これは『聖なる夜に、一つだけ』の続きです。

多分読まなくても大丈夫だと思いますが、できれば読んでください。
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トシを越えて


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セカンドチルドレン、惣流・アスカ・ラングレー。

彼女は今家でぼうっとテレビを見ている。

そして彼女、アスカの彼氏こと碇シンジは現在アスカの抱えているものを見ている。

アスカが抱えている物とは、アスカがシンジにクリスマスの時に送った抱き枕だ。


「あ、アスカ。

何で僕の枕を使ってるの?」

「別に良いでしょ〜?

使うんならあたしごと使いなさいよ。」


実はさっきからこの会話が何度も続いていた。

シンジは最初はまあ良いかと思っていたが、

だんだん眠くなってきたのか夜が更けるごとに訊く感覚が狭くなってきた。

今日は今年最後の日、大晦日だ。

その影響かどうかミサトは、今日は帰れないと電話が入った。

アスカは、それを聞いて内心は大喜びしていたが電話では嫌味を言った。

しかしその声が弾んでいたのはミサトにも判っていたが相手をして電話を切った。

その報告をシンジにする時は思いっきり笑顔だった。

多分あれを天使の笑顔って言うんだろうなというのが、

アスカの笑顔を見たシンジの感想だった。

その後アスカはシンジの部屋に入って抱き枕を抱きしめてリビングに来た。

初めシンジはまた匂い付けをしてるんだろうなと思って注意すらしていなかった。

ミサトが家に帰らない時などは、よく匂い付けと言ってシンジの枕を抱いていた。

しかし11時半過ぎになっても枕を放さないアスカは初めてだった。

シンジは12時までは起きるつもりだったがだんだんそれが怪しくなってきた。

ついでにシンジの格好はパジャマ、アスカは普段着のままだった。

ついでにアスカの普段着は、袖の無いシャツと短パンと言う格好ではない。

確かにシンジに告白(自爆?)するまではそうしていた。

しかし告白した後シンジに注意され、

それ以降はシンジと始めて会った時のワンピースや、

袖のあるシャツなどを着ていた。

今日は襟の深いTシャツとひざのちょっと上のところまであるズボンという格好だった。

テレビではどうやら紅白が終わったようだ。

今回は白が圧勝だった。

アスカはそのまま番組を回さずボーっと見ていた。

シンジはため息を吐いてアスカに寄りかかった。

テレビは寺の鐘を映していた。


「もう少しで鐘が鳴るね。」


シンジがそう言うとアスカはただこくんと首を縦に振るだけだった。

シンジが顔を覗くとアスカは顔を真っ赤にしていた。

シンジはにっこりと微笑むとアスカに寄りかかりながらテレビを見ていた。

テレビで鐘が鳴り始めるとシンジはアスカから離れると、

テレビを消してベランダに出た。


「シンジ?」

「アスカ、来てごらん。」


アスカはそう言うと首をかしげながらシンジに近づいた。


「どうしたの?」

「静かに。

耳を澄ましてごらん。」


アスカは言われた通り耳を澄ますとかすかに鐘の音が聞こえる。


「聞こえた?」


アスカは何も言わず首を縦に振った。

シンジはアスカをつれて部屋に入ると、


「アスカ、あけましておめでとう。」


と言った。


「おめでとう・・・でいいの?」

「うん。今年もよろしくお願いします。」


シンジはそう言うと頭を下げた。

アスカもそれに習ってお願いしますと頭を下げた。

その反応が小さな子供のようでシンジは笑ってしまった。


「笑わないでよ、初めてなんだから。」

「あれ?向こうではしないの?・・・あ、ドイツに除夜の鐘なんて無いか。」

「それもそうだけど・・・明けて行き成り言われるのが初めてなの!

そりゃ朝になってから言った事はあるけど・・・。」

「そうなんだ・・・ごめんね、笑って。」

「ううん、良いの。さ、寝よ!」


アスカはそう言うとシンジの抱き枕を持ったまま自分の部屋に行った。

シンジはあわててアスカの部屋に行こうとするが、

中でどうやら着替えているらしく入る事はできなかった。

アスカは着替えると自分の布団とシンジの抱き枕を器用に持ってリビングに出てきた。


「ど、どうしたの?」

「一緒に寝よ。ユニゾンの時みたいに。」

「え、ええ!!」

「駄目?」

「いや、駄目とかじゃなくて。行き成り?」

「うん、シンジの抱き枕良い匂いがして離したくないんだもん。」


アスカはそう言うと抱き枕をギュッと抱きしめながら枕に顔を埋めた。


「ふう〜、わかったよ。明日は出かけるんでしょ?早く寝よ。」


シンジはそう言って、

自分の部屋から布団を持ってくるとアスカの隣に敷くと、

枕をアスカから取り戻すとさっさと布団にもぐりこんだ。

布団はアスカの布団と少し間が開いていてアスカはそれに脹れたがシンジは寝てしまったので、

仕方なくアスカはシンジの布団を自分のとくっ付けて眠った。

アスカは寝る時にシンジの右手を握っていた。













シンジが目を覚ますとアスカの顔がすぐ傍にあった。

あわてて自分の状況を確認すると別にやましい事は無いと解り、

シンジはほっとため息を吐くと起き上がろうとした。

しかしアスカに手を握られている為に完全に起き上がる事はできなかった。

シンジは苦笑するとアスカの顔を覗きこんだ。

アスカは完全に寝ているらしく、幸せそうな顔をしていた。

シンジはため息を吐くとアスカを起こさないように手を離すよう試みたが上手くいかなかった。

そんなことをしているとアスカは目を覚ました。


「おはよ・・・。」


アスカはシンジの右手を掴んだまま、握ってない方の手で目を擦りながら言った。


「おはよ。さ、朝の支度しなくちゃ。」

「あ、私も手伝う。」


アスカはそう言って立ち上がったがまだシンジの手を握っていた。


「あの、手をつないでると何もできないんだけど・・・。」

「え?・・・あ、ごめん。」


アスカはそう言うとようやく手を離した。

シンジは昨日までに準備していたおせち料理を重箱に盛り付け、

アスカはそれを机に運んだり盛り付けを手伝ったりした。

アスカとシンジが盛り付け終わってもミサトは姿を現さず、心配してネルフに電話した。

ネルフに電話するとミサトは昨日酔いつぶれていまだに寝ているそうだ。

シンジはそのことをアスカに伝えるとアスカは思いっきりあきれていた。

アスカは朝食をシンジと食べた後、ミサトが予約した美容院にシンジと一緒に行った。

アスカはその入口でシンジを待たせると美容院に入って行った。

シンジは15分、美容院の前で待っていた。

その顔に不満は無かった。


「シンジお待たせ〜。」


そう言ってアスカは晴れ着姿でシンジの前に現れた。

シンジはその場で固まった。


「シンジ?」

「・・・」

「もしかして変?」


シンジは思いっきり首を横に振った。


「全然!少しも変じゃないよ!!」

「そ、そう?」

「うん・・・やっぱりアスカって凄いや。」

「何が?」

「だってそれ着てるとクウォーターなのに全然感じさせないもん。

ううん、逆なだからこそって感じなのかな?思いっきり似合う。」

「ほ、ホント?」


シンジは答えず今度は縦に首を大きく振った。


「それじゃあさ。」


アスカはそう言いながらシンジの腕に自分の腕を絡めた。


「な、何?」

「初詣ってのに行くわよ。」

「う、うん・・・。」


シンジはそう言いながらちらちらとアスカの方を見ながら歩いた。

アスカはシンジが自分の方を向くたびに笑って見返していた。

その日は元日だけあって神社は込んでいた。


「わ〜結構人がいるのね。」

「うん、思ったよりも多いね・・・どうしようか?」

「行くんでしょ?けどなんかはぐれそうね・・・そうだ。」


アスカはそう言うと抱きついているシンジの手をギュッと掴んだ。


「アスカ?」

「こうすればはぐれないでしょ?・・・しっかり掴んでおいとくのよ。」

「うん、解ったよ・・・努力します。」


シンジはそう言うとアスカの手を握り返した。

二人ははぐれる事無く賽銭の前まで着いたがそこにたどり着くまでに30分かかった。


「ええと、まずお金を入れて。

その後この鈴を鳴らして・・・そうそう。

そしてこうゆうふうにするんだ。」


アスカはシンジの言う事を忠実に守り、日本で初めての初詣をした。


「あ、おみくじがある。アスカ、やっていこうよ。」

「おみくじ?」

「うん、あ、おみくじ中学生2枚ください。」


シンジは神主の人にそう言うと神主の人は手に持っている気の箱をジャラジャラと振った。


「君が25番でそっちの彼女は18番ね。」

「はい・・・はい、アスカの分。」


シンジはアスカにおみくじを渡すと二人でせ〜のでおみくじを開いた。


「・・・」

「・・・」

「・・・どうだった?」

「・・・これって、悪いんだよね?」


アスカはそう言いながらシンジおみくじを見せた。

おみくじは凶だった。


「・・・うん、けど一番悪いわけじゃないよ。

えっと何々、『健康に気をつけると吉、恋は実るが慎重にしないと破局する。

物事は好転しないが立ち回り方によって変わる』・・・。」

「・・・つ、つまり!慎重に動き回っていれば良いってわけね?」

「そうだね・・・。」

「シンジのはどうだったの?」

「僕の?小吉だよ。

『今年一年健康は気にしなくても大丈夫、恋は実るが受身だと良くない。

物事は上手くいっている様で慎重にしないと最後にどんでん返しがあるので注意』だってさ。」

「最後にどんでん返し?」

「なんだろ・・・まあいっか。じゃあそのおみくじをあそこの枝にくくりつけるよ。」

「へ〜・・・けどもって帰っている人もいるわよ?」

「あれは大吉の人、凶や小吉の人は悪くならないように厄落としをするんだ。

それが枝におみくじをつけることなの。

そして大吉の人はそれをお守りに大事に持って帰るんだよ・・・・確かね。」

「ふ〜ん。」


シンジとアスカはおみくじを枝につけるとまた腕を組んで家に帰った。

そして家の玄関で年賀状を回収、ミサトの分はリビングに置いて二人は仲良く昼食を食べた。

朝食はご飯におせちだったが、昼食はお雑煮だった。

二人はわいわいとしゃべりながら食べ、二人仲良くあと片付けをした。

その後アスカは着替えてシンジと協力して着物をたたみ、

二人は寄り添うように座って二人して外をボーっと見ていた。


「シンジ。」


アスカは外を見ながら言った。

「何?」

「こう言うのもいいわね。」

「そうだね。」

「ねえシンジ。」

「何?」

「今年もよろしくね。」

「うん。」

「・・・」

「・・・」

「ねえアスカ。」

「なあに?」

「ちょっとこっち向いてよ。」


アスカはシンジの方を向くとシンジはアスカにキスをした。


「今年初めてのキス・・・ってなんかに合わないね。」

「・・・」


シンジは照れたように笑ったがアスカは固まってしまった。


「アスカ?」

「・・・」

「もしかして怒った?

そしたらごめん、誤るよ。」

「・・・」

「ただなんとなくしたくなって・・・アスカ?」

「・・・ふぇ?な、何?」


どうやらアスカは固まっていたと言うよりトリップしていたようだ。


「大丈夫?どうしたの?」

「な、なんでもない・・・ただ行き成りシンジがキスしたから、

その、ビックリしただけよ。」

「そうなの?ごめんね。」

「シンジが誤るような事じゃないわよ・・・けど嬉しいな。」

「え?」

「だってシンジからキスしてくれた事なんて無かったじゃない。

いっつもあたしからだったでしょ?」

「・・・そうだっけ?」

「そ。それだけに今のはかなり嬉しかったわ。」

「喜んでくれるとこっちも嬉しいよ。」


シンジはそう言うと微笑んだ。

アスカはその顔を見てまたボーっとした。


「アスカ?」

「・・・あ、なんでもない。」


シンジがこちらを怪訝そうに見ているのに気がつくとアスカは顔を背けた。

そしてシンジに体を預けるとまた外を見た。

シンジはしばらくアスカを見ていたがやがてシンジも一緒に外を見た。

ただアスカの肩をシンジが後ろから抱くようにしてだが。


「こんなふうに毎日すごせたらいいね。」

「そうね・・・。」


二人は自称保護者の反面教師が帰ってくるまでそのままボーっと外を見ていた。

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あとがき

作者>さあやってきました時期ネタ第2作!
レイ>・・・今日って確か・・・
作者>・・・わわわ!言わないで!
レイ>・・・どうしてこんなに遅れたの?
作者>それにはいろいろと訳があるんだよ、レイ。
レイ>PCが壊れたから?
作者>うん、それもある。
レイ>・・・私は出てないのね。
作者>レイの事はかなり好きなんだけど出すとまだアスカ君との事でやりにくいから。
レイ>・・・そう。
作者>まあもしこれも良かった続きを書くから、その時には出すよ・・・多分。
レイ>・・・無理はしないでね・・・
作者>ありがと、そう言ってもらえるとやりやすいよ。
レイ>次は何を書くの?
作者>・・・そうだな〜・・・バレンタインデーかな?
レイ>・・・かなり先ね。
作者>まあそう言わずに。どうせ今まで時期物で行ったんだから、
一応このまま行こうかと思ってるんだ。
レイ>そう・・・
作者>あ、そうだ。後言い訳だけど30日から2日まで実は熱出していたんだよね。
だからさらに遅れちゃったんだよ。
レイ>体に気をつけてください。
作者>ありがと。さて、これくらいでいいかな?
レイ>そうね。ここまで読んでくれた人、ありがとうございました。
作者>ご意見、ご感想、アドバイス等ありましたらどしどしメールにて受け付けます。
レイ>それではこれで・・・
作者>会えれば次の作品で会いましょう!!


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beruga02@iris.ocn.ne.jp

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