「帰ってきてやったわよっ!」

 

 

 

 

 

 

 

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   惣流司令2 いきなり最終話「アンタが司令」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ぎぃいい――――ん・・・・だうんっ

「やっと着いたわねっ!なんでドイツから日本へ来るだけでこんなに

 時間<注:3時間40分>掛かんのよっっ」

 

青葉 「ドイツ支部より入電です。・・・・うひゃ〜、でかいデータだな!」

ミサト「ど――したのぉ、青葉くーん?・・・あ!ダメよ、リツコ!次あたしなんだから〜」

リツコ「隙を見せたアナタの負けよ、ミサト。(サッ!)どう、マヤ?特務機関ネルフ総司令、赤木リツコ博士は?」

伊吹 「素敵です、センパイ!独裁者とマッドな科学者の融合!・・・まさに、恐怖の大王ですねっ!!」

リツコ「・・・『マッド』だけ余計よ」

シンジ「リツコさん、次、僕の番ですよ」

ミサト「あ、シンちゃんまでズル――イッ。青葉君、まだ〜ぁ?」

青葉 「もうスグ、受信が完了します(オレだって参加したいのに・・・)」

レイ 「碇君、ハイ」

シンジ「ありがとう、綾波。うわぁー、結構大きいんだな・・・(ゴソゴソ)」

レイ 「よく似合うわ」

シンジ「そ、そう?なんか、照れくさいな」

レイ 「『碇司令』、命令を」

シンジ「う、うん・・・・お、お前には失望した。用が無いなら帰れ!」

一同 「「「「「・・・・・・・・・・・」」」」」

シンジ「やっぱり・・・ヘン?」

一同 「「「「ドワッハッハッハ!!!」」」」」

日向 「ヒ〜、ヒ〜っ・・・シ、シンジ君!」

リツコ「クックックッ・・・」

伊吹 「か、可愛〜〜い!」

レイ 「・・・・・(プッ)」

冬月 「ノリノリ、だな」

 

今や、ネルフ本部発令所は、『司令ごっこ』の真っ最中・・・鬼の居ぬ間のなんとやら、である。

みんなで取っ替え引っ替え長官服の上着を着ては、命令の出しっこをして遊んでいる。

 

ミサト「父子なのに、ここまで違うとはねぇ〜〜・・・・どう、青葉君、終わった?」

青葉 「・・・・・・(ブ、ブルブルッ)・・・・・そ、送信されたデータを、メ、メ、メ、メインスクリーンに、う、う、映します!」

ミサト「どったの?」

 

何故か顔面蒼白になった青葉シゲルが、震える指先でキーを押した・・・ぴっ

 

シンジ「じゃ、次は綾波だね」

レイ 「着せてくれる?碇く・・」

 

パッ!

 

「アンタたち!アタシがいない間に、

 ソコで何やってんの!!?」

 

現ネルフ司令長官様の顔が、メインスクリーン一杯に映し出されました。

もちろん、解像度は1億8000万dpi・・・・ウブ毛の1本1本までクッキリ、スッキリ鮮明な3Dでございます。

無論、音声も究極のドルビーZ+ウルトラサラウンド+人間の限界をはるかに超えた低周波〜高周波まで

再生可能のネルフ特製11レンジスピーカーによって、殴り付けられるようにイキイキと聞こえてまいります。

発令所にいた全員が、両足を上げてひっくり返りました。

 

「よくも、この間は、ヨってタカって

 アタシをドイツまで送り返して

 くれたわねっ?!」

 

司令長官様は、ズイブン御立腹の様子です。その背景には空港のロビーのようなものが映っております。

 

「どーせ、いまごろはアタシの留守を

 イイことに『司令ごっこ』でもして遊

 んでんでしょ?」

 

一同 「「「「「「ギクッ・・・」」」」」」

 

「まっ、セイゼイ『今』のうちに楽しん

 でおくことネ・・・・オ―――ホッホッ

 ホッホッホッ!」

 

プツンッ

 

リツコ「(ごそごそ)」

ミサト「ど、どうしたのリツコ?・・・その手に持ってるボストンバッグは何?」

リツコ「クニに帰るわ・・・・母さんとMAGIには、もうお別れを言っておいたから」

伊吹 「わ、私も・・・帰ります。先輩、いつかまた会えますよね?」

リツコ「生きていたら、ね」

冬月 「楽天の日々はもう終わりだな・・・それでは、私も大学へ戻るとしよう」

青葉 「僕も、失礼します」

日向 「みんな、お元気で」

ミサト「ちょっと、待ってよ!あたしは、どうなるワケ?」

リツコ「アスカの保護者として責任を取ってくれると、嬉しいわ」

ミサト「お、鬼・・・」

シンジ「僕も、先生の所へ戻ろうかな・・・綾波はどうするの?」

レイ 「私は、どこにも行く所が無い。葛城三佐と同じ」

シンジ「じゃ、僕と一緒に来る?・・・よかったら、だけど」

レイ 「いいの?」

ミサト「シンちゃん!あたしも、あたしも一緒に連れてって!ホレ、このとーり!!(パンッパンッ!)」

シンジ「・・・わかりました。一応頼んでみますけど、期待しないで下さいね」

ミサト「あ、ありがとう・・・シンちゃん!!これからは、何でも言って!あたし、何でもするから・・・」

 

「いったい、何の相談かしら?」

 

一同 「「「「「「ドキィィッ・・・」」」」」」

 

「まさか、『逃げ支度』じゃーないわよねぇ?」

 

フルフルフルフル!

 

「ホントにぃ?」

 

コクコクッ

 

「ホントなのぉ〜?」

 

コクコクコクコクッッ!!

 

「それじゃあ・・・」

 

ゴクッ・・・

 

「さっさと、部署にツクぅ――っ!!!」

 

ズダダダダダァ―――!・・・・・

 

一同 「「「「「「「お帰りなさい!司令!!」」」」」」」

 

「・・・よろしい」

 

こうして、帰ってきた惣流司令による、ネルフ残酷物語・第2章が始まったのでございます・・・

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 Commander Asuka 

  Final Episode “ I Love You.”

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

――― ネルフ本部 長官室(別名:女王様の部屋) ―――

TVのドラマ『・・・・わたくしが命を賭けて愛してゐるのは、貴方だけですわ・・・なのに、なのに、貴方はもう

        わたくしを振り向いては下さらないのですねっ・・・・』

アスカ「ふんふん」

チュウチュウ――

TVのドラマ『・・・・なにを言ふのだっ!?キミは、あの日あの時、炎の中からキミを救ひ出したこのボクを信じ

        られないと言ふのかね?・・・・』

アスカ「ふーん」

チュルチュル・・・ジュル〜

アスカ「・・・ジュースが無くなったわよっ」

タタタッ・・・

ミサト「ハイハイ!ただいま」

葛城三佐は、なぜかメイド姿でありました。

トポトポトポ!・・・ピチャン!バシャア〜ッ!!

アスカ「あっ!なにコボしてんのよっ、ドジね!」

ミサト「ヒ、ヒィ――!!ゴ・・・ゴミンなさいっ!」

アスカ「ふんっ、そんなコトだから30前にもなって嫁の貰い手がないのよ!・・・あ〜あ、机も床もビショビショじゃない

    ・・・・ファースト!ファーストォ!」

レイ 「・・・はい、司令」

アスカ「コレ拭いて」

レイ 「・・・はい」

セッセ、セッセ! ゴシゴシ・・・キュ、キュ

三角巾で頭を隠したエプロン少女が、四つん這いになって床を拭いています。

レイ「・・・終わりました」

アスカ「ご苦労。下がってイイわよ」

レイ「はい」

TVの声『・・・・新世紀名作劇場「あの日あの時アノ場所で」、提供は日本重化学工業共同体でした、さて来週は・・・・』

アスカ「(次の番組、面白くないのよね・・・そうだ!)バアやっ、バアや!」

リツコ「な、なにかしら」

『バアや』と呼ばれた女性は、こめかみをピクピクさせながらも大人しく控えています。

アスカ「バアやっ、新しいゲーム買ったんでしょ?・・・貸して」

惣流司令の『貸して』は、『頂戴っ』という意味です。

リツコ「えっ・・・で、でも、まだ私だってコンプリートしていないのに」

アスカ「『貸して』」

リツコ「あと1週間!いえ、3日でいいから待ってくれない?」

アスカ「今したいのっ。だから、『貸・し・て』!」

リツコ「・・・・わ、わかったわ」

はい、どーぞ―――最新のゲームソフトは、ゲーム機もろとも惣流司令の前のテーブルに置かれました。

リツコ「・・・・・・・・・・ううう、く、クヤシイ〜〜」

研究室では、“バアや”が白衣の袖を濡らしているのでした。

アスカ「(ピコピコ・・・『わたし、レイちゃん』『・・・コミケ行きたいっ』)・・・・なんだか、あんまり面白くないわね。

    それじゃ、折角ドイツから帰ってきたコトだし、久し振りに学校へ行ってみよ・・・・・ジイっ!ジイっっ?」

冬月 「お呼びですか、お嬢様」

惣流司令は、『ジイ』に対して自分のことを『お嬢様』と呼ばせているのでした。

アスカ「ジイ、学校へ行くわよっ。VTOLを用意して」

冬月 「それが・・・・大変申し上げにくいのですが、お嬢様」

アスカ「何よ?」

冬月 「お嬢様専用のVTOLは、先日お嬢様が無理矢理操縦なさった折に、本部の6Fに突き刺さったまま

     となっておりますので・・・」

アスカ「そーだったかしら?」

冬月 「はい」

アスカ「・・・仕方ないわね。じゃ、クルマで行きましょ・・・・・シンジ、ファーストッ、アンタ達は歩いていくのよっ」

 

――― 第壱中学校 校門前 ―――

ぶわわぁぁ――っ・・・・きぃ・・・・ちゃっ・・・・すとっ

トウジ「ほ―――、アレが、最近、綾波に代わってネルフの司令長官になったいう“ソーリュー・アスカ・

    ラングレー”さんかいな・・・・・・って、ナ、ナニ〜〜〜イッ!!??そ、惣流ゥ〜〜ッ??!!」

シンジ「何驚いてるの?たしかに、あれ、アスカだよ。」

トウジ「(ゴシゴシ!)・・・ホンマや。あの小憎たらしい目、生意気な口、エラそうな鼻!間違い無い!!

    アイツは、茶髪暴力女=惣流やっ!」

シンジ「だからそう言ってるじゃ・・・」

トウジ「お―――しっ!そーと判れば、目にもの見せたる・・・(抜き足、差し足・・・)」

レイ 「何するの」

トウジ「(シ――ッ!)今からアイツのスカートめくって、みんなの前で赤っ恥かかしたるんや!」

シンジ「・・・・・(絶句)。止めといたほうがイイと思うケド・・・」

レイ 「私もそう思うわ」

トウジ「(ヒソヒソ)まかしとかんかい!(ソ〜〜〜〜・・・)」

ぴらっ

黒服A「鈴原トウジだな」

黒服B「こっちへ来るんだ」

トウジ「な、なんやオマエら?!・・・うわ――――っ!」

シンジ「あ、トウジ・・・!」

レイ 「鈴原君・・・」

アスカ「バ―――カ」

 

ヒカリ「す、鈴原――――っ!」

トウジ「い、委員長――――っ!」

ヒカリ「鈴原ぁ〜〜〜・・・」

トウジ「委員長ぉ〜〜〜・・・」

 

ガサ、ゴソ・・・

ケンスケ「レンズはこれでよし!後は・・・・・おっ、ラッキー!窓が開いたぞ・・」

黒服A「相田ケンスケだな」

黒服B「こっちへ来てもらおう」

ケンスケ「ゲッ!こ、こんな所にまで・・・」

黒服A「我々も命が懸ってるんでね」

黒服B「悪く思うな」

ケンスケ(オレの命はどうなるの?)

 

いまや悲劇はネルフ施設内にとどまらず、惣流司令の行く所、同心円状に第3新東京市全域へと波及しつつあった。

 

――― そんなある日 ネルフ本部の通路 ――― 

シンジ「あの・・・アスカ?もう、みんなを許して・・・やったら?反省もしてるみたいだしさ・・・」

他のみんなに較べれば比較的マシ(?)な『学校以外では、いつも一緒にいるコト』を命じられたシンジである。

今日も今日とて、惣流司令の行く所、“フロク”のように付いて回っているのだが――――とうとう、彼女の帰国

以来、ひそかに思っていたことを口にする。

アスカ「こんなもんじゃ、まだダメよ」

シンジ「でもさ・・・」

なおも言い募ろうとしたシンジの顔を、惣流司令がビシッ!とユビ差した。

アスカ「それに、アタシが本当に怒ってるのは・・・シンジ!!アンタなのよっ!」

シンジ「ボ、ボク・・・?」

心当たりがあるのか、恐る恐る自分を指差すシンジ。

アスカ「そっ!アンタさえ反省すれば、ミサトもファーストも他のみんなも今スグ許してやるわっ」

シンジ「・・・・そう、だったんだ・・・・・ゴメン。謝るよ、アスカ」

アスカ「アンタ、バカァ?アタシが何を怒ってるのか分ってんの?!」

あきれた!コイツ、本当に分かってないんじゃないのっ?

シンジ「それは・・・アスカがドイツへ帰されるのを止めなかったから・・・」

アスカ「・・・・・・・」

無言で腕組みをし、形の良い眉を吊り上げる“惣流司令”こと惣流・アスカ・ラングレー。

シンジ「本当に・・・ゴメン」

とうとうアスカの怒りが爆発した。

アスカ「だから、バカだっていうのよっ!シンジは何ひとつ分ってない!ホントに何も分かってなんだわっ!

    口を開けば『ゴメン』『ゴメン』って・・・・バカのひとつ覚えにも、ホドがあるわよっ!!」

シンジ「アスカ・・・?」

たまりに溜まっていた感情が一気に噴き出してゆく。

アスカ「アンタなんか、Gにやられて死んじゃえばイイのよ!アタシが・・・アタシがシンジに望んでいたのはねっ!

    それは・・・それは!」

シンジ「・・・・・!!」

 

ヴィーッ!ヴィーッ!ヴィーッ!

 

青葉 『測的レーダーが、Gを捕捉しました!現在、旧熱海方面から第3新東京市へ向けて侵攻中!!』

 

シンジ「アスカ!行かなくちゃ!!」

すると・・・いつもの惣流司令、いや、アスカからは考えられない答えが返ってきた。

アスカ「・・・勝手に行けば」

シンジ「どうしたの、アスカ?!Gが来たんだよ!アスカはネルフの司令だろ!?」

さらに、俯いたため見えなくなった口から出てきた言葉は、

アスカ「・・・・そんなの関係無いわよ

普段とは明らかに様子が違う・・・・シンジはようやく気がついた。

シンジ「・・・アスカ」

俯いたまま、彼女は拳を震わせる。

アスカ「Gが来たとか・・・司令だとか・・・そんなのは関係無いって言ってるのよっっ!

シンジ「アスカ・・・」

アスカが、サッと顔を上げた。

 

アスカ「司令なんかやってるより、アタシに

  は大切なものがあるの!!」

 

アスカ「アンタには、それが分らないのよっ」

再び俯いた彼女の両肩は、小刻みに震えていた。

シンジ「・・・・・ゴメン」

アスカは、顔を横に背けて言い放った。

アスカ「言い訳なんて聞きたくないわっ!」

すると、シンジの口から意外な言葉が投げ掛けられた。

シンジ「アスカの言いたいこと・・・・なんとなく分るよ」

アスカ「!」

少年は話し続ける。

シンジ「ヒドイよね、僕って・・・。いつも逃げてばかりで・・・。あの時も、ホントは・・・アスカの気持ち、分かってたのに

    ・・・・・やっぱり、逃げちゃって。僕って・・・最低だ」

アスカが、そっと顔を上げる・・・・その先に、俯いているシンジの顔があった。

アスカ「シンジ・・・」

その声を振り切るようにシンジは顔を上げ、アスカの目を真っ直ぐに見つめた。

シンジ「だから、今度は!・・・今度は、僕から言うよ!・・・・僕は・・僕は」

 

(・・・掃除、掃除)スタスタ―――――(ハッ!)サッ・・

 

アスカ「待って!」

必死の顔で、アスカがシンジを遮った。

シンジ「だって、アスカっ」

アスカは譲らない。

アスカ「いいのっ。アタシに言わせて!・・・これだけは、自分の口から言っておきたいの・・・・・ア゛〜〜〜(怒)

    こんなモノ邪魔だわっ!!!」

 

バサリッッ―――アスカの足下に、長官服が脱ぎ捨てられた。

 

アスカ「イイっ!!バッカシンジ!!よく聞くのよっ!(スゥ――・・っ)アタシは・・・・アタシはねぇ」

シンジ「・・・・・・」

シンジが、じっと自分を見つめている―――彼女の心臓は張り裂けそうに高鳴った。

アスカ「この、惣流・アスカ・ラングレーは・・・い、碇、シ・・シンジのコトが・・だ、だ、だいす」

 

けれど、彼女はその言葉を最後まで言うコトが結局出来なかった。

なぜなら、その桜色に輝く強がりで寂しがり屋の唇は、少年のそれによって永遠に塞がれてしまったから・・・

 

アスカ「だ、だ、だいす・・!!・・ん〜〜〜!!(チョット、何するのよ!まだアタシの話は終わって・・)ん〜〜っ

    (終わって・・・・)ん・・・・(ズルイわよ・・・バカ・・・シンジ)・・・・・・・・・・・・・・・(へにゃ〜〜)」

 

ヴィーッ!ヴィーッ!ヴィーッ!

 

日向 『G、戦自の防衛線を突破してさらに接近中!エヴァの発進準備急げ!』

 

シンジの両腕が、そっと彼女の身体を引き離した。

シンジ「・・・・行こうか、アスカ。みんなが待ってるよ」

一瞬名残惜しそうな表情を浮かべる青い瞳。そこに、しかし、徐々に、そして力強く生気が蘇る。

アスカ「そうね・・・・・・・さあ〜〜っ、行っくわよぉ――――!!(ダッシュ!)・・・シンジィー、置いてくわよ――っ!」

シンジ「あ、待ってよ!アスカ!(ダダ――ッ)」

 

伊吹『エヴァンゲリオン初号機並びに弐号機、発進準備完了』

ミサト『それじゃ、頼んだわよ―。エヴァ初号機&弐号機、発進!!』

 

 

ポロ・・・ポロ

(どうして私は泣いているの?)

ポロポロポロ・・・

(なぜ涙が止まらないの・・・・・・・・これは・・・)

―――そっ

 

 

――― その翌日 ネルフ本部発令所 ―――

ミサト「―――で、結局、アスカが司令をヤメちゃったら、次誰がなるの?」

アスカ「そりゃー、もちろん!シン・・」

―――と、そこへ

レイ 「それは違うわ」

シンジ「綾波!」

アスカ「ファースト!?」

レイ 「あなたは長官服を投げ捨てた・・・自分の意志で職務を放棄した人に次の長官を指名する権利はないわ」

アスカ「うぐっ・・」

シンジ「それじゃ、まさか綾波が・・・」

――フルフル

レイ 「いいえ。それはないわ・・・」

アスカ「じゃ、誰なのよっ?次のネルフ司令長官様は?!」

レイが発令所の入口を振り返った。

レイ 「司令・・・どうぞ」

 

トテトテトテ・・・

 

ペンペン「クワッッ!!」

 

一同 「「「「「「ぬわ、ぬわ、ぬわぁにぃぃ―――――い??!!」」」」」」

 

レイがせっせと仕立て直した長官服は、ペンペンの小さな身体に実に良くフィットしているのであった。

 

ペンペン「クワッ!クワワワッ、グワッ、グワッ!!」

レイ 「新司令は、こうおっしゃってるわ。『私が、特務機関ネルフの最高司令長官、ペンペンだ。

    以後、お見知り置きを』」

 

―――ズドドドドッ!

 

ペンペン「クエッ!クエェ〜ェ、クエッ、クエェッ!」

レイ 「『私と一緒に、人類と温泉ペンギンの明日を拓こうではないかっ』」

 

―――ドドドドッ   ミサト「イタタタタ!・・・」  リツコ「さ・・・さすがに、言葉もないわ」

 

ペンペン「クゥ〜・・・」

レイ 「『そのためには・・・』」

 

―――?

 

ペンペン「クワァァッ!!クェッッ!・・・グゥ〜」

レイ 「『思い切った人材の見直しも必要だ。・・・特に、パイロット』」

 

アスカ「な、なんですってー!?」

 

ペンペン「クワッ!」

レイ 「『そう、お前だ』」

 

アスカ「な、な、な・・・・」

 

ペンペン「クゥ〜〜〜、クケッ!」

レイ 「『お前は・・・・・・・・・・・・』」

 

ペンペン「クゥ?」

シンジ「綾波・・・どうしたの?」

 

レイ 「『お前は・・・・・』・・・もういいの、ペンペン」

ペンペン「クゥ〜〜」

レイ 「・・・・・さよなら、碇君。・・・アス、カ」

 

タッ――――

 

ペンペン「クワァ――ッ!」

トテトテトテ・・・

 

シンジ「綾波!」

アスカ「シンジ!!行っちゃダメ!!ファーストなんか、放っておけばイイのよっ!」

シンジ「うっ・・・・・・そんな、そんな心の狭いアスカなんて嫌いだよ!・・・綾波!」

 

ダ――――ッ

 

一同 ((((((シンジ君・・・・そういう君は、心が広過ぎじゃないのかい?)))))

 

アスカ「シン・・ジ。・・・・・・・・・・待って!アタシも行く!」

 

 

キューワッ!キューワッ!キューワッ!

 

青葉「1stチルドレン、ドグマ第23層を通過っ!!2nd、3rd、3層後を追跡中!」

日向「ヘヴェンズ・ドアが開いてゆきます!!」

伊吹「どうなるの、これから!?」

ミサト(・・・ってゆーか、ここまでイク、フツー?)

 

 

 

  ムォォォ・・・・ン

 

レイ 「ただいま・・・」

 

  ―――おかえりなさい―――

 

シンジ「綾波!!」 アスカ「ファースト!!」

 

レイ (ス――・・)

 

シンジ「待ってよ、綾波!」

アスカ「そうよっ!ファーストの気持ちも考えないで、アタシが勝手過ぎたわ!だから、早まらないで!」

 

レイ (スス・・)

 

シンジ「綾波!もう一度3人でやり直そうよっ!」

アスカ「約束するわ!だから、降りてきなさいよっ!!」

 

レイ 「(ス・)・・・本当?」

 

シンジ「本当だよっ!」

アスカ「だから!ファースト・・・」

 

レイ (・・ピタッ)

 

―――――――――

 

シンジ「そ、それじゃ、いくよ・・・・・あ、綾波」

レイ 「・・・・ええ」

 

ミサト「さ〜〜あ、いよいよ始まりました。アスカ公認『シンちゃん・レイ公開キッス』のお時間です!

    実況は私、葛城ミサト。特別ゲストに、惣流・アスカ・ラングレーさんをお招きして、ネルフ本部

    第1発令所からお送りしています!・・・・・・アスカ、今の気持ちは?」

アスカ「うっ〜さいっわね!!とっとと、済ましちゃいなさいよっ!!」

ミサト「お〜〜っと、自称“シンちゃんのマイ・ステディ”アスカさん、いきなり御機嫌ナナメの発言です!」

アスカ「あったりまえでしょ!?この企画だってアタシからファーストへの“お情け”なんだから、さっさと終わら

    させる権利はアタシにあるのよっ!」

ミサト「強気。あくまで強気。さすがはネルフ元司令長官として猛威を振るった惣流アスカさん!・・・・おっと、

    そーこーしている間にも、シンちゃんとレイの顔は刻一刻と接近しております!」

 

シンジ「ほ、ホントにするの?綾波」

レイ 「碇君・・・早く」

 

ミサト「さー、いよいよ2人の唇が近づいたぁ!あと、20cm・・・15cm・・・10、9、8、7、6、5、4、3!」

 

アスカ「やっぱり、ダメ――――――ェッ!!」  ガタタッ!!

 

シンジ&レイ「「・・・・?・・・・」」

 

アスカ「ダメったら、ダメっ!!約束もへったくれもないわっ!シンジは・・・シンジは絶対、絶対、絶〜〜対っ、

    アタシのものなんだからっ!ファースト!!アンタ、やっぱり身を引きなさいよっっ!」

レイ 「キスした」

アスカ「う・・・・・・」

レイ 「碇君とキスした。・・・正味5分間」

アスカ「うう・・・・・」

レイ 「だから、私も。・・・・さ、碇君」

アスカ「ファースト・・・・お願い」

レイ 「約束は、約束・・・」

 

ミサト「2、1!・・・・・ありゃ?」

 

シンジ「・・・ゴメンね、綾波」

レイ 「・・・・・・・」

 

アスカ(ち、ちっくしょ〜!ファーストなんかに気を遣うんじゃなかったわっ、バカ、バカ、シンジのバカッ!

     バカ、バカッ、アタシの大バカッッ!!・・・・・ん??)

 

シンジ「・・・ゴメン」

レイ 「・・・(スッ)」

 

チュッ

 

シンジ「・・・えっ?」

レイ 「これで・・・許してあげる。私にだって、プライドはあるもの。さ、碇君・・・彼女が待ってるわ」

シンジ「・・・うん」

 

――――スック

 

シンジ「アスカ・・・心配させて、ゴメン。綾波には悪いけれど、やっぱり僕にはアスカしかいないんだ。

    ・・・迷った時もあったけど、今のこの気持ちは嘘じゃないと自信を持って言える。だから・・・」

アスカ「し、仕方ないわね」

赤らめた顔で上目遣いにシンジを見上げながら、照れクサそ――に立ち上がる14歳の天才美少女。

アスカ「・・・ア、アンタを、ア、アタシだけの司令にしてあげるわよっ」

シンジ「えっ?何て言ったの・・・」

アスカ「だ、だから・・・・(――ぐっ)

    シンジをアタシだけの司令にしてアゲル

    って言ったのよっ!」

シンジ「・・・・・」

アスカ「か、感謝しなさいよねっ・・・」

もうシンジを正視できない・・・いったい、何バカなコトを言っちゃったよ、アタシ・・・―――すると、

シンジ「(ニコッ)・・・了解!!アスカ!!

 

うそ・・・

 

アスカ「!!シンジ・・・」

シンジ「アスカ・・・」

 

見つめ合う瞳と瞳、どちらからともなく差し伸べられた手と手―――そして

 

KISS・・・ 

 

 

――END――

 

ひょこっ   レイ「これはフィクション、あくまで作り話・・・ココだけのお話」  ペンペン「クゥッ!」

 

 

『綾波司令』 番外編 「惣流司令2」 ホントに―――お・わ・り!        


マナ:鬼ね・・・。悪魔ね・・・。

アスカ:アタシをドイツになんか飛ばした報いよっ!

リツコ:バアや・・・。(▼▼#

アスカ:あっ。(^^;

リツコ:バアや、とか聞こえたわ。(▼▼#

アスカ:あ、あのね。(^^;;;;;

マナ:あっ、今日は赤木博士がコメントしてくれるのね。じゃ、さいならーーーーーー!(ピュッ!)

アスカ:あーーーーーっ! ちょっと待ちなさいっ!!!!

リツコ:バアやって何かしらぁっ!?(▼▼#

アスカ:お、オジヤの親戚かなんかじゃ・・・。(^^;;;;;

リツコ:マヤ。マヤっ! 新しいコアが手に入ったわ。

アスカ:いっ、いやーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!

マヤ:ごめんね。わたし、まだコアになりたくないから。逆らえないの。

アスカ:イヤーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!(ズルズルズル)
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k100@poem.ocn.ne.jp

感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構
ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

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