新世紀エヴァンゲリオン灼熱の炎《京都編》

第十七話「心の奥底へ」

by.イフリート


二人の三羽烏を倒し、シンジ達一行は三階へと上がっていく。


「後一人か・・・次は俺の番だな」


火龍モードに入りっぱなしのシンジが言う。
この調子では、相手が男だったら瞬殺しそうだ。
しかし世の中そんなに甘くない。

シンジたちは、三階にたどり着くと
待っていたのは、漆黒の法衣を着た、サラサラのロングヘアーの女の子だった。
市松人形の様だと言えば解りやすいだろう。
それも腰に、シンジと同じく日本刀をぶら下げていた。


「ようこそおいでになりました。
私は三羽烏の長、山岸マユミと申します。」


そこで深々と頭を下げるマユミ
しかしシンジ、マナ、ミサの三人は、名前を聞いて驚いていた。


「山岸マユミだと・・・お前まさか、あの【黒天女】か!?」

「良く私の通り名をご存じで。」

「そこそこ有名だからな」

「そう言うあなたは、何という名前ですか」

「碇シンジだ」


今度はマユミが驚く番だった。


「碇シンジ・・・
人斬り火龍、碇シンジ・・・あの伝説の人斬り、まさかこんな所で会えるとは、光栄ですね。」

「そりゃどうも」


マユミとシンジが会話をしている中、アスカ達はマナやミサにマユミの事を聞いていた。


「ちょっと、あの女、知ってるの?」

「私達は面識はありませんが、裏社会では結構名が知れ渡ってます。
黒天女の山岸マユミ、シンジさんと同じく人斬りです。
ここ最近ですけどね、名が知れ渡ったのは・・・私もそうですけど」

「強いの?」

「噂では相当な物らしいです。
特にスピードが凄いという噂です。」

「そうらしいわね、う〜ん、私も一度お手合わせしたい物だわ♪」


シリアスに話をしていると、マナは気楽なことを言っている。
こいつも最早、シンジと同じく戦いという名の病気にかかっているのだろう。


「しかし腑に落ちないわね。」

「ええ、噂だと彼女、お金の為には人を斬らないはずです。
ましてや、あんな外道の指揮下で、あんな雑魚達を引き連れてる何て・・・」

「そうね、彼女が三馬鹿の長なんて、ちょっとおかしいわ」

「ですね。
多分何かあります。もしかしたら強い人間と戦いたいだけなのかも知れませんが。」

「それじゃまるで私やシンジね」


そんな事を話ながら、シンジ達の方を見るみんな。
そこではまだ会話をしていた。


「黒天女、一つ聞きたい・・・・何故こんな所にお前が居る」

「名を売るためです。
多くの強い物を倒し、自分の名を・・・・いえ、山岸流は最強と世の中に知らしめるためです。
お父さんの為に・・・」


それを聞くと、シンジは鼻で笑う。


「ふん、くだらん・・・この世に名を残そうとして何になる。
ましてや裏社会なんかで。」

「あなたなんかには解りませんよ。
最強と歌われた、人斬り火龍のあなたなんかには・・・」

「わからねえな・・・わかりたくもねえな。
俺だって好きで名が売れたわけじゃねえ。ただ気に入らない奴らを・・・
他人を不幸にしてまで、自分の事しか考えられねぇ奴らを消してきたまでだ。」

「あなたの考えなんてどうでも良いです。
ここで私があなたを倒せば、一気に私の名は世界にとどろく。
そして、私のお父さんを・・・山岸流を馬鹿にしてきた人達を見返すことが出来る。
あなたには、その糧となってもらいます。
それにあなたを殺せば、殺した人間の数は丁度五百人になります。
五百人目はあなたの血が望ましいです。」

「出来るか?」

「やります。」


そう言うとマユミは腰の日本刀をぬく。
シンジもそれに答えて八乙女をぬいた。
そして両者は構える。


「行きますよ火龍」

「来い」


それを合図に、マユミはシンジに斬りかかっていった。


「はっ、早い!!」


近くで見ているアスカがマユミの動きを見て叫ぶ。
しかしミサが・・・


「大した事無いですね。あの程度のスピードなら
シンジさんの方が上です。」

「そうね、あれなら私よりも遅いわ。
まあ、あれが本気だったらの話だけど。」


人間離れしているマユミのスピードを見ても、マナとミサはこんな事を言っている。
呆れてしまうアスカ


「ねえ、あんた達の中では一番強いのはシンジよね」

「そうですけど・・・それが何か」

「って事は、シンジってミサやマナより何もかもが上回っているって事?」

「そんな事無いですよアスカさん。
スピードだけなら私が一番速いし、パワーだけならマナさんが一番です。
まあ、そうは言っても、シンジさんのスピードとパワーは
私達に少し劣るくらいで、対して変わりません。
二つを兼ねそろえたシンジさんは、本当に化け物ですよ。それにくわえ、火炎術も持ち合わせているので・・・
それは、わたしとマナさんが、二人掛かりでシンジさんと戦えば勝てますけど、一人ずつでは勝てませんです。」


そんな事を喋っている最中も、目の前ではシンジとマユミの戦いはつづいている。
刀と刀が交差し、青白い火花を散らす。


「どうした黒天女・・・お前の力はその程度か?」

「・・・さすがは火龍、この程度では傷一つ付けらませんか。」


そう言うと、マユミは刀を左手に持ち替えた。
そして腰を低く落とす。


「山岸流・・・裂破の太刀!!」


技の名前を叫ぶと、マユミは先ほどとは比べ物にならないスピードでシンジに突っ込んでいく。
そして、シンジに刀を突き出す。


「ちぃっ!!」


シンジはその突きを何とか紙一重でかわした。
マユミの突きは、塔の壁に当たった。


ドガァァァァン!!


壁は無惨にも大きな音と共に破壊された。
マユミは何事もなかったように、シンジの方を見る。


「良くかわせましたね、あの攻撃を」

「・・・やるじゃねえか」


シンジをよく見ると、胸に傷があった。
完全に避けきれなかったようだ。
シンジは斬られた胸を見て、そしてマユミを見る。


「フフフ・・・ハハハハハハ・・・・・良いぜ、凄く良いぜ黒天女。
これは楽しめそうだ。こんなに楽しめそうなのは、マナ以来だ。」


その瞬間、シンジの雰囲気が一転した。
先ほどまでは怒りで切れていたが、今のシンジは強者と出会ったことで
こいつと戦いたいと言う思いに変わった。


「行くぜ黒天女・・・俺の本気を見せてやる。」

「うけて立ちます。」


シンジは顔の右横に突くような形で構えた。


「龍神流、龍連殺!!」


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!!!


神速の連続突きが、マユミを襲った。
マユミは初めは刀で突きを弾いていたが、余りの早さに着いていけず
上に飛び上がり何とか回避する。
そして天井まで来ると、天井を蹴り、刀を突き出しながら急降下してきた。


「山岸流、流星の太刀!!」

「龍神流、龍円殺!!」


急降下してきたマユミの突きと
円を書くような、シンジの下からの斬撃がぶつかり合った。


ガキィィィィィィン!!!!!


刀と刀が大量の青白い火花を散らす。
シンジはマユミを力任せに吹き飛ばす。
マユミは少し離れた所に奇麗に着地した。


「さすがにやりますね。流星の太刀を受け止めたのはあなたが初めてよ。
それにしても本当に強い。やっぱり五百人目はあなたが相応しい」

「黒天女、良いことを教えてやる。
本当の人斬りってのは・・・・いちいち殺した人間の数なんて詳しく憶えてねぇんだよ!!!!!」


そして、先ほどまでのマユミを上回るスピードで斬りかかるシンジ


「なっ!?」


驚きながらも何とか斬撃を受け止めたマユミだが、そこに隙ができ、シンジの蹴りを腹に喰らった。


「かはっ!!」


吹き飛んでいくマユミ
そして地面に倒れた。
だが腹を押さえながら直ぐに立ち上がる。


「げほっ・・・・何てスピードとパワー
さすがは火龍・・・もう勝つには奥義を使うしか有りません」

「・・・・うけて立ってやる、お前に敬意を表してこちらも奥義を見せてやる。
それも究極奥義をな。」

「それは嬉しいですね・・・・では行きます!!」


マユミは突然壁に向かって走り出し、そしてジャンプ
迫る壁を蹴り、シンジに向かって飛んでいった。
凄い早さで壁に向かっていって、反射するように壁から跳ね返ったマユミは
本来のスピードを倍化させた。

それに対してシンジは刀を鞘に納める。
そして鞘を腰のベルトから抜き、抜刀術の構えをする。


「山岸流奥義!!滅殺の太刀!!!!」


神速の突撃から、腰の回転と、腕の力とスピードをフルに使った突きを
シンジに放つマユミ
それに対してシンジは・・・


「龍神流究極奥義!!龍光殺!!!!」


マユミの突きがシンジに刺さらんとした瞬間、神速をも超える超神速の速さで抜刀した。


【龍神流究極奥義、龍光殺】

ただの抜刀術だが、速さは神速を超えた超神速
その速さは、目にも留まらぬ所か、目にも見えぬ速さだ。
そして踏み出す足は左足


突き刺さろうとしたマユミの刀に、シンジの八乙女がぶつかり
マユミの刀を木っ端微塵に破壊した。
そしてマユミも吹っ飛んで行く。

そして先ほど蹴飛ばし跳ね返った壁に背中をぶつける。


「くはっ!!!!」


ぶつかった壁は破壊され、瓦礫に埋まってしまう・・・・






「立てるか」

「少しの間、無理みたいですね。」


シンジはマユミの上の瓦礫をどかした後に聞く。


「龍神流究極奥義、龍光殺ですか・・・とんでもない威力ですね。」

「身体にかかる負担も大きいがな」

「でしょうね。
あの、滅殺の太刀を弾いた挙げ句、刀身が触れもしなかった私にこれ程のダメージを残すんですから
その程度の負担はあるでしょう。特に右手は・・・」

「気づいていたのか」


シンジの右手は、超神速の抜刀術のせいで
血管や筋が切れていて、とてつもない激痛が襲っているだろう。
まあ、シンジの顔を見る限り、その様な顔はしてないが・・・


「完全に参った。降参です。」

「そうか」

「お父さんの名誉を守れなかったですね、私・・・」


悲しげな表情になるマユミ
その顔を見るシンジは、一言


「お前のお父さんは、自分の流派をこの世に知らしめよう何て考えてなかったはずだ。
あれだけの動きと威力を出せる山岸流・・・
その使い手になれば、裏の世界でもとっくに有名になっていたはずだ。
何故、それ程の流派が、この世に知られていないか解るか?」

「いえ」

「わからないか・・・まあ、少し考えることだな。
これは人から聞くようなことじゃないから。」

「そうですか・・・少し考えてみます。」

「がんばれよ」


シンジはそれだけ言い残すと、アスカ達の所へ向かう。


「さてと、勝負もついたことだし、豚尻に会いに行くか。」

「シンジさん、ちょっと良いですか。」


ミサはシンジの右腕を持つ。


「フリーズヒール」


シンジは右腕から痛みがひいていく。


「サンキュー、ミサ」

「いえいえ、ではゴミ野郎の所へ行きましょうか」

「そうだな」


そう言って、シンジ達一行は、最上階の豚尻の部屋へと向かった。
しかしシンジ、そしてミサはまだ知らない。
この先で二人がもっとも会いたい人物に出会うことが出来るとは・・・

《つづく》


あとがき


イフリート:いやっほ〜い、遂にここまで来た!!

  ミサ :京都編もそろそろ終わりですね。

イフリート:おうよ!!そして遂にあいつが現れる。

  ミサ :遂にですね・・・

イフリート:そうそう、予告をしなければ

  ミサ :役立たずの予告ですね。

イフリート:五月蠅いよ、そこ・・・では予告を




『遂に三羽烏を全て倒したシンジ達
最上階へと上がると、そこで待っていた豚尻
ブラックエンジェルを流失している豚尻を見て、暴走するマナ
そこへ現れる、黒の鎧の男
絶句するシンジとミサ
そしてその男の正体は・・・』



次回、新世紀エヴァンゲリオン灼熱の炎《京都編》

第十八話、『復讐の晩餐』

シンジ「ハッハッハッハッハァァァァ!!会いたかった、会いたかったぜ!!・・・マシュラ!!!!」




イフリート:さてナミの仇だ・・・
      次回は暗黒儀式をおこなう、来たれ!!地上の支配者シンジ!!奴の内臓を・・・全てかき出すのだ!!!!(このネタ解るかな)

  ミサ :彼奴だけは・・・殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる


マナ:山岸さん。すっごいスピードだったわね。

アスカ:ミサとどっちが速いのかしら?

マナ:やっぱり、ミサちゃんじゃない?

アスカ:アンタはパワーなのね。似合ってるわ。(^^v

マナ:そういう言われ方すると・・・なんかやーね。

アスカ:きっと全身に力いれたら、筋肉ムキムキで服が破れるのよ。

マナ:わたしは、デビルマンやケンシロウじゃなーいっ!

アスカ:そりゃ、こんな怪力女とミサのスピードが協力したら、シンジでも苦戦しそうだわ。

マナ:だから、怪力って意味じゃないぃぃっ!

アスカ:でも、マユミもばっかよねぇ。

マナ:人の話聞いてるのっ!?(ーー)

アスカ:あーんな奥義使わなくても、せっかく女の子なんだから鞭1本持ったら良かったのに。

マナ:・・・・・・そうかも。
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