『我慢大会』







ムアムア〜〜〜


擬音で表現するとこんな感じかな?
リビングの中の空気がまったく動かない。流れが無いんだよ
まったくこの真夏の日本でこの部屋は異常だよ
だから、僕はまだマシな自分の部屋に避難してるんだけど、
ミサトさんとアスカは何か話してるんだ、あのリビングで朝っぱらから・・・




「ミサト、あなたこんな暑いところにいないでネルフにでも行ったら?(^^;;」

「あら、アスカこそ出掛けたら?凄い汗よ?(^^;;」

クーラーも止めて二人とも何か意地を感じる

「・・・・・・・ミサト、もしかして・・・・・」

「・・・・・・・アスカ、あなたもなのね」

「やっぱりサウナよね」

「そうね、この暑いのに動くなんて自殺行為よ!!これが一番楽なのよ!!」

・・・・・・太ったな?<ボソ

ドカッ、バキィ!!

い、痛い(TT)

「うっさい!!乙女に向って太ったってのは禁句なのよ!!
ちょっと減らせば元通りなんだから!!」

「そうよ、ちょっと増えただけなんだから!!」

二人で殴らなくても・・・・・(TT)
悪循環な生活するからだ。暑いからジュースやビール飲んで、暑いから動かない。
するとまた暑くなってジュース飲んで・・・・・太るっての(^^;
だから、部屋に篭もってクーラーも止めてサウナ状態にしてると・・・・・

「まったく、どうしてこんな事しないといけないのよ〜?暑い暑いぃーー!!」

「アスカ、五月蝿いわよ!!仕方ないじゃない、こうでもしないと・・・・・」

「暑い暑いぃー!!・・・・・そうよ、こんな目に合うのはシンジが悪いのよ!!
シンジがもっとしっかりジュースを管理すれば良いのよ!!
あんな無造作に冷蔵庫に入ってるのが悪いのよ!!」
「それもそうね、そうよシンちゃんが悪いのよ!!
あんなにキンキンにえびちゅを冷やしてるから飲んじゃうのよ!!」

人はそれをヤツ当たりと言う。
そもそもジュースなら無いと、コンビニまで買わせに行かせるし、
えびちゅは温かいとネチネチ嫌みを言うくせに・・・・・

「こうなったらシンジにも付き合って貰うわよ!!」

「そうよそうよ!!でも、シンちゃんに何て言うのよ?
まさかダイエットなんて口が裂けても言えないわよ?」

「そうね我慢大会とでも言うわ、とにかくシンジは参加させるわよ!!」

こうして我慢大会が始まった。

「どうして僕がそんなのに出ないといけないのさ?」

「うるさい!!あんたには拒否権は無いの!!」

ううぅ、誰か僕に優しくしてよ・・・・・・

「そうだ、シンちゃん、それなら罰ゲームありでやりましょう。
1位以外は1位の人の言う事を一つ聞く事、さ始めましょう♪」

「ちょ、ちょっと?ミサト?」



「(まあまあ、アタシ達と違ってシンちゃんは目的が希薄だからすぐに根を上げるわよ。
それより、罰ゲームでシンちゃんの命令出来るチャンスじゃない)」
「(それもそうね、よし!!)」


僕の意思は無いのかな〜?何だかもう参加になってるんだけど・・・
でも、僕が勝てば何でも言う事聞いて貰え得るなら・・・・ニヤリ

「良いですよ、それでルールはどうするんです?」

「ルールは『暑い』と言ったら負けよ、水分、まあ水とかを取っても負け、
マンションの部屋から出ても負けよ♪
それと時間は・・・今9時半だから10時から始めて、4時までの6時間ね」

「分かりました、アスカもそれで良いの?」

「当たり前じゃない、いい?負けたら何でも言う事聞くのよ?」

「分かったよ」

シンジの承諾でいよいよ我慢大会の始まり♪
取り敢えず準備としてシンジが窓などを閉めにベランダに向った。
そして、各々長袖やジャンパーなど着込む


窓も閉めて襖も閉めておこう、この位なら我慢出来るしね
さてと、アスカ達はどうするのかな?
僕が閉めた襖の陰から覗くと何やら話し声が・・・・

「うまくいったわね、シンジも単純ね♪」

「そうね、これで勝ったら痩せてシンちゃんに言う事聞かせて一石二鳥よ♪」

なるほど、そう言う事だったんですね?まあ、あんな生活してれば太るとは思ってたけど、
それのとばっちりに僕まで巻き込むなんて・・・・
そうだ!!これに勝ったらジュースもえびちゅも禁止にしよう!!

俄然やる気が出たシンジは何気に閉め切っていた部屋のエアコンの暖房をオンにし、
何食わぬ顔でアスカ達の元に戻って来た。

「お待たせしました。それじゃ始めますか?」

「OKOK!!それではこれより我慢大会を始めます」





1時間経過


ジリジリ・・・・・ムアムア・・・・・・・

ううーー、流石に暑いな〜、でもここで負けるわけには行かないんだ!!


「「「・・・・・・・」」」

お互い何も喋らずただ黙って座っていた
しかし、ついに行動を起こす人物がいた

「(シンジも粘るわね、このままでは消耗戦になりそう・・・ならば、何か仕掛けた方が得策ね)」

アスカであった。暑さでかなりイライラ指数が上がってる

「ったく、日本ってどうしてこんなにあつ・・・・」

「「あつ?」」

「な、何でも無いわよ!!それより別に服脱いでも良いでしょ?だったら!!」

そう言うとアスカは来ていた長袖の服を脱いでいつもの姿になる

「それもそうね!!じゃあ、あたしも!!」

ミサトがそれに続く、ネルフのジャンパーは脱ぎラフな恰好になる

「それじゃ我慢大会にならないと思うけど・・・、じゃあ僕も・・・」

シンジがそう言って上着に着てた服を脱ごうとすると・・・・

「いやぁーー!!変態!!スケベ!!こんな所で服脱がないでよ!!」

バチィーーーン!!

アスカが思いっきりビンタをかましてくれた。


「ど、どうして脱いじゃダメなんだよ!?自分達は脱いでるのに!!」

「アタシ達は良いのよ♪女二人だから、あんたは男でしょ!!セクハラよセクハラ!!」

もうアスカはシンジをいじめる事でイライラを解消するつもりらしい
と言うか、その理論は屁理屈と言う。もしくは、訳分からんとも言う

「ううぅ・・誰か僕に優しくしてよ・・・・(TT)」

どうしてだよ〜?どうして太ってもいない僕が汗をかいて、肝心の二人が涼しそうにしてるんだよ〜?
こうなったら絶対勝ってやる!!

この時より、シンジの攻撃が始まった。
後にミサト達が語ると「使徒と戦う時より強さを感じた」と言う




スタ、スタスタ・・・・

「うん?シンジ、もうギブアップ?」

「違うよ、我慢大会なんでしょ?それらしくしようと思って」


ガラッ!!

ムアァァァァァァァァーーーーーー


「い、いやぁぁぁーーーーーー!!な、何この空気は!?」

シンジが開けたのは先程暖房を入れ閉め切っていた部屋
そこの襖を開けたのだ。するとそこから一斉に出てくる熱気、熱気、熱気!!

「どう?少しは我慢大会っぽいでしょ?」

「くっ!!そ、そうね、シンジにしては良くやったわ!!少し寒かった所なのよ」

アスカもこうなってくると意地でも負けたくない。
しかし、シンジがこんな下準備してたとは思ってなかった。まさか、ここまでやるとは

「(良い度胸じゃない!!シンジ、もし負けたら覚えてなさいよ!!このカリは100倍して返して上げるわ!!)」

「シ、シンちゃんも中々やるわね・・・でも、そのくらいじゃ我慢大会じゃないわね」

そう言うとミサトは立ち上がり、シンジの部屋に入って暫し経つと出て来た。

「ミサトさん、どうかしたんですか?僕の部屋に入ったりして・・・」

「ふふふ、シンちゃんには沸騰しそうなくらいのを上げるわ!!」


バサバサ!!

そう言ってミサトが投げて来たのは、シンジの秘蔵の宝物達。
ベッドに下や本棚の陰に隠していた筈のモノだった。

「うわっうわっ!?ミサトさん!!なんてモノ持ってくるんですか!!」

ミサトさんよ、それは別の意味でシンジは真っ赤になるだろう
暑さとは関係無いと思うが・・・
ミサトもシンジをいじめてイライラを発散だろうか

「シンちゃんもそんなお年頃なのよね〜、お姉さんは嬉しいわよ♪
特にこれなんてね〜(ニヤリ)」
「へぇ〜、シンジってこう言うの見るんだ?」

ミサトはゲンドウばりの顔をして床に広がった宝物達を集めるシンジを眺めていた。
アスカはそんなシンジを冷たい眼で見ている

「ミサトさん酷いや・・・僕の気持ちを裏切ったんだぁーー!!」

その後、急いで後始末をしたシンジ、これでミサトもターゲットにする事に決めた
つまり、自分が絶対勝つ!!自分の持てる全ての能力を使って!!
絶対負けたくない!!



スタ、スタスタスタ・・・・

再びシンジが立ち上がり、今度はキッチンの方に向った。
そして、冷蔵庫が開く音がした

「今度こそギブアップ?」

しかし、シンジが戻って来てミサトの前に来る

「ミサトさん、我慢大会ですよね?(ニヤリ)」

ゴト

シンジがそう言ってミサト前に置いたのは、キンキンに冷えたえびちゅ500ml缶だった。

「シ、シンちゃん!?こ、これは一体?」

「いえ、僕の気持ちです。飲みたかったらどうぞ、負けですけどね」

この時ミサトにはシンジが使徒に見えたと言う。

「くっ!!シ、シンちゃんも汚い手を使うわね?」

「はて?何の事でしょうか?いや〜〜、この水滴なんて冷たそうですね〜」

「あうあう・・・え、え〜〜び〜〜ちゅぅぅ〜〜〜」

「この熱気ですと保って10分でしょうかね?いや〜〜残念です。これが最後の500ml缶なんですが・・・・」

ブシュッ!!

シンジは今度はなんと缶の口を開けてしまった。
美味しそうに湧き上がる泡と音が響き渡った

「シ、シンちゃん!!あなたなんて事するのよ!?勿体無いでしょう!!」

「じゃあ、飲みます?(ニヤリ)」

「(ま、まずい!!シンちゃんがここまで冷酷になるなんて計算外よ!?)」

飲みたい!!でも、負けたくない!!でも、飲みたい!!・・・・
ミサトの心境は無限地獄にどっぷりはまってた。
右手が伸びて左手が抑える光景は、本能と理性の戦いだ!!

「あうあうぁ〜〜、えぇ〜〜〜びぃ〜〜〜ちゅぅぅーーー!!」

うん、ミサトさんはこれで暫らく静かだろう!!
でも、念の為・・・・

ジョボジョボ、ブクブク・・・・・

グラスに少し開けてみよう♪


シンジ君は鬼ですね(^^;
ああ〜〜、暑い時の冷たい飲み物の音ってどうしてあんなに美味そうなんだろう?


「シ、シンちゃぁ〜ん、そんな事しないでぇ〜〜(T0T)」

「負けます?」

ゲンドウの息子に間違い無いと確信する事が出来たミサト
飲みます?じゃなくて、負けます?と言う辺りが精神的に辛い選択になる(笑)

「あぅぅ〜〜、えぇ〜びぃ〜ちゅぅ〜!!」

ミサト、別な意味で沈黙



「(シンジって怒らせると怖い・・・・ミサト相手にあそこまで残忍な事アタシは出来ないわよ(^^;)」

熱気の直撃を受けていたアスカも流石にシンジの仕打ち(?)にはイヤな汗をかいてしまう。
精神的に攻められては、自分もヤバイのでは?なんて思うアスカ

「(こ、ここは一つ、下手に出てシンジを遠ざけた方が・・・)」

天才的頭脳が導き出した答えは『触らぬ神に祟り無し』だった。

「ね、ねえ?シンジ、そろそろお昼にしない?」

「うん?そう言えばお昼だね」

シンジはミサトを精神汚染させて余裕の表情で構えていた。
実は、シンジは暑さに多少の抵抗があったのだ。
寒いドイツから来た訳でなく、暑い日本生まれだし、毎日くそ暑い中、料理や家事し
てればイヤでも抵抗が付く。その事は汗の掻き方でも分かる。アスカはダラダラと、
シンジはジワジワと出て行く水分を抑える為に汗腺の出来が違うのだ。


「いい?あっさりしたモノ作るのよ?ましてやラーメンとかなんて絶対ダメだからね!!」

「分かってるよ(ニヤリ)」

これ以上熱いものが近くに寄られては我慢の限界がある。
アスカはもう勝とうと言うか、引き分けに持ち込むのが精一杯だった。
しかし、低下していた思考能力は判断を間違っていた!!
シンジの最後の笑顔の意味を追求出来なかったのだ。




そして、出て来たお昼は・・・・・冷麺と冷しゃぶだった。
至って普通のお昼だ。普通ならね・・・・

「さてと、それじゃアスカどっち食べる?」

そう言うシンジの指差す先には冷麺と冷しゃぶが皿に山盛りあった。

「もちろん、りょうほ・・・・・・ちょっと待ってなさい!!」


「(両方食べたらまた太っちゃうじゃないの!!と言う事はどっちか選ばな
いと・・・冷麺ね、低カロリーそうだし)」

「冷麺にするわ、シンジはそっちよ」

「そう、それじゃタレもかけないとね(ニヤリ)」

トロ〜〜〜


冷麺が染まっていく・・・・白く透き通りそうだった麺が色付いて行く・・・・
血のように真っ赤に・・・・ああ〜、キムチベースなんだね、暑い時に辛い
のって何故か食べるんだよね・・・・・


「シ、シンジ!?普通のタレじゃないの!?」

「サービスだよ」

「(シンジのそんな優しさはいらない!!と言うか、判っててやってるわね、
後に隠した『冷しゃぶ・キムチ鍋のタレ』が見えたわ・・・(−−;)」




その後、シンジとアスカの食事中にミサトは遂に禁断の果実に手を出してしまった。
「ミサトさん、飲みましたね?負けですよ」と言う事で敗退

「だって、目の前にえびちゅがあるんだもん・・・・えびちゅがあるんだもん・・・・」
念仏のように涙を流しながらえびちゅを飲むミサト、嬉しいんだか悲しんだか
良く判らない表情だったと記しておく


アスカの方は何とかキムチ冷麺を食べたが、その後おやつに大量の煎餅を出されて敗退。
なお、その煎餅は赤かったと記しておく。作者は唐辛子煎餅が大嫌いです(^^;

「口がぁー、口がぁーー!!」



結局シンジが勝ち、えびちゅ&ジュースを禁止させる事が出来た。
ダイエットの方もシンジの手厚い指導(?)ですぐに効果が出た

「このままですと、また我慢大会出来ますね」

「「はいぃ!!すぐに痩せます!!(T0T)」」



〜〜おまけ〜〜

我慢大会から数時間後

「ちょっとシンジ!!あんたのお陰で口が痛いのよ!!なんとかしなさいよ?」

「ぼ、僕のせいなの?(^^;」

「そうよ、と言う事で甘いもの寄越しなさい」

「甘いモノなんて今無いよ〜」

「(ニヤリ)あるじゃない、ここに♪」

「え?どこ・・・・・・うぐぅ」

「・・・・ふ〜〜、ごちそうさま。とっても甘かったわ」

シンジの口がこの直後キムチと唐辛子の混じったような感じになったのは気のせいではない。
この我慢大会の勝者は多分アスカでしょうな〜(笑)



後書き

申し訳ございません!!m(__)m

LAS書いてるつもりが何故かシンジ君が悪人のような羽目に!!(苦笑)
で、でも最後だけLASだったかな・・・・(^^;<あれでLASと言う?

この作品は作者があまりの残暑にキレかけて書いたもんですから、
お見苦しい所が多々ありますが、そこはご容赦を(笑)

それでは〜


アスカ:シンジを怒らせたら、怖いわね・・・。

マナ:これは、自業自得よ。絶対。

アスカ:結構、アタシって我慢強い方だと思ってたんだけどなぁ。

マナ:よく言うわよ。セコイことばっかり考えてたくせに。

アスカ:負けたけど。最後はばっちりご褒美貰ったからいいもーん。

マナ:甘いのが欲しかったんじゃないのーっ!?

アスカ:あま〜いじゃない。とっても。(*^^*)

マナ:屁理屈よっ。やり方が汚ーい。

アスカ:なんなら、アンタも我慢大会参加してみる?

マナ:え? う、うーん。(ご褒美、妄想中)それもいいかも・・・。(*^^*)

アスカ:次のお題は、アタシとシンジのラブラブを見て、どれだけ我慢できるかよーーーっ!(*^^*)

マナ:そんなのイヤーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!
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