?:「何者かがこの地にやってきたようだ。」 ??:「ネルフの連中ではないのか。」 ???:「その可能性は大いにある。」 ????:「ならばこちらの思うつぼ、計画通りだな。」 ?:「ああ、わざわざこちらの領域に来てくれたのだからな。」 ???:「では、行くとしようか。」 ?????:「・・・・・・」 蛇神の森の奥深く。そこで行われていた密会。 果たしてこの男達は何者なのだろうか? 男達はそのまま闇の中へと姿を消した。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 八翼の堕天使 ー第七話 手掛りー ――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ミサト:「魔影一刀流・魔影両断斬り!!」 ミサトの掛け声と共に頭から真っ二つに切り裂かれ、崩れ落ちる一つ目の巨人。 ここは蛇神の森の外周部、森に入ってから500メートルほど進んだ場所。 彼女達が森に入ってから数瞬の後、何の前触れの無く魔獣が襲ってきた。 それ以降、魔獣が引っ切り無しに現れ、彼女達の通った後を赤く染め上げていた。 ミサト:「もお、キリが無いじゃない!」 ミサトは先程切り倒した魔獣・サイクロプスから刀を抜き、血を弾き飛ばしながら文句を言う。 加持:「そう言っても仕方が無いだろうが、葛城。」 などと気楽に加持は言い返しているが、その彼も石の巨人・ゴーレムをその剣で倒したところだった。 ミサトは黒を貴重とした革の鎧(レザーアーマー)に西洋刀(サーベル)。 加持は軽めに作られた板金の鎧(プレートメイル)に両手剣(バスタードソード)を装備している。 そんな二人の後方から三体のミノタウロスが突然姿を現す。 振り上げられる棍棒。 そこで二人に鋭い声が響く。 リツコ:「二人とも!左右に散りなさい!!」 その声に、二人は反射的に横に飛ぶ。 その瞬間、狙い済ましたかのように二人のいた場所を黒い刃と炎が駆け抜ける。 リツコ:【闇よ、刃となりてすべてを切り裂きなさい。闇属性魔術・ナイトレイド!】 マヤ:「魔導銃・ファイヤーボール・発射!!」 三体のミノタウロスは二体は黒い刃に切り裂かれ、残る一体も炎によって焼け死んだ。 ミサト:「ナイス!リツコ。」 ミサトは親指を立ててリツコの方を振り向く。 リツコはそれに軽く微笑んで応える。 二人はリツコとマヤを守るように戦っている。 その守られている側の二人はリツコが白い外套、マヤは白い法衣を纏っている。 リツコはその強力な魔術で襲ってくる魔獣をまとめてなぎ払う。 マヤはリツコ特製の、魔術をあらかじめ篭めて置いた弾を放つことのできる『魔導銃』を使っている。 ミサトと加持はその二人が構え呪文を唱えている間の、いわば護衛をしている形になる。 長年の付き合いの為かその息は見事なほどにあっている。 他のメンバーはこの四人を中心に、その周囲でそれぞれのパートナーと共に戦っている。 では、それぞれに目を向けてみよう。 ヒカリ:「神の槍(ゴッドランス)!!」 トウジ:「今や!魔闘流・岩砕拳!!」 ヒカリの放つ法術が魔獣の注意を反らし、トウジの拳が止めを刺して行く。 トウジは武闘着に鉄甲、ヒカリは白い法衣に槌(メイス)という装備である。 二人とも防御力は決して高くは無い。 しかしその分かなり軽快に動くことが可能である。 また、ヒカリの法術はその性質上、それほど高い攻撃力を持っていない。 この二つの点で考えると、二人の戦い方は非常に理にかなっていると言える。 最も、二人の息が合っているからこそ可能なのだろう。 二人の相性の良さが伺える。 マユミ:「ケンスケさん。左斜め後方。オーガです。」 ケンスケ:「了解だよ、マユミちゃん。相田流槍術・旋風突き。」 この二人の会話、傍から聞いているとオペレーターと兵士の様である。 マユミは薄い緑を貴重とした外套、ケンスケは軽めに作られた鎧に槍、腰に短刀といった姿である。 マユミが風の下位精霊シルフを使って周囲の情報を集め魔獣の位置を確認。 それをケンスケに伝え、ケンスケはその方向に向かって攻撃をする、という戦法を用いている。 マユミは少しペースがのんびりしているので、 ケンスケが攻撃を繰り出すと丁度彼の間合いに魔獣が入ってくることになる。 この二人も非常に相性がいいといえる。 さて、この二人の方はどうだろうか? ムサシ:「ストラバーグ流戦斧術・大地爆砕斧!!」 バトルアックスでゴーレムを粉砕するムサシ。 彼は重厚な黒い板金の鎧を着込み、両手にバトルアックスを構えている。 普段愛用しているハルバードは、長柄武器の為森の中では使い難いと判断したのか、 近くの地面に突き立っている。 同属性のはずのゴーレムを粉砕する当たり、彼の力の強さが伺える。 最もそれはトウジにも言える事ではあるのだが。 さて?そう言えば彼と組んでいる筈の人物が見当たらないが? マナ:【汝、輝く翼を持つ神鷲よ、私の召喚に応えなさい。鳥神ガルーダ、召喚!!】 マナはかなり離れた所で召喚獣を呼び出していた。 マナは黒を貴重とした外套を纏っている。 周囲を見ると三体ほどのガーゴイルが彼女の周りを飛び回り、攻撃の隙を伺っている。 呼び出されたガルーダはそのガーゴイル達を蹴散らしていく。 マナ:「アタシに近寄れるモンなら近寄ってみなさいよ!」 そんな事をマナが言っていると、彼女の後方の木の陰からゴブリンが現れる。 そして手にしたナイフを掲げて襲い掛かる。 それに気付いて振り返り慌てるマナ。 しかしその瞬間、銀色の物体が飛来してゴブリンを貫く。 見るとその物体はムサシのハルバードだった。 それを見てマナはムサシの方を見て礼を言う。 マナ:「サンキュームサシ。助かったわ。」 それに対してムサシは手を上げて無言で答える。 (おまえが強いのはわかったからもう少し近くで戦ってくれ。) マナは協力して戦う、という事を余り好まない。 ここが毎回ムサシを悩ませている所である。 ムサシは他の二組が羨ましく思える。 彼女の護衛と魔獣の相手をしているのだから当然といえる。 彼の苦悩はこれから先も続くことだろう。 さて、四組目は普段と少々違う組み合わせである。 なぜなら普段のアスカとレイのコンビに、今回はカオルが入っているからである。 無論、そう仕向けたのは言うまでも無くアスカである。 アスカ:「魔影一刀流炎属性・火炎斬!!」 アスカはその身軽さを利用して木から木へと飛び回りながら魔獣を切り倒していく。 しかしアスカは女性なため力が弱い。 大抵の魔獣ならば問題は無いのだが、生命力の強い魔獣には完全に止めをさすことができない。 が、今の状況では余りそれは問題ではない。なぜなら、 レイ:「アスカ、準備が出来たわ。」 レイのその言葉に、アスカは出来るだけ高い木へと飛び移り、さらに上へと上る。 それを確認して、レイとカオルは魔術を放つ。 レイ:【万能にして全ての魔法の根源たるマナよ、大気より水を生じさせ全てを押し流しなさい】 カオル:【万能にして全ての魔法の根源たるマナよ、雷を生じ、僕の敵を討ち滅ぼせ。】 レイ:【ウェーブ・クラッシャー】 カオル:【サンダー・ボルト】 まずレイの起こした津波状の魔術が魔獣をある程度押し流す。 そこをカオルの放った雷撃が襲う。無論雷撃は水に感電しその有効範囲を広げる。 初めて組んだとは思えないほどのコンビネーションである。 余談となるが、魔術の名称は集中力を上げる為の物で、自分たちで考えて付ける。 他の魔法はそれぞれ呪文も名前も決まっている。魔術だけが違うのである。 ちなみにカオルとレイはリツコの、シンジはユイの使っていた名称をそのまま流用している。 アスカ:「しっかし妙なぐらい魔獣が出てくるわね。」 木から降りてきたアスカがレイに手を振りながら呼びかける。 アスカは赤を貴重とした革の鎧に日本刀、そして脇差。 レイは薄い青を、カオルは灰色を貴重とした外套を纏っている。 余談であるが、全員の装備はリツコ特製の物であり、 防具にはそれぞれの半属性の攻撃半減できるように出来ている。 半属性の攻撃は、1,5倍から2倍近いダメージになるので、これで丁度言いといえる。 ただし、カオルと加持は半属性がない為防御力を上げるようにしてあるだけである。 レイ:「確かにおかしいわね。いくらなんでも数が多すぎるわ。」 カオル:「それに戦い方も何だか組織的な感じがするね。」 確かに彼女達が森に入ってから異常なまでの数の魔獣が襲ってきている。 こういった地で魔獣に襲われるのは当然だが、ここまで多いと不自然である。 このメンバーで斬り込み隊長的な役割を持つアスカに至っては倒した魔獣はすでに50を超えている。 カオル:「まあ、彼のおかげで随分楽になっているのだろうけどね。」 そういったカオルの視線の先には、例の巨大刀を振るうシンジの姿があった。 この武器では木が邪魔になるであろうと思われるが、シンジは大木ごと魔獣を切り払っている。 しかもその木も持ち上げて魔獣に投げつけている。 そのおかげで彼の後ろは道のようになり、アスカ達は行動しやすくなっている。 彼が倒した魔獣はすでに百を大幅に超えている。 アスカはその後姿を見たとき、言い知れない寂しさを感じていた。 まるでシンジは誰の力も借りない、自分以外信じていないように感じていた為である。 そしてアスカの考えは正確に彼に思考をついていた。 シンジはまだ彼女達に完全に心を許していない。 いや、信じたいと思う気持ちと、信じられないと思う気持ちが葛藤しているのである。 そして信じたいと思う自分と、そう思わせるアスカの存在に戸惑っていた。 その戸惑いから生まれるストレスを、彼は魔獣に向けていた。 が、シンジもこの魔獣の行動には違和感を覚えていた。 いや、長年魔境で暮らしてきた彼はより強くそれを感じていた。 (やけに組織的に動いている。まるでこちらの力を探っているみたいだな。・・・まさかな。) そんなことを考えながらしばらく進むと、シンジは沼のほとりへと出た。 シンジはそこで他のメンバーを待つことにした。といっても、魔術で援護はしていたが。 数分後 メンバーは沼のほとりで休憩を取っていた。 シンジは沼から少し離れた所で木に寄り掛かっている。いつでも剣を振るえる態勢で。 そこから程近い所にアスカがいた。 アスカは炎属性の為、水属性の魔獣が住んでいやすい水辺には余り近寄らない。 いくら反属性に対して防御力を上げていても限度がある。 警戒するに越した事はないのである。 反属性は最も倒しやすい相手であり、また最も警戒が必要存在なのである。 対して水属性のレイとマナは沼に最も近い位置にいる。 同属性である限りそこまで巨大なダメージはそうそう受けないからである。 反属性に対して、同属性は最も倒しにくく、最も安心して戦える相手であると言える。 が、今回はその思いが油断に繋がったらしい。 突然沼から飛沫が上がり、異形な腕が伸びてきて二人を捕らえようとしてきたのだ。 レイは瞬間的に地面をころがて避けたが、マナは座っていた態勢が悪かった為捕まってしまった。 マナ:「こ、こら、離しなさい!!魔獣のくせに。」 ムサシ:「マナ!!」 ムサシは血相を変えて駆け寄っていく。 そんな事はお構いなしに、魔獣はマナを沼の中へと引きずり込んでいく。 それを見てシンジはすぐに沼に駆け込もうとしたが、後方から木を薙ぎ倒しながら巨大な魔獣が現れた。 シンジ:「な、なんでこんな所にイスラフェルが!?」 シンジは魔獣を見て驚きの声を上げる。 なぜならこお魔獣は死竜山の西にある『魔の平原』にしか生息していない筈だからである。 が、シンジはすぐに平静を取り戻した。この森に来た理由を思い出したからである。 (しかしなぜこんなにも魔獣がいるんだ?先程までの襲撃にしても組織的だったし。 今だってタイミングが良すぎる。まるで狙っていたかのように。まるで操られているみたいだ。 ・・・操る?・・・まさか!?でもそれならつじつまが合う。) シンジは考え込みながら魔獣の攻撃を避けていた。 しかし、彼の視界の片隅に攻撃しようとしているアスカの姿が捕らえられた。 その瞬間、シンジは彼女を静止する声を上げる。 シンジ:「アスカ、駄目だ!その魔獣に手を出してはいけない!!」 「「えっ!!」」 アスカはその声に驚きながらも反応しそのままシンジの方に向かって跳躍し攻撃を止めていた。 しかしシンジも気付かなかったが、ミサトは既に魔獣に後ろに回り込み、剣を振り下ろしていたのだ。 ミサトはシンジの言葉を聞きながらも攻撃をやめるわけにも行かず、 そのまま魔獣を真っ二つに切り裂いた。左右に分かれる形で崩れる魔獣。 それを見ていたアスカはシンジに当然の疑問を持って問い掛ける。 アスカ:「シンジ。なぜ攻撃するのをやめさせようとしたの?簡単に倒せたみたいだけど。」 普段であれば噛み付くように食って掛る所だが、シンジの経験の量を知るアスカは静かに問い掛ける。 その問い掛けにシンジは魔獣を睨むように見据えながら答えを返す。 シンジ:「まだ終わっていないよ。この魔獣は剣では戦わない方がいいんだ。理由はすぐにわかるよ。」 シンジはそう言うとそのまま両手を前にかざし、呪文を唱える。 アスカは何かの魔法を使うつもりだというのが分かると、ミサトに呼びかける。 アスカ:「ミサト!シンジが何か魔法を使うつもりみたいだから離れてないと巻き添え食うわよ。」 ミサトはその言葉を聞くと急いでその場を離れ、沼の方へと向かう。 そのとき、切り裂かれたはずの魔獣が急に動きだす。 魔獣はその切り裂かれた肉体から新たに半身を復活させ、二体になった。 ミサト:「な、なんてインチキッ!!」 アスカ:「なんなのよ、こいつは!!」 二人の驚きの隠せない声に対して、シンジが冷静に答える。 シンジ:「これが攻撃をやめさせた理由だよ。この魔獣は二体に分離してしまうんだ。 甲と乙に分かれたこの魔獣はそれぞれを補完しあい、同時に攻撃しないと倒せないんだ。 そう言うとシンジは準備していた魔術を完成させる。 【万能にして全ての魔法の根源たるマナよ、その力は大地を駆けよ。駆けし力は陣を生み出し、 その力を持って灼熱の業火を生み、陣の中の我が敵を焼き尽くせ】 シンジの言葉と共に地面から赤い光が放たれ、魔獣を中心に呪文の陣が描かれていく。 二体の魔獣はその場から動けないらしく、必死になって?もがいている。 【炎属性魔術、紅煉招来・灼熱火炎王陣】 シンジの言葉をきっかけに地面から凄まじいまでの炎が立ち昇り、火柱を作り上げる。 炎はそのまま身動きの取れない魔獣を焼き尽くしていく。 アスカはその光景に呆然としていたが、ふとこの光景を作り出した隣の少年を覗き見る。 シンジはその視線に気付いたのか、それとも気付いていないのか、正面を見つめながら離す。 シンジ:「もしこの魔獣を剣で倒そうとするのなら最初の一撃で決めなくてはいけない。 寸分の狂いもなく真っ直ぐに切り下ろし、二つある光球を切り下ろせば倒すことができる。」 シンジはなぜ自分がこのようなことを彼女に向かって話しているのかわからなかった。 気付いたときには自然に口が動き喋っていたのだ。 二人の間を不思議な雰囲気が流れていたが、アスカはマナのことを思い出す。 アスカ:「そうだ!マナは!?」 その言葉と同時に二人は沼の方を振り返る。 その瞬間、沼から巨大な水飛沫が上がり、その勢いに吹き飛ばされる形でマナが飛び出してきた。 そのマナを慌てて受け止めるムサシ。 さて、シンジ達の戦いの間に、こちらでは何があったのか? このままでは分からないので少し時間を戻ることにしよう。 シンジが攻撃を避け、アスカに静止の声を懸けている時、マナは完全に水中に引きずり込まれていた。 水中にいた魔獣は平べったい体に人間のような腕、円形の口を持った魔獣だった。 マナはなんとかして拘束から抜け出し、召喚獣を呼び出そうとしたが、抜け出せなかった。 (まずいわ。この状態は半端じゃなくまずい。) マナはかなり焦っていた。が、少しづつ意識が薄れ初めていた。 (仕方がないわ。ホントは使いたくなかったけどこのまま死んだら話にならないもの。) マナは何かを決意すると、袖の中から小瓶を取り出す。そしてそのまま意識を集中し、呪文を唱える。 【我が師、ファウストに使えし召喚獣よ。私はファウストの弟子、霧島マナ。契約に従い私を助けよ。】 すると小瓶が輝き、三つの光が魔獣と彼女を包み込む。 そして先程のような状況を生み出したのである。 さて時間を戻そう。 マナを抱きかかえているムサシ。 その周りには三体の召喚獣がたたずんでいた。 水属性竜王クラス・海竜リヴァイアサン。 漆黒の闇の使い・魔神ディアボロス。 炎の化身・炎神エフリート 三体ともマナの師、その強力な魔力から魔老の異名を付けられた召喚術師、 ファウストから授けられた者達である。 ファウストとの契約によって彼女に仕えている彼ら?は彼女が扱えるレベルの者達ではない。 この点から見ても彼女の師がどれ程の力を持っていたかが伺える。 ただしこの召喚獣達には欠点がある。それは一日に一度しか呼び出せない、という点である。 それ以上呼び出そうとすると彼女に負担が掛かり身動きできなくなっていしまうのだ。 そのため、この者達は切り札としてのみ使われ、普段は滅多な事がない限り使われない。 三体の召喚中達は、魔獣が完全に沈黙したのを確認すると消えていった。 マナを心配して駆け寄ってくる面々。ヒカリとマヤは急いで彼女の回復を行う。 五分ほどして、マナは完全に回復したが、大事を取ってそのまま野宿をすることになった。 見張りには男性陣が後退で立つことになった。 翌日 彼らは何事もなく朝を迎えた。 そして再び中心部に向かって歩み始めた。昨日と違い、今度は一度も魔獣に遭遇することはなかった。 やがて中心部と思われる場所へと到着する。 そこはかなりの広範囲に木がなく、まるで草原のようだった。 その場へ全員が足を踏み入れた瞬間、突然後方に魔獣の群れが現れる。 メンバーは反射的に前方へと飛びのく。 するとそれを待っていたかのように、周囲の木々の間から無数の魔獣が現れる。 完全に取り囲まれた状態である。 ミサト:「そんな!?魔獣にこんなことが!?」 リツコ:「できる筈がないわ。そんな知識は持ち合わせていないはず・・・」 加持:「だが目の前で起きていることはどう説明するんだ?」 全員の間に驚愕が走る。いや、シンジだけは冷静に前方を見据えていた。 いや、前方からこちらにやってくる気配に意識を向けていた。 やがてシンジが意識を向けていた者達がその場に姿を見せた。 人数は五人。皆黒い外套を頭まで纏い、その表情を見ることは出来ない。 それを見たミサトが相手に向かって声をかける。 ミサト:「あんた達、一体何者なの?」 その言葉に先頭に立っていた男が外套を取り去りながら答える。 ?:「私たちのことはいずれわかりますよ、ネルフの皆さん。」 男はその顔にうっすらと笑みを浮かべている。まるで嘲笑うかのように。 ミサトはその態度に歯軋りをする。すると今度は加持が一歩前に出て聞く。 加持:「じゃあ質問を買えよう。この魔獣たちはあんたらの仕業かい?」 ??:「そのとおりだ。」 先程とは別の男が言葉少なく答える。 他の男達もいつのまにか外套を取り去っている。 シンジ:「魔獣使い(ビーストマスター)か。」 シンジの言葉に、一番最初の男が驚いたような顔をする。 ?「ほう、このタイプを知る人間がネルフにいるとはね。そのとおり。私が魔獣使いのバラルだ。」 アスカ:「ねえシンジ。魔獣使いって?」 シンジ:「呼び名どおりさ。魔力で魔獣を使役し、服従させるんだ。 ただそのためには膨大な魔力と、いわゆる才能がないと駄目なんだ。」 バラル:「その通りだ。だが私たちは多くの人数で服従させた。 おかげでそんなに苦労はしなかったよ。」 リツコ:「これでサキエルやシャムシェルがこの森にいた理由が分かったわね。」 バラル:「さて、お喋りはここまでだ。死んでもらおう。」 その言葉と同時に魔獣たちがほえる。 バラル:「おっと、その前に最初の質問に答えておこう。 殺された相手がわからないのでは不憫だからな。」 そう言って彼らはある者は額を、ある者は胸元を見せる。 彼はこの言葉を後悔するだろう。いや後悔する暇さえないかもしれない。 彼らの不幸は自分達の目の前にいるメンバーの一人のことを知らなかったこと。 彼らの見せた場所には黒い逆十字の刺青。 バラル:「我らは闇の使徒だ。」 その言葉を聴いたとき、その刺青を見たとき、シンジの中で何かがはじけていった。 To Be Next Story. ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 後書き 八翼の堕天使第七話ようやく書きあがりました。 いや〜シンジ以外を書くのって面倒でした。 しかも全開までがあるので多少なりともLAS入れなきゃいけないし、 マナの切り札書かなきゃなんなないしでもうパニック。 本当に疲れました。 作:「さて今回のゲストは年末で忙しく来れないと言うアスカに変わってムサシです。」 ム:「なぜ俺がこんな所へ。忙しいのは俺も同じなのに。」 作:「忙しいのレベルが違うでしょう。人気からして違うんですから。」 ム:「ぐ、何も言いかえせん。それはともかくこの作品のマナ酷くないか?」 作:「いえ、正確に彼女の性格を突いていると思いますが?ホントに彼女でいいのか?ムサシ。」 ム:「それに対してはなにも言うな。ところで次回はどうなるんだ?」 作:「・・・・・・ニヤリ・・」/〜\ ム:「・ゾクッ・い、いや話したくないならいいんだぞ。」 作:「聞きたいんですか?しょうがありませんね、其処までいうんなら教えてあげましょう。」 ム:「話したいんだな(−−;;」 作:「敵を見つけたシンジはその身を怒りと憎悪に任せ、その剣を振るう。 呼び出される竜と召喚獣の群れと精霊王。そんな時、アスカに魔の手が迫る。 次回『八翼の堕天使・第八話、魔曲・展開・開眼』 次回は大暴走だ〜!!!」 ム:「大丈夫か?ここまで言い切って?」<さあ?<<無責任な奴 P,S 感想、誤字、脱字、ここはこうした方がいいんじゃないか、と言う意見ございましたら送ってください。 悪戯、冷やかしは御免こうむります。
感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構 ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。 |