「さて…」

非常事態を告げるアナウンスが聞こえる駅の前で

シンジは迎えに来るであろう女性を待っていた。

「相変わらず遅いんだね」

つぶやいたシンジのはるか背後では異形の物体に対して

戦闘機やら戦闘ヘリが攻撃を繰り返している。

「無駄な事を…」

時折降って来る残骸を少し身を翻すだけでかわす。

「このまま帰ろうかなあ…どうせあれには乗る気が無いし…」

などと考えていると前方から青い車が走ってくる。

(そういえばあの車ってなんていったけ…まあいいか)

その車はシンジの前でスピンして止まった。

「早く乗って!!」

ハンドルを握りながら助手席をあけた女性の叫び声に表面上はあわてて車に乗り込んだ。

「碇シンジ君ね、私は葛城ミサト」

「碇シンジです。お迎え有難うございました。ところで葛城さん、あれはなんですか?」

シンジは当然知っている事なのだがあえて聞く。

「ミサトでいいわ、あれはね"使徒"と呼ばれるものよ」

「使徒ってなんですか?」

聞きながら馬鹿らしくなってきたシンジだった。

「詳しい説明は後で、ってこんなところでN2を使うつもり!?」

直後すさまじい爆風がシンジを乗せた車に向かって襲ってくる。

「きゃあ〜〜〜〜」

ミサトの悲鳴と共に車は2転3転する。

見事に仰向けになった車から何とか這い出す2人。

「はあ〜〜おニューの服が台無しだわ…大丈夫?」

回る目をこらえながら尋ねる。

「ええ、大丈夫ですよ」

こちらはまるで平気な顔をしている。

(ミッキーの操縦するドラ猫に比べたらかわいいモンだな)

ふと傭兵時代を思い出す。

「とりあえず車を起こすの手伝ってくれない?」

それから気づいたようにシンジは青い車を起こした。

(やっぱり思い出せないや、この車の名前)

心ここにあらずといった感じである。







ところ変わってこちら地下の怪しげな施設の発令所。

「やった!!」

国連軍の将校達が口々に騒ぐ。

「いくら使徒と言えどN2の直撃を食らって無事ではいられまい」

ジャラジャラと飾りのついた胸章を付けた将校が言う。

「映像回復します!!」

オペレーターの男が叫ぶ。

徐々に鮮明になるモニター上を凝視する国連軍指揮官達。

「馬鹿な!!あれを食らって平気だというのか!!」

モニター上の使徒はまるで意に介していないかのようにゆっくりと歩き出す。

「はい、解りました。使徒を殲滅いたします」

サングラスに髭の男が指揮卓上の電話を置く。

「碇君、指揮権は君に移った。しかしN2でも倒せなかったものを倒せるのか?」

国連軍将校が苦々しく告げる。

「心配ありません、その為のネルフですから…」

「期待しているよ」

言葉とは裏腹の態度で指揮卓上で手を組む男に述べた。

「いいのか碇、レイはまだ…」

副官らしき男が指令に苦言を呈す。

「心配ない。予備が今届いた」

(自分の子供を予備扱いか…)

副指令冬月コウゾウは不安に陥った。


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嗚呼、スイマセン!!展開を早くするって言ったのに…

でも、あんまり端折るのも話の筋が解らなくなってくるし…ジレンマですね…

そんな訳で次回もサービス?
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マナ:葛城さんの車に乗っても、シンジったら余裕なのね。

アスカ:車の名前なんか気にしてる場合じゃないでしょうに。

マナ:それだけ、体力的にも精神的にも鍛えられたってことかな。

アスカ:あのわざとらしいミサトへの質問も、精神が図太くなったからかも。

マナ:N2もダメだし、いよいよね。

アスカ:碇司令とどんな顔でシンジのヤツ会うのかな。

マナ:精神面で強くなってるから、前みたいなことはないでしょうね。

アスカ:碇司令の顔が楽しみだわ。
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