新世紀エヴァンゲリオン灼熱の炎《京都編》

第十八話「復讐の晩餐」

by.イフリート


最上階・・・
シンジ達は、豚尻の待つ最上階へと向かった。
向かっている最中、何故かマナの様子がおかしい・・・
殺気を・・・そう、とてつもない殺気を放っている。


「おい、どうしたんだよマナ」


そんなマナに声をかけるシンジ
そしてマナは・・・


「・・・豚尻は私が殺るわ。
シンジ、ミサちゃん・・・・手出しは無用よ。」


それだけ言うと、さっさと階段を上がっていってしまった。


「おいシンジ・・・霧島の奴、どうしたんだ?
素人の俺から見ても、解るほどの殺気だぞ。」


ケンスケはシンジに聞く。


「・・・・そうか、そう言うことか。」

「おいシンジ、何一人で納得してるんだよ。」

「・・・そうよお兄ちゃん、教えて」


シンジは、話して良いのか少し躊躇するが
ゆっくりと語り始めた。


「一年以上前の話だ。
マナには、ムサシと言う恋人が居たんだ。
直接はあったことはないんだけど、殺されたらしいんだ・・・・ブラックエンジェルの使用者と
ブラックエンジェルの開発を担当していた一人の老人に・・・」

「・・・非道い」

「それじゃあ、霧島の奴」

「ああ、許せないんだろうな
またあの麻薬がこの世に出てきたことと、それを流している豚尻が。」

「・・・シンジ、余計なことを言ってる暇があったらさっさと行くわよ。」


マナはシンジ達を後目に、最上階へとたどり着く。
それを追って、全員が辿り着いた。

シンジとミサは知らない・・・
後々ここで豚尻何かより、もっと合いたかった人物に会えることを・・・・


その頃、豚尻は・・・


「ちっ、使えない奴らだ。
こうなれば、ワシが直々冥土へとおくってやるか。
この新開発された、ブラックエンジェルΩを使用して。」


そして、それだけ言うと豚尻は注射器を取り出した。
その瞬間、シンジ達が到着する。


「よぅ、豚尻・・・念仏は唱え終わったか?」

「・・・火龍」

「お前はやっては行けないことをしてしまった。
その事は、万死に値する・・・人斬り火龍の名の下に、お前を地獄へと送ってやる。」

「・・・シンジ」

「マナ・・・わかった、お前に任せる。」

「ありがとう」


それだけ言うと、シンジは後ろへ下がり、マナが前に出る。
右手に光の剣を持って・・・


「あの麻薬に関係のある奴は、私が許さない。たとえ誰であろうと・・・
ましてアンタの様に、あの麻薬をこの世に流している奴は絶対に。」

「ほざくな小娘・・・金のためならワシは何でもする。
お前だってそうだろ、大金が目の前に出され
その金をやるから何かしろと言われたら、何だろうとするだろ。それが人間の本性だ。」

「一緒にするな。反吐が出るわ。」

「ふんっ、偽善者が・・・
まあ良い、どのみちお前ら全員、この世から消えるのだからな。」


それだけ言うと豚尻は、手に持っていた注射器を腕に刺し
中の液体、ブラックエンジェルΩを体内に投与した。


「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!」


不気味な豚尻の声と共に、豚尻の身体が変化していく。
変身とでも言うのだろうか・・・まるで鬼、そう鬼のようになっていく。
油ぎった身体は筋肉に覆われ、肌は赤く変色し、身長も剛鬼と同じくらいになる。
何より、手の爪が長く鋭い物に変化した。


「シャァァァァァ!!」


豚尻は声を上げ、近くの壁に爪を立てる。
その壁は醜く、そして鋭く引き裂かれていた。


「はっはっはっ、どうだ小娘・・・・このΩの凄さは!!」

「・・・言いたいことはそれだけ?」

「くっ!!生意気な小娘め!!そのきれいな顔を、ザクロの様にしてやるわ!!!」

「アンタこそ、この世に破片一つ残さず消し飛ばして上げるわ!!」


二人の声を合図に、戦いが始まった。


「シャァァァァァ!!」


豚尻の鋭い爪が、マナの顔を襲う。
しかしマナは難なく避ける。


「遅い!!」


マナは、光の剣を豚尻の顔へと斬りつける。
豚尻は爪で止める。


ギリギリギリギリッ!!!


そのまま二人は、力比べになった。


「何だ小娘・・・ワシとその細腕で力比べをしようとするのか?」

「・・・甘く見るんじゃ無いわよ。」


マナはそれだけ言うと、腕に力を入れた。


「なっ!!何だと!!」


押され始める豚尻


「セリャッ!!」


バキキキキッ!!!


音と共に、豚尻の右爪は
マナの光の剣で切られた。


「はっ、馬鹿な・・・」

「事実よ・・・・これでも食らえ!!霧島流光術、列光斬!!」


マナは地面に光の剣の刃を叩き付ける。
地面を削り、ほとばしる光の刃


ガガガガガガガガガッ!!ズバシャッ!!


光の刃は、豚尻の左腕を切り落とした。
豚尻自体、ブラックエンジェルの作用で痛みを感じていないが
これで武器が無くなった。


「くっ!!こうなれば・・・・」


豚尻は何やら近くの機械のボタンを押す。


「おい!!人質をこっちへよこせ!!」


近くのマイクに命令を出した。
多分、祐一とあゆの見張り役に声をかけたのであろう。


「人質とは、この子達のことか」


その時、部屋の入り口から声がした。
そこには、一人の青年と
カチューシャを付けた、可愛らしい女の子
そして、よれよれのジャケットを着た無精ひげの男だ立っていた。


「加持さん!!」

「よぉアスカ、怪我無いか?」


そう、何故かここに加持リョウジが居た。


「シンジく〜ん」


加持の横にいた女の子、月宮あゆが
シンジに飛び付こうとした・・・・しかし


パシッ、ポイ


シンジはあゆの頭を鷲掴みして、壁に投げた。
壁に背中を強打して、ぶっ倒れるあゆ・・・


「よお、久しぶりだなあゆ」

「いった〜い、捨てた!!シンジ君が僕を捨てた!!」

「襲おうとするからだ。」

「うぐぅ、ちがうもん!!抱き付こうとしただけだもん!!」

「そうか、悪い悪い」

「うぐぅ、非道いよ」


ふてくされるあゆ
そこに傷だらけの祐一が声をかける。


「あゆが悪い」

「うぐぅ、祐一君までそんな事を言うの〜
僕が祐一君に何したの〜」

「何した?何した何て言うのはこの口か!!」


両手人差し指をあゆの口に突っ込み、横に広げる祐一


「いひゃい!!いひゃいひょ〜」

「お前がたいやき何かに釣られて、変な人に着いていかなければ
俺とお前はこんな事にはならなかったのがわからんのか!!」


それだけ言うと、祐一はあゆを解放する。
ほほを両手ですりすりとしながら、涙声で反発の声を上げる。


「だって、たいやきだよ!!美味しいもん」


訳の解らないことを言うあゆ


「「・・・・このど阿呆!!」」


ついつい叩く、祐一とシンジ


「うぐぅ〜、痛いよ」


あゆが涙声になって反論するが、それを無視して
シンジは豚尻に話しかけた。


「残念だったな豚尻・・・これでお前の切り札は無くなった。
潔くマナに制裁をうけるんだな。」

「くそ!!」


豚尻は、残っている右手でマナに殴りかかる。
爪がないので拳で・・・


「ふんっ」


マナは鼻で笑うと、巨大な豚尻の拳に
自分の拳を叩き付けた。
潰れる豚尻の拳
しかし、それだけではすまさなかった。
マナは潰れた豚尻の拳を両手で掴むと・・・・


びりびりびりびりびりっ!!!!


右腕を引き裂いた。
醜く二つに別れる、豚尻の右腕。
痛みを感じないのは幸いだっただろう。


「そろそろ殺してやるよ・・・五亡星よ、五方より交わりて、形を着くらん
霧島流光術!!光成るへ「ヒャァッヒャッヒャッヒャッヒャァァァァァァッ!!!!!」


突然の出来事だった。
マナが光成る蛇の契約の言葉を終え、発動させようとした瞬間・・・
何処からともなく、狂った笑いが木霊した。


「先生!!」


その笑い声を聞いた豚尻は、期待のまなざしと共に辺りを見回した。
そして突然、豚尻の横に大きな漆黒の穴が空く。


「・・・・・・・この笑い声・・・・・この黒い穴・・・・そして何よりこの氣・・・・・まさか!!!」


シンジは驚いたまなざしで、漆黒の穴を見る。
そこからは、一人の青年が現れた。
黒き西洋の鎧を身に纏い、腰には西洋剣ロングソード
そして狂った笑顔。


「ほおぉぉぉ、美味そうな餓鬼共がいっぱいいるじゃねぇかぁぁぁ。
殺してえ〜犯して〜食いて〜
ヒャァッヒャッヒャッヒャッヒャァァァァァァァッ!!!!」


出てきたと同時に、狂ったことを言いながら、狂った笑いをする青年。


ドクンッ


その青年を見た瞬間だった。
シンジの心臓が、大きく跳ね上がった。
うつむき、身体か震え出す。
それは恐怖から来る物ではない・・・歓喜から来る物だった。

会えた・・・ようやく会えた。
全てをなげうってでも会いたかった男
何故この様なところにいるかは解らないが、そんな事どうでも良い。
ナミを殺し・・・ミサを苦しめ・・・シンジの心をづたづたに引き裂いた男


「クックックッ・・・・こんな所で会えるとは、神に感謝しよう。」


シンジは笑いながら俯いて震えている。


「あぁぁぁぁぁぁん!!餓鬼、気でも狂ったのか?」

「忘れたとは言わせん・・・ナミを殺し、ミサのたった一人の姉を奪い、俺の最愛の人を殺したことを
そうだろ・・・暗黒使いマシュラ!!!!


そう叫んだ瞬間、シンジの身体を炎が覆った。
紅蓮の炎に身を包みながら、マシュラを睨み付けた。
シンジは興奮が最高潮に達し、炎の制御が出来なくなっていた。
髪は赤く染まり、炎を纏い、近くの壁などは飴のようにとけ始めていた。








「マシュラって・・・まさか!!」


アスカは驚きの表情と共に、ミサに質問した。
しかしミサは・・・


「・・・ははっ、会えました。やっと会えました。
姉様の仇・・・私達の心を悲しみのどん底まで追い込んだ外道。
こんな所で会えるとは・・・・この世にこれ程嬉しいことが有るのでしょうか。」

「ミサ?」

「ミサちゃん?」

「・・・ミサさん?」

「!? ミサちゃんから放れろ!!三人とも!!」


ミサの豹変ぶりを見て、加持が叫びながら
アスカ、ケンスケ、レイをこちらに引き寄せた。
その瞬間、ミサの足下から
強烈な冷気が放出された。
先ほど三人が居た場所は、凍り付いている。
そしてその冷気は、離れたはずの三人と加持、祐一、あゆの所まで押し寄せてきた。


「くっ、ATフィールド」


レイは何とか冷気をATフィールドで押し返し
回りのみんなを守った。








「おお、お前らか。
思い出したぞ。あの雪女の妹と恋人だったな・・・
あの雪女は最高だったなぁ〜
あの死に顔何て最高だったよ
そしてお前らの悲しみに満ちた泣き顔
今思い出すだけでも・・・イッちまいそうだせぇぇぇぇぇ!!!!
ヒャァッヒャッヒャッヒャッヒャァァァァァ!!!!!



狂っている・・・
そこにいる誰もがそう思った。
幾度と無く裏で働いてきている加持やマナまで、これ程狂った人間は見たことがなかった。
しかしシンジとミサは・・・


「お前に解るか?どれほど俺達が貴様に会いたかったか・・・
どれ程貴様の内臓をかき出したかったか。
どれ程貴様の苦痛にゆがむ顔を見たかったか。」

「あなたには、地獄以上の苦しみを味会わせて上げます。
そう簡単には殺しません・・・生きながら、充分苦しんだ上、殺します。」

「はぁぁぁぁん?俺をどうするって?
お前らみたいなちんくしゃが、このマシュラ様を殺す?
ばっかじゃねえの
ヒャァッヒャッヒャッヒャッヒャァァァァァァ!!!!!」


その時、瀕死の豚尻がマシュラに話しかける。


「先生!!此奴ら全員を殺して下さい!!」

「・・・んっ?何だお前、まだ生きてたのか。
ハッキリ言えばお前になんてもう用はない・・・死ね。」

「へっ?」


マシュラは豚尻の口の中に、漆黒の小さな球体を突っ込む。
そして無理矢理の見込ませた。


「げぶ!!ぴれ!!むひゃぁぁぁぁぁ!!!!」


その瞬間、豚尻は体内から爆発し
粉々に砕けた。
いつものマナならば、余計なことをするなとマシュラに斬りかかるだろうが
今まで見たこともない、狂った男に何もできないで居た。


「さてと・・・また、あの泣き声を聞かせてくれよ、小僧」

「・・・・・・」

「何だぁ〜、あの豚の死に様を見て、俺が怖くなったのかぁ〜
ウヒャッヒァッヒァッヒッァァァァァ!!!!」


狂った笑いをするマシュラ。
マシュラは笑いながら、ロングソードを抜き斬りかかってきた。


「アヒャヒャヒャヒャァァァァァ!!!!
それそれどうしたぁ〜、んっ?
ウヒャヒャヒャヒャァァァァ〜〜〜〜」


シンジはその連続の斬撃を、八乙女で受け続ける。


「アヒャッヒャッヒャッヒァッ〜」


ガキンッ!!カキンッ!!ガキンッ!!


「イッヒャッヒャッヒャッヒャ〜」


ガキンッ!!カキンッ!!ガキンッ!!


「ウッヒャッヒャッヒャッヒャッ〜」


ガキンッ!!カキンッ!!ガギャン!!


「ヒャッ?」


今までマシュラの手の中にあったロングソードが
大きな音と共に突然消えた。
何が起こったか解らないマシュラ
ロングソードは、マシュラの手を放れ
宙に飛んでいた。
どうやらシンジが、はじき飛ばしたようだ。


「御庭番小太刀二刀流!!陰陽交差!!」


すかさずミサが、宙に浮いているロングソードに
氷の小太刀で交差斬りした。
×の字に砕けるマシュラのロングソード


「ウヒャッヒャッ・・・
面白いことをしてくれるなぁ〜」

「貴様が人間の言葉を喋るな
不愉快極まりない。」

「餓鬼が・・・この程度で、勝ったと思うなよ。」

「あなたこそ、この程度で終わりと思わないことです。
これからなのですから・・・本当の地獄は。」

「言ってくれるじゃねぇか。
だったら俺様のこの攻撃が見切れるか?・・・・・ほら食らえ!!暗黒波!!


マシュラの右手の平から、漆黒の閃光がシンジに向かって放たれる。


「ぬるいわ!!」


シンジはそれだけ言うと、右手に炎を宿らせながら、拳を作り
その拳を、マシュラの放った漆黒の閃光に叩き付けた。


「なっ、何だと」


さすがに驚くマシュラ
それもその筈、漆黒の閃光は、シンジの叩き付けた拳によって
有らぬ方向へと飛んでいった。


ドゴッ!!


シンジは怯んでいるマシュラの顔面に
炎を纏った拳を叩き付けた。


「ぎゃは!!このがきゃ〜!!」

「余所見してるんじゃありません!!フリーズアロー!!!」


ミサはわざとマシュラの急所を狙わず
肩に氷の矢を刺した。


「ぐわぁぁぁぁぁっ!!!」

「うるせえ・・・」


シンジはマシュラの肩に刺さっている氷の矢を強引に抜く。
肩からは、激痛と共に血が噴き出す。


「ちんくしゃ共がぁぁぁぁ!!
このマシュラ様を本気で怒らせたなぁぁぁぁ!!!」

「馬鹿か貴様は・・・
怒ったから何だ?貴様が地獄を見ることに代わりはない・・・」

「ぶっ殺す!!」


そう言うと、マシュラは右手に気をよせ
強力な気の玉を作る。


「ヒャァ―ヒャッヒャッヒャッァァァァ!!
これで終わりだ!!黒雷弾!!」


右手から離れた、黒く稲妻をまとった玉は
シンジに、一直線に向かう。


「無駄だ!!ファイヤーボール!!」


シンジは黒き玉に向かい、灼熱の火玉をぶつける。
二人の技は相殺され、爆発を起こした。


「ばっ、馬鹿な・・・」

「ハッキリ言ってそんな技
相殺せずにまともに受けたところでどうって事ないわボケ。」

「くっ!!ならこれでどうだ!!」


マシュラは右手に最大の力を込める。
見る見るうちに、強力な力が右手に集まるのが良く解る。


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!
このマシュラ様、最大暗黒術!!暗黒雷光波!!


稲妻をまとった、強力な暗黒の閃光が
シンジとミサに向かっていく。
誰もがその強力な黒き閃光に二人が飲み込まれると思った。
それ程、強力な物だった。
だが・・・


「火炎術!!バーストブラスター!!


シンジの右手からは、得意の火炎放射状の炎、バーストフレアで無く
炎のレーザーとでも言うのか、バーストフレアを圧縮したような物が放たれたのだった。
どれくらいの精神力を使うか解らない・・・それ程強力な物だ。

黒き閃光と、紅き閃光はぶつかり合う。
先ほどの技同様、相殺されると思った。
だが、黒き閃光は、紅き閃光に飲み込まれる。


「嘘だろ・・・あぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!


マシュラの右手が消えた。
黒き閃光と共に、紅き閃光は、マシュラの右手を飲み込んで消し飛ばしたのだ。
余りの痛みに悲鳴を上げるマシュラ


「どうだ、俺の新必殺技の威力は・・・
わざわざ疲れるの覚悟で使ってやったんだ、有り難く思え。
冥土のみやげにでもしな。
ハァーハッハッハッハッハァァァァ!!!」

「私からもプレゼントです。フリーズソニックダスト!!


ミサの周辺から、無数の三日月型の氷の刃が現れる。
その氷の刃は、回転しながら一斉にマシュラへと襲いかかった。


「あぎゃ!!ぷみっ!!ひげっ!!むひゃっ!!」


氷の刃はマシュラの身体中を切り刻む。
しかし致命傷の物はない。
ミサはとことん痛みだけの生き地獄をマシュラに与えたいようだ。


「くそっ!!こんな餓鬼共に俺様が・・・」


マシュラはそう言い捨てると、残っている左手に力を集中する。


「無駄だ、貴様の攻撃など、何もきかん」

「へっ、誰が攻撃すると言った・・・・これはな、こうするんだよ!!」


マシュラはシンジらミサの影に、何やら小さな刃を投げつけた。


「これだけですか?」

「ふんっ、そう思うなら動いて見ろよ。」

「何を言って・・・なっ!!」

「かっ、身体が・・・動かねえ。」


シンジとミサの身体は突然動かなくなった。


「暗黒術、影縫いだ。
これでお前ら二人は指一本動かせねえよ。
形勢逆転だな、おい・・・ヒャァッヒャッヒャッヒャッヒャァァァァァァァ!!!」


高笑いをするマシュラ。


「そう言えば、お前達みたいのは、自分が傷つくより
仲間が傷ついたり死んだりするのが一番堪えるみたいだからな・・・
俺には理解できないがな・・」

「きっ、貴様・・・」

「情けねえ姿だな・・・さてと、誰から殺そうかな。」


マシュラは嫌らしい目つきで、他の人達を伺う。


「ほぅ、そこの三人はどうやら素人のようだな・・・
取り敢えず、そこの紅い目の小娘でも殺してみるか。」


どうやらマシュラはレイに目を付けたようだ。


「取り敢えず死ね。」

「やめろ!!」


シンジの声も虚しく、マシュラの左手から漆黒の光線がレイにむかって放たれる。
それを見ていた加持や祐一が助けに入ろうとしたが間に合わない。
黒き閃光がレイを貫こうとした・・・しかし!!


「ATフィールド」


レイは両手を前につきだし、その先には薄いオレンジの壁が現れる。


ガンッ!!


黒き閃光は、レイのATフィールドによって
有らぬ方向へと飛んでいった。


「へっ?」


何故?っと言う顔になるマシュラ


「・・・お兄ちゃんやミサさんの気持ちを考えて、今まで見てきただけだけど
もう限界・・・・・あなたは、殺すわ」


レイは右手を頭上に翳す。


「・・・AT・ランス」


レイは頭上で出来上がった槍を
マシュラ目掛けて投げた。
鎧を貫き、腹部を貫いた。


「ごはっ!!!ちっ、畜生!!」


あれだけの攻撃を喰らって、元気に動けるマシュラ
その生命力は某髭眼鏡に匹敵する。
マシュラはレイに落ちていた豚尻の爪で斬りかかった。
しかしレイの前に、加持、祐一、あゆ、マナが
それぞれの武器を持って立ちはだかる。

一応、説明しておこう。
加持は少し長めのサバイバルナイフ
祐一は日本刀
あゆは折り畳み式の槍

しかしマシュラはその四人の行動をよんでいた。
ニヤリと笑うと移動の起動を変えて
少し離れたところにいるアスカに向かった。

それに気づいた四人もそちらに行こうとするが
マシュラもただの素人ではない。
そうやすやすと、追いつかれなかった。


「来るな!!」


アスカの隣にいたケンスケが
銃を発砲する。
しかし当たらない。
動いた相手を射殺するのは、ハッキリ言えばプロでも難しい
それをシロウトのケンスケがあてる事なんて出来るはずがない。


「邪魔だ!!」


バキャッ!!


「グハッ!!」

「ケンスケさん!!」


殴り飛ばされるケンスケ
それを見たミサは何とか動こうとするが、ぴくりともしない。


「ああ・・・・あああ・・イヤ・・・来ないで」


アスカに恐怖が襲う。
しかしマシュラはアスカの背後に回ると
首に手を回し、首を絞める。
殺さない程度に・・・


「ヒャァッヒャッヒャッヒャッァァァァ!!
動くなよ貴様ら・・・動いたらこの小娘を殺す。」


マシュラは、シンジとミサに今までやられた恨みを晴らそうとしていたが
ここにいる奴らを相手に勝てないと悟り
アスカを人質として逃げようとする。


「ちょっとあんた、放しなさいよ!!」

「うるせえ!!人質は黙ってろ!!」


ガンッ!!


「きゃっ!!」

「マシュラ!!貴様!!」


頭を叩かれ、気を失うアスカ
シンジは全身に力を込めて、動こうとする。
そしてミサも・・・


「無駄だ、影縫いからは逃れられねえよ。」


しかしそんなマシュラの言葉を無視して
身体全体に力を込める二人


「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

「やあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

「馬鹿が」


無理矢理動こうとしてシンジとミサの身体が悲鳴を上げる。
毛細血管が切れて、身体中から鮮血が吹き出す。


「だりゃっ!!」

「やあっ!!」

「なっ、何だと!!」


シンジとミサの影に刺さっていた刃は抜け落ちた。
動けるようになった二人・・・












その頃、アスカの思考・・・夢の中では・・・・・









《力が欲しいか?》



(誰?)



《汝は力が欲しいかと聞いておる》



(・・・・欲しいわ)



《では、何故、力を欲する。》



(アタシもシンジの力になりたい・・・)



《何故、その人間の力になりたがる》



(そんな事に、理由はいらないはずよ。力になりたいからなる、それで良いじゃない。
それに理由があったとしても、他人にべらべらと喋る事じゃないわ)



《はは・・・》



(なっ、何よ)



《はっはっはっはっは・・・気に入った、今から我は汝の力になろう》



(へっ?)



《我が名は、風神・・・・汝の持っている指輪に住みし物・・・・主よ、我の力を使え
そして守りたい物を守るのだ・・・》



(って事は、アタシは風神の指輪を使えるの!?)



《そうだ》



(あがとう!!)











「ちょっとあんた・・・」

「黙ってろと言ったはずだ!!小娘!!今度は殺すぞ!!」

「・・・・死ぬのはあんたよ」


そう言った瞬間、アスカの身体に紅い風が竜巻となって現れた。


「なっ、風神の指輪だと!!アギャァァァァァァ!!」


ドゴォォォォォォォン!!!


アスカの身体を押さえつけていたマシュラは
紅い竜巻に巻き込まれ、壁に叩き付けられた。


「・・・・この程度で終わると思うんじゃ無いわよ。壱式!!風神《鎌鼬》!!


ズバッ!!


「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」


アスカの放った紅い風の刃は
マシュラの鎧を切り裂き、胸から血を吹き出させた。


「アスカ・・・お前、その力」

「ふふっ、シンジ、凄いでしょ・・・風神がアタシの力になってくれたんだ。」

「何という天才なんだよお前」

「心の問題よ。昔のアタシだったら無理だったわね。シンジのお陰よ」


そんな話をしていると、マシュラは鮮血を吹き出しながら立ち上がった。


「ばっ、馬鹿な・・・こんな小娘までに・・・この俺様が・・・・・・みとめん!!みとめんぞ!!
あの最強と言われた雪女でさえ、攻撃の暇を与えなかった俺様が・・・」


それを聞いたシンジは、目をカッ!!っと見開き
マシュラの所まで神速の速さで突っ込んでいき
頭を鷲掴みすると、そのまま壁に頭を叩き付けた。


ドゴンッ!!


「ギャハッ!!」

「・・・貴様がナミの事を語るんじゃねえ。」


シンジが腰の刀に手をかける。


「それにな、ナミは・・・ナミは・・・攻撃できなかったんじゃねえ・・・しなかっただけだぁぁぁ!!


シンジは刀を神速の速さで抜いた。


「死ね!!龍神流抜刀術奥義!!龍尾連斬殺!!


ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!
ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!
ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!
ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!
ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!
ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!
ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!
ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!
ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!
ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!
ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!



「まだまだぁぁぁぁぁ!!!!」


ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!
ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!
ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!
ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!
ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!
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ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!
ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!
ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!ズバッ!!



シンジの連続抜刀術が、何度も何度もマシュラの身体に斬りつけられた。
何回斬ったか解らない・・・
それはもう、粉々を通り越すほど斬りつけた。
そしてマシュラは・・・


バシャッ・・・


あまりに細かく斬られ、マシュラだった物は
液体となり、床にこぼれ落ちた・・・


「まだだ・・・貴様の身体の一部をこの世に残すのは不愉快だ。ミサ・・・やるぞ」

「はい!!」


シンジは右手を横にのばし、ミサは左手を横に伸ばした。
そして掌と掌をあわせる。


「はあぁぁぁぁぁぁぁぁっ」

「やあぁぁぁぁぁぁぁぁっ」


そしてお互い、あわせている掌に力を込める。
そして掌をゆっくりと放していった。
なんと離れていった、掌と掌の真ん中には、光の球体があった。
それをマシュラだった液体に向けた。
そして・・・


「「火炎氷術!!氷炎波!!」」


球体は閃光に変わり、床にしたたり落ちているマシュラだったものにあたる。
マシュラだった物は、この世から完全に消滅した。
塵も残さずに・・・
氷炎波はそのまま床を貫通していった。
何処まで行ったか誰にも解らない・・・
触れる物はほとんどの物を消し去る、究極の技だから・・・
炎龍波や八又成る大蛇の次に強い技だ。


こうして、シンジとミサの復讐は終わりを告げた。


《つづく》


イフリート:長かった・・・ここまで長かった・・・

  ミサ :久しぶりの本編ですね。それも復讐編

イフリート:それにしても悲惨すぎるな、マシュラの奴

  ミサ :当然の報いですよ。

イフリート:それはそうだが・・・

  ミサ :それにしても可哀想なのは、ケンスケさんもです。

イフリート:結局役に立たなかったな。

  ミサ :でも男らしいです、あのマシュラに、素人でありながら拳銃一丁で向かうのですから。

イフリート:あの拳銃でマシュラが死んでたら、楽しかったかな。

  ミサ :それじゃいくら何でも、シンジさんと私が納得しませんよ。

イフリート:そりゃそうだ。

  ミサ :とにかく、あの外道に復讐できて良かったです。

イフリート:物騒な奴だなお前は・・・

  ミサ :うるさいです。

イフリート:まあ、俺も書きたいところかけて良かったよ。


マナ:とうとうシンジの宿敵が現れたわねっ!

アスカ:マシュラって、ほんと汚い奴だわっ!

マナ:悪役の中でも最低ね。

アスカ:よりによって、アタシを人質にとったのよっ!

マナ:何考えてるのかしら。最低もいいとこよねぇ。

アスカ:アンタもそう思う? ったく! かよわい女の子になんてことするのかしら。

マナ:あのままシンジに勝っちゃったら、どうするつもりだったんだろう?

アスカ:は? 勝ってなんで敵が困るのよ。

マナ:人質にとった、アスカなんかだけ残るのよ? 最悪・・・。

アスカ:ちょっとっ! アンタ、何心配してんのよっ!

マナ:わたしだったら、なんでこんなガサツな猿を連れてきたんだろうって、自殺したくなるわ。

アスカ:自殺しなくても、殺してあげましょうか。(ーー#
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