これは『聖なる夜に、一つだけ』、『トシを越えて』、『バレンタインデー』、

『繋げて(ホワイトデー)』の続きです。

多分読まなくても大丈夫だと思いますが、できれば読んでください。
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誕生日に


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惣流・アスカ・ラングレーは鼻歌を歌いながら明後日の自分の恋人、碇シンジの誕生日用の、

レシピを料理本から探がしている。

もうシンジへのプレゼントは決まっているようで時よりそれが入っている机の引き出しを眺めては、

思い出し笑いをするということを繰り返している。

それはシンジが朝食の準備ができてアスカを呼ぶまで続いた。

この世界ではサードインパクトは起こったかどうか誰にもわかっていない。

ただ、『空白の1ヶ月』があるというだけで。

そしてその空白の1ヶ月を知っているのはシンジ、アスカ、綾波レイ、のほかに数人いる。

シンジとアスカは毎日少し速めに登校している。

これはシンジが告白してしばらくしばらくしてからほぼ毎日続いた。

学校に着くとそこにはレイと数人のクラスメイトがいた。


「おはよう、レイ。」

「おはよう、アスカ。」


アスカはシンジが恋人となった時からレイとも仲良くしようと<シンジに言われて、だが>したのだが、

結局その前にゼーレとの戦いになってしまった。

まず順応って説明しよう。



ホワイトデーからしばらくして、第十六使徒アルミサエルが現れた。

司令部はこれに対し前回の愚は犯さないとでも言うようにエヴァ3機を同時に投入した。

しばらくにらみ合いをした後、リツコがATフィールド3つを三角形に見立て、

使徒を中心に展開しそれぞれをスライドさせ、その三角形の面積を狭め、押しつぶす作戦を立てた。

回転を続けていた使徒はある程度まで体を縮めたが最後はあっさりプチッと千切れ、爆発した。

そして最後の使徒、第17使徒ダブリスはシンジとアスカの間に入ろうとしたがそれはかなわず、

意気消沈し、レイによって葬られた。

その後ゼーレとの戦いは初号機と弐号機が応戦したが、結局は敗れ、サードインパクトは起きた。

そうサードインパクトはちゃんと起きたのだ。

その中心でシンジはアスカが蘇る事を望み、二人は浜辺で意識を取り戻した。

シンジとアスカが呆然としているとどこからか足音が聞こえてきた。






「私達・・・どうなんだろう?」

「・・・・僕が、僕が。」

「あ、シンジは悪くない!たとえ世界中がそう言おうとも私はシンジの味方だから!

だから・・・だからそういう事は言わないで・・・・ね?」

「でも・・・・うん。」


シンジはそう言うと顔を伏せた。丁度その時二人の後ろから足音が聞こえた。

それにアスカは最初に気付き、バッと後ろを見た。

そこには一人の少年が立っていた・・・・シンジは後ろを振り向き絶句した。

この世界には自分達二人しか人としての形なすものはいないと思ったからだ。

少年はしばらく湖畔に半分顔を埋めたレイを見ていたが、その後そっと視線をはずした。


「あんた、誰よ。」

「まずは自分が名乗るのが礼儀ってもんだろ?」


少年はそう言うと肩をすくめた。


「僕は碇シンジ。君はどうやってココに来たの?」

「あたしは惣流・アスカ・ラングレー。名乗ったんだからそっちも教えなさいよ。」


二人はそれぞれ名前と言いたい事を言った。


「俺の名はユウスケ、長田ユウスケだ。どうやってと訊かれても歩いてとしか言えない。」


少年、ユウスケはそう言うとその場にドカっと座った。

ユウスケは体つきはよく背も高いが顔立ちは普通といったところだ。


「それじゃ俺から質問があるんだが・・・」

「なによ?」

「何で綾波があんなに大きくなってしかも半分沈んでるんだ?」

「それは・・・」


シンジはそう言いよどんだが、意を決したように今までのことを説明した。

ユウスケは説明が終わるまで静かに聞いた。

といってもシンジ一人では説明は難しいのでアスカも協力したが。


「ちょっと訊きたいんだけど。」


アスカが説明を終わったあとユウスケに訊いた。


「何だ?」

「何であんたがファース・・・綾波レイの事を知ってんるのよ?」

「え?・・・あ、そういえば。」


アスカの疑問でシンジは始めて気付いた。説明の前にユウスケが『綾波』といっていた事を。

ユウスケはその場から立ち上がって言った。


「簡単だね、流石にあそこまでインパクトのあるクラスメートをそう簡単には忘れないだろう?」

「クラスメート?」

「ああ、俺は一年の夏までは第3にいたんだ。」

「そうなんだ。」

「だよな、綾波。」


ユウスケはそう後ろを向いて言った。そこにはレイとダブりス、いや、渚カヲルがいた。


「・・・。」

「君は凄いね、どうやって僕らがここにいるって解ったんだい?」

「カヲル君・・・。」

「久しぶりだね、シンジ君。」

「う、うん・・・。」


綾波は沈黙、シンジは突然のカヲルの復活に戸惑っていた。

アスカはシンジを取られまいとしているのかシンジの腕をギュッと抱きしめた。


「何、ちょっと俺も武術をかじったことがあってね。

そのおかげで周りにいる人数を把握できるようになったんだ。

まあ最もここは波以外は静かだから余計わかるがな。それとあれだ。」


ユウスケはそう言って湖を指差した。

そこにはただ水平線が広がっているだけだった。そう、水平線だけが。


「あれ?消えた?」

「らしいな、瞬間は見なかったが・・・。」


シンジは呆然と呟き、その呟きにユウスケは答えた。

その後ユウスケがこれからどうするかと4人<シンジ。アスカ、レイ、カヲル>に訊くと、

レイとカヲルはシンジしだい、アスカはみんなといるほうがいいと言いシンジもそれに同意した。

ユウスケはそれを黙って聞いたが少し考えるようにした後こういった。


「なあ・・・どうせなら使徒も人として蘇らせないか?」


これにはシンジ、アスカだけでなくレイやカヲルも驚いた。


「それは可能なんだろ?綾波?」


ユウスケはかまわずそうレイに言うとレイはこくんと頷いた。


「それと帰りたくないやつは返さなくてもいいと思うぞ?」

「けど・・・。」

「ま、そういうのは任せるわ。元々俺は・・・・部外者に近い立場だからな。」


ユウスケはそう言うとその場で伸びをしてシンジ達から少しはなれて座り込んだ。

アスカはそれに憤慨したがシンジは俯いて何か考えていた。

それからしばらくしてシンジはアスカと何か相談、レイ、カヲルもそれを聞いて、みんなで頷いた。

ユウスケはどうやら座ったまま眠っているようだ・・・。

アスカはそれにあきれると起こそうと近づいたが、後数歩というところでユウスケはふっと目を開けた。

その後ユウスケにもシンジの提案した内容を言うと「いいんじゃねえの?」と言ってその後は黙り込んだ。

その後しばらくして辺りは光に包まれた。




ゼーレとの戦いの後、

きっかり一ヶ月間誰も意識はなかったが一ヶ月経った事を教えてくれるものはあった。

時計と大地からである。

この事実に世界は一度困惑したが目立った混乱はなかった。

それより数千人の失踪者と、全世界規模で怪我、病気の人が直っていた事にみな驚いた。

そんなこんなで、人々は困惑しながらも日々を過ごしている。





「おはよう長田君、毎回早いね。」


シンジはそうユウスケにいった。

世界が元に戻った後、ここ第3新東京市は本来の首都としての機能を果たし始めている。

ユウスケはその首都に引っ越した人の一人であった。

年齢も同じぐらいの彼はそのままシンジたちの学校に転入、クラスメイトとなった。


「おはよう、ま、習慣でね。気分いいぜ?誰もいない教室に入るってのは。」

「そ、そうかな?」

「ま、人それぞれだ。お勧めはしない。」

「当たり前よ!あんたどうせ今日も7時には学校にいるんでしょ?」


シンジと話しているとアスカが会話に割り込んできた。その後ろにレイもいる。


「よく解ったな。ついでにここに到着したのは・・・・確か6時50分だったかな?」

「・・・あんた異常よ。そう思わない?レイ。」

「ええ、私だってここに来たのは7時半過ぎ。それより早いなんておかしい。」


レイは容姿は変わらないが遺伝子は完全に人のそれになっていた。

そのレイは今元使徒の数人と同居している。

使徒はレイを含め17人、そのうち女性は9人、これを半々に分けて暮らしている。

残りの男8人はこれも二つに分け、別々の部屋に入っている。

住んでいる場所は全てネルフ本部の寄宿塔、レイもそこで過ごしている。

ネルフはほぼ全ての人が戻ってきたがネルフの最高責任者碇ゲンドウは戻ることはなかった。


「そう言えばあいつは・・・また何時ものか?」

「はい・・・。」


この学校に通っているのはレイやカヲルだけでなくもう一人いる。


「けど・・・あの元気は凄いわよね・・・・。」

「え?そうかな・・・。」

「いや、俺もまったく同感だ。あそこまで凄まじいと台風といっていいかもしれん。」

「長田君、それは・・・。」

「碇はそうは思わないか?

なんせこの学校であいつのテンションに着いて来られるのなんていないんだぜ?」

「けど台風は・・・・・そうかも知れないわね。」

「あ、綾波まで何言ってんだよ。それじゃカヲル君が可哀想だよ。」

「それにはまったく同感だ・・・二人とも同じだろ?」


ユウスケがそう言うとレイとアスカは重々しく頷いた。

その後シンジはケンスケとトウジと、アスカはヒカリ、マユミと、

レイとユウスケは自分の机に座って開始のベルを待った。



「みんなおっはよ〜〜〜♪」

「おはよう、みんな。」

「お、ようやくにぎやか夫婦がきおったか。」

「毎回ぎりぎりだね〜、ん?渚大丈夫か?」


上から髪の毛の色が紫がかったの黒く長い髪の少女、渚カヲル、鈴原トウジ、相田ケンスケだ。

さて、この元気一杯の少女は名前をルゼ=エファル=ルーベット・・・名前からはちょっと解らないが、

第14使徒ゼルエルの転生した姿だ。

14歳の姿をしているが格闘全般が得意で、頭もそこそこよく、カヲルにべた惚れの少女だ。

他の元使徒は年齢は最低でもマヤぐらいなのだが、ルーベットはシンジ達と同じぐらいだった。

さて、そのカヲルは最初レイにアタックしていた様だが結局ルーベットのほうで落ち着いた。本人曰く、


「彼女の心はほとんどある人物に向いていて僕は応援しかできないよ。」


だ、そうだ。


「大丈夫だよ、相田君。」

「ほんとに・・・平気?」

「シンジ君、君は相変わらず優しいね。行為に値する・・・。」

「ちょっと待ちなさい!何あんたシンジの手を握ってんのよ!」


カヲルがシンジの手を握るとアスカは目ざとくそれを非難、

さらにカヲルを押しのけシンジに抱きついた。

ユウスケはその行動を鼻で笑うと、

さっきまでアスカが喋っていたヒカリに所にルーベットが行くのが見えた。

どうやら挨拶をし合っているようである。

この光景はカヲルが学校に来てからほぼ毎日続いているので、

トウジやケンスケは最初はからかったがそのたびに手痛い照れ隠しと、

それぞれの恋人の冷たい視線にさらされるので今は指摘はしない。

ユウスケはもうそれが日常の光景と割り切りレイと共に無視を決め込んでいる。

シンジもそれがコミュニケーションだと解っているのでどちらも注意せず流されていたりする。

さて、そんなこんなでチャイムがなり授業が始まる。





アスカはその日、シンジを除く何時ものメンバー<ヒカリ、トウジ、ケンスケ、マユミ、レイ>と、

新たに転校してきたユウスケ、カヲル、ルーベットを集めた。


「一体何が始まるんだ?」

「それを今からアスカが説明するんの、黙って。」


レイはそう言って1000人中999人は震え上がる絶対零℃のまなざし<アスカ命名>を向けた。

これに何も言っていないトウジヤケンスケ、さらにカヲルまで震え上がったが、

ユウスケはそのまなざしにたいし平然としている。

これにはある種羨望のまなざしをアスカ達はユウスケに向けた。

その後アスカは気を取り直し明後日のシンジの誕生日の事を相談した。


「・・・・・・・つまり誕生日会は開くがなるべく早く立ち去れって言うわけだな。」

「長田・・・いくらなんでもそれは身も蓋もないぞ?」

「けど事実だろ?」

「そうだけどさ・・・。」

「ま、そういう訳だから、みんな悪いわね。」

「別に、俺は参加するかどうかすら解らんし。」

「へ?どうしてよ?」

「俺は部外者だ。それにあまり人が集まる所に行くのは好きじゃない。」

「そう・・・。」

「ま、気が向いたら行くわ。それじゃ。」


ユウスケはそう言うと手をひらひらさせてその場を去った。

ユウスケがその場を離れると場もなんとなく解散という風になってしまった。

ただレイは急いでユウスケの後を追ったようだったが・・・。





6月6日、この日は日曜日ということもあってトウジとケンスケがシンジを連れ出した。

何をするのかは予想できるシンジは二人についていき、

その隙にアスカ、レイ、ヒカリ、マユミ、ルーベット、カヲルが誕生日会の準備をした。

大体10時ごろ、支度を終えた事をヒカリがトウジに携帯で知らせると、

シンジとケンスケ、トウジ、そしてユウスケが入って来た。


「あれ?何で長田までいるのよ?」

「相田と鈴原に捕まったんだよ。本来は祝いの品だけ渡してさっさと失せるつもりだったのに・・・。」


ユウスケはそうぶつぶつ言うとしばらく中を睨んでそれからため息をついた。

ユウスケの言うとおりシンジの手には何かラッピングされた紙の様な物を持っていた。


「さあ、上がって。」


レイがユウスケにそう言うとユウスケはしばし周りを見渡し、

ため息をつくとしぶしぶといった感じで上がった。シンジ達もその後に続いた。

その後誕生日会は保護者のミサトと加持もはいりにぎわった。

加持は一時死んだと思われていたがサードインパクトの影響か、ひょっこり姿を現した。

その後加持とミサトの間で色々あったが今は落ち着いている。

その後恒例の歌が始まり歓声の中シンジがロウソクの火を消した。

テーブルにはヒカリとレイ、マユミが共同で作ったものと、

アスカが教えてもらいながら一人で作った料理が並べられていた。

誕生日会は大体午後6時ごろまで続いた。


「さて・・・少し長居してしまったな、俺は門限なんで帰るわ。」


ユウスケがまずそう言うと皆もいっせいにお開きになった。


「長田君にお礼を言わないとね。」


ヒカリは帰る時そうアスカに耳打ちした。

アスカはそれに頷くだけだった。その後ミサト達も気をきかせその場を立ち去った。

アスカはその後シンジと二人っきりで夕食を食べ、後片付けを一人でした。

その間シンジはソファーに落ち着き無く座っていた。

飛鳥が洗い終わってソファーで二人ともまったりして、

少し経ってからアスカはシンジを自分の部屋に招いた。


「どうしたの・・・・アスカ?」


アスカなシンジが自分の部屋に入るとごそごそと机の中から何枚かの紙を引っ張り出した。


「シンジ・・・これがあたしからのプレゼント。」


アスカはそう言うとその紙切れをシンジに渡した。そこには『アスカ    要望券』と書かれていた。


「これって・・・何?」

「そ、そこの開いている場所あ、あるでしょ?」

「うん。」

「そ、そそれに・・・やって欲しい事を書くの。」

「うん・・・・え?やって欲しい事?」

「そう。」

「な、何でも・・・よくないよね?」

「・・・・・うん。けど!けどなるべくシンジの要求には応えるから・・・だめ・・・かな?」

「ううん、そうじゃなくて・・・・本当にいいの?」

「覚悟はしているつもりよ。」

「解った、ありがとう、これはある意味アスカをくれたって事だよね?」

「ええ。」


アスカはそう言うと顔を赤くしてそっぽを向いた。


「本当にありがとう・・・それじゃあお休み。」


シンジはそう言うとにっこり笑ってアスカにキスした。

そしてアスカが固まっているうちにこちらも顔を赤くして自分の部屋に戻った。

残ったアスカは呆然となったがしばらくするとさらに顔を赤くしてベットに倒れこんだ。


「シンジはどんなこと書くんだろう・・・。」


アスカはそれを予想して顔をまた赤らめた。

・・・・・結局アスカは夜通し考え、眠ったのは深夜遅く、そのせいで翌日は遅刻してしまった。




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あとがき



作者>さあやってきました誕生日SS。
レイ>少し経っているわ。
作者>・・・申し訳ないです、流石に書いても限界でした。このスピードが。
レイ>そう・・・・それで私の相手って?
作者>オリジナルキャラ、長田ユウスケ君です。
レイ>・・・。
作者>おや?気に入りませんでした?
レイ>なんで私が彼のことを?
作者>ま、一番の理由は自分の正体を知っても今まで通り対応してくれること、でしょうね。
レイ>・・・・確かに少しドキッとします。
作者>ま、詳しいことは次に・・・
レイ>次?
作者>ええ、次は日常をテーマにした続きものを考えています
レイ>また余計なことを・・・
作者>そう言わないでください、マジで落ち込むから。
レイ>この作品への感想、アドバイス等受け付けています。
作者>あ、流した・・・まあいいか。どしどし送ってくださいね。
レイ>それではこれで。
作者>今度はいつになるかまったくわかりませんが・・・その時は皆さんよろしくお願いします!


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