この作品は「新薬」「認知」「告白」の後日談です。

まずは、「新薬」「認知」「告白」をお読み下さい。

 今回は少しシリアスが入ってます。





平行世界〜あの日、あの時に〜

Act.0 前奏曲

「ねえ、シンジぃ」 「何、アスカ?」 「もし…、もしね、どこかで違う選択をしたら、世界が変わってしまうよね」 「うん」 「そんな世界が…、存在するかもって」 「あ、それ知ってる。え〜と、何て言ったっけ」 「パラレルワールド。平行世界、ね」 「それそれ。でも、本当にあるのかなぁ、そんな世界が」 「わかんない。シンジはどう思う?」 「天才アスカさんにわからないことは、鈍感大王のシンジ君には全くわかりません」 「あぁ〜っ!馬鹿シンジも口が立つようになったわね」 「もう4年だからね」 「そうよね…、もう4年立つのね」 「いつから4年?答は、いっぱ〜いあります」 「ぐ〜、それは挑戦?賞品は?」 「5つ以上正解すると、特製煮込ハンバーグが晩御飯になります」 「乗ったぁ!」 「わ、アスカの目つき、怖い!」 「あったり前じゃない!挑まれた上に、特製煮込ハンバーグがかかってんのよ!負けられないわ!」 「は、はは…」 「で、いいの?答えるのは何秒以内?」 「え〜と、考えてなかったな…、はは」 「なに、それ…。いいわ。30秒以内に5つ正解で賞品GETよ」 「じゃ、それで行こうか。よし、スタート!」 「私とシンジが恋人同士になった時!」 「ピンポ」 「オーバー・ザ・レインボーで初めて逢った時!」 「ピン」 「浅間山の火口で助けてもらった時!」 「ピ」 「コンフォート17で同居を始めた時!」 「p」 「二人が婚約した時!」 「あ、それ駄目!一つ目とかぶる」 「ち!じゃ、第15使徒戦でクーデターを起こした時!」 「ピンポ〜ン」 「どぉお、20秒かかんなかったでしょ…」 「ごめん、計ってなかったんだ」 「あ〜!ひっどぉ〜い!騙したんだ」 「だって、正解するのは間違いないもの」 「そりゃそうよね、ほとんどがあの半年の間に起きたんだもんね」 「うん…」 「それまでの14年とあの半年って、時間の長さでは比較できないよね…」 「僕は…、僕の本当の人生は、オーバー・ザ・レインボーから始まったような気がするんだ…」 「……」 「あれ?どうしたの、アスカ?」 「……」 「ひょっとして、泣いてるの…?」 「アンタ、時々、とんでもない名台詞言ってくれるわよね…」 「は、はは、そんなに…?」 「うん…、今のは凄かった。だって、今の台詞って、この広い世界の中で、アンタと私のためだけにしか存在しないんだよぉ。他の誰にも当てはまらない…。そんなの聞かされたら、感動しない方がおかしいよ…」 「……」 「……」 「……」 「と、とにかく、正解したんだから、賞品ちょ〜だい!」 「はいはい、煮込ハンバーグだね」 「ト・ク・セ・イでね、って、今日は最初からそのメニューじゃ…?」 「はは、ばれちゃった」 「ひっどぉ〜い!乙女の純情を弄んだのね。私はアンタの慰み者にされてしまったのね…。しくしく…」 「慰み者って…、アスカさ〜ん、涙が出ていませんよ〜」 「はん!じゃ、副賞ちょうだい!」 「へ?何それ?」 「副賞100万円とか、よくあるじゃない」 「そんなの決めてないよ」 「じゃ私が決める」 「そんな滅茶苦茶な」 「じゃ、副賞はあっつぅ〜いKISSでいいわ」 「え!」 「でなければ、副賞は100万円ね!」 「……」 「……」 「……、キスでいいです……」 5分経過。 「ア、 アンタ、キスうまくなったわね」 「そ、そうかな…はは…」 「まさか、どっかで練習してるんじゃないでしょうね!」 「ア、 アスカ…?」 「誰?相手は誰?言いなさいよ!」 「そんなぁ。僕にはアスカだけなのに…」 「はん!信じらんないわね!そんな言葉だけじゃ」 「あぁ〜、信じてよ…」 「じゃ、もう一回、前以上のキスができたら、信じてあげてもいいわ」 「……」 「どうするの?この浮気男さん?」 「か、確信犯だ…」 さらに五分経過。 「はぁ〜…、まったく…、シンジがキスの天才だったなんて…。ただの冴えないヤツだったはずなのに…」 「下手な方が良かった?」 「ば、馬鹿ね!巧い方が良いに決まってんじゃん!でもアンタは巧すぎるの!こんなキスされたら、女はメロメロよ!」 「はは、僕、アスカだけだから…」 「いいこと?アンタ、絶対に私以外の人間とキスしたら駄目よ!キス厳禁!わかった?」 「最初からそのつもりなんですけど…」 「そうよ。娘や孫にもしたら駄目よ!わかってる?」 「い、いや、普通、こんなキスは恋人にしか…」 「そんなのアブノーマルの世界だわ。シンジがそんなヤツだったなんて…」 「お〜い。聞いてますかぁ?聞いてないよね、やっぱり」 「まあ、いいわ。このキスは私専用!オンリー・アスカよ!」 「はいはい…」 「わかったぁ、シンジ?」 「はいはい…」 シンジ退場。 特製煮込ハンバーグ製作中。 そして、アスカ様はソファーで待機中。  ホント、あのキスは殺人的よね。絶対に隠しておかないと、大変なことが起きるわ。  娘がファザコンになったらどうするのよ?こればっかりは責任とるわけにはいかないのよ!あ、そうか。娘って決まったわけじゃ…、息子かも…。て、それじゃ、さらにアブノーマル度超拡大じゃないの!私、ど〜もボーイズラブってのはどぁ〜い嫌いなのよね。  はへ?よく考えたら、私…、娘とか、息子とか、孫とか…。  私たち、まだキスまでしかしてないのよ!けっこう、プラトニックなんだから!  どこの誰よ!人をヒカリ&トウジみたいな色惚けカップルと一緒にするのは!  あの日の夜だって、本当ならそういう展開に進んでも全然おかしくなかったのに、私たち何もしなかったんだから。大人よねぇ。あ、違うわ。大人だったら、迷わずそっちに進んでるわよね。ということは、私たち、お子ちゃまだったってことぉ?それならそうで、凄くむかついちゃうわ!そうよ!私とシンジの精神レベルが高かったせいよ!より高等だったわけね。    そう…。あの日は本当に大変な一日だった…。


ヒカリ:アスカっ! 誰が、色惚けカップルよっ!

アスカ:あっらぁ、ヒカリ。お久ぁ。

ヒカリ:わたしと鈴原の方が、アスカよりずっとプラトニックなんだからっ!

アスカ:えっ!? もしかして、キスも・・・まだ?

ヒカリ:うっ・・・。

アスカ:マ、マジィィっ!?(@@)

ヒカリ:さよならぁぁ。
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