最近ある噂を聞いた。アスカは年上の人が好きだと言う。
加持さんかな?でも、加持さんはミサトさんと婚約したし・・・。
じゃあ誰なんだろう?僕の周りに年上の人はたくさんいるけど、それらしい人と一緒に
いる所は見た事無い。僕じゃないよね、だって同い年だもん。

それはそうともう直ぐアスカの誕生日なんだ。やっぱりプレゼントしたいんだけど・・・
噂の年上の人も上げるのかな?
上げるんだろうな〜、きっと凄く大人っぽいモノなんだろうな〜。


「どこか出掛けるの?」

「う、うん、ちょっと街まで行ってくるよ」

「あ、そう、それじゃアタシも暇だから一緒に出掛けるわ」

「ダ、ダメだよ!!」

「むぅ〜、どうしてよ!?」

「いや、その、兎に角ダメなんだよ」

「あ、そう!!ふん、良いわよ!!誰がアンタとなんか出掛けるもんですか!!」

バタンッ!!

アスカはそう言うと自分の部屋に戻ってしまった。
ごめん、でもこればっかりはダメなんだよ。君へのプレゼントを買うんだから・・・








街は12月のクリスマスや年末の雰囲気に包まれていた。色々な音や光が街を
彩っていた。僕はプレゼントは前に来た時にこれを上げられたら良いなと思うもの
があったんだ。大通りのお店はそれこそプレゼントにぴったりなモノがたくさんあった。
でも、僕が目指してるモノはここじゃない。
僕は大通りから外れた個人店の通りに来ていた。



僕が目指すものは小さな店のショーウィンドの端にまだ残っていた。
良かった、まだ売れていなかったんだ。

カラ〜ン

お店の入り口の鐘を鳴らしながら僕はお店に入った。

「いらっしゃい、おやこの前眺めていた子だね?」

僕の事覚えていてくれたみたいだ。前はお店の前でずっと眺めていたんだ。

「僕の事知ってるんですか?」

「まあね、ずっと眺めてるからね」

「そうだったんですか、すいません」

「別に謝る事ないよ、どうせ暇だからね」

「あ、あのあそこにあるの包んでもらえますか?」

僕が指差すとお店の人はそれを持って来てくれた。

「プレゼントかい?」

「はい」

「大事な人かい?」

「えっ?あ、あの・・・・そうです」

「そうか、それじゃちょっと待ってなさい。おまけを付けて上げよう」







「はいよ、これで完成だ。ちゃんとプレゼント用に包んであげよう」

「ありがとうございます!!あのこれお代です」

「ああ、頑張るんだよ?」

「はい!!」

ここで選んで良かった。僕はプレゼント用に包装されのを大事に抱えて家に帰った。








〜12月4日〜

「アスカ、お誕生日おめでとう」

「ありがとう、ヒカリ」

「「惣流もこれでまたばあちゃんに近づ・・・」」

「相田と鈴原、それ以上言ったらコロすわよ!!」

「はい、プレゼントよ〜ん♪」

「ミサト、パーティー前から酔ってるんじゃないわよ!!・・・一応、貰っておくわ、
ありがとう」

「はい、アスカプレゼントよ」

「リツコ、ネコのぬいぐみ、こんなに沢山貰っても・・・まあ、ありがとうと言っておくわ」

「・・・・プレゼント、貰うと嬉しいモノ」

「ファー・・・レイ、あなたも何かくれるの?」

「あたしは貰った事無いから・・・アスカ、おめでとう」

レイは精一杯の笑顔で祝福の言葉を言った。
この時のレイの笑顔はケンスケも写真に撮るのを止めた程だった。
「写真より記憶に残しておきたいしな、それにあれは惣流が貰ったものだしな」

「・・・ありがとう、レイ。アンタの笑顔、一番のプレゼントだわ、綺麗だったわよ」

「赤木博士に何上げたら良いかって聞いたら『あなたの言葉と笑顔で祝って上げるの
よ』って言われたから・・・」

「まったくリツコだったらネコとか言いそうだったのに」

「ミサト、あたしはそこまでデリカシー欠乏してないわよ」

「じゃあ、一応少しは欠乏してるって自覚してるのね?」

「「「「ハハハハハハ」」」」

「最後はシンちゃんね?何あげるのかしら?」

「僕は・・・あとで上げますよ」

「あら?今渡せば良いじゃない」

「じ、実はまだ用意が・・・」

「あらら、ダメねシンちゃんは」

「どうせバカシンジの事だからそんな事だと思ったわよ、ちゃんと後で貰うからね!!」

「うん、分かってるよ」

「それじゃ、パーティー始めましょうか♪」

「「「ハッピーバースティー!!アスカ」」」













「アスカ、良いかな?」

パーティーも終わって部屋にいたアスカを訪ねた僕は、プレゼントを渡そうと思って
いた。

「あ、やっと持って来たわね、それじゃ早く渡しなさいよ」

「う、うん、はい。アスカ、誕生日おめでとう」

僕はそう言ってプレゼントを渡した。
それは小さなオルゴールだった。

「オルゴール?これだったらさっき渡せたんじゃないの?」

「アスカに最初に聞いて欲しかったから」

「バカ、キザな事言っちゃってさ」

パカ

オルゴールを開けると音楽と共に歌詞が流れてきた。








何も無かったよね  二人出会った日から
今日も君を想う  たった一言探して

人は自由だよね 夜空 旅する星
今日も君を想う 孤独は自由じゃないね

手と手 そっと つなぐだけで 今は 少し臆病だよ
愛が信じられなくて サヨナラさえ悲しみと呼べない

「僕が守ってあげるから・・・」 純粋な目に何も答えられなかった
うれしくて せつなくて  過去を許せる 気がしてた

Once to try この愛のフィールドで 君と二人で歩いてみようかな
愛の言葉 閉じ込めた日から 探してたものは I love you



深く傷ついたら 涙 流せばいい
人を疑うより 涙を流すほうがいい

愛は きっと 信じることじゃなく すこしずつ 育てるもの
君はいつか言ってたね 一人では生きてゆけない

「僕が守ってあげるから・・・」 凍らした心 少し溶け始めた
うれしくて せつなくて 自分許せる 気がしてた

Once to try この愛のフィールドで 君と二人で歩いてみようかな
愛の言葉 閉じ込めた日から 探してたものは I love you




「・・・良い曲、なんだかアタシ達の事言ってるみたい」

「でしょう?僕もそう思ったんだ」

「ありがとう、シンジ。レイの言葉と同じ位に嬉しい・・・」

「ほんと?で、でも、アスカもっと良いモン貰ったんじゃないの?」

「え?」

僕はあの噂をアスカに話した。

「だから、ぼくはてっきり・・・」

「・・・その噂ね、今日でデマになるのよ、アタシが同い年になっちゃったからね」

「え?それってどういう・・・」

「またこの噂が出るのは来年の6月からよ」

「6月?・・・・もしかして」

「バカシンジ、やっと気付いたのね、遅いわよ」

ははは、確かに僕の方が先に生まれてるから年上だけどさ、普通同い年で年上と
か言わないよ、アスカらしいけどさ。
でも、噂か・・・・

「それじゃ、来年までまた同い年ね」

「アスカ、ちょっと待って」

「何?」

「オルゴールの歌詞、聞いた?」

「え、ええ、聞いたわよ?」

「僕ねあの歌詞さ、僕達の事ともう一つ意味を付けたんだ」

「何を?」

「アスカ、僕は君の事が好きです。良かったら僕の恋人になってくれませんか?」

言っちゃった、これが言いたかったんだ。歌詞にあるように二人で歩いていきたいんだ。

「・・・・・」

「・・・ダメかな?」

「・・・・やっと言ってくれたわね、ほんと遅いんだから!!」

そう言うとアスカは僕の胸に飛び込んできた。少し涙が流れていた。

「アスカ・・・これはOKなのかな?」

「OKに決まってるじゃない!!噂だってアタシが流したんだから!!少しでも気付
いて貰おうって」

そうだったのか、それに気付いてなかったんだね、僕は。

「良かった、アスカ、好きだよ」

「アタシも好き!!大好き!!」



僕達は暫くそのまま抱き合っていた。
そして、僕は思い付いた。

「あ、あのさ、アスカ、噂増やさない?」

「え?増やすって?」

「『アスカは同い年の人が好きだ』って・・・・」

「・・・『年上で同い年が好き』にして」

「はは、分かったよ」



まだまだ子供な僕達だけどあの歌のように少しずつ歩いていこうと思う。





後書き

アスカさん、お誕生日おめでとうございます。
初めて書いた誕生日のお話でしたがどうだったでしょうか?
作品中に出てくる歌は、作者の好きな五十嵐 友の『Once again to try』です。
この歌を聴きながら書きました。
それでは〜


アスカ:お誕生日記念のラブラブSSよぉっ!(^O^/

マナ:お誕生日おめでとうっ。

アスカ:とってもラブラブな話で、バースデー記念にぴったりねっ!

マナ:今日は特別な日だもんねぇ。特別にお祝いしてあげるわ。良かったわね。

アスカ:しっかし、年上って誰のことかと思ったわよ。

マナ:わたしは、碇司令かと思ったけど・・・。

アスカ:なわけないでしょうがっ!

マナ:まさかシンジだったなんて。びっくり。

アスカ:間違いなく年上ね。半年の間は。

マナ:で、お誕生日を迎えて同じ歳になった気分は?

アスカ:もっともっとシンジとラブラブになるのよぉぉっ!(^O^/

マナ:むーー。今日だけは、浮れさせといてあげましょ。おめでと。(^^)
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