これは『聖なる夜に、一つだけ』、『トシを越えて』『バレンタインデー』の続きです。

多分読まなくても大丈夫だと思いますが、できれば読んでください。
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繋げて(ホワイトデー)


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「う〜ん・・・・何にしようかな〜?」


碇シンジは悩んでいた・・・・スーパーの食品売り場の前で。

今日は(何時も)シンジは食事当番だ。

彼の恋人惣流・アスカ・ラングレーも今年に入ってから手伝ってはくれるが、

まだ一人で料理をするにはおぼつかない。

それに今の状況では料理所ではないだろう。

バレンタインデーより数日後、使徒の侵攻があった。

その使徒とは第15使徒アラエル・・・衛星軌道上よりATフィールドを光に変え、

チルドレンの記憶を漁りその影響で精神汚染するあれだ。

シンジの初号機は凍結中、レイの零号機はアスカの弐号機同様ぎりぎりで整備がまにあった。

まずアスカが出て、そのすぐ後からレイが使徒と戦う為に発進した。

そして結果だが、レイの槍の投擲により何とか撃破した。

アスカは使徒の光を直接浴び、精神汚染ぎりぎりまで行ったが何とか持ち直した。

なぜならばアスカはシンジが必死にアスカを助け様としているのが解ったからだ。

もし日本に来たままのアスカなら、エヴァに頼りきったアスカならここで壊れていただろう。

しかし今は違う。

どちらかと言えばエヴァよりもシンジに対して頼りきっていると言って良い。

そしてシンジがアスカの事を気にかけている限り、アスカは自分を見失うことはないだろう。

しかし、それと使徒との攻撃とは別だ。

アスカは使徒との戦いの後、外見こそ健康だったが精神はボロボロだった。

シンジはそれに敏感に反応、とまではいかなかったがアスカを支えようと、

入院しているアスカに着きっきりだった。

そのかいもあってアスカは2月下旬に退院した。

今では何とか何時もと同じように生活ができる様になっているが、

それでも時たま精神が不安定になる事がある。

リツコの話によると一次的な物で時間が経てば無くなると言っていて、

その話通り不安定になる間隔が広がってきていた。


「そう言えばハンバーグってしばらく作ってないな〜・・・よし。」


シンジはそう言うとなにやら買い始めた。










「ただいま〜。」

「あ、おかえりなさ〜い。」


シンジが帰宅するとアスカが台所から玄関に駆け込んできた。

これはアスカが告白(自爆)した次の日からほぼ毎日行っている。

このように出迎えない時というのはアスカとシンジが一緒に帰ってくる時と・・・

アスカがいない時だけっだ。


「さ〜て、今晩は何?」

「うん、久しぶりにハンバーグにしようかなって思ってるんだ。」

「やった〜。じゃ・・・えと、なに出せばいいの?」

「ボールにまな板包丁とフライパンとかだね。」

「りょ〜か〜い。それじゃあたし先やってるから。」


アスカはそう言うとシンジが買ってきた荷物を半分持って台所に行った。

この行動は今年に入ってからよく見られる行動でシンジは最初はいぶかしんだが今ではもうなれている。

シンジは荷物を置いて台所に行ってアスカと一緒に料理を作った。

できは上々で見た目もよかった。


「それじゃ席について食べようか。」

「うん。」


シンジはそう言って席に着くとアスカはその隣に陣取った。

入院前は向かい合って食べていたのだが現在はこのように隣り合って食べたり、

向かい合ったりしていた。

シンジは始めこそ意識していたが今ではどちらに座ろうと無難に対応できるようになった。


「それじゃシンジ、あ〜ん。」


しかしこの攻撃にはいまだなれない。

よくやっているのではなくランダムにやってくるので、

シンジもいつ来るのかと毎回の様に警戒している。

この行動も入院後に出てきていて、シンジは毎回照れながらも何とか応え様としている。


「あ、うん・・・あ〜ん。」

「はい。・・・ねえおいしい?」

「うん、美味しいよ。それじゃ今度は僕からだね、はいアスカ。あ〜ん。」


そしてアスカがこの様な行動した後必ずアスカはシンジに同じ様な事をさせようとするので、

この事についてはシンジは慣れてしまった。

その後二人は時間を掛けて夕飯を食べた。

ミサトはアスカが退院してからしばらくしてどんなに早く帰ってくる時でも、

シンジ達が夕食を食べて片付けを終えてひと段落着いてから帰ってきている。

シンジが何でそうするかと訊くと、


「だって流石にああまであてられたくないわよ。」


だそうだ。

シンジは何でそう言っているのか解らなかったがミサトはどうしてもと言うので了承した。

ついでに後片付けが終わったらメールすると言う約束をミサトが提案し、シンジはそれも了承した。

シンジは後片付けをアスカと一緒にやり終えるとミサトにメールした。

するとしばらくアスカとテレビを見ているとミサトから電話が鳴った。

どうやら今日は遅くなるらしい。

話によると加持とホワイトデーの事を話し合うそうだ。

シンジは電話を切るとアスカに報告した。


「ねえ〜シンジ?あたしのホワイトデーのプレゼント何にしてくれるの?」


アスカはシンジへの返事の変わりにそう言った。

シンジはそれに秘密とだけ答えた。

実際シンジは時たま自室やネルフの男子更衣室でなにやらやっているようだ。

アスカは3月になってからチョクチョクこういうふうに訊いてきた。

しかし毎回シンジは秘密で通している。

シンジがなにやらやっているのでアスカもそれ以上は訊かない。

二人はしばらくテレビを一緒に見た後それぞれの部屋で寝た。






それから幾日か経ち、とうとうホワイトデーの日。

アスカは珍しく早起きをしてシンジの寝室に来ていた。

時間はまだ4時半、

いくらシンジが朝の支度をしているからと言ってもこの時間にはまだ起きていない。

アスカは慎重にシンジが起きないようにベットの中にするりと入ると、シンジの顔を覗きこんだ。

シンジは気付いて無いようですやすやと気持ちよさそうに眠っている。

アスカはその顔をシンジが起きる時間数分前まであきもせず眺めていた。

そしてアスカは目覚ましの時計が鳴る前にシンジにキスをした。

シンジはしばらく苦しそうにしていたが、ちょっと経ってからぱっと目を開いた。

アスカはキスをしたまま目で笑うとシンジは行き成りアスカを離そうと手を押しのけたが、

ここはお約束か、その手は肩では無くて両方の胸を押していた。


「あん、シンジ〜。まだ私達はそれは早いよ〜。」


アスカはシンジに抵抗する事無くはなれたが甘えた声で起き上がったシンジにすり付いてきた。


「あ、ああアスカ!な、何して・・・・・・してる・・・の?」


シンジは自分がアスカの胸を押さえている事に気付いてぱっと手を離してどもりながら訊いた。


「勿論シンジをおはようのキスで起こしてんの。

何時もシンジがしてくれないからあたしが起こしてあげたんだよ?」


アスカはそう言うとまいったかという様な顔でシンジを見つめた。


「そ、そう。ありがとう。」


シンジはそう言いながらすり寄ってくるアスカをやさしく引き剥がすと、

先に朝食の準備をするようアスカに頼んだ。

どうやらアスカはシンジの着替えを見物するつもりだったらしく、

頬を膨らませたが結局の指示に従った。

シンジはアスカが出て行くのを確認してため息をつくと自分も急いで着替えた。

シンジは着替えた後アスカに見つからないようにそっとミサトの部屋に入って、

プレゼントを置いておいた。

その後シンジとアスカは何時もどおり朝食をとって学校に行った。







そして時間は飛んで昼休み、屋上にシンジとアスカの二人がいる。

他のメンバーは退院したばかりのトウジとヒカリは屋上の別の場所、

ケンスケは教室で携帯をいじっている。


「それでシンジ、いつになったら渡してくれるの?

ホワイトデーのプレゼント。」


二人の側には食べ終わった弁当箱がちゃんと片付けて置いてあった。

アスカはそう言いながらシンジに寄りかかっている。

シンジはそれに苦笑するとアスカの頭を撫でてこう言った。


「今日家に帰ってからね。

それに今日はミサトさんも帰ってこないみたいだし・・・その隙に渡すよ。」

「・・・解ったわ。楽しみにしてるからね、シンジ。」


アスカはそう言うとシンジにされるがままになった。

その顔はとても気持ちよさそうだった。

二人はそのまま時間が来るまでそうして昼休みを過ごした。







放課後、アスカはシンジと連れ立って教室を出て行った。

トウジとヒカリはその前に一緒に出て行ったし、

残るケンスケはなにやら一人でゲーセンに行くようだった。


「それにしてもミサトのやつ、今日はどうせ加持さんの所にいったんでしょ。」


アスカはそう言うと言葉とは裏腹に嬉しそうに言った。

けど実はシンジがミサトに頼んで家を空けてもらったのだが・・・


「そうだね、話だと今日は帰ってこないみたいだし・・・。」

「まったく、思春期の二人を残してなにやってるんだか、ミサトは。」

「まあまあ、それより早く帰ろう?」

「・・・・そうね。」


アスカはそう言うと嬉しそうにシンジの腕を組んで家に向かった。

シンジはそんなアスカを苦笑しながら立ち止まって見ていた。


「ほら、行くんでしょ?」


アスカはそう言うと組んだ腕を引っ張った。













部屋に帰ってアスカはシンジを手伝って料理をしていた。

どうやらこれがお返しという訳ではないようなのでアスカが手伝うというと快くシンジはOKを出した。

アスカはプレゼントはなんだろうと冷蔵庫を開けたりしたがそれらしいものは見当たらなかった。

アスカは首を捻るとシンジに言われた食材を取り出して冷蔵庫を閉めた。

その日は普段より量は少なかったが質はとても高く、

使っている食材も普段のものより値が張る物が多かった。


「へ〜今日は豪華じゃん。」

「うん、ミサトさんに頼んでね。さ、それより食べよ?」


シンジがそう言うとアスカは向かい合って座った。


「あれ?今日はいいの?」


シンジはそういいながら隣の席を指差した。


「今日はね。さ、それより早く食べよ。」


アスカはがそう言うとシンジは頷いて二人で夕食をとった。

食べた後普段通り片づけをしてリビングでアスカはテレビを見ていた。

とシンジが自分の部屋からなにやら箱を持ってきた。

大きさは大きくは無く、シンジの胸の幅より小さく一人でも運べるぐらいの重さのようだ。


「なによ?それ。」

「バレンタインデーのお返しの一つだよ。」


シンジはそう言うとその箱をテーブルに置いた。

そして中を開けるとそこには2人前ぐらいの大きさののショートケーキが一個あった。


「へ〜・・・こんなもんどこから持ってきたのよ?」

「うん、実はミサトさんに頼んで今日の昼間僕の部屋に運んでもらったんだ。

勿論冷蔵庫の変わりに冷却用の箱の中に入れてね。」

「ふ〜ん。一つって事はまだあるのよね?」

「それはまた後で、まずはこれ食べよ?」


シンジはそう言うとケーキを指差した。

シンジが分けて二人で食べると、ケーキがとても美味しいのにアスカはびっくりした。


「ちょっとシンジ、これどこで売ってんのよ?」

「へ?このケーキ僕が作ったんだよ?」

「う、嘘・・・。」


アスカはそれを聞くとしばらくその場で固まった。


「ほら、昨日とかはシンクロテストがあっただろ?

その時にミサトさんとリツコさんに無理言って作らせて貰ったんだよ。

まもっとも下地はほとんど作ってたからそんなに時間は掛からなかったけどね。

これ美味しい?」


シンジはそう言うとアスカは固まったままこくんと首を縦に振った。

それを確認してシンジは照れたように笑うと二人でケーキを食べた。


「よかった、夕食を少なめにしておいて。」

「確かにね〜。流石に甘いものは別腹でもこれを普段の夕食の後ってのはきついわね。」

「うん。けど結局二人で食べちゃってね。」

「まあそこまで大きくなかったからじゃない?

さてと、他にもプレゼントがあるんでしょう?」


アスカはそう言うとシンジの目をじっと見つめた。

その顔は思いっきり期待に満ち、目もきらきらしていた。


「うん・・・アスカ、これ。」


シンジはそう言うと細長い小さな箱をアスカに渡した。


「何よこれ?開けていい?」

「いいよ。」


シンジの返事を聞いてアスカが開けると中には短めのチェーンがあった。


「・・・これは何?」

「うん、これはなんとかって言う金属で出来た肩こりとかをほぐす磁気を発する・・・

ええ〜と・・・。」

「あ、それは・・・って言ってもシンジは解らないか。」

「ごめん。」

「別にあんたが謝る必要なはないのよ。普通の中学生が知ってるようなもんじゃないから。」

「う、うん。」

「・・・・・・けどこれ妙に手作りっぽいんだけど?」

「うん、リツコさんに言って自分でつくれるように加工してもっらったんだ。

それとこれは留め金が無いからその代わりにこれね。」


シンジはそう言うと小さな南京錠を出した。


「これが留め金?」

「うん、鍵をかけるタイプなんだ。」

「ふ〜ん・・・ねえ、ちょっと着けてみようか?」

「うん。あ、僕がやるよ。」


シンジはそう言うとアスカからチェーンを受け取ってアスカの首に手を回した。

アスカはその仕草でドキッとしたが、抵抗せずにされるがままになった。

シンジはアスカの首にチェーンを通すと、

前のほうに途切れた部分を持ってきて小さな南京錠でつないで鍵を掛けた。


「は、できたよ。」


シンジはそう言うとアスカは鏡で自分お姿を見た。


「・・・へ〜。あんまり目立たないのね、これ。」


アスカが言うように変に南京錠が目立つ事無く、

どちらかというとじっと見ないと解らないほどよく馴染んでいた。


「どう?気に入らなかった?」

「ううん。あ、けどこれって。」


アスカはそう言うとそのままチェーンを上に上げた。


「やっぱり。これって自力じゃはずせない長さじゃない。」

「うん、それでこの鍵は僕が預かってるからね。」


シンジはそう言うと小さな鍵を大事そうに、

ポケットの中に入っていた小さな箱に入れてポケットに戻した。


「ちょ、ちょっと。それじゃあたしが自分の意思でこれは外せないって事?」

「うん。あ、けどそれって防水加工とかもされてるから、

お風呂の時なんかでも気にしなくて大丈夫だよ。

それとエヴァの中でも大丈夫だってリツコさんが言ってた。」

「け、けど・・・。」

「あ、やっぱり気に入ってくれないかな?」

「別にそんなつもりは無いわ!・・・無いけどさ。」

「な、何?」

「なんかあたしがあんたに繋がれてるって感じなんだけど。」

「そ、そう?」

「シンジ、もしかして。」

「え?」


アスカはそう言うと黙ったままシンジ顔に自分の顔を近づけた。


「ど、どうしたの?」

「あんた実はこれってあたしが他の奴になびかない様に、

繋ぎ止めておくとか考えてんじゃないでしょうね?」

「う・・・。」

「・・・・どうやらその様ね。」


アスカが勝ち誇ったように言うとシンジは逆に顔を伏せた。


「ま、別にいいけどね。」

「え?」


今度は逆にシンジは顔を上げてアスカを凝視した。


「別にあんたに繋ぎ止められても良いって事よ。

そ、それにあたしはシンジ以外の奴なんかになびくなんて有り得ないし・・・・。」


アスカはそう言うと顔を真っ赤にしてそっぽを向いた。

シンジはそんなアスカをまだじっと見つめていた。

アスカはそれに気付くと咳払いをして向き直ってから言った。


「さ、それより今日は遅いからもう寝ましょ?あたしのご主人様のシンジ。」

「え?ご主人様?」


シンジはキョトンとした顔でアスカを見返した。


「そ、なんたってこのあたしに戒めを付けるのなんてシンジしかいないもん。

それに奴隷って鎖につながれて自分じゃ外せないでしょ?

だからあたしはシンジの奴隷。こうんな美少女が自分一人の物なんてシンジも幸せ者ね〜。」

「べ、べつに僕はそんなつもりじゃ!」

「わかってるわよ、シンジ。」


シンジが慌ててそう言うとアスカは微笑みながら静かに言った。


「あんたがそんなつもりがないのは知ってるわ。

けどさ、これがある限りあたしはシンジの側にいられる。

ううん、側にいなくてもシンジを感じられる物になるのよ。

なんたってあんたからのプレゼントだもん。

ねえ知ってた?シンジがこの前くれたネックレス、大事にしまってあんのよ?」

「あ、そうなんだ。嬉しいよ。」

「ま、けどあっちは普段はつけないけどね。ねえシンジ。」

「何?」

「今度どこかに行きましょ?その時にあっちの方もつけるから。」

「え?無理しなくて良いよ。」

「無理じゃないの。それにこっちのほうはほとんど目立たないでしょ?」


アスカが言うとおり鍵付きのチェーンはあまり目立つ事はなかった。


「さ、寝ましょ?」

「そうだね。」


シンジはおとなしくアスカの言う事を聞いて自分お部屋に戻った。

その夜アスカはシンジから貰った鍵付きのチェ−ンを嬉しそうにいじっていた。


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あとがき


作者>ふう、ようやく終わった。
レイ>私の事は一言もないのね。
作者>すみません。まあ最初からそんつもりでしたけど。
レイ>それよりこれからどうするの?
作者>う〜ん・・・シンジ君の誕生日までは時間があるしな〜。
レイ>そうじゃなくて私の相手。
作者>お相手はもう決まってます。
ついでに登場は上手くすれば次回、出来なければその次あたりには・・・
レイ>・・・誰?
作者>それは秘密です。
さてと、ここまで読んでくれた読者の皆さんに感謝いたします。
レイ>ご意見等ありましたらメールにて・・・
作者>それではまた次の話で・・・・いつになるかは不明ですが(笑


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