「赤き海」



僕は今、ひとりだ。




いや、ずっとひとりだったのかもしれない。




第三新東京市にきてからも




ずっとひとりだったのかもしれない。




だれもいない。




僕ひとりだ。




サードインパクトが起こったせいだ。




いや、それはちがうのかもしれない。




僕が望んだのかもしれない。




僕のせいかもしれない。




だれもいない。




いや、さっきは確かにいた。




僕以外に。




アスカだ。




でも今はいない。




僕といるくらいなら




死んだほうがいいといって




赤き海になった。




だれもいない。




これは僕の望みかもしれない。




アスカといっしょにいたかっただけかもしれない。




でも、アスカもいない。




だれもいないんだ。




僕以外だれも……




僕は生きていけない。




だからなろう赤き海の一部に。




なんだろう。




なつかしい匂いがする。




………綾波?




いや違うこれは……母さん?




母さんの匂いだ……




いま…行くよ。




パシャ。




































「碇君………」


「シンジ君………」


「なぜ?」


「シンジ君…これでよかったのかい?」


「碇君、出てきて。」


「駄目だ。生きる気力が無くなったのかもしれない。」


「生きる気力?」


「そう、生きる気力。それが無いと生きているとしても生きてはいない。」


「なぜ?」


「シンジ君は孤独がいやだったのかもしれない。」


「彼らが帰ってきたら悲しむわ。」


「そうだね。でも、その彼らも戻ってこないだろう。」


「なぜ?」


「彼らもまた孤独を望まないからさ。」


「そう。彼らは戻ってこないの?」


「そういうことさ。」


「それは駄目。碇君が戻ってこない。」


「それは難しいことさリリンにとってはね。」













だれもいない。



だれもいない。



誰一人としていない。



ここに存在する命はただひとつ。



赤き海。








【後書き】
サードインパクトが起こった後の出来事です。シンジ以外だれもいない世界でしたが、
カヲルとレイがいるだけです二人の存在はよくわかりません。
それではまた次の作品で会いましょう!


マナ:人と理解し合うっていうのは難しいことね。

アスカ:でも、そこから逃げたら赤き海に入るしかないのよ。

マナ:傷付け合うだけでも、やっぱり人には人が必要なのね。

アスカ:傷付け合うだけじゃないんじゃない?

マナ:分かり合うことができたらいいんだけど・・・それももう。

アスカ:その大事さがわかったら、きっとみんな還ってくるわよ。

マナ:そうね。みんなを信じるしかないわね。
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