半年という時間でさえあの少年を思い出には変えてはくれない。

表面こそ取り繕ってはいるがそれは偽りの姿。

たった二週間だけの二人の生活は、
幸せで幸せでたまらなかった。

薄々感じていたあの雰囲気はやはり人で在らざるものだったと
彼自身そう言っていた。

私が素直に人で在らざる者の存在を信じる事ができたのは
シンジだからに他ならない。

近くの一軒家でくるくると回るかざぐるまを視界に入れながら
アタシはずっとそればかり考えていたのだ。




           うその少年
           〜ASUKA〜
                                  by葉月





ヒカリにはどうしたの?と言われた。

あの意地悪な同僚にも、アタシのあまりの変わりように驚いたのか
何も仕掛けては来なかった。

あんな形であいつらと決着がつくなんて思ってもみなかった。

本当は辛い時だからこそ、いつも通りに振る舞って欲しかった。
だから私は表面を取り繕ったのだ、でもダメだった。

シンジという存在があそこまで自分の中で大きくなると思ってもみなかった。
何だかくやしい…。

どうして私はこんなにシンジの事ばかり考えているの?
シンジはもう私の事なんて忘れているかもしれない?

私は所詮ジュリエットにもなれない身。

あの事にまだ整理なんてつかない、つけられる筈がない。



私の中で――

  あの不思議な少年の事は
    今だ思い出にもならない
      甘くほろ苦いものであり続けるのだ。


アスカ:あーん。シンジぃぃ。

マナ:忘れられないのね。

アスカ:シンジのことが忘れられるわけないでしょ。

マナ:都合の悪いことはすぐ忘れるくせに。わたしの貸したお金、いつ返してくれるの?

アスカ:・・・・・ん? そんなことあったっけ?

マナ:(ーー#

アスカ:あーん、シンジぃ、また会いたいよぉ。

マナ:忘れることができたら、楽になれるわよ?

アスカ:それができりゃ、苦労しないわよ。

マナ:手伝ってあげる。

アスカ:ちょ、ちょ、ちょっとっ! なによっ! そのバットはっ!(@@)

マナ:忘れられるかなぁと思って。(^^v
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