※ 今回のお話が、ウエッキー様の名作『The Restart Of Evangelion』 第16話 とネタ的に

   カブってしまっておりますことを事前にお断り申し上げます。ウエッキー様の名作を既に読まれ

   た方は、その読後感を損なわないため、一定の期間が経過してからお読み下さい。また、これ

   から読まれる予定の方は、こちらのお話を後回しにされることを強くお薦め致します。

   (2001 02 25 作者)

 

 

   レイ 「つまり、当分の間、『綾波司令』の読者はゼロになるのね。」

   作者 「そ、そう・・・・・・でも、モトモトそんなにいるわけじゃ・・・」

   レイ 「・・・・・・・・」

 

 

――レイちゃんがフテ寝してしまいましたので、今回、綾波司令は登場しません――

   レイ「(ムクッ!)・・・司令は私。あなたではないわ・・・(パタンッ)・・・ムニャ、ムニャ」

 

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 綾波司令   第7話「また造りしモノ」

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ミサト「また、性懲りもなく来たわねェ・・・」

『招待状』と書かれた紙を、顔の上にかざして、葛城ミサトはそれをヒラヒラと振った。

リツコ「これも仕事よ。・・・行きましょ。」

 

空路到着した二人を会場の入口で出迎えたのは、人間サイズの人型ロボットであった。

ミサト「へー。アレからそんなに経ってないのに、結構ススんでるわね。」

リツコ「水冷直列4気筒DOHC・・・排気量約400ccね。」

ミサト「じゃ、このロボットは・・・」

リツコ「ええ・・・・・ココを見てごらんなさい。」

赤木リツコが、宇宙服を着たようなデザインのロボットの、後頭部を指差した。

そこには、『H』のエンブレム。

ミサト「ホ○○製!・・・じゃあ、今度のロボットは・・・」

リツコ「ええ。相当ピーキーなエンジンを搭載しているわ。」

なんのこっちゃ・・・

 

 

司会の時田「みなさん、ようこそいらっしゃいました!」

 

今回も、『ネルフ御一行様』のテーブルに着いたのはミサトとリツコの二人だけ・・・

にぎやかに騒ぐ周りの席がやっぱり目障りだ。

しかし―――今日の二人には、ひそかに用意した決戦兵器があった!

 

「何だ?」 「どうしたんだ?急に・・・」 

ザワザワザワ・・・・人々の視線が、ネルフのテーブルに集中する。

 

カタン

 

澄ました顔で立ち上がったミサトが――周りの視線をたっぷり意識しながら――肩に掛けていた

ショールを・・・・さりげな〜く取った。

 

オヤジ達 「「「オオッ!!」」」

 

背中から腰まで、大胆に素肌をのぞかせたVカット。

同じように鎖骨からおへその上あたりまで大きく口を開けた胸元。

推定Fカップの胸の谷間で、愛用のペンダントがポヨンッポヨンッと弾んでいる・・・

そう、本日の葛城三佐が身に付けていたのは、ネルフ上級指揮官の制服ではなく、

超弩級のセクシードレス(ローン15回払い)だったのだっ!

ミサト(トーゼン、“ノーブラ”よ!)

 

次に、リツコが立ち上がって、腰に斜めに巻いた布をスッと外した。

 

オヤジ達 「「「ウオォ!!」」」

 

前よりも、はるかに深〜いスリットの入った、ラメ入りチャイナ風ドレスが現れた。

ほとんど腰骨の上あたりまで切れ目が届きそうなそのドレスの丈は、膝上約2・・・25cm!

スッカリあらわになった足を、これみよがしに高々〜〜と組んで席に着く、アダっぽい目つきの30歳独身。

さもけだるげに椅子の背で片肘をつくと、やるせなさそうに吐息をもらして周囲に流し目を送り始める。

リツコ(もちろん、ヤボな“インナー”なんてハいてないわよ!)

 

時田「こ、これは、また・・・ネルフのお二人は、本日の式典がどのようなものであるか、おわかりなので

    しょうか?」

 

ミサト「もちろんよ!」

会の趣旨を忘れて群がり寄ってくる男共を、12cmのピンヒールで蹴り上げながら、ミサトが答えた。

リツコ「新型駄作機の発表会でしょ?」

にじり寄ってきたオヤジの顔に平手打ちをくれながら、リツコが補足する。

 

時田「またまた、手厳しい御意見ですね。」

 

リツコ「先程パンフレットを拝見しましたが、前回発生した『暴走事故』に関する反省が、まったくと言って

    いい位、盛り込まれていません。これの、どこが改良と言えるのですか?」

『前回』に、自分がしたことを棚に上げて恐ろしいことを言う女、リツコ。

 

時田「・・・・・・・」

 

リツコ「それに、搭載動力の頁がまったく抜け落ちているのは、どうしたことでしょう?メルトダウンの危険

    性を抱えたエンジンを、いまだに使い続けることへの後ろめたさの現れ、ととってイイのかしら?」

ミサト「もっと言ってやって、リツコ!(ばきっ!)」

 

時田「・・・なかなか、良い所にお気づきですね、赤木博士。」

 

リツコ「?」

ミサト「ん?」

 

時田「確かに、御指摘の通り、前回私共のマシーンは『暴走事故』という本来あってはならないトラブルを

   引き起こしました・・・」

 

チラリとリツコを見る。

リツコは平然とその視線を受け止めた。

 

時田「・・・しかし、今回は違います。なぜなら、このたび私共が開発したエンジンは・・・」

 

時田が、さっと右手を上げた。

同時に、広大なステージに掛けられていたカーテンを吊るす紐が一斉にカットされた。

はためきながら落ちてゆくカーテンの後から、巨大な金属の塊が姿を現した。

 

銀色に光りながら、ウネウネとうねって後方へ伸びる8本のパイプ・・・

その陰に顔をのぞかせているシブい黒みがかった本体・・・

誇らしげに刻まれた『H○N○A』のロゴ・・・

 

ミサト「リツコの言った通りだわ・・・」

リツコ「・・・V8だったケドね。」

 

 

ここは、控え室。

ミサト「しっかし、呆れたわねぇ!最新型ロボットの発表会というから、どんなスゴイのが現れるかと思った

    ら、時代錯誤もイイ所じゃない!」

さすがにドレスは脱いで、制服に着替えるようだ。

リツコ「・・・いえ、一概にそうとも言い切れないわ。さまざまな問題点を抱えているにしろ、兵器としての

    実用性は、むしろこちらの方が勝っている筈よ。」

リツコも、いつもの服に着替え中。リングに指を掛けて襟元までジッパーを引き上げる。

ミサト「そりゃそうだけど、いまどきレシプロエンジンとはねぇ。車やバイクじゃないんだから・・・」

自分だってカーマニアのくせに意外と冷たいのは、作戦課長としての職業意識のなせるワザか?

リツコ「たしかに、その点が引っかかるわね。・・・燃料は、何かしら?」

口元に拳を当てながら、リツコがつぶやいた。

 

 

いよいよ公開運転が始まった。前回の反省故か、地下のシェルター内に設置されたブースからの操縦・

観覧である。飲み物を口に運びながらも、さすがに真剣な目つきで正面の特大モニターを見守る二人。

 

時田「エンジン始動!」

Vuhoooonn!!

腹に応える排気音と共に盛大にガスが吐き出され、巨大ロボットが始動した。

リツコ「集合マフラーね。」

ミサト「ヨシムラかしら。」

マニアックな会話を交わしながらも、二人の目はモニターから離れない。

 

時田「前進!」

正面の操縦席に座った技師が、慎重に、ギアを入れ、クラッチを繋ぎ、アクセルをフカしながら、手元の

緊急拘束用ブレーキを緩めていく。

その様子はまるで・・・

ミサト「ジャン○ーグ9ね。」

リツコ「マジン○ーZよ。」

・・・どっちでもいい。

 

巨大ロボットが歩き出した。

ミサト「いい吹き上がりネ。」

 

時田「右旋回!」

技師がハンドルを捻る。

 

時田「左旋回!」

今度は反対側へハンドルを捻る。

 

巨大ロボットは、技師の操作に瞬時に反応して方向転換を終えていく。

リツコ「レスポンスはなかなかのものだわ。」

 

時田が満足気にうなずいた。

その時・・・

技師「・・・減速できません!!」

操縦席から悲痛な叫び声が上がった。

 

時田「何!?まさか、そんな・・・」

必死でコントロール装置と格闘する技師の姿と、モニターの中を不気味に動き続ける巨大ロボットの姿

が、二人の目に交互に飛び込んできた。

 

ミサト「どいて!!」

技師を押しのけると、ミサトは操縦席に身を沈めた。

思いつく限りの操作を試みる。

エンジンカット・・・クラッチカット・・・ニュートラルギア・・・アクセルオフ・・・ブレーキオン・・・手応えがない。

もはや、ハンドル操作さえ受け付けなくなっていた。

 

リツコ「遠隔操縦自体がダメになっているんだわ。」

傍らで、リツコが眉をひそめる。

 

ミサト「このロボットの燃料は?!」

時田「ま・・・満タンだ。半日程度なら動き回れる・・・」

ミサト「なんだ、その程度なら放っといても・・・」

ほっとした顔をするミサト。

 

しかし、リツコは何か重大なことを思い出したように、はっと顔を時田に向けた。

 

リツコ「燃料は何なの!」

時田「高純度ガソリンに特殊加工の添加物。そして、ニ・・・ニトロを」

リツコ・ミサト「「何ですって!!」」

 

リツコがすかさず質問する。

リツコ「比率は?・・・・・・・・・・・・・・なんてコト!」

 

それは、いまだかつて誰も聞いたことがないような高混合率であった。

 

ミサト「そんなもの、ころぶだけで大爆発じゃない!」

リツコ「半日と言わず、1時間もあれば人の住む所に出てしまうわよ。」

 

時田「原子力を封じられた我々には、多少の危険は犯しても、この事業を成功させねばならない義務が

    あったのだ・・・そのために、オートスタビライザーをはじめとする最新の安全装置が・・・・・・」

 

ミサト「そのセリフ、前回にも聞いたわ!・・・発想の根本は、全っ然進歩していなかったのね!!」

リツコ「ミサト、そんなコトより」

ミサト「分かっているわ!・・・電話を貸して!!」

 

 

伊吹『シンジ君、アスカ、用意はいい?もうすぐ投下地点よ。』

シンジ「了解。」

アスカ「う〜〜〜、ワクワクするゥ!空中降下なんて、久し振りよねェ!!」

伊吹「投下!」

 

二機の輸送機から、ニ体のエヴァが切り離された。

 

シンジ「くっ!」

アスカ「行っけェ―――!」

 

ズズンッ!・・・ズズンッ!

 

シンジ「アレだな!」

アスカ「アレね!」

 

二人の遥か前方に、市街地へ向けて高速で突き進むロボットの姿があった。

初号機と弐号機が追撃に移る。

 

シンジ「アスカ!残り時間は?」

アスカ「4分・・10秒!!」

 

シンジ(弐号機の内部電源終了まで、あと4分とちょっと・・・急がなきゃ)

 

シンジ「アスカ、急いで!」

アスカ「シンジこそ、遅れるんじゃないわよ!!」

 

全速を発揮したニ体のエヴァは、30秒余りが経過した時点でロボットに追いついた。

紫の機体と真紅の機体が、ほぼ同時にオレンジ色の機体の前へ回り込む。

 

シンジ・アスカ「「止まれ――!」」

 

エヴァ二機がロボットを正面から押し返す。

少しずつ、しかし確実に押し戻されてゆくオレンジの機体。

が、ロボットの内部からガキッと何かが切り替わる音が聞こえ・・・

 

シンジ(すごいパワーだ!初号機だけじゃ止められない。アスカの電源が終了するまでに何とかしないと・・・)

 

次の瞬間・・・・初号機と弐号機が弾き飛ばされた。

オレンジの機体の前面に、赤いスクリーンが張り巡らされている。

 

 

ミサト「ATフィールド!!」

リツコ「まさか!そんな・・・」

しかし、時田の顔も驚愕に引きつっていた。

時田「バカな・・・・・・我々のATフィールド発生装置は、まだ試作の段階にすら進んでいないのに・・・」

ミサト「それじゃ!アレは・・・」

リツコ「使徒!」

 

 

アスカ「・・・やってくれるわネ。」

 

すでに弐号機の内部電源は、残り2分30秒を切っている。

 

シンジ「・・・とにかく、アイツの足を止めるんだ。」

 

シンジ(まさか、このロボットにも父さんが・・・)

 

悠然と初号機と弐号機を見下ろすロボットに、使徒ゲンドウの姿が重なる。

 

アスカ「シンジ!アタシがヤツを食い止めるから・・・」

シンジ「うん。その隙にボクが背中のバッテリーを破壊するんだね?」

アスカ「分かってるじゃない?・・・・・・・じゃ、行くわよ!」

 

アスカ「そぉりゃああー!!止〜ま〜れ〜!」

 

自らもATフィールドを発生させながら、弐号機がオレンジの機体の前に立ちはだかる。

重戦車のような前進を、アスカが必死で押さえ込んでいる間に、シンジはロボットの背後に回り込んだ。

 

シンジ(これか・・・)

 

背中に嵌め込まれた大型のパネルを引き剥がす。

 

残り、1分20秒・・・

 

シンジ「アッ!・・・・」

アスカ「・・・どうしたの?・・・シ・・・シンジ!」

 

シンジ(これは!!・・・)

 

パネル開口部から見える内部の様子は、すでにこのロボットが不定形の物体に支配されたことを示していた。

 

シンジ(どうする?・・・)

 

ロボットは、ジリジリと前進を続けている。

 

アスカ「はーやーくゥー・・・!」

 

弐号機の足が懸命に地面を掻く・・・

 

残り、24秒・・23・・22・・21・・20――――

 

シンジ(・・・・・・・そうだ。これしかない!)

 

シンジ「アスカ!ATフィールド全開!!」

アスカ「・・・・・!了解!!」

 

エヴァンゲリオン二機が、ロボットの前後でATフィールドを開放した。

巨大な赤い光が、三つの機体を包み込む。

 

アスカ“Auf wiedersehen,Roboter.(バイバイ、ロボットちゃん)”

 

弐号機のプログナイフが、ロボットの中枢部を貫いた。

 

 

ZuuuuuMMM・・・!!

 

 

その最後の模様は、シェルターにも映像で送られていた。

時田が、呆然と特大モニターを眺めていた。

 

時田「これが、本物のATフィールド・・・」

 

 

――内部電源終了。

アスカ「任務完了!・・・とっとと帰りましょ!」

シンジ「そうだね。・・・・・・ミサトさん達は、どうするんだろう?」

二人の上空で、マヤを乗せた輸送機が着陸態勢に入っていた。

 

 

「ど、どうか『ATフィールド』の秘密を、我が社に!」

「いや、ぜひとも創業60年の伝統を誇る我が社にこそ・・・」

「それを言うなら、ウチは創業67年だ!なにとぞ、我がユ○オン化○に・・・」

「官房長官がお食事など御一緒にと、お車の中でお待ちです・・・」

 

ミサト「・・・・・・・・」

リツコ「・・・・・・・・」

 

とりあえず、彼らが神の領域に近づく日は、当分訪れそうもない・・・?

 

 

『綾波司令』 第7話「また造りしモノ」 終

 

 

次回予告

失踪したゲンドウが冬月に残したツケは大きかった。

何もしない綾波新司令の下、冬月は過労のあまり倒れてしまう。

生死の境をさまよう彼が、幻の中に見たものは・・・

次回、『綾波司令』 第8話 「コウゾウ、心の向こうに」

ヨロシクねン!


レイ:(-.-)

アスカ:なんで、そんな顔してるのよ。

レイ:この作品の主役は私。どうして出番が無いの?

アスカ:1番最初にあったじゃない。

レイ:出番が無いことを言われただけ・・・。(-.-)

アスカ:だいたい、タイトルに「綾波」が付いてるからって、アンタが主役ってわけじゃないでしょうがっ!

レイ:どうしてそういうことを言うの・・・。(-.-)

アスカ:だいたいアンタなんか、月をバックに背負って立つくらいしか脳がないくせにぃぃぃぃぃっ!

レイ:(カチン!)(--#

アスカ:碌にセリフも喋れないくせにぃぃぃぃぃっ!!!!!

レイ:(カチン!カチン!カチン!)(−−###

アスカ:わかったら、でしゃばらず大人しく司令でもしてるのねっ!(胸張り、威張り)

レイ:弐号機パイロットは、もっとおしとやかだったわ。

アスカ:はぁ? 突然何言い出すのよ。

レイ:そう・・・あなたは弐号機パイロットじゃない。はっ! 使徒っ!

アスカ:ちょ、ちょっとっ!(@@)

レイ:碇司令に続いて、弐号機パイロットが使徒になったわっ! ネルフ職員っ! 攻撃開始っ!

アスカ:いっ、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!(TOT)
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