惣流・アスカ・ラングレイーはは今大手のデパートの中にいる。


「はあ〜・・・シンジの欲しい物って一体何なのよ?」


アスカはそう言いながらあっちこっちの店を覗いている。
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聖なる夜に、一つだけ


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使徒はまだ来るが今はまだそんなに第3新党京市に被害は出ていない。

大体1ヶ月ぐらい前、球状の浮遊使徒が来てから使徒は影も形もない。

そして今日は12月の23日、

アスカは日本で初めてとなるクリスマスに彼氏のシンジへのプレゼントを探していた。

シンジが球状の使徒に飲み込まれたとき、

アスカはこれであシンジが居なくなると思い喜ばしいはずが逆に落ち込んだ。

自分の存在を脅かす存在・・・

アスカがシンジに出会う前に考えていたサードチルドレンの評価だ。

今まで何の訓練も受けずに使徒3体を撃破。

この知らせを加持ルートで知ったアスカはまだ見ぬサードチルドレンに恐怖した。

今まで築き上げてきた物が、歯を食いしばってきた物が否定された様だったからだ。

けれどまずサードチルドレン、碇シンジと会ってその姿に毒気を抜かれた。

シンジはどちらかと言ったら細身で何時もおどおどしていて、

例え真実だったとしてもまさか使徒を3体も葬った人間には見れなかった。

しかしそれはアスカとシンジが会ってから数時間後に考えを改めた。

魚のような使徒をシンジと一緒に倒した時、

もしかしたらアスカはこの時からシンジが好きだったのかもしれないと思う。

いや、多分少し惹かれていただけだろう、その時は。

その後共にユニゾンで使徒を倒した時、アスカはシンジを認めた。

そしてその後のマグマの中ではシンジが自分を無理して助けてくれた事に、

深く感激し、その後無意識の内にシンジの顔を見るという事が多かった。

その後3体の使徒を挟んでアスカはシンジが自分の事を気にかけ、

ごく普通の女の子として扱ってくれた事がなんとなく解り、それが嬉しかった。

アスカは今までそとずらを良くしようと努力し、それが実った。

しかしそのせいで中までみてくれる物は居なく、その事にも慣れた。

いや、むしろ自分から中を隠そうとしていた。

その中にシンジはやすやすと入り込んでいたが、アスカはそれを否定していた。

そんな時、球状の使徒が現れ、シンジの乗る初号機を飲み込んだ。

アスカはその事を思い出すとブルっと震えた。

この時、もしかしたらシンジは2度と帰ってこないのではないかと思ったからだ。

そして何で自分はこう思うのか自分自身に問いかけ、愕然とした。

自分はシンジの事が好きだという今まで隠していた感情が漏れ出したからだ。

そしてシンジが、いや、初号機が使徒から脱出してシンジが病院に入院すると、

アスカは入院したその日にシンジを見舞った。

アスカは自分の変化に苦笑しながらもシンジの傍に居ると落ち着く自分を見つけた。

その日からアスカはなるべくシンジに迷惑はかけまいとするのだが、

今までとってきた態度や性格はそう簡単に変えられるものではなく、

更に照れもあって殆ど今までと同じように接してしまった。

それでもシンジがアスカの事を好きなんだと思い、

自分の誕生日に告白するだろうとアスカは決めつけが、

誕生日の祝いはされたがそれだけだった。

しかもただの誕生日会ではなく、自称保護者のミサト達大人がそれを宴会にしてしまった。

まあこのご時世少しでも明るい話題が欲しいと言うのはアスカにもわかる。

なんせ正体不明の化け物が責めてくるのだ。

アスカはシンジが告白するのをその誕生日会の時ずっと待っていたが結局告白のこの字も無かった。

これにがっかりしたアスカは次の日ほぼ自爆的にシンジが好きだと言う事を喋ってしまい、

アスカが考えていた形とはだいぶ違うがはれてシンジと恋人同士になった。


「けどあたしからだなんて・・・向こうにまず告らせてこっちが主導権を握りたかったのに〜〜!!!」


アスカはそう言った後、ここが何処なのかを思い出し、顔を真っ赤にしながらデパートを走り出た。

どうやらシンジへのプレゼントを悩んでいる時にいらぬ方へと考えが飛んでしまったようだ。


「は〜、ほんとにあいつって何が欲しいんだろ・・・。」


アスカはそう呟くと公園のベンチに腰掛けた。その公園はまだ日が高いのでそこで遊ぶ子供が居た。

アスカはそれをなんと無しに眺めていたが、

自分が何で外に出て買物をしているのか思い出し、また歩き出した。


「そもそもシンジがあんなに料理が、上手なのがいけないんじゃない!」


アスカはクリスマスの時、シンジに変わって自分一人で料理を作るつもりだった。

アスカの誕生日を宴会に変えた大人達に向ってアスカは、

クリスマスは二人っきりで過ごさせるよう要請し、

アスカの誕生日を宴会に変えたという事を悔いていた大人達は皆一様に了承した。

なのでアスカは自分一人でも料理が出来るだろうと思っていた。

しかし昨日その事をシンジに伝えるとシンジは自分がやると言い、

結局先に告白してしまった弱みからかアスカは折れた。

アスカは元々料理はそんなに下手ではない。

その事は、最近家事を手伝って貰っているシンジが一番解っている。

しかしそれでもシンジには遠く及ばず、結局それで納得させられてしまった。

アスカはそれならビックリするプレゼントを贈ってやろうとしたが、

シンジが欲しいと思っている物が解らず、こうしてあちこちとさまよっている。


「は〜・・・どうしよう。」


一様アスカも一人でウジウジと悩む事はせず直ぐミサトや親友のヒカリ、

そして三馬鹿の残る二人にも訊いてみたが答えはバラバラ。

シンジが欲しい物が結局解らずじまいに終ってしまった。


「この分じゃ加持さんに訊いても解んないし・・・は〜。」


アスカは今日何度目かの溜息をついた。

そんな時、一軒の小ぢんまりした店を見つけたアスカは、

あのオーバー・ザ・レインボーで、使徒と会った時の様な笑いをした。










意気揚々と帰ってきたアスカはそのまま自分の部屋へと直行した。

その部屋のふすまには以前の様にプレートは無かった。

シンジと恋人同士になった時、シンジの前で外したのだ。

その頃シンジはと言うと明日のクリスマスの為の下拵えを躍起になってしていた。

シンジにとっても今年のクリスマスは今までのとはかけ離れた物だった。

今までは殆ど一人寂しくやっていたのだが今年はずっと気になっていた娘と一緒に楽しめるからだ。

シンジがアスカを意識し始めていたのはユニゾンで使徒を倒した時、

そしてアスカがマグマの中に入り使徒を倒してもののロープが切れた時には、

何も考えずにアスカを助け出そうとしていた。

その後、何で自分はそうしたのかと考えると、やはりアスカの事が好きだからだと解った。

しかしアスカはその様にそぶりは殆ど見せず何時もと同じ様に接しているので、

シンジはアスカへの告白は躊躇い、

いつもアスカは加持さん加持さんと言っているのであきらめていた。

アスカの誕生日の時、アスカに告白をしなかったのはその為である。

しかし次の日、あちこちを片付け、一息を入れているシンジにアスカは突っかかってきた。

まあ誕生日会をただの宴会にされてしまった事へのあてつけだろうと思い相手をしていると、

アスカは行き成り自爆した。

どうやらアスカは昨日大人たちが飲んでいた酒をシンジが掃除している時に、

誤って飲んでしまっているようだった。

アスカは自爆した後ふと我に帰ったがもう遅く、

シンジは、アスカに何と言ったのかと訊くとアスカは耳まで真っ赤にしながらシンジに告白をした。

その時の一部始終が以下の通りだ。








「何でミサトはああもぐうたらな癖にこういう時だけ盛り上がるの!

何時も膣も何時も何時も世話してんのはシンジじゃない!

あたしのシンジをああもこき使って、

それだけじゃ飽きたらず折角ヒカリ達をシンジが呼んでくれて祝ってくれてたのに、

お酒なんか持ちだして!!」


アスカはそう言うとシンジは慰めるつもりで言った。


「まあまあアスカ、今の状況じゃ仕方ないよ。」


しかしそれが逆にアスカを興奮させる事になってしまった。

もしシンジがアスカがお酒を飲む場面を見たら絡み酒だと思っただうろう・・・

しかし幸運(?)にもその場面は見なかった。


「そんなの解ってるわよ、けど納得出来ないの!!

あんたなんてあたしの気持ちなんか知らないでしょ!

あたしがどんになにシンジの事が好きかなんて!・・・・あ。」


アスカはそう言うとまるで行き成り電源を落とされたロボットのように固まった。

どうやらいっきに酔いは覚めた様だ。


「ご、ごめ・・・・え?」


それは余りの勢いでつい誤ってしまいそうだったシンジにも感染した。


「ええと、アスカ、聞き違いなら誤るけど今アスカ、

僕の事好きとかなんていった?」


しかし再起動はシンジの方が早かった。
「・・・」

「ご、ごめん。聞き違いだよね。アスカが僕の事好きだ何て・・・」


しかしシンジは事実を受け止めきれず、そんな事を口走った。


「ち、違う!・・・」

「そうなの?」


アスカがほぼ反射的に否定するがそれによって、

シンジが訊いた事の答えを示したような物だと思い返し顔が真っ赤になった。


「じゃあアスカ、さっき僕が聞いた事は幻聴じゃないんだよね?」

「う、うん・・・」


シンジはアスカがそう答えると少し晴れ晴れとした顔になった。


「よかった〜。僕はてっきりアスカは僕の事を嫌っているんだと思ってたんだ。

そうじゃないんだよね?」

「そ、そうよ、当たり前じゃない。

じゃなきゃ何時までも一緒になんか住んでないわよ。」


アスカはそう答えながらもどこか訝しんだ顔をしていた。

普通告白されれば、しかも今のように行き成りならば驚くはず。

なのに平然せっしているシンジに納得がいかなかった。


「じゃあアスカ、これからは『友達として』よろしくね。」

「う、うん・・・へ?」


アスカは返事をしたが何で『友達として』なんだろうと首を傾げた。


「ホント良かったよ。アスカが僕の事を嫌いじゃなくて。」


アスカはその頭で今の状況を必死に考えあるひとつの可能性を出した。


「シンジ、あんたちゃんと聞いたのよね?あたしがあんたの事、

そ、その・・・好きって。」

「うん、今まではなんかアスカは嫌いだから僕に色々させてるんだと思ってたんだ。

けどあれがアスカのコミュニケーションだったんだよね?」

「ま、まあね・・・」

「けどやっぱり『友達として好き』なら僕だけじゃなくてみんなとも仲良くなって欲しいな。

アスカはいつも肩に力入れてるからさ、学校でもぬいた方が良いよ?」

「・・・ちょっとまって、今『友達として好き』って言わなかった?」

「言ったよ。それ以外になにがあるのさ?」


アスカはそれを聞くと一度肩を落とした。

何でこいつはこうも鈍感なんだろうと考えているとシンジが話し掛けてきた。


「まさかアスカが僕の事恋人として好きだって?

何時も加持さん加持さんっているアスカが?まさかね。」


これを聞いてアスカは堪忍袋の緒が切れた。

自分がどれだけシンジの事が好きか、いや、

愛しているかこうなったら体を使ってでも教えてやろうとまで考えた。


「あんた何いってんの!?私の好きはこう・・・こ、恋人としての好きなの!

英語だとLIKUじゃないの!LOVEなの!解った!」

「え・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ええ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」


アスカがそう怒鳴るとシンジは暫く固まった後、絶叫した。

シンジはアスカはてっきりここの同居人として、人として認めてもらったと思ったのだ。

何せ自分は何もやらず全てシンジへ押し付け、

少しでも気に入らないとそれを正そうと躍起になる・・・・

しかしそれが愛情の裏返しとはシンジは全然、完璧に、少しも、完全無欠に思っていなかった。

流石にここまで来ると鈍感と言う言葉は通用しないかも知れないが、

シンジは今まで誰一人、しかも異性から告白等と言う事がなかったため、

また丁度今読んでいるケンスケから借りたマンガで友達として好きと言うのがあり、

勘違いしていた・・・。

作者が言うのもなんだがこれはちょっとやばいな〜と思う。


「あたしは言ったは、シンジはどうなの?」


アスカはそう言うとどこか縋るような、上目づかいでシンジを見た。

しかも目は潤んでいる。

シンジはその光景をみて顔を真っ赤にしながらボソッと呟いた。


「僕も・・・だよ。」

「ほ、ホント1?ねえ本当なのね?信じて良いのよね?」


シンジの、聞こえるか聞こえないかの小さな呟きもアスカはちゃんと聞こえたようだ・・・

これは愛の力と言うべきか・・・


「う、うん・・・」

「やった〜〜〜。」


アスカはそう言うと、シンジに思いっきり抱きついた。


「ちょ、ちょっとアスカ・・・」


シンジはそう言いながらもアスカをしっかりと抱きとめたが鼻をくすぐる匂いに訝しんだ。


「・・・もしかして机の上にあった液体飲んだ?」

「うん・・・麦茶色だったけど味が変だったわ。」

「・・・あれはお酒だよ?」

「え、嘘?ホント?」

「うん・・・」


シンジはそう言いながらも更に強く抱きしめた


「ど、どうしたの?」

「うん・・・お酒の匂いに混じって良い匂いがするから・・・」


アスカはそれを聞くと顔を真っ赤にさせて、シンジの胸に顔を埋めた・・・・・・・・・・






「あの時の顔可愛かったな〜。」


とシンジはぼやきながらも手はちゃんと料理の下ごしらえをしていた。

恐るべし主夫魂・・・

さて、シンジもクリスマスのプレゼントを用意していない訳ではない。

ただシンジも誕生日に続き2回目のプレゼントとはいえ、かなり迷った。

誕生日にはアスカに似合いそうなネックレスを買ったのだが、

それに奮発してしまいもうお金がないからだ。

買った当初はまさかアスカと恋人になるとは思ってなく、

クリスマスは簡単な物で良いかなと思っていたのだ。

しかし恋人となって初めてのクリスマス、

どうにかして良い物を彼女にプレゼントしたいと言うのはおそらく全員が納得するだろう。

さて、それでシンジはどうしたかというと実はアスカが告白(自爆)した翌日、

インターネットで調べ、あるものを購入。

お金は別口に貯金してあるパイロット用の貯金講座に指定した。

本来この講座はまだシンジ達では幼いと言われ本来使えないのだが、

家の家計を切り盛りしているシンジには引き降ろさなければOKっという条件で開放されている。

この影にはゲンドウの姿が見え隠れするがシンジはありがたくそれを使っている。

とはいえ一度に買える金額も決まってはいるのだが・・・








そんなこんなでクリスマスイブ、

ミサト達大人はネルフでどうやら宴会をやるようだ。

これを聞いたアスカとシンジは共に溜息をついた。

ヒカリやトウジ、ケンスケはそれぞれの家でクリスマスを祝うと言いレイはネルフの方に行った。

よってマンションはシンジとアスカの二人しかいなかった。

シンジは朝早く起きて、朝ごはんを用意するとアスカを起こしに来た。


「アスカ〜ご飯できたよ〜」


アスカに何時でも部屋に入って良いと言われているが、シンジはまず扉の前でそう言った。

しかしアスカからの返事はなく仕方なくアスカの部屋に入った。

アスカは自分のベットの上ですやすやと眠っていた。


「ほら、アスカ。起きて。」


シンジはそう言ってアスカの肩を揺さぶるがアスカは依然目を覚まさなかった。

シンジは溜息をつくとアスカの顔を覗き込んだ。

アスカは心なしか顔が赤くなっていたが目は開けなかった。

シンジは暫くそうして覗き込んでいたがどうやら起きてくれないようなので、

アスカの唇に触れた・・・・・・右手の人差し指と中指で。


「う・・・ん・・・・・・・おはよ。」


アスカはそうすると自然に目を覚ました。

が、自分がキスされていないことが解るとシンジを睨み付けたが、

シンジはその顔を見て笑った。


「あはは・・・。」

「ム、乙女の顔を見て笑うんじゃないわよ。

どうせ変な顔だったんでしょ?起きぬけなんだから仕方ないじゃない。

それより今日もキスしてくれなかったのね。」


アスカはそう言うと溜息をついた。

恋人になった日、アスカは自分の部屋のプレートを取り外すと同時に、

シンジに朝自分の部屋まで入って起こして欲しいと言った。

シンジはそれに戸惑ったが、アスカが必死に食い下がるのでしぶしぶ了解した。

ただし条件としてアスカにも家事を手伝わせるようになったが。

そして次の日に早速起こすと、アスカはキスするようせがんだ。

どうやらどっかのマンガでそう言うのを見たか聞いたようだ。

シンジはそれに苦笑しながら否定、アスカの頭を撫でるとさっさと部屋を出て行ってしまった。

それ以来アスカはシンジがキスするまで起きようとはせず、

シンジは何処から(たぶん加持)聞いたのか指二本をアスカの唇に触れるようにした。

アスカはそれに閉口しながらもちゃんと起きるようになった。


「まあね、それより早く食べちゃおうよ、今日はこれから出かけるんでしょ?」

「そうね、今何時?」

「8時だよ。」

「じゃあ、起きるわ。」


アスカはそう言うと立ち上がりおもむろにパジャマを脱いだ。

シンジは慌てて部屋から出て行ってしまった。


「ばか・・・別にあたしはあんたになら何されても良いのに・・・。」


アスカは閉められたドアに向ってそう呟いた。






朝食を二人で食べた後、二人は揃って家を出た。

アスカは待ち合わせが言いとごねたが、結局シンジに従った。

どうやら先に告白したという事で主導権はシンジが主に取っている様だ。

シンジも主導権をとって甘えてはおらず、精神的にはかなりの成長を見せている。

自分からアスカの手を繋ごうとしているのが良い証拠だろう。

アスカもかなりちょっとだが円くなってきている。

さて、二人は手を繋いであちこち町をぶらぶらと歩いた。

時折アスカが気に入った店に来るとその店に入ったりもしたが、

アスカは何も買わなかった。

昼食は近くのレストランで夜に出てこないものを選んでシンジが注文し、

アスカはシンジに任せた。

二人は色々と雑談を交えながら楽しそうに昼食を食べ、

その後ユニゾンの時に来た公園へと来た。


「僕はここかな、アスカを同僚とか以上に考え始めたの・・・・」

「そうなの?」


シンジはそう言うと近くのベンチに座り、アスカもシンジにくっつく様にその左側に座った。


「うん・・・今まではちょっと綺麗過ぎて、

凄い人が来たな〜ぐらいしか考えてなかったんだけど・・・」

「ふ〜ん・・・という事はあたしの方が早いんだ。」

「そうなの?僕はてっきりあのマグマの使徒の後からかなと思ってたんだけど。」

「確かにあれであたしはシンジにメロメロになったわよ。」

「メロメロって・・・」


シンジがそう言うとアスカはシンジの肩に頭を載せシンジの顔を見た。

シンジも見返すとアスカの顔が思ったよりも近くにあって少し驚いた。


「ほら、メロメロになってる顔。」


アスカはそう言うと左手で自分お顔を指した。

その間もアスカの右腕はシンジの左腕に撒きついていた。


「う、うん・・・」

「あたしがあんたを意識するようになったのは最初からよ・・・」

「そ、そうなの?」

「そ、最初は脅威、強敵だって思ってたんだけどあんたの姿見て拍子抜けして・・・

あ、あの時冴えない奴って言って御免ね。」

「え?う、うん・・・どうしたの?何時ものアスカらしくないよ?」

「これもあたしよ、今まで隠していただけの。

もうシンジの前では自分を隠すの止めるようにしてるの・・・

けどまだ時間がかかるからいつも出せるもんじゃないけど。」

「そっか。・・・ねえ、いつも僕に突っかかっていたのはなんで?」

「そのときはまだ自分で認めてなかったのよ。

意識はしてたんだけど、あたしに恋なんて似合わない、邪魔だからって。」

「そうなんだ・・・」

「けどこの前あんたが言った通り案外一種コミュニケーションだったのかもね。

それでその後のユニゾンでまたあんたの事を意識して・・・

ううん、あの時はあんた認めたんだったわ。

自分では同僚としてのつもりだったけどたぶん男として。」


シンジはアスカの独白を静かに聞いている。


「そしてあのマグマの中、今だから言うけどあたしあの時終っちゃったって思ったんだ。

もう自分はこれで終わりなんだなって冷静にさ。

そしたらシンジ、マグマの中だって言うのに何もつけずに飛び込んで・・・

あの時熱かったんでしょ?

けどそんな目にあってもあたしを助けてくれたシンジにさ、

あたしもう心の中ではあんたの事好きになってた・・・

けど表に出せなくて、それにあんたどんどんATが上がってきちゃったし・・・

あたしあの時ほんとにシンジを憎んでたんだよ?

けどこの前来た使徒にシンジが飲み込まれちゃってさ、

あの時シンジが居なくなったと、もう帰ってこないと思ったらね。

あたしはやっぱりシンジの事が好きってわかったの。

この気持ちは憎しみじゃなくて愛情なんだって。」


アスカはそう言うとシンジに抱きついた。


「アスカ?」

「ずっとって言わないから、今暫くは一緒にいて。

お願い・・・」

「うん・・・」


シンジはそう言うとアスカを抱きしめ返した。

それから暫くした後、二人は公園を出て行った。







大体4時ごろ帰ってきたシンジとアスカはまず、それぞれ自分の部屋に戻って行った。

シンジは着替えた後早速夕飯お支度した。

アスカはどうやら自分お部屋でなにやら作業しているようだった。

大体それから3時間後、ようやくご飯が完成したのでシンジはアスカを呼んだ。


「アスカ〜できたよ〜」

「解かったは、今いくからまってて〜。」


アスカはそう言うと自分お部屋でなにやらごそごそと音がした。

シンジはそれが気にはなったがまず、料理をテーブルに置いた。

丁度シンジがすべての料理を、テーブルを置いた時アスカはリビングにやってきた。

アスカはデートできていた黄色のワンピースから赤いリボンの付いたドレスに着替えていた。


「どう?」

「う、うん・・・清楚なお嬢様って感じだね。」

「そう?ありがと。」


アスカはそう言うと二カッと笑った。


「あ、けどそうするとおてんばな女の子かな?」

「ム〜、こういう時は思っても口に出さないの。」


アスカはそう言いながらも笑顔のままだった。


「ごめんごめん。さ、食べよ?」

「うん♪」


アスカはそう言うと席に座った。


「あたしがこう言うのもなんだけどシンジって凄いわね・・・」

「そう?」


アスカはテーブルに広がっている料理を見てそう言った。

シンジはそれが不思議だという顔でアスカに訊いた。


「うん・・・あたしじゃこんなに一人で出来ないもん・・・

あ〜あシンジの方がお嫁さんとして上なんだろうな〜」

「お嫁さんって・・・・僕は男だよ?」

「けど同性愛者だって居るじゃない。

やっぱり料理できた方がそれっぽくない?」

「う〜ん・・・確かに。」

「でしょ〜?」

「それよりさ、食べようよ。」


「そうね、折角シンジが作ってくれた料理が冷めちゃう。」


アスカはそう言うと早速食べ始めた。

シンジはアスカに笑いかけた後自分も食べ始めた。

二人はクリスマスディナーを食べた後協力して後片付けをした。

その後二人はリビングで寄り添うように座った。


「ねえシンジ。」

「何?」

「あたしシンジから『好き』って言葉聞いてない。」

「え?ちゃんと伝えたでしょ?」

「『僕も・・・・だよ』としか言ってないもん・・・」

「そうだっけ?」

「そうなの!・・・・ねえ、言ってくれない?」

「え?」

「あ、ごめん。何でもないわ。」


アスカはそう言うとシンジに寄りかかったままプイッと顔をそむけた。

シンジはそんなアスカの反応を見て驚いたようだったが、

その後アスカを抱きしめて耳元で言った。


「す、好きだよ。アスカ」


シンジがそう言うとアスカははっとしてシンジの方を向いたが、

シンジは耳の近くでそう言っていたので顔を向けた時、偶然にもキスしてしまった。

お互いキスをしたまま固まってしまったがここでもシンジが先に復活、


「あ、ご、ごめん。」


というと顔を少し離したがアスカを抱きしめたままだった。

アスカは顔を真っ赤にさせ俯いたが、


「うん・・・」


とだけ言った。

暫く二人はそのままじっとしていたが、

シンジは用意していたクリスマスプレゼントの事を思い出し、

アスカから名残惜しそうに離れた。


「アスカ、クリスマスプレゼントがあるんだけど・・・受け取ってくれるかな?」

「いいわよ。

あ、あたしも在るんだ、今もって来るね。」


アスカはそう言うと自分の部屋に走って向った。

シンジはその姿に苦笑すると、自分の後ろのポケットをますぐり、目的の物を出した。

それは小さな箱だった。

アスカは自分の部屋に戻ると、シンジへのプレゼントを抱えてリビングに戻った。

二人はせ〜のでクリスマスプレゼントを渡した。

シンジは小さな箱、アスカは抱き枕だった。


「シンジ、これは?」

「ちょっと開けてみて。」


アスカは言われるままに箱を開けると中には何も入ってなかった。


「え?何これ・・・」

「うん、まだお金がなくてさ、箱だけしか変えなかったんだけど・・・

その中にいつか渡す指輪を入れてくれれば嬉しいな。」

「シンジ、それって・・・」

「うん、一応プロポーズのつもり・・・

加持さんからきいたけど本当は指輪渡すべきなんだけどまだそんなお金なくてさ、

けど一様そのつもりなんだ。」

「・・・シンジ!」


アスカはそう言うとアスカから渡された物を抱えているシンジに抱きついた。


「ねえアスカ。これは?」


シンジはアスカから渡されたプレゼントを指差した。


「それは世界で一つだけのあんたの抱き枕よ。」

「世界で一つだけ?」


シンジはそう言われて抱き枕をよく見た。

確かに抱き枕には拙い刺繍ではあるがシンジ専用と書かれていた。


「そ、あたしが丹精こめて刺繍した枕よ。ちょっと下手だけどね。」

「そ、そんなことないよ!ありがとう、嬉しいよ。」


シンジはそう言うとアスカに微笑んだ。

アスカは顔を赤くして更に言った。


「ね、匂い、嗅いでみて。」

「うん・・・・・・・・・甘い匂いがする。」


シンジは抱き枕に顔をつけてそう言った。


「そ、その匂い、なんだか教えてあげましょうか?」

「何?」


シンジがそう聞き返すとアスカは顔を真っ赤にさせ、シンジの耳元で言った。


「そ、それ、・・・・あ、あたしの匂い」

「ええ!?」


シンジは驚いてアスカを見返すとアスカはこくんと首を立てに振った。

さっき部屋でごそごそとしていたのは枕に自分の匂いをつけていたのだ。

アスカは真っ赤な顔を更に赤くしてこう言った。


「匂いが薄れてきたら言ってね、またつけるから。」

「う、うん・・・・」


シンジも顔を真っ赤にさせながら頷いた。

二人はその後暫く体を寄せ合っていたがシンジが、


「アスカ、もう寝ない?」


と言うとアスカも素直に首を縦に振った。

そのあとシンジは早速アスカの匂いがする枕を抱いて寝ようとすると

目の前に赤みがかった金髪の髪の毛が一本あった。

そしてそれは縮れてていた・・・・

それからシンジはどうしたのか・・・・・・お察しください。

その頃アスカは自分の部屋でシンジがくれた箱の中身が入っていない指輪の箱を抱きしめて、

眠りに付いた。
























おまけ
翌日シンジは少し寝不足なような顔をしてリビングに来ると其処には酔いつぶれているミサトを見つけた。

ただ、ミサトはシンジが見た事がない枕を抱きしめていた。

そしてそのすぐ横にシンジが用意した料理を乗せていたはずの皿だけと、

手紙が置いてあった。

そこには「ミサトへ メリークリスマス      アスカ」と書かれていた。

どうやらミサトが抱えている枕はアスカからミサトへのプレゼントのようだ。

シンジはそれに微笑むと、自分の部屋に戻り、

ミサトの前にあるものを置いた。

ミサトがそれに気付くのはシンジ達が出かけて暫くの事だった。

ミサトはそれを見たとき、嬉しそうに笑った事だけをここに書いておこう。
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あとがき

こんにちわガイギスです。まず一言、
やっちゃいました時期ネタ!
そして・・・・
題名と内容が合致していない!!!!<オイ!
今回はクリスマスが近いと言う事でクリスマスネタを・・・・
けどLASを目指しても上手く言ってないような・・・
甘甘を目指したのですができたのはほのぼのとした・・・ううう(涙
ご意見などありましたらどんどんメールにて送ってください。
もし好評ならこの続きを書きたいと思います
ではこれで・・・・


作者"ガイギス"様へのメール/小説の感想はこちら。
beruga02@iris.ocn.ne.jp

感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構
ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

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