魔導兵器の雨のような攻撃と、異様なまでの魔獣の群れの中を、シンジは駆け抜ける。 その体は魔獣の返り血により紅に染まっている。 しかしその体に傷は一つも無い。 シンジは今ルシファーを持っていない。 ルシファーは現在再び二つに分かれ、シンジの腰に下げられている。 わざわざ使うまでもないという判断か? シンジ:「おまえ達が束になった所でこの僕に勝てるものか――!!」 どうやら戦いの興奮の為か少しづつ凶暴な性格が出てきているらしい。 いや、どちらかと言うと分かれていた凶暴な性格と、 彼本来の性格が一つに戻りつつあるのかもしれない。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 八翼の堕天使 ー第壱拾四話 赤き竜と告白ー ――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 今シンジがその手に持っている武器は赤く長大な鞭である。 武器の名は禁鞭。その攻撃範囲は最大で数キロに及ぶと言われている。 かつて神龍皇が保持していた魔力を秘めた武具である。 この武器は神竜王が保持する以前、人の間を渡り歩いた時期があった。 しかし何者も使いこなすことは出来なかった。 なぜならこの武器は一撃ごとに異様なまでに魔力を所有者から吸い取るのである。 その分その一撃を防ぐことは難しいが、使いこなすことは更に難しい。 通常の鞭を操るだけでもかなり熟達した腕が必要になる。 しかもこの禁鞭を操るには上位の魔術師並みの魔力が無くてはならない。 自然、この禁鞭を扱える者は限られ、いなくなってしまう。 いわば持ち主を選んでしまうのである。そしてシンジはそれに選ばれたのだ。 シンジが魔獣の群れを禁鞭を使って薙ぎ払った時、魔導兵器の動きが全て停止した。 シンジはそれに違和感を感じたが、すぐに納得する。 シンジ:「どうやら上手く行ったみたいだな。というと皆が襲われる可能性が大きくなる。 こいつらの相手をしている場合じゃあないね。・・・まとめて滅ぼしてやる。」 シンジは禁鞭を腕輪にしまうと、そのまま天高く飛翔する。 そして第3新東京市が一望できる高さまで飛翔すると、空中で静止する。 【龍翼よ、その風を司る力を持って雲を呼べ、その雷を司る力を持って雷雲を成せ。 我が上空に強大な雷雲を生み出せ。】 シンジは龍翼の力を使って第3新東京市を覆い尽くすような巨大な雷雲を作り出す。 【万能にして全ての魔法の根源たるマナよ、我が両腕に雷を生じ、全てを滅ぼす轟雷と成せ。 雷属性魔術・双天雷撃】 完成した魔術をシンジは何故か上空の雷雲に撃ち放つ。 それに呼応するように上空の雷雲は勢いを増し、雲の間で無数の稲妻が走る。 シンジ:「第三眼・千里眼・透視眼、同時使用。千里透視眼。 第3新東京市の地表にいるバルディエルを覗く全ての魔獣を標的として確認。」 シンジの第三眼が全ての魔獣を一体残らず位置を確認する。 その数、およそ八十万体。シンジが倒した数を考えると約百万体居たと予想される。 【雷よ、その力全て我が翼を通り、その力を更に強大な物とせよ。 龍翼使用時・雷属性最大最強魔術・天魔降雷撃!!】 シンジの呪文と共に、強大な雷光が無数に大地に落ちる。 落ちた雷光は全ての魔獣を適格に捕らえ滅ぼしていく。 雷の嵐が止んだとき、第3新東京の地表に魔獣は一体も残っていなかった。街に何の被害も残さずに。 シンジ:「討滅・・・完了。・・・父さん、母さん、町のみんな。今こそ、みんなの敵を撃つよ。」 シンジは首に下げたユイの形見のロザリオを強く握り締めた後、ネルフの入り口に向って飛翔した。 ********************************************* アスカとレイは今まさに闇の使徒の魔術師達の起こした津波に飲み込まれようとしていた。 水属性であるレイは相手が思っているほどのダメージは受けないだろう。 しかしアスカの方はそうもいかない。 アスカは水属性とは反属性に当たる炎属性である。そのダメージは計り知れない。 (もう駄目!!) アスカが覚悟を決めたとき、アスカの鎧の胸当てに埋め込まれていた赤眼石が強く輝く。 その輝きはアスカとレイの前に広がると、闇の使徒の起こした津波を掻き消した。 拡がった光は具現化し少しずつ形を変え行く。そして最終的に巨大な赤き竜の姿となる。 リツコ:「あれは蛇神の森でシンジ君が呼び出した竜!」 マナ:「炎属性最強竜・神竜クラス・赤眼竜です。」 赤き竜、赤眼竜は闇の使徒に視線を向ける。 闇の使徒の男達は驚きの余り動くことが出来ない。 クワォォォォォォ――――――――!! 赤眼竜はその口を開くと、その方向と共に、灼熱の炎を放つ。 男たちは抗うまもなく灰と化してしまった。 それを確認した後、赤眼竜は狭い通路でその首を廻らし、アスカを見つめる。 その光景をアスカとレイはただ黙って見つめるだけだった。 「赤き髪の娘よ。我は我等の新たなる王、新たなる主人、碇シンジ様に汝の守護を命じられた。 しかしそれとは別に汝にはある資格がある。我は汝に、問う。汝それを受け入れるか。」 アスカ:「・・・その資格って何の事?それを説明して。」 アスカは自分を落ち着けるように疑問を口にする。 それに対して赤眼竜は答える。 「竜騎士なることのできる資格だ。」 アスカ:「竜騎士!?じゃあアタシもシンジみたいに翼が生えるの?」 アスカのその言葉に、赤眼竜は首を横に振って否定する。 「そうではない。あれはかなり特殊な形なのだ。本来の竜騎士にはあんなことは起こらない。 竜騎士本来の形は竜を纏う者、竜を統べる者を示すのだ。 本来、竜騎士になるには神竜クラス以上の竜族を倒し、更に倒した竜に認められなくてはならない。 汝に資格があると言うのは我が汝の力と魂を認めたと言うことだ。 もしも何時が我が力を受け入れるならば、我が外骨格で作られた鎧と刀を。 そしてその鎧に生える翼による飛翔能力と我が魔力を手にする事ができる。」 赤眼竜はそこまで説明すると言葉を区切りアスカの反応を見る。 アスカはそのまま下を向いて考え込む。 (シンジと同じ・・・いえ、シンジに近い力。でもそれを受け入れたらアタシはどうなるの?) アスカの中で疑問は膨らむ。しかしその疑問を口にして聞くのが怖くもあった。 そんなアスカの思考を感じ取ったかのように、レイがその疑問を口にする。 レイ:「もしアスカがその力を受け入れたら、アスカ自身はどうなるの?」 「特に変わる所はない。この娘の意志によって鎧や刀は出現し消える。 それを生み出す力は娘の持つ赤眼石の物だから娘の体には何の異常も起きぬ。 その赤眼石を外していれば竜騎士になる事も無い。いわば新たな鎧と武器を手に入れるのと同じ事だ。 強いてあげるならばその力を使用する為にはかなりの魔力と精神力が消費される。いわば諸刃の剣。 使いどころは考えるべきだろうな。」 そこまで言うと赤眼竜は再び話すのをやめる。 今度はレイも口を開かずに黙ってアスカを見つめる。アスカがどうするのか予想をつけながら。 少しして、アスカはその顔を上げ赤眼竜を見据えて答える。 アスカ:「・・・その力・・・受け入れるわ。」 レイ:「・・・アスカ。」 レイはその答えに驚かない。アスカならば多分こうするだろうという事がわかっていたから。 しかしその様子を黙ってみていたほかのメンバーはそうはいかない。 赤眼竜の力を受け入れようとするアスカを止めようとする。 リツコ:「やめなさいアスカ!どうなるのかわからないのよ!!」 加持やマヤ、ムサシもそれに賛同して首を縦に振る。 しかしマナだけは神妙な面持ちで見つめていた。 アスカ:「シンジはこの事を知っているのでしょう?」 アスカはリツコ達に答えず、赤眼竜に問い掛ける。 それに対して赤眼竜は頷いた後答える。 「無論承知している。シンジ様は汝が危機に陥ったとき、我に守護せよと命じられた。 と同時に、汝に資格あるならば、汝に選択させよとも申された。自分は反対するだろう。 しかし彼女は彼女。決めるのは彼女であって自分ではないからと。 自分に近い力はできれば持って欲しくはない、と申していましたが。」 アスカはその言葉を聞いて決心した。もしシンジが望んでいたならこの力を受け入れなかったろう。 しかしシンジは力を受け入れて欲しくはないと言ったと言う。 それは自分を本当に心配してくれているからなのだろう。 その思いが嬉しかった。だから決心した。赤眼竜の力を受け入れることを。 アスカ:「アタシはあなたの力を受け入れる。シンジを助けたいから・・・。」 その言葉を聞いた時、今まで生還していたマナが声をかける。 マナ:「それで彼が救われる訳ではないわ。彼はこうなる事をある程度予想していた筈よ。 つまりそうなる事を彼は望んでいたと考えられない?」 マナから放たれるシンジに対する非難の言葉。 それに対してアスカは胸当てに埋め込まれた赤眼石に手をやり、眼を閉じて首を横に振る。 アスカ:「それは無いわ。シンジはアタシを本当に心配してこれを着けてくれたんだと思う。 それ以上の決断をアタシに任せているのがその証拠・・・。」 その言葉にリツコは疑問を投げかける。 リツコ:「・・・何故そこまで言い切れるの?何故そこまで信じられるの?アスカ。」 その言葉にアスカは振り向いて答える。 アスカ:「シンジはアタシ達を何度となく救ってくれた。自分には何の関係も無いのによ? この街が危険だからどうしたのよ。また自分が迫害されるかもしれなかったのよ? それなのにシンジはこの街に来て、アタシ達を救ってくれた。 今も目的はどうあれ、一度は彼を拒絶したリツコ達を庇うように、 外でその身を危険に曝している。何でそこまでできるのか不思議じゃないの? そしてそこまでできる彼の優しさを何故信じられないの?」 アスカはリツコに疑問をぶつける。最後の方は叫んでさえいた。 しかしそれをレイが否定する。 レイ:「・・・それだけが理由じゃないでしょ、アスカ?」 レイの言葉にアスカは驚きのために目を見開く。 そんなアスカにレイは優しく微笑みながら言葉をつなげる。 レイ:「あなたとパートナーを組んでいたのは私よ?あなたの変化にくらいすぐに気付くわよ。」 その言葉にアスカも微笑みで返した。 アスカ:「そうね・・・レイにはかなわないわね。」 そう言って暫くの間をおき、アスカはその頬を少しだけ赤く染めて話し始めた。 アスカ:「アタシは・・・アタシはシンジが好き。切っ掛けなんかわからない。 何時からなのかもわからない。でもそんな事は関係ない。アタシはシンジの事が好き。 それだけは確かだから。その思いだけは本当だから。だから信じたい。だから信じられる。 大好きなシンジを支えたい。何も出来ないのはもう嫌だから。 だから今もシンジを信じてこの力を受け入れるの。」 アスカの顔は赤く染まりはしていたが、その言葉に偽りは無く、その表情は誇らしげでもあった。 マナ:「そこまで言われると何も言えないわね。(アスカが恋、か。・・・頑張りなさい。)」 マナだとて先程の言葉を本気で言ったわけではない。 しかし何故そこまでシンジの事をアスカが信じられるのか疑問があった。 普段のアスカを見ていれば当然の事だろう。 またアスカがシンジに惹かれているのも何となくだがわかっていた。 だが中途半端な気持ちで好きになっても可哀想だと思って言ったのだ。 まさかここまで意思が強いとは思ってもみなかった。 その思いの強さがわかった今、これ以上何かを言う気はなかった。 二人の間が上手くいくことを願おうと思うだけだった。 しかしリツコはなおも何かを言おうとする。 が、そのを肩を掴んだ手が止める。 振り返ったリツコの視線の先には首を横に振る加持の姿があった。 加持:「・・・彼女の考えは変わらないよ。決めるのはアスカだ。」 加持の言葉に、リツコは再び視線をアスカに向けて言葉を放つ。 リツコ:「・・・男と女は・・・ロジックじゃないのね。」 加持はその言葉にただ苦笑いをするだけだった。 赤眼竜はその一部始終を見ていた。アスカと言う赤い髪の少女を。 自分の力を受け入れる資格を持つものを。 「(・・・なるほど、主君が認めるのも頷ける。・・・この者ならば主君を救えるやも知れぬ。) ・・・娘よ。・・・結論は出たか?」 アスカはその言葉に視線を赤眼竜へと向ける。 その蒼き瞳には迷いの色は無かった。 アスカ:「受け入れます。赤眼竜・・・あなたの力を。」 「・・・娘よ、汝が名は?」 アスカ:「惣流・アスカ・ラングレー。」 「・・・承知した。惣流・アスカ・ラングレーよ。汝を我が力を持つ者として認めよう。 我が力を見事使いこなして見せよ!我が力が必要な時は我を呼べ。我は汝の意志に応えよう。」 そう言うと赤眼竜は再び赤眼石の中へと戻っていく。 赤眼石の中に戻っていく最中、アスカの耳に赤眼竜の声が聞こえた。 『主君、碇シンジ様の事、宜しく頼む。・・・我らではどうにもならぬからな。』 アスカはその言葉をバルディエルの言っていた言葉と照らし合わせ、心の中で反芻していた。 加持:「さて、これからどうする?」 リツコ:「予定通り、司令制御室に向いましょう。ミサトも多分そこに向うわ。そこで合流しましょう。」 結論が出るとメンバーは研究室を後にした。 加持とムサシが先頭を、その後をリツコ、マヤ、マナ、レイ、最後尾をアスカと言う陣形である。 これは後方や曲がり角で敵に遭遇したときにすぐに対応できるようにである。 最後尾を走りながら、アスカは赤眼竜やバルディエルの言っていた意味を考えていた。 そんなアスカを、レイは気にかけながら走っていた。 ********************************************* バル:「ガアアアァァァァァアアア――――!!」 ミサト達は最後の人質の監禁場所へと迫っていた。 先頭を走っていたのはバルディエルである。 その爪と牙は赤く彩られている。 この場所に来る一箇所前の監禁場所の開放が終わった時、魔導兵器の動きが停止した。 それ以後は兵器をわざわざ破壊する必要が無い為、最も俊敏なバルディエルが先頭を切っていた。 ミサト:「凄いわね。この強さは。」 トウジ:「わいらの出番が殆んど無くなって来たで。」 ミサトは敵の槍使いを切り倒しながら感心したように言葉を放っていた。 それに賛同した当時も相手の剣士を殴り倒した直後である。 ケンスケ:「ま、シンジと一緒にいた奴だからな。仕方ないさ。」 ケンスケもまたその槍で最後の侍を貫いた後の台詞である。 カヲル:「でもさすがに数が多くなってきたね。」 マユミ:「たぶん魔導兵器が止まったのでこちらに気付いたんでしょう。」 ヒカリ:「ならこんな所で時間をかけてられないわ。早く中の人達を助けましょ。」 その言葉を聞くと、バルディエルは例の如くその場を離れる。 その事はあえて誰も触れない。バルディエルの行っている事が正しい選択だから。 もしこの場にいたら彼のいうように中の人間達は警戒するから。 何も出来ない。それが歯痒くもあった。 共に戦ってわかった事。それはバルディエルの悲しみ。 シンジもそれと同じ物、いやそれ以上の悲しみを持っていた。 しかしシンジは共に戦っていても、一線を引いていたのでわからなかった。 唯一アスカだけがそれに気付いた。 バルディエルは違う。シンジの言葉通り自分達に協力してくれていた。 自分を襲った者達と同じ人間なのにも関わらず。 その行為はシンジの期待を裏切りたくないと言う思いから来た者である事はわかる。 しかしそれでもその悲しみが伝わってくるほどに大きい事がわかった。 ミサト達は今更ながらに思う。シンジはバルディエル以上の悲しみと苦しみを抱えていた事に。 しかもそれを気付かせないほどに強くいたことに。 自分達がシンジに対して取った行為を今更ながらに痛感していた。 ミサト:「さ、中で待ってる連中がいるから、さっさと助けてしまいましょう。」 暗くなってしまった空気を払いのけるように、ミサトは軽い口調で言い放つ。 そしてそのまま扉のロックを外して中に入る。 「「ミサトさん!!」」 ミサトが中に入った途端、彼女の名を叫ぶユニゾンした声が聞こえる。 その声にミサトは反応して声のしたほうに目を向ける。 そこには眼鏡をかけた青年と髪の長めな青年が他の者達と同じように縛られていた。 ミサト:「日向君!青葉君!!ここにいたのね。」 日向マコト、青葉シゲル。双方共に司令直属の部下である。 と言っても特に強いと言うわけでもマリュウドでもない。 その事務処理能力を変われてこのネルフに入った一般人である。 カヲル:「ここにも冬月司令はいませんね。」 中に捕らえられている人間達を見回した後にカヲルはミサトに言い放った。 他の面々はそれぞれに捕らえられている人の縄を切って解放している。 カヲルの言葉に、ミサとは二人を縛っていた縄を切りながら尋ねる。 ミサト:「日向君、青葉君。司令はどこに捕らえられているか知らないかしら?」 ミサトの言葉に二人は暫しの間考え込むが、思い出したように話し始める。 日向:「確か・・・やつらの総統みたいのに連れられて行くのを見ましたが。」 ミサト:「本当?」 青葉:「ええ、方向的には・・・たぶん司令室か司令制御室の方だと思いますが。」 その言葉を聞き、ミサトは他のメンバーの方を振り向く。 皆は既に扉の近くでいつでも行けるように待機している。 それを確認した後、ミサトは日向達に言葉をかける。 ミサト:「私達はこれから司令制御室に向うわ。魔導兵器は全てその動きを止めているけど、 闇の使徒の連中が来るかも知れないから、ここで十分注意しながら待機していて。 全てが終わったら迎えに来ます。」 その言葉に日向と青葉、そしてその場に捕らえられていた者達が頷く。 それを見てミサトは満足そうに頷くと、その部屋を後にした。 その直後、ネルフ内部に警戒警報が発せられた。 『侵入者あり!侵入者あり!場所は正面ゲート。作戦通りに実行せよ。繰り返す、作戦通りに実行せよ。』 その警報はしばらく鳴り響いた後、何事も無かったかのように静まり返る。 トウジ:「今のはなんなんでしょか。ミサトさん。」 ヒカリ:「正面ゲートに侵入者って言っていたわね。」 ケンスケ:「と言う事は一人しかいないよな。」 マユミ:「あの人しかこんな形で突入しませんよ。」 カヲル:「しかしもう外の魔獣を討滅してしまったのか。さすがだね。」 ミサト:「こちらの動きを予想して動いているのね。・・・シンジ君が味方で良かったわ。」 そこまで言い終わると、メンバーはバルディエルと合流し、今度は司令制御室に向って走り出した。 リツコ達と合流する為である。 ミサト達はリツコ達の事や、未だ助け出せていない冬月の安否を気遣いながら、 全速力で通路を駆け抜けていた。 ********************************************* ミサト達の考えている通り、先程の警報はシンジの突入を示していた。 シンジは他の入り口の事など知らない。また知っていてもう使うつもりは無かった。 逃げも隠れもせず、常に真正面から相手を叩き伏せる。 それがシンジなりの戦い方だった。 それはシンジにとって、人質を取って父と母を殺した闇の使徒に対するあてつけだったのかも知れない。 そのシンジの前に、黒い逆十字の刺青をした男達が立っている。 シンジは復讐と言う二文字に取り付かれたように、その息を荒げて叫ぶ。 シンジ:「我の名は碇シンジ!カオスの町最後の生き残り。父・碇ゲンドウ、母・碇ユイ。 そして町の皆の無念、貴様らを殺して今こそ晴らしてくれる。」 シンジの言葉と共に、凄まじいまでの殺気が辺りを包む。 余りの殺気の強さに、闇の使徒の男達は後ずさる。 シンジはルシフェルとサタンを抜き放ち、男達に斬りかかる。 十年の時を超えた、怒りに身を任せた敵討ちと言う復讐の宴が、今幕を開けた。 To Be Next Story. ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 後書き 八翼の堕天使第壱拾四話、いかがでしたでしょうか? しかし今回は戦闘シーンが少ない。 何より・・・こっ恥ずかしゃぁぁ――――!! 何で恋愛経験も無い自分がこんな告白シーン書いてるんだ――――!!! あーもう、書いててなんだかスッゲー寂しく感じるのは自分だけか。 と言いつつ、恥の上塗りしてますね、自分。 神龍皇「確かに今回は恥を曝すような内容だったな。」 作「それを言わないで下さい。どっちにしてもいずれ書いたんでしょうし。」 神「だが、良いんじゃないか、この告白シーン。シンジが居ないからもう一回やらないとだが。」 作「そうなんですよ。まあ色々と考えてありますけどね。」 神「話は変わるが、もうすぐ最終話だな。」 作「ええ、当初よりも派手になりそうな感じになってきてます。あなたも登場シーン増えましたから。」 神「それは結構。ま、読んでいる者達の期待を裏切らないようにな。」 作「ハイ。努力いたします。と言ってももう期待を裏切ってたりして。」 神「その可能性は大きいな。」 作「グハッ!!」<会心の一撃 神「ん、死んだか?まあ良い。では次回にご期待ください。」 作「勝手に殺すな――――!!」 P,S 感想、誤字、脱字、ここはこうした方がいいんじゃないか、と言う意見ございましたら送ってください。 悪戯、冷やかしは御免こうむります。
感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構 ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。 |