カタ、カタ、カタという自らが叩くキーボードの音だけがいやに耳について、洞木ヒカリは数十分ぶりにノートパソコンの液晶画面から顔をあげた。

(あれ……?)

さっきまで騒がしかった部室代わりの教室が、いまは信じられないくらいに静まりかえっていることにヒカリは気づく。

「ちょっと、どうしてこんなに静かなの……?」

ヒカリは小声で、隣に座るジャージ姿の少年に尋ねた。

その少年は心底うんざりしたような表情を見せ、「あれ見てみい」と顎をしゃくる。

(むぅ〜。鈴原ったら顎でだなんて!)

その態度が気に入らなくて多少不機嫌になるヒカリだったが、取りあえずは怒りの矛を収めて、少年が顎で指し示した方向を見やった。

(……なるほどね)

静けさの原因を一瞬で理解して、ヒカリは心の中で小さくため息をついた。

 

 

ヒカリの視線の先には、赤みがかった金髪の少女と、中性的な顔立ちの少年。

惣流アスカと碇シンジ。

家が隣同士。俗にいう、幼なじみの関係である。

喧嘩ばかりしているが、いわゆる「喧嘩するほど仲がよい」ってやつだとヒカリは思っている。

だが、今回はいつもの喧嘩とは少し様子が違った。

「デスク」と墨書されたボードを置いた席に腕組みをして座るアスカは、これ以上ない、というくらい不機嫌な顔で、目の前で項垂れたように立ち尽くすシンジを睨め付けている。

怒りの感情に満ちあふれた、アスカの蒼い目。

その全身は怒りで打ち震えていて、いまにも爆発しそうな雰囲気。

それは親友であるヒカリでさえ、恐怖するのに十分なものだった。

その怒りの視線をまともに受けとめているシンジがどれだけ恐怖を抱いているか、ヒカリにも容易に想像がつく。

そしてそんな2人の様子を、教室にいる全員が心配そうに、あるいは面白そうに、固唾を呑んで眺めているのだった。

(あんなにアスカが怒っているなんて……、碇君、今度は何やったっていうの?)

仲裁しようと、ヒカリは席から立ち上がる。

だが、アスカに近寄ったとたん、アスカは見た。

アスカの背後から、怒りのオーラが立ち上っているのを。

ただごとじゃない。

(何とかアスカを静めなきゃ……)

それが新聞部部長で、クラス委員長でもある洞木ヒカリの責務。

部室代わりの教室の後ろで居眠りしている顧問はあてにできない。

頼れるのは自分だけ。間もなく起こるであろう惨劇を、身を挺してでも阻止しなければならない。

 

 

しかし、もう手遅れだった。

アスカの怒りの活火山は、ヒカリが仲裁に入るより早く大噴火を起こしたのだ。

「この、ブァッカシンジィィィィ!!!!!!!!」

突然立ち上がって大声をあげたアスカに、ヒカリはびっくりして目を閉じてしまう。

続いて聞こえる、小気味よい3つの音。

パンッ!

パンッ!

パーンッ!

恐る恐るヒカリが目を開くと、両頬に美しい紅葉を咲かせたシンジが泣きそうな顔で立っていた。

 

 

 

 

 


こちら、第3新東京市立第壱中学校新聞部 −前編−

written by FUJIWARA


 

 

 

 

 

「……シンジ」

地の底から響いてくるような幼なじみの低い声。

 

……アスカ、すごく怒ってるな。

参ったなあ。

いまの平手3発で許してくれる……、わけないか。

せめて手加減して欲しいけど、怒ったアスカを止められる人なんて誰もいないよな。

 

「あんた、ずっと黙ってるつもり? 何とかいってみたらどうなのよ!?」

酷薄な笑みを浮かべるアスカ。

その笑みはシンジだけでなく、その場にいた全員の背筋を凍らせるのに十分だった。

シンジは項垂れたまま、

「……ごめん」

「あ、あ、あ、あ……」

シンジお得意の言葉が、アスカの怒りの火に油を注いでしまう。

「あんたバカァ!?」

パシイイイン!!

強烈なビンタをもう1発放ったあと、アスカはシンジの胸ぐらをつかんで引き寄せた。

「あんた……。このあたしをナメてんの……?」

シンジと額を付き合わせるようにして、アスカは低い声で囁く。

「で、でも、一生懸命やったんだよ、僕は!」

「ハンッ。これのどこが、『一生懸命やったんだ』よ!?」

アスカは吐き捨てると、自らの机の上に置いてあるノートパソコンを指差した。

液晶画面に表示されているのは、来月の校内新聞に掲載されることになるシンジの記事。

取材に半月、執筆に3日もかけたシンジ渾身の一作である。

「いってごらんなさい! これのどこが『記事』なのよ! これのどこが『ニュース』よ!?」

 

 

第壱中文化祭、10月中旬にいよいよ開幕

 第○回目を迎える第壱中文化祭が10月17日(日)午前9時から、同中講堂を中心に開かれます。今回のテーマは、「いまを悔いなく」。そのテーマのもと、各クラス、各クラブともに準備に力を入れています。
 今回、野球部は「タコ焼き屋」を出店。キャプテンの榛名タカシ君は「最近、野球部の試合にたくさんの生徒が応援に来てくれるので、そのお礼も兼ねて……

 

 

ヒカリはこっそりとシンジの記事に目を通した。

最初の数行を呼んでみたが、別におかしいところはない。多少、文体が固めだが学校新聞なんてまあこんなものだ。

だが、読み進んでいくうちにヒカリの顔色が変わってきた。

 

 

 1年A組はシェークスピアの演劇「ハムレット」を上演。毎日夜遅くまで練習に打ち込んでいて、意気込みの大きさがうかがえます。文化委員の長門ハルカさんは「演劇部の部長さんが脚本を書いてくれました。それに応えるためにも、演劇の部で金賞を目指します」と話してくれています。
 1年B組は同じくシェークスピアの「ベニスの商人」を上演。A組に負けじと練習に励んでいて、同じように金賞を目指しています。文化委員の……

 

 

クラスの出し物と、そのクラスの代表の言葉をいちいち細かく述べている。

万事、この調子なのである。

「素材を取捨選択して、過不足なくまとめる」という、基本を頭から無視した仕上がりになってしまっているのだ。

結果として記事の分量は膨れあがり、4ページしかない学校新聞では掲載しきれない。

熱心に取材をしたのはヒカリにも分かるが、結果を先に求める性格のアスカには通用しなかった。

「こんな内容のない記事なんかね、文化祭のプログラム1枚あれば十分なのよ!」

「そ、そこまでいわなくても……いいじゃないか」

「それに何よ、この量!? 全部載せたころにはもう文化祭なんて終わってるわよ! このあたしがあれだけ教えてやったっていうのにどーして、あんたはそうなのよ!」

「……」

「大体、あんたあたしが教えてあげたことをちゃんと聞いてたの!? どーせいつもみたいにボケボケッとしてて聞いてなかったんでしょ!?」

「そんなこと……」

「今度の新聞、どーすんのよ! あんたの記事入れるつもりで空けてるんだから! 新聞出せなかったらあんたの責任だからね!」

「……ごめん」

「バカバカバカ! このおおバカシンジ!!」

「……!」

機関銃のごとくシンジを罵倒するアスカに、さすがのシンジも頭にくる。

アスカとは違い、シンジは自ら望んで新聞部に入ったわけではないのだ。「あんたも入ること! これは決定事項だからね!」と、アスカに無理矢理に入部させられただけでしかない。

国語が苦手なのに、記事なんか書く才能などあるはずがない、とシンジは思っていた。

それでも今回、初めてトップ記事を任されることになって、シンジなりに一生懸命頑張ったのだ。

褒めてくれとまではいわないが、そこまで怒らなくてもいいじゃないか。

シンジにも一応のプライドはある。

何とかアスカを見返してやりたい、という気持ちがふつふつとわき起こってくる。

「何よ、いいたいことがあるならいいなさいよ!?」

「……別に」

投げやりなシンジの言葉に、アスカの怒りがさらに爆発する。

「あんた、いい根性してんじゃないの……。覚悟はできてんでしょうね……!」

「うるさいなあ」

「……何ですって?」

教室の時間が一瞬、止まった。

陰では「赤鬼」と呼ばれて恐れられているアスカに対して、こともあろうに「うるさいなあ」とは。

怒ったときのアスカの恐ろしさを、一番身をもって分かっているのはシンジではなかったか。

このままだと明日の朝、シンジが目覚めるのは自室でなく病院のベッドの上。

いや、シンジが果たして目覚めることができるのかも定かではない。

(ア、アホや……。シンジはほんまもんのアホや……)

命知らずなシンジに、ジャージ姿の少年、鈴原トウジは心底呆れかえった。

(い、いけないわ、アスカ……。殺人は立派な犯罪よ……。止めなきゃ、アスカを止めなきゃ!)

思考とは反対に、既にその場から逃げ出したくなっているヒカリ。

(惣流の怒った顔も需要があるんだよな。プロだったらここは抑えておかないと。くくく、これで来月の売上は倍増だあ!!)

相田ケンスケは眼鏡を光らせて、こっそりとカメラをアスカに向ける。

(あらあら、修羅場ってるじゃな〜い。でも面白そうだから、もうちょっと見てよっと♪)

いつ昼寝から目覚めたのか、新聞部顧問の葛城ミサトはニヤニヤした笑みを浮かべた。

 

 

「うふ、うふふふふふ……。バカシンジ……、覚悟しなさいよ……」

目を血走らせ、ふるふると拳を震わせてアスカはシンジに詰め寄る。

「分かったよ、や、やり直せばいいんだろ?」

「へ?」

いままさにシンジを張り飛ばそうとしていたアスカの手が止まる。

「アスカがびっくりするくらいのスクープを仕入れてきてやるよ!」

「あ、あんたバカ!?」

 

コイツは一体ナニをいってんだろう。

ロクに記事を書けないこの男が、スクープを仕入れてくる?

それもこのあたしがびっくりするくらいの?

 

「バカいってんじゃないわよ! あんたにそんなこと、絶対ムリ!」

腰に手を当てて胸を張るお得意のポーズで、笑い飛ばす余裕さえ出てくるアスカ。

「そんなの、やってみなきゃ分かんないだろ!?」

「ぜぇったい、ムリね!」

「できるさ!」

珍しく、自信ありげなシンジに、アスカは少し冷静になって考える。

 

……コイツ、何か企んでるわね。

いいわ、そっちがその気ならこっちにも考えがあるんだから。

覚悟なさいっ、バカシンジ!

 

アスカの天才的な頭脳がフル回転する。

ほどなくしてその「考え」を導き出したとき、アスカはニタァッとした笑みを浮かべた。

「ふふーん、じゃ、シンジ、あたしと賭けしましょうよ」

怒りの感情など微塵も感じられない、妙に明るいアスカの声に一瞬シンジは戸惑う。

「賭け?」

「そ。期限は今度の金曜日まで。その間にスクープ記事書いてきたらあんたの勝ち。できなければあたしの勝ち。もしあんたが勝ったら、あんたのいうこと何だって聞いてあげるわ。その代わり、あたしが勝ったらあんたがあたしのいうこと何でも聞くんだからね」

「やめとき、シンジ!」

すかさず、トウジはシンジにいった。

トップ記事を、それもアスカがびっくりするくらいのスクープ記事を金曜日まで、つまりきょうを入れてたった4日で書くことなど、シンジにはまず不可能だ。

アスカだって無理だろう。

そんな不利な賭けに挑むのは間違っている。

「ジャージバカは黙ってなさいよ!」

だが、トウジの声も耳に入らないくらいにシンジは興奮していた。

あるいは虚勢を張っていた。

「面白いじゃないか。あとで後悔するなよな!」

「アホッ」

シンジの回答を耳にして、トウジは吐き捨てた。

「記事は今度の金曜日の放課後に出してもらうからね! 忘れるんじゃないわよ!」

「ああ! そっちこそ!」

シンジは踵を返すと、そのまま部室代わりの教室を飛び出していった。

 

 

「ふんっ。バカシンジの癖に、生意気よ!」

悪態をついて憤然と席に座るアスカに、ヒカリが声をかける。

「アスカ……。さっきの、ちょっといい過ぎだと思う……」

「何よ、ヒカリ!? あんたまでそんなこというわけ!? あんただってシンジの記事、読んだんでしょ!?」

「でも、碇君だって一生懸命やったんだし……。載せてあげたら?」

「甘い! 甘いわ、ヒカリ! デスクのこのあたしが、こんな下らない記事OKできると思う!?」

バーンッとアスカは机を叩いて、その大きな音に思わずヒカリは首をすくめた。

「それにしてもあのバカ、ほんっとに単純なんだから。アイツにスクープなんて取ってこれるわけないじゃない、ねぇ?」

「……」

ヒカリは困ったような笑みを浮かべた。

そのヒカリの反応を肯定と受け取って、アスカは再び、チシャ猫のような笑みを見せる。

「だから賭けはあたしの勝ち。ふふふ。アイツに何でもいうこと聞かせてやるんだから!」

 

さーて、何してもらおっかな。

まずは服よね、服。この前、可愛いワンピース見つけたんだ♪

そのあとはレストランでディナー。もちろんコースだからね、チマチマした一品料理なんかじゃ許さないわよ!

そんでもって、夜景を見にいって、アイツにキスしてもらうの♪

『シンジ! もう1ついうこと聞いてもらうわよ!』

『勘弁してよ、アスカ。もうお金なくなっちゃったよ』

『分かってるわよ、今度のはお金を使う必要はないから』

『今度って?』

『あの、キ、キスして……

『キキキキ、キスゥ!?』

『約束でしょ、あたしのいうこと何でも聞くって! は、早くしてよ、バカシンジ……』

『アスカ……』

『シンジ……』

そしてアイツがあたしの唇にそっと、チュッて……。

こ、困っちゃう! は、恥ずかしいぃぃぃ!!

 

突然顔を真っ赤にして身悶える親友を見ながら、ヒカリは思わず口に出した。

「アスカ……。あなた、さっきまですごく怒ってたのに……、どうして?」

 

それからそれから。

一緒に家に帰るの。もちろん手をつないで。

腕を組むってのもいいんだけどな♪

それで家に帰ったのはいいけど、パパもママも残業でまだ帰ってなくて。

もちろんおじさまもおばさまもいなくて。バカシンジと2人っきり。

『まだ早いでしょ』とかいってシンジを引き止めて、パパが台所の棚に隠してるワインで乾杯するの。

で、身体が火照っちゃったあたしはシャワーを浴びて。

うふ。うふふふふふ。

湯上がりのあたしを見たら、アイツ、理性なんて吹っ飛ぶに決まってるわ。

『アスカ……、僕、アスカが欲しい……』

『うん……。シンジだったら、いい。あたしをあげる』

『アスカ……。優しくするからね』

『シンジィ……』

そしてアイツがあたしの服を優しく……。

いやああん!! はっ、そうだ! 下着用意しとかなきゃ!!

 

くねくね。

ぐふふふふふ。

いやんいやん。

アスカが何を考えているか容易に察しがついたヒカリは、こめかみを抑えながら吐き捨てた。

「アスカ……、不潔よ!」

 

 

 

 

 

さて、憤然と教室を飛び出したシンジは、そのころ頭を抱えていた。

アスカに啖呵をきったまではよかったが、実のところ、シンジにスクープ記事を書ける当てなどあるわけがないのだ。

「……どうしたらいいんだよ!?」

泣きそうな表情で、シンジはため息をつく。

そこへトウジとケンスケが駆けつけてきた。

「おお、ここにおったんか、シンジ! いまやったら間に合う。はよ惣流に謝って賭けを無効にしてもらえや!」

「そうだぞ、シンジ。お前に勝ち目はないぞ!?」

だが、口々にいう親友に、いったん冷めたシンジの決意が再びわき起こってくる。

というよりも、いまさらあとには退けなかった。

「トウジ、ケンスケ。僕の決心は固いんだ。止めないでくれよ!」

「シンジ……。お前も頑固なヤツだな」

呆れた口調のケンスケ。

トウジは何やらじっと考え込んでいる様子だ。

「僕にだって男としての意地があるんだ。僕はアスカに謝らない、絶対に!」

「ようゆうた、シンジ!」

バーンッとシンジの背中を叩いて、トウジは叫ぶ。

「ワシはオマエを見直した! よっしゃ! スクープの件、ワシらも手伝ったる!」

「トウジ!」

ガッシリと握手を交わすシンジとトウジ。

驚いたのはケンスケだ。

シンジを止めるつもりできたのに、いつの間にかシンジに協力することになっている。

(おいおい、ワシらって、俺のことも入ってるのかよ!?)

「ケンスケ! お前、スクープになるようなネタ、何ぞないんか!?」

「頼むよ、ケンスケ! 僕を助けてよ!」

(ちっ。仕方ないなあ……。これは今度の特集で使おうと思ってたネタだったんだけどな。まあ、いいか)

「1つだけ、あるよ」

「本当!?」

「何や!?」

喜色満面のシンジとトウジに、ケンスケは呆れたように笑った。

「シンジ、3年の渚って先輩、知ってるか?」

「うん……。名前だけは」

渚カヲル。先月、第壱中学校3年A組に転校してきた少年。

第壱中、いや、第3新東京市でも右に出る者がいない程の美少年で、彼の靴箱には常時ラブレターが詰まっている。

いわば、男版の惣流アスカである。

「渚って先輩。いつも女の子に囲まれているんだけど、どういうわけか特定の人はいないらしいんだ。1日に20通以上のラブレターを受け取るそうだけど、全部断っているらしい。不思議だろ?」

「不思議って……、アスカだって一杯ラブレター貰ってるけど? 全然読んでないみたいだけどさ」

「バカだな。惣流は決まった男がいるのにラブレターなんか貰うわけないじゃないか」

「ああ、加持先生のこと?」

(本気でいってんのか、コイツ? お前のことに決まっているだろうが)

口では否定するものの、シンジとアスカがお互いを憎からず思っていることなど、「第壱中に巣くうネズミにでさえ」周知の事実だ。

鈍感キング・シンジにさすがのケンスケも心の中で毒づく。

「……まあ惣流のことはいまはどうでもいい。いいかシンジ。渚先輩の本命をスクープするんだよ!」

「……は?」

自由な校風を反映してか、第壱中の学校新聞は一般的な堅苦しい内容にとどまらずバラエティに富んでいる。

何しろ、顧問が「壱中随一のおちゃらけ教師」の異名をとる葛城ミサトだ。

本来なら許されないワイドショー的な話題も全く問題がないし、ミサトが大好きなのだ。

第壱中きっての美少年、渚カヲルの本命を暴くネタなら立派なスクープ記事になるし、誰もが読むだろう。

それがケンスケの読みだった。

「そんな軟派なネタ、ワシは反対や!」

すぐさまトウジは反対するが、それもケンスケの予想範囲内である。

ケンスケは冷静にいった。

「黙ってろよ、トウジ。何しろ期限は金曜日までしかないんだ。すぐに記事になるネタはこれしかないんだ。それともトウジ、ほかに何かあるのか?」

それをいわれると、トウジも弱い。

再びケンスケは、考え込んでいる様子のシンジに向き直る。

「どうするんだ、シンジ?」

「……やるよ」

「そうか、やるんだな?」

再度ケンスケが確認すると、シンジは力を込めて、はっきりと頷いた。

「やってやる……、やってやるさ! 絶対に渚先輩の本命をスクープしてやる! 賭けに勝つのは僕だ!」

「よし、碇一等兵! 俺たちの命、貴様に託したぞ!」

「任せてよ……、いや、お任せ下さい! 相田隊長!!」

敬礼を交わすシンジとケンスケに、トウジは大きくため息をつく。

「はぁ……、もう勝手にせえや……」

すっかりやる気を失ってしまった、トウジであった。

 

 

 

 

 

<2000/09/06 執筆>


マナ:FUJIWARAさん、投稿ありがとうっ!

アスカ:ったくシンジの奴っ!

マナ:何、怒ってるのよ?

アスカ:このアタシに口答えしようなんて100年早いってのよっ!

マナ:でも、いくらなんでもあれくらいでビンタの連発は酷いんじゃない?

アスカ:甘やかしてちゃ、シンジの為にならないわっ!

マナ:無理矢理引き摺り込んどいて、それないと思う・・・。(ーー)

アスカ:しかもこともあろうか、アタシに勝負を挑むなんていい度胸してるじゃないっ!

マナ:あなたが挑発した結果だと思う・・・。(ーー)

アスカ:まぁいいわ。どうせ勝負は見えてるんだから。

マナ:そう?

アスカ:当ったり前でしょっ! 勝ったら、後はアタシのやりたい放題よぉっ!(^O^)

マナ:浮かれてていいの? 渚くんも登場してるから危険よ?

アスカ:え? アイツが出てるの?

マナ:次回シンジが接触するみたい・・・。

アスカ:そ、それは・・・危険だわ・・・。
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