新世紀EVANGELION MACHINE ARMS



第6話 「心の方程式」







ネルフ総合病院 506号室


プシュー

「カヲルー元気?」
「カヲルくーん、お見舞いにきたよ」

白をもとにしたこの部屋は少し消毒くさかった。
そんな中にひとつだけベッドがあり、カヲルはいつものようにニコニコ笑っていた。
シンジがお見舞いに来たことがよっぽどうれしいようだ。
毎日きてるけど・・・・
その横でレイはカヲルのためにりんごをむいていた。
実に板についている・・・

「やあ、シンジ君」

「カヲル君、具合はどう?」

「レイのおかげだよ。今はもうこんなにぴんぴんしているよ」

そう言われてレイは自分の顔と同じ赤色のりんごをむいていた。
家族のような親近感からカヲルの世話をしていたレイはなんだか恥ずかしくなった。
カヲルは元気だということをアピールしている。

「おかげで明日には退院できそうなんだ」

「え、本当!なら明日はお祝いしなくちゃ!
 レイの引っ越し祝いとカヲル君の退院祝い!
 明日は僕が腕によりをかけて料理をつくるよ!」

「ははは、ありがとうシンジ君。
 そうだ、レイ、ちょっと席をはずしてくれないかな?」

そう言ってカヲルはレイと目をあわせ、少しうなずいた。
レイも頷いてアタシを引っ張っていった。

「分かったわ。アスカ、外で待ちましょ」

「ちょ、ちょっと、レイ。
 いいカヲル!シンジに変なことしたら承知しないわよ!!

「分かってるよ。君の恋人を取ったりしないよ」

レイはアタシを引っ張って外に出る。

プシュー

扉が閉まった。









「で、カヲル君。僕に何か話があるんでしょ」

「・・・立ち直ったみたいだね」

「え。」

「顔が全然違うよ。
 ここ最近シンジ君は心の底から笑っているよ。
 君はあの日からお見舞いにずっと来てくれた。
 僕にはそれがうれしかった。君は僕の前ではずっと笑顔だったね。
 でもシンジ君にはいつも影があった。ずっと悩んでいたんだろうね。
 でも今は違う。逃げずにすべてを受け入れたみたいだね」

「・・・・弐号機を受け取りにオーバーザレインボーに行ったんだ。
 そしてそこでアスカにすべてを話したんだ・・・・
 そのときに僕は壊れたと思う・・・
 でも、アスカが僕を殴ってくれたんだ・・・
 そしてこう言った。
 『シンジがシンジならそれでいい』って。
 そのあと、僕はアスカの胸の中で泣き続けたんだ。
 アスカのおかげなんだ。
 こうして自分を受け入れられたのもアスカのおかげなんだ。
 それに・・・」

僕は右手をさすりながら続けた。

「それに、こんな両腕でもアスカを守るためならあった方がいいと思う。
 アスカを守る力がなければ僕は彼女を守れない・・・
 そう、力がなければ何もできないんだ・・・
 だからこの両腕さえあれ「違うよ、シンジ君」

カヲル君は僕の言葉を止めた。
そしてカヲル君は僕の眼をしっかりと見ながら話してくれた。

「シンジ君、確かに力は必要かもしれない。
 でもそのままじゃそれは他人を傷つける力でしかないんだ。
 大切なものはもっとほかにあるよ。

 なんだと思う?」

僕はそう言われて考えてみた。

アスカの胸で泣いたこと・・・
ミサトさんが僕の胸で泣いたこと・・・
あのとき、僕のなかで何かが動いた。
多分それは・・・

「心、かな?」

「そうだよ、シンジ君。一番大事なのは心さ。
 心が強ければ力は自然と身についてくるのさ。
 心があるからこそ、他人を傷つける力
 大切なひとを守る力に変えられるのさ。
 人を想う力はシンジ君の想っている以上にすごいんだよ。
 だから、シンジ君。
 きみはその両腕に惑わされちゃいけない。
 本当のシンジ君の力は君の中にあるんだから」

「分かったよカヲル君。
 僕はこの両腕に惑わされることがないようにするよ。
 アスカを、みんなを守るために!」

ぎゅっと僕は両手を握り締める。
それを見てカヲル君は、

「シンジ君、君はやっぱり好意に値するよ」

「ありがとう。でもその言葉をレイとアスカに言ったらどうなるかなぁ」

この時僕はミサトさんみたいな顔をしていたと思う。
いつも僕とアスカをからかう時の顔。
カヲル君はそうとう慌ててた。

「シ、シンジ君、それだけはやめてくれないか?
 レイを、ましてやアスカを怒らすとまた入院しなくちゃいけないよ」

「冗談だよ、カヲル君」

「シンジく〜ん」

「「はははははは」」

病室には明るい笑い声が聞こえた。






しかし、その笑い声は長く続かなかった。
ビーーーッ、ビーーーッ、ビーーーッ、

「どうやら第7の使徒が来たみたいだね」

「じゃあ、カヲル君。また後で」

プシュー、ガチャン























「シンジ君。
 何で君だけ代償なんてものを払わなくちゃいけなかったんだ?

カヲルは病室で一人つぶやいた。

















ネルフ本部内 作戦部 ミーティングルーム

マヤがスライドを操作しながら
たんたんと報告を進める。
シンジとアスカとレイは普段どおり。
ミサトと加持はともにニコニコしながら
リツコは不思議そうにその報告を聞き、
一番後ろではゲンドウと冬月がいつもの配置でいた。

「午後2:36
 巡洋艦ハルナより送られたデータから使徒を確認」

「午後3:15
 エヴァ零号機、初号機、弐号機の戦闘準備完了」

「午後3:25
 使徒の出現を確認。ならびにエヴァ全機による攻撃を開始」

「午後3:30
 葛城一尉の発言により、使徒のコアが2つあることを確認」

「同時刻
 エヴァ初号機による攻撃にて使徒が分裂。
 初号機、弐号機の同時過重攻撃、ならびに零号機の援護にて
 使徒を撃破。」

「被害は次の通りです。
 スマッシュホーク一本が使徒の爆破に巻き込まれ中破。
 ポジトロンライフル一丁が戦闘後に海水に浸かり小破。
 以上です。」

ミーティングルームに明かりが戻る。


冬月はなんか納得しないようだ。

「確かに・・・被害は少ないが・・
 碇、どう思う?」

「伊吹一尉、作者はなんとコメントしている」

「はい、作者は
  『戦闘シーンをかけなくてすみません』
 とのことです」

「冬月、問題ない。作者の表現力が足らなかっただけだ

「いや、そういうことを言ってるわけではないんだが・・・」

「伊吹一尉、
 『エヴァの戦闘シーンをちゃんとかけ。
  そしてゲンドウを活躍させろ。次に手を抜いたら命はない』
 と、作者に通達しておけ」

「は、はい、分かりました」

それだけ言うとゲンドウは出て行った。
それに続いて冬月も出て行く。
・・・作者はこの通達をごみ箱に捨てました・・・



「はぁーあ、つまらなかった」

アスカはそう愚痴を言う。
ミサトはアスカに対してニコニコしながら、

「こらー、そんなこと言うもんじゃないわよ〜」

「いいじゃん、勝ったんだし。ねぇシンジ!買い物行きましょ!」

「うん!いいよ。どこ「残念ながらそれはだめよ」

リツコが割り込んできた。

「これからあなたたちにはさまざまなテストをやってもらうわ」

え”ーーー今からするのーー?今度でいいじゃん」

「だめよ、あなたたちには拒否権はないの。
 あ、レイは別にいいわよ。今回の作戦に関係してないから」

「分かりました。でもお兄ちゃんたちに急いでテストをする理由は何ですか?」

レイはそう聞く。

「・・・3時間くれたらちゃんと説明するわよ。
 家に帰るのが12時でもいいのかしら?」

「わかったわよ〜、やりゃあいいんでしょ、やりゃあ」














その日の葛城家 夜

今葛城家の面々は真剣な面持ちで家族会議を開いている。
テーマは『リツコをどうするか』である。

「・・・で、あたしたちはリツコを仲間にしようと思うのよ。どうかしら?」

「どうかしらって、アタシは別にいいけど・・・・
 それでもリツコは不確定要素が大きいわよ・・・」

「でも俺としてはりっちゃんが碇指令に・・・・
 殺されるのはいやだな・・・
 シンジ君はどう思う?」

「僕は・・・
 リツコさんは仲間になってくれると思います。
 なにも包み隠さず伝えれたら・・・
 たぶん、最悪の結果にはならないとおもいます」

シンジは少々俯き加減でさらにこう付け加えた。

「それに・・・・
 僕はリツコさんが、
 レイの素体を壊すときの表情は見たくありません・・」

「「「・・・・・・・・・」」」

「だからぼくはリツコさんを仲間にしたいです」

「シンジが言うならたぶん大丈夫よ」

「OK、じゃあリツコを仲間にするとして、どうやって誘う?」

そう、肝心のリツコが来なければ話し合いなどできない。
悩むこと10分、様々な案が浮上し消えていった。
するとシンジが思い出したように、

「そうだ!明日カヲル君が退院してくるし、
 レイだってこの家に引っ越すからそのお祝いでリツコさんを
 呼べばいいんじゃないですか?」

「ナイス!シンジ!」

「なるほどねぇ、それならリツコも断らないわねー」

「ちょ、ちょっと待ったシンジ君。
 レイちゃんとカヲル君の2人?
 その二人が引っ越すとなると部屋が足らないぞ。どうするんだ?」

「大丈夫ですよ加持さん。
 そこの扉を開けば分かりますから」

そう言ってシンジは廊下の奥の扉を指差す。
加持は「こんな扉今朝あったかな〜?」
とつぶやきながら向かう。
そして扉を開けると・・・






「うお!」

「どうです加持さん。
 さっき作者にたのんでこの両隣の家は
 くっつけてもらってきました」

「よく作者が許可したなぁ」

「ガトリング砲を作者の頭に押し付けながら頼みましたから」

「「「・・・・・・・」」」

「ま、まあ、とにかく
 レイやカヲルが来てもこれで大丈夫なわけね」

「よし、じゃあ明日は豪勢にたのむわよシンちゃん!」

「はい!ミサトさん」

「んじゃあ、明日はエビちゅ飲み放題ね!」

「「「そんなわけないでしょ(ないだろ、ないですよ)」」」

「ありゃ・・・」



















それで翌日の昼

ネルフ本部 技術部 リツコの部屋

「お祝い?」

リツコはコーヒーメーカーからコーヒーを
2つのカップに注ぎながら聞き返す。

「そ、カヲル君の退院祝いとレイの引っ越し祝い」

「ちょっと、レイの引越しって・・・
 碇指令は許可したの?」

リツコはカップをミサトに渡しながら聞き返す。

「ええ、レイに聞いたら第4使徒戦後すぐに許可を求めて
 ついこの間許可されたんですって」

ミサトはコーヒーを飲む

「ふーん、指令が許可したならいいけど。
 いいわ、今日はどうせこの書類にはんこ押したら終わりだし」

そう言って一枚の紙を見せる。
・・・英語ばっかりで作者には読めない・・・

「は、はやいこと終わるのねぇ」



「あなたがだらだらしてるからいつもおそ帰りなのよ!」















さらにその日の葛城家の夕食


シンジとアスカは台所に
レイはシンジに座っててと言われたが
何かしたいと思い部屋部屋の飾り付けをして
本調子じゃないカヲルを席につれていいた。
そして、アスカとシンジが最後の一品を持ってきて準備完了。
皆さんテーブルにつき、目の前の光景に驚いていた。
そこにあったのは和、洋、中、その他様々な料理であった。
特にリツコは驚いていた。

「こ、これ全部シンジ君が作ったの?」

「ええ、そうです。全部僕が作りました」

思うように仕上がりシンジもうれしそうだ。
そしてアスカが立ち上がり、

「それじゃあ、
 レイの引越しと
 カヲルの退院を祝って
 カンパーイ!!

「「「「「「カンパーイ!」」」」」」

と、こんな感じで宴は始まった。
途中カヲルが生まれて初めてビールをミサトに飲まされ
味をしめて飲みすぎでぶっ倒れたこと意外はとくに何事もなく食事を楽しんでいた。




































「カヲル君、大丈夫?」

シンジはカヲルの介抱を続けてる。
ちなみにレイとアスカは今仲良くお皿を洗っている。
前の世界ではありえなかった光景である。
二人は時々楽しくしゃべりして終始笑顔だ。
そんな中カヲルも元気になったらしく、

「ありがとうシンジ君。
 ところで退院祝いが欲しいんだけど、キスしゲフッ

とおねだりしたまではいいのだが、
どっからともなく2枚のお皿が飛んできて
カヲルの頭を直撃しまたぶっ倒れた。
だれが投げたなんていう必要はないと思う。

「カヲル君、アスカやレイの前で冗談はやめた方がいいよ」

「冗談なんかじゃなか・・・・
 冗談だよ、冗談!

カヲルは自分の頭をロックオンしている
赤い視線青い視線に気づいたようだ。
それぞれ右手に皿を持っている。

(シンジは渡さないわよ!)
(お兄ちゃんはホモにさせない)

そんなころ、リビングではリツコが食後のお茶をすすっていた。
その横にミサトは座って本日まだ5本目のビールを飲んでいた。
さらにその横に加持がタバコを吸いながらカヲルたちのやりとりを面白そうにみている。
まだ5本しか飲んでないミサトを見てリツコは思った。

(ミサトが5本しかビールを飲んでない!まだなにかありそうね。
 ここによんだのはおそらくこの後のことみたいね)

さすが大学からの友達である。

「そんなに固くならなくても、もうすぐ答えは分かるわよ」

ミサトはリツコにさらりと言う

「あら、なんのことかしら?」

「とぼけても無駄よ、あんたの考えくらいだれでも分かるわよ」

「・・・・・・・・」

「アスカたちの片付けが終わったら本題に入るよ、りっちゃん」




















そして、皿洗いを終えたアスカたちとシンジとカヲルは
リビングにやってきてシンジを中心に座った。
シンジからみて右に、アスカ、レイ、カヲル、
左にミサト、加持が座り、正面にリツコが座る形となった。

「それで、なにかしら?」

「・・・あなたは碇指令をどこまで知ってるの?」

リツコはいきなりゲンドウのことが出てくると思ってもなくビクッ、と反応し動揺が隠せない。

「な、なにをいきなり言うの・・・
 アタシは碇指令のことをよく知ってるわ。」

「じゃあ、碇指令ってどんな人なの?」

「あなたになんでそんなこと言わなくちゃいけないの!
 馬鹿らしくなってきたわ。帰らせてもらうわ。」

そう言ってリツコは席を立った。
するとシンジはこう引き止めた。

「リツコさん。」

「なに、シンジ君。」

「人類補完計画を・・・・
 ダミープラグの開発を止めてもらえませんか?」

これにはそうとうリツコは慌てた。
自分と冬月とゲンドウしか知らないはずの機密を
この14才の少年は知ってる・・・・
昔のミサトと同じように彼女は恐怖を覚えた。
シンジの視線はリツコを、己の意思を貫いていた。
そして彼女はここで逃げることが危険であると判断し、静かに座った。
そうして、静かに彼女は聞いた。

「なぜ・・・なぜなの・・・・・
 なぜあなたが補完計画のことを・・・・
 ダミープラグのことを知っているの・・・」

「僕たちが未来から戻ってきたからです」

「それをアタシに信じろと・・・」

そう言われ、シンジはアスカの手を強く握る。
アスカもシンジがなにをするのかわかり、やさしく握りなおす。

「・・・ではこれを見てください」

そしてシンジは両腕をリツコの前に差し出した。
リツコはシンジがなにをするのか見ていた。そして、絶句した。

シンジの腕は見る見る肌の色を失い、
金属特有の光沢を放つようになり、
やがて、何本もの金属のパイプが見え、
その間に何本かのコードが走っていた。

驚きのあまり顔の色が真っ青になっているリツコの前で
シンジは右手を動かして見せた。

キュイィーン
ギャァ、ギャァ
ウィーン

普段は音がしないが腕が金属の光沢を放つときだけ音が出てしまう。

手を閉じたり、開いたり・・・



「これが・・・・
 僕が・・・・
 戻ってきた時の・・・
 代償であり・・・・
 僕が未来から来た・・・
 証拠でもあります・・・」

リツコは深呼吸をして、シンジに聞いた。

「アスカやレイ、渚君もそうなの?・・・」

「いえ、僕だけです・・・」

「なぜあなただけなの・・・?」

「それは・・・・・言えません

「そうなの・・・」

リツコは自分のカバンからタバコを取り出し
ライターで火をつけた。
シンジは右手で灰皿を差し出した。
リツコはタバコをすぅうっと吸い込み、はきだした。
そしてさっきより落ち着いて彼女はシンジに聞き続けた。

「その腕のことを知ってるのは?」

「ここにいる人だけです・・・」

「そう、だからなのね・・・・
 あなたたちはすべて知っていたから・・・
 使徒との戦闘が思ったとおりに進んだわけね・・・
 だから昨日、ミサトは同時攻撃なんて命じたのね・・・
 あれはとても高度な作戦。ふつうのカップルがあれほどの完璧なユニゾンをすることはできない・・・
 それも前の世界で訓練していたと言うことなら納得できるわ・・」

「そうです、前の世界で僕はアスカと2人でユニゾンの訓練を受け、使徒に勝ったんです」

「未来・・・
 あなたたちにとっては過去だけど・・・
 アタシにも教えてくれない?」

「分かりました・・・」

そしてシンジは語った。

































そして、シンジは零号機の自爆の寸前まで話した。

「・・・そして、レイは・・・
 自爆しました・・・それから・・・・」

シンジは言葉を濁した。
その後をリツコは予想し聞いた。

「アタシはレイを・・・・
 そのあと何かあって・・・・
 あれを壊した・・・
 そして残る使徒を倒した・・・
 そうねシンジ君?」

「はい・・・」


「そう、残るはサードインパクトを起こすことだけ・・・
 さあ、シンジ君!答えて!アタシはどうなったの!」

リツコはシンジにすがるように聞いた。
シンジもリツコが愛するゲンドウによって殺されたとどういっていいのか分からなかった。
リツコはシンジの肩をゆすって聞いた。

「・・・・・・」

答えて!答えて!シンジ君答えてよ!
 お願い!答えて!おねがい・・・・・・
 こたえてよ・・・・・・・・・・・・・」

そうしてリツコは泣き出した。

「うう、おねがい、おねがいよぉー。」

「・・・・・分かりました。
 ただし、これは前の世界の話です。
 もう存在しない世界の話なんです。
 未来を変えるために僕らは戻ってきたんですから。」

そして、少し鼻が詰まった声でリツコは言った。

「ズズッ・・分かったわ・・」

・・・・・リツコさんは父さんに殺されました・・・・


リツコは再び泣き出した。
聞かなければよかったと耳をふさぎながら泣き叫んでいる。
なんで、なんで、なんでなのー!と叫びながら。
そしてリツコは大声で泣き叫び続けた。
いままで溜め込んできた何かを吐き出すように・・・
リツコはしばらくして顔を手で抑えながら泣いた。








どれくらいの時間がたったのだろう。
しばらくしてリツコが泣き止んだと思い
ミサトがリツコのそばに来たとき
彼女は












大声で笑い始めた。











「くっくっく、あーはははははは、そうよアタシはそうよ。
 あの人に愛されようと思い努力した!
 でもあの人は違った!アタシを利用していただけだったのね?
 それならそれでいいわ。
 あの人も、あんな組織も、この町も、世界も!
 消えてしまえばいいわ

そういってリツコは立ち上がった。
その瞳に光はなくあるのは狂気だった
あの時のような冷たい眼差し・・・・・・・

「今からネルフへ行くわ。
 今日はいいことを聞けてよかった。さようなら」

しかし、彼女の行方をさえぎるものが現れた。
ミサトだ。

「あんた、今からネルフへ何しにいくつもり?」

「なに言ってるのよ。
 今からネルフをつぶすわ。
 本部のMAGIを使えばほかの支部も30分くらいで制圧できるわ。
 そしてそのあと、全MAGIシリーズに自爆プログラムを走らせれば
 第三新東京市も含めすべての支部が大爆発を起こすわ!
 碇ゲンドウと言う男も道添えにできる!
 あとは使徒が後始末をしてくれるわ!
 さあ、そこをどいて!!

無言でミサトはリツコを


























抱きしめた。





リツコは何をされたのか分からず、ただ立ち尽くしていた。
そしてミサトはリツコに言った。

「もういいのよ。
 リツコ、憎しみをぶつけてばかりいては何も変わらない
 私も同じことをして間違いを犯そうとした。
 シンジ君とアスカを殺そうとしていた。
 リツコ、今のあなたもそうでしょ。
 碇ゲンドウという1人の男をあなたは殺そうとしている。
 あなたはそれでいいの?
 本当にそれでいいの?
 あなたいつも言ってたじゃない!
 『恋はロジックじゃないのね』って。
 そうよ、恋は論理に基づいてなんかいない
 あなたは碇ゲンドウに前の世界では殺された。
 じゃあ、この世界ではどうなの?
 未来は一定なの?
 
 ちがうでしょ!
 未来は変わるのよ!
 そして自分たちの力で変えることができる!
 そうじゃない?
 あなたは何で変えようとしないの?
 シンちゃんたちはみんな未来を変えるために戻ってきたって言ってたじゃない!
 リツコ、私はシンちゃんたちに協力するわ。
 自分の未来くらい、自分で手に入れたいわよ。
 それにシンちゃんたちのおかげで私は
 本当の意味での家族を手に入れたわ。
 あなたはどうするの?

 指令を殺して自分も死ぬのか?
 それとも指令を救いともに生きていくのか?
 
 あなたにまかせるわ。」

そう言ってミサトはリツコを離した。
そしてリツコのそばから離れリビングに戻った。
ほかの者たちはリビングから二人の様子をうかがっていた。
ミサトは冷蔵庫からビールを持ってきて飲み始めた。







「ミサト!」

リツコは叫んだ。

「なに?」

ミサトはいつものような答え方をした。
リツコは小さく、それでいてはっきり聞こえる声で言った。





















「ありがとう」






















ミサトが見たとき
リツコは目に涙を浮かべ、笑顔だった。
そしてその目は輝いていた。

「どういたしまして」

言ったミサトも目に涙を浮かべている。
そして背中にぽんと手が乗せられる。
ミサトは誰の手かを確認した。
それは加持の手だった。
そしてミサトはシンジたちを見た。
シンジはうれしそうに笑って。
アスカは腰に手を当てて笑顔でうんうんとうなづいていた。
レイは涙を流して喜んでいた。
カヲルは
「人間とはすごい生き物だね。
 言葉だけで相手を癒すことができるんだから。」
と語った。



「行ってこいよ。大事な友達が泣いてるんだ。
 一緒に泣いてやれよ。」

「ありがとう、加持君。」

そういうとミサトはリツコのもとに駆け寄り一緒に泣いた。
ミサトは親友が立ち直ったことを喜び、
リツコは自分に生きる道を見出させてくれたみんなに感謝した。
(ミサト、シンジ君、アスカ、レイ、加持君、渚君。
 本当にありがとう。
 アタシも変えて見せるわ。
 アタシたちが望む世界に!)







「さて、夜もふけてきたみたいだし、
 みんなそろそろ寝たらどうだい?」

「そうね。じゃあ、あたし達も寝ましょうか?」

「「「そうしましょう」」」

「じゃあ、加持さん、あの二人はよろしくね!」

「分かってるよ、アスカたちも夜更かしするなよ。」

「しないわよ〜。
 じゃあ、レイはあたしの部屋の右隣、
 カヲルの部屋はレイの右隣ね。
 荷物はもう入ってるから。」

「「わかった」」

「じゃあ、シンジ!おやすみ」

「おやすみ、アスカ」



そう言って自分たちの部屋に入る子供たち。

































しかし、戦いは終わっていなかった・・・・・
だれも気付かなかっただろう・・・・
まさかこのあとシンジが・・・・・・























次回予告


ミサトたち大人はリビングで今後のことを検討する。
しかし、その最中シンジの絶叫が葛城家にこだまする。
アスカを始めとする面々はシンジの部屋でベッドで
叫ぶシンジを見つける。
アスカはシンジを抱きしめる。
やがて目を覚ますシンジ。
ためらいながらもシンジは今まで隠してきた真実を語りだす。

それはアスカ、レイ、カヲルが帰還した後のことだった・・・・


次回

新世紀EVANGELION MACHINE ARMS

第7話
「悪夢」

ミ:さーてこの次

ア:ちょっと!シンジはどうしたのよ!?

ミ:ア、アスカ、私の出番を〜。






ーーーーーーーーーーあとがきーーーーーーーー
どうも!イッシー20です。
いかかでしょうか?
さすがに今回拳銃ネタをどうしても伏せて置きたかったので・・・
さて、そろそろ気付いている方もおられると思いますが・・・・
の違い・・・・
気付いてくれていましたでしょうか?
真っ赤が意味するのは大抵が重要なキーワードです。
あるいはその他で大事なことです・・・・・
この色の違いは結構悩んで設定していますので
少しは気に止めて置いてください。
もしかしたら後半に続く何かが隠されているかもしれません・・・・

ただ、この場で先に言っておきたいことがあります。

「高校生だからここまで甘いのか・・現実はもっと厳しいんだぞ!」
そんなことをお思いになった方も多数いるのではないかと思っております。
実際、僕は甘くしています。
確かに今は甘いです
今は・・・・・
人間は悲しい現実を知っているからこそ甘く、そしてからくするのです。

・・・・では次回もお楽しみに・・・・・


作者"イッシー20"様へのメール/小説の感想はこちら。
notoienai@yahoo.co.jp

感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構
ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

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