ?この小僧はお前の男か、それなら帰してやるわ」


その言葉を言うと、大男は下半身のないムサシをマナに向かって投げる。


「ムサシ!!しっかりして!!」

「マ・・・ナか・・・・にげ・・・ろ」

「しっかりしてよ!!死なないで!!」

「わ・・るい・・・・な・・・もう・・だめ・・そう・・だ・・・・おま・・・えを・・・まもり・・たかった・・・・・・・・」


それだけ言うとムサシは息を引き取った。


「うそ、嘘でしょ・・・・ねえ、返事をしてよムサシ・・・私を守ってくれるんでしょ。
大きくなったらお嫁さんにしてくれるんでしょ・・・・ねえ!!何とか言ってよ!!
イヤァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!


そこまで言うと泣き崩れるマナ
そんなマナを見て老人は語りだした。


「ひょっひょっひょっ、泣くことはない、直ぐにお前もその小僧の元へ送ってやる。」

「何故、何故こんな事を!!」

「何故?それはな・・・・ちょっとした実験じゃ。この男を倒す奴がいるかと言うな。
・・・・あ、ワシの遊びでもあるのじゃがな。」

「・・・・許さない。」

「ほ〜、どう許さないと言うのじゃ?お前のような小娘一人に何が出来る。」


マナはムサシの遺体を抱きしめる。


「ムサシ・・・仇は」


マナは大男と老人の方を振り向き睨む。


「取るから!!!」


そう言って、血の涙を流しながら、光の剣の柄に気を集中する。その瞬間、黄色の刃が姿を現す。
そして二人に斬りかかっていった。


「バカな小娘じゃ。そんな玩具でこの化け物を倒せると思っているのか?やってしまえ!!」


その命令で大男は、手に持っている超巨大のモーニングスターを投げつけた。
マナに向かっていく、巨大なトゲ付きの鉄球
しかしその鉄球に対してマナは・・・


「こんな物!!!!」


ドカァァァァァァァァン!!!


何と、拳で粉砕した。
粉々になるモーニングスター


「なっ!!何じゃと!!」


その異常な光景に腰を抜かす老人。
マナはそんな老人を後目に、大男を斬りつける。
そして大男の片足を見事に切断する。
バランスを崩し、倒れる大男。


「アアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」


だがマナの攻撃は止まない。
手に、足に、顔に、身体に・・・・容赦なく光の剣を突き刺す。
そして、自分の何倍もある大男を、思いっきり蹴り上げた。
高々と宙に舞う大男。


「五亡星よ、五方より交わりて、刃を纏わん・・・・」


マナは目の前に光の剣で五亡星を作り、呪文を唱える。
唱え終わると、五亡星は圧縮して光の球体に変わる。


「消えろ!!・・・霧島流光術!!刃成る蛇!!!!!」


ズバシャァァァァァァァァァァァァァァァ!!


身体中に光の刃を纏った光の蛇が、大男に向かって飛んでいく。
そしてその蛇に飲み込まれる大男
蛇が消えると、大男の姿は何処にもなかった。塵になったようだ。


「ああ・・・あわわわわわわ」


それを見ていた老人は、腰を抜かしたままガタガタと震えている。
マナはそんな老人を見る。


「今度はあんたよ。」


そう言って、老人に近づくマナ


「ゆっ、許してくれ・・・あぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」


赦しを請う老人に、マナは光の剣で無く、手刀で老人の腹を刺した。
悶え苦しむ老人


「許してですって?
許すと思うのか!!この腐れ外道!!
殺してやる!!殺してやる!!殺してやる!!殺してやる!!殺してやる!!殺してやる!!
殺してやる!!殺してやる!!殺してやる!!殺してやる!!殺してやる!!殺してやる!!」


そう言いながらマナは老人を手で解体していく。
内臓という内臓を引きずり出し、潰す。
最早、老人は声など出るはずもなく絶命していった。


「ハァハァハァハァ・・・・」


マナは荒い息のまま高々とジャンプする。


「ムサシ・・・みんな・・・お墓を作ったら、私もそっちへ行くから・・・」


一番上と思われる所に到着すると、マナは光の剣で八亡星を描く。


「八亡星よ、我の命と引き替えに、汝の偉大なる力を使いて、その形を現さん・・・」


そこで一息つくと、マナは圧縮された光の球体を見る。そして・・・


「霧島流光術奥義!!八又成る大蛇!!」


マナは屍だらけの訓練所に向かい、奥義を放つ。
大きさが二倍の先ほどの蛇と同じ形の物が八匹、地面に向かって飛んでいく。


ドカオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!


蛇八匹が地面に到着した瞬間、大爆発を起こし、とてつもなく大きなクレーターが出来る。
空中にいたマナは、そのクレーターの真ん中に降り立つ。


「・・・ムサシ・・今・・行く・・ね」


そのまま、マナはクレーターの真ん中で倒れた。
霧島流光術奥義、八又成る大蛇は、シンシの炎龍波と同じく、自爆の技だ。
全ての生命力を使い果たしたマナは、天に召されようとしていた。


「シンジさん、あそこに誰か倒れてます。」


空を飛んでいる一人の純白の着物を着た少女が言う。
同じく、炎の羽で空を飛んでいる少年がそれを聞く。


「本当だ・・・それにしても何だこのクレーターは」

「先ほどの爆発音・・・これが原因ではないでしょうか?」

「多分そうだな。まあいい、降りてあの子の様子を見るか。」


そう言って二人はクレーターの真ん中に降りていく


「おい、君、大丈夫か?」


シンジは倒れているマナを抱き起こす。


「シンジさん、この人、生命力が何も感じられません。」

「そうだな、俺の生命力を分ければ死なずに済むだろう。」


そう言ってシンジは、マナに手を翳す。
その時、マナとシンジが光に包まれた。
真っ青だったマナの顔に赤みを取り戻す。


「よし・・・ミサ、手頃なところでこの子を休ませよう。」

「はい、わかりました。」


そう言って、シンジは少女を担ぎ、放れた場所にあった小屋でマナを休ませた。
少し立つと、マナは目を覚ました。
その後、マナ、シンジ、ミサの三人に何があったかは、また別のお話。

《おわり》


あとがき

マナを主役にした物ですが・・・

暗い!!暗すぎる!!!

それになんだこのシリアスな作品は!!俺が書く物じゃないような・・・

たまには良いと思ったので・・・てへ♪

これを見るとどう考えても、シンジよりマナの方が強いような・・・気のせいですね。

まあ、これがマナの辛い過去です。

ミサが以前言っていた「二度と大切な物を失わないために、歯向かう敵は容赦しない」

マナがそう言う風に思っているのはこの為です。

それでは!!


マナ:わたし・・・悲劇のヒロインなのね。(;;)

アスカ:この凶暴さ・・・とてもヒロインってイメージじゃないわ。

マナ:そりゃ、こんなことになったら、ちょっとくらいおてんばになるわよ。

アスカ:クレーターが・・・ちょっとくらいねぇ。(ーー)

マナ:あらぁ? そんなのできてたぁ?

アスカ:ったく。こんな凶暴が同じ女のコかと思うと、ヤんなるわ。

マナ:(ーー)大蛇・・・見てみたい?

アスカ:うっ・・・。(^^;;;

マナ:ねぇ、大蛇・・・見てみたい?(ーー)

アスカ:マ、マナちゃんって、可愛そうなヒロインなのねぇ。(^^;;;;;;

マナ:そうなのよぉ。アスカもそう思うぅ?(;;)

アスカ:・・・・・・。
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