ズズ・・

ズズ――・・・

「(カチャッ)やっと最終話まできましたね、先輩。」

「(フーー・・・カチャッ)全16話で終わらせるんだぁ〜とか、夏頃(2001年)までにはメドをつけよう!とか・・・・

うわゴトのように口走っていたのは、丁度1年前の春のコトよ。」

「まさに・・・」

「「無様ね/無様ですね。」」

「タダの思いつき一発ネタを寄せ集めただけの小話をもっともらしく見せようとするから・・・(フルフル)」

「『こんな話より、キャラコメ超SSの方がずっと面白れぇじゃねぇかっ』と悩んだ時期もあったようですね。」

「あら、今もよ。」

「・・・・・・・・。」

「いずれにせよ、ナンセンスギャグをベースにラブコメ調を加え、下ネタをツカミに中途半端なシリアス路線を

展開するという、この作者ならではの軽薄にして優柔不断な世界観は、まさにそれなりの結末を迎えたと言

えるわね。」

「これも終局の一つの形、というワケですね。」

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 綾波司令   最終話「Refrain」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

―――弐号機エントリープラグ―――

アスカ「何よ・・・・いったい、どうなってんの? シンジ!! レイはどこへ行ったのよっ??!」

初号機を追ってターミナルドグマへ飛び込んだアスカ。

弐号機の全周モニターは、屈み込み停止した初号機・・・不敵にサングラスを押し上げるゲンドウ・・

・・拳を震わせ俯くシンジ・・・仮面をつけた白い巨人・・・といったものを、彼女の前に映し出していた。

それらの中に―――憎まれ口をたたき合いながらも、いつしか心を許せるようになった少女の姿は、

なかった。

(なに、この場所?・・・・・レイは・・・!?)

アスカ「シンジ・・・!」

 

(綾波・・・・!)

駆け寄って伸ばした腕の向こうで、綾波レイは消えた。

何事もなかったかのごとく、平然とシンジを見下ろす“ゲンドウ”。

俯いた顔を上げ、シンジは『父の姿』をしたものに殴りかかった。

シンジ「ちくしょうっ!!!」

一発

ニ発――

三発――――

四・・・・発

五・・・・・・・・・

シンジ「・・・・・綾波を返せ!・・・綾波は・・・父さんの人形なんかじゃない・・・く、くっ!」

ゲンドウ「・・・・・・・。」

殴りつけた両手を地面について、シンジは泣いた。

無言のアダム。

シンジ「・・・・ちくしょう・・・・!」

 

アスカ「シンジ・・・・」

かける言葉もなく、アスカはシンジを見つめていた。

 

重苦しい空気が、弐号機からの映像をモニターしている発令所に広がっていく。

ミサト「シンジ君・・・」

冬月(レイ君・・・・間に合わんかったか)

リツコがスクリーンから目を背けた。

 

アダム「気がすんだか、シンジ。」

 

どもんっ

 

シンジ「・・・な、なんだっ!?」

 

シンジの目に映る、ゲンドウの姿が突然揺れる。

いや―――アダムを中心に空間が歪み始めた。

 

アスカ「こ、これは?! ・・・シンジ!! 早くエヴァに乗るのよっ!!」

 

日向「ターミナルドグマに巨大なアンチATフィールド発生っ! ドグマ全体に広がっていきます!」

青葉「綾波司令の生命反応、依然確認できません!」

伊吹「MAGIが本部からの脱出を勧告しています!」

ミサト「リツコ・・・どうすれば・・・どうすればいいの!!」

リツコ「私達にできることは、もう何もないわ。」

ミサト「そんなっ!」

冬月(ユイ君・・・君はどうするのだ?)

 

アダムが、おもむろに初号機を見上げた。

シンジ(どうすれば・・・どうすれば・・・いいんだ!)

シンジ「ハア! ハア! ・・・うくっ」

うつむきながら、それでも装甲板をよじ登ったシンジは、エントリープラグのハッチを開け、

再び初号機へ乗り込んだ。

 

アスカ(とりあえず、ココから脱出しなくちゃネ・・・!!)

幾多の戦闘で刻み込まれた経験が、迫りくる危険を告げている。

ドグマの奥で、白い巨人が十字架から崩れ落ちた。

形を失い、LCLの海に広がってゆく白い物体を背に、アダムが冷たい笑みを浮かべる。

アスカの背筋に戦慄が走った。

アスカ(な、なによ・・・アイツ!?)

せっつくように、アスカは初号機を振り返った。

アスカ「シンジ! 行くわよっ! ・・・・!!・・・何してんのっ!!?」

紫のエヴァは、屈み込んだ姿勢のまま固まったように停止している。

アスカ「シンジ? シンジッ!!」

応答は、ない。

 

広がりゆくリリスの肉体がアダムの足に触れた。

白い物体が減少し、逆にアダムの身体が巨大化を始める。

やがて、エヴァと同等の大きさにまで変化した“ゲンドウ”は、初号機に片手を伸ばした。

ゲンドウ『ユ・イ・・。』

 

アスカ「やめなさいよっ!」

とっさに、プログナイフを引き出す弐号機。

アスカの目の前で、初号機の装甲板がみるみる剥がれ落ちていった。

アスカ「 ! 」

下から現れたのは―――人の肌であった。

アスカ「なによ・・・エヴァって・・」

最後に、頭部を覆う装甲板に亀裂が走り、栗色の髪―――そして、女性の顔が露わになる。

アスカ(これって・・・・!)

弐号機の手からプログナイフが滑り落ち、地面に突き刺さった。

 

伊吹「ユイさんっ!? ユイさんじゃないんですか!! そんな・・・・そんなっ!?!」

マヤが激しく首を振っていた。

リツコ「・・・・・・。」

言葉なくスクリーンを見つめ続けるリツコ。

ミサト「シンジ君は!?」

青葉「応答ありません!」

日向「ユイさ・・イヤ! 初号機からも、アンチATフィールドの発生を確認っ!」

冬月(このような形で、この時を迎えるとはな・・・)

プシュン・・・。

 

シンジ(なにも映らない・・・・何も見えない・・・・母さん!)

――ドクン――

不意に、エントリープラグの映像が回復した。

目前に、巨大化したゲンドウの姿が迫る。

シンジ「くそうっ! ・・・・どうして動かないんだ!」

 

初号機――“ユイ”――が立ち上がった。

そのまま、“ゲンドウ”と向き合い、顔を上げる。

“ゲンドウ”『ユ・・イ。』

“ユイ”『・・・・・。』

 

アスカ(悲しそうな目・・・)

その瞳の意味を、アスカは心の隅で無意識の内に悟っていた。

 

シンジ(!・・・また見えなくなった!)

ガシャン――ガシャン

前後させるインダクションレバーに手応えは無かった。

 

加持「来るべきものがきた・・・にしては、オメデタイ状況とは言えませんな。」

冬月「・・・君か。」

スクリーンへ向き直ろうとした冬月を、加持の言葉がさえぎった。

加持「お客様をお連れしました。」

冬月「・・・碇!!!」

 

唐突に響いた冬月の声に、リツコが、ミサトが、マヤが・・・発令所の全員が振り向いた。

加持の横に、白い研究衣に身を包んだ碇ゲンドウ、その人が立っていた。

リツコ「・・・い、碇司令!?」

ミサト「加持! なんてモノ連れてくるのよっ!!」

今度こそは、と素早く拳銃を構えるミサト。

躊躇なく、引き金に指が掛かる。

慌てて加持が割って入った。

加持「落ちつけ、葛城! 本物の碇司令だ。」

バウンッ!

加持「(ひっ!)だから、本物だってっ!」

髪の毛が数本、加持の顔の前を落ちていった。

ミサト「どきなさいっ! 次、ホントに当てるわよ。」

ゲンドウ「・・・・久しぶりだな、葛城三佐。」

右袖がユラリと揺れている。

ミサト「・・・・・うそ。」

 

シンジ「(だめだ・・・動かない! 綾波を救えない・・)・・・動いてよ、母さん!!」

“ユイ”が、一歩“ゲンドウ”に近づいた。

見下ろすゲンドウ――――見上げるユイ

“ユイ”が両手を伸ばし、“ゲンドウ”の頬に触れた。

 

日向「初号機のアンチATフィールド、増大しますっ!」

 

アスカ「これが・・・碇司令の、人類補完計画!?」

 

白く輝き始めたニ体――“ゲンドウ”と“ユイ”――の光が、次第にひとつになってゆく。

 

シンジ(このままじゃだめだ・・・このままじゃ!)

シンジはプラグのイジェクト・レバーを引いた。

シュォオ・・・

シンジ(動いた!? 出られる!)

バシュン・・

シンジ「な、なんだ? どこだ・・・ここ!?」

エントリープラグの外には、明るいオレンジ色の世界が広がっていた。

シンジ(綾波を・・・探さなきゃ)

シンジはハッチを蹴って、海のようなモノの中を泳ぎ出した。

 

青葉「初号機エントリープラグの排出信号を確認!」

ミサト「シンジ君は!?」

伊吹「あの光の中です!」

日向「アダムおよび初号機のアンチATフィールド、なおも増大中! 融合が始まります!!」

冬月「このままでは、真っ先にシンジ君の自我がもたんぞ。」

リツコ「そこから離れなさい、アスカ!」

 

アスカ「イヤよっ!」

アスカ(シンジとファーストが溶けていなくなっちゃって、アタシ1人が取り残される世界なんて・・・)

アスカ「そんなの認められないわよ!」

 

リツコ「アスカ・・・!?」

ミサト「いいわよ、アスカ。そのままシンジ君に食らいついてなさい!」

リツコ「ミサト!」

ミサト「日向君、弐号機ATフィールドのモニターよろしく。」

日向「了解!」

冬月「碇。」

ゲンドウ「・・・・・これが、私か。」

 

シンジ「綾波―――っ!」

 

――――・・・・・・・・・・・

 

シンジ「どこにいるんだよ? ・・・綾波――っっ!」

 

――――・・・・・・・・・・・

 

シンジ(いない・・・・なにも無い・・・・ハッ!)

 

シンジ(手が透けてきてる・・・・プラグスーツもなくなってる・・・)

 

シン・・ジ     シンジ・・

 

シンジ(こっちか!)

 

リツコ「・・・アスカ! ATフィールドを途切れさせてはダメよっ!」

アスカ『わかってるわっ!』

日向「弐号機、押されます!」

青葉「ダメです! 2対1じゃ、到底問題になりません!」

アスカ『く・・・・くぅ!』

 

シンジ「レ――――‐イッ!!」

 

――――・・・・・・・・誰? ・・・・私を・・・呼んでいるの?

 

シンジ「な・・・なんだ? この感じ・・・・まるで、綾波と一緒にいるみたいだ?」

 

――――・・・・・碇君・・・・・ここにいるのは・・碇君?

 

オレンジ色の光の中にいるシンジには、それ以外、何も見えなかった。

ただ、温かな何かが、すぐそばに感じられるだけだった。

 

シンジ(まさか、これが・・・・・綾波)

 

――――・・・・・そこにいるのね・・・・・碇・・君

 

シンジ「(何も無い・・・・でも・・)これが・・・綾波。」

 

青葉「アダムと初号機、まもなく融合完了・・・・一つになります!」

日向「アンチATフィールド、共鳴中!・・・・・・なに!?」

リツコ「どうしたの!?」

日向「アダム及び初号機内部にデストルド反応を検出! プラスへ移行しますっ!」

リツコ(まさか、そんな・・・・そんなはず・・・)

冬月(これは、ユイ君の意志か・・・・いや、それとも)

スクリーンを注視し続けるゲンドウを、チラリと見やる冬月。

ゲンドウ「・・・・・・・。」

 

“ゲンドウ”『これで、いいのか・・・ユイ。』

“ユイ”『ええ・・・・だって、未来は、あの子達のものですもの。』

 

シンジは、初号機から遠ざかってゆく自分を感じていた。

 

日向「アダムと初号機から放出中のアンチATフィールド、本体へ向かいますっ!」

伊吹「初号機が・・・シンジ君とレイが・・!」

ミサト「アスカっ!」

 

(頼むわよ・・・アタシのATフィールド!)

アスカ「こんのおぉ―――っ!」   

弐号機が光の中へ腕を突き入れた。

アスカ「・・・手応え、アリ!!」

 

日向「次元測定値、測定限界!」

青葉「光の巨人が崩壊します!」

伊吹「あぁ!」

マヤが両手で顔を覆った。

ミサト「シンジ君! アスカ! ・・・・レイッ!!」

白一色に発光する発令所スクリーン。

黙って見つめ続けるゲンドウ、そして冬月。

 

・・・・・・・・・・

 

ガランッ

 

アダムと初号機の崩壊寸前に抜き取られたエントリープラグが、

静寂を取り戻したドグマの底に横たえられた。

弐号機を降り、駆け寄るアスカ。

赤いプラグスーツの両腕が、必死にハッチを開ける。

アスカ「シンジ―――ッ!!」

 

ガチャッ!!

 

アスカ「・・・・・・・・・・・・・アンタたち、何やってんの?」

エントリープラグの中で、裸のシンジとレイが抱き合うようにして気を失っていた。

アスカの声に、レイの肩を抱くようにしていたシンジがゆっくりと顔を上げる。

シンジ「あ・・・アスカ?」

シンジの胸に顔を押しつけるようにしていたレイも、まばたきをして目を開けた。

レイ「・・・・・・?」

上半身を乗り入れたアスカが、むぅーーーっという表情で二人を見下ろしている。

アスカ「仲のおよろしいコトでぇ〜。」

そこで初めて、シンジとレイは自分達の状態に気がついた。

パッと離れて、顔を赤らめる二人。

モジモジ、シンジ。

あさっての方向を見ているレイ。

ジロリッ。ジロリッ。

アスカの頬が、さらに、むぅ〜っと膨らんだ。

アスカ「いつまでも、そうしてなさいっっ!」

 

ガチャンコッ!!

 

おもいっきり、ハッチが閉じられた<EVA 01>エントリープラグだったのである。

   ・

   ・

   ・

   ・

   ・

   ・

チン、トテチテシャン・・・  チン、トテチテシャン・・・・・ ピョロロ〜♪

 

「ただいまより、碇シンジ、綾波レイの結婚式を執り行います。」

 

「ついにこの日が来たか・・・。おめでとう、レイ君。」

「すまんな、冬月。こんなにたくさんの御祝儀までもらって・・・」

「おまえにはやらんぞ。それは、シンジ君とレイ君にあげたのだ。」

「わかっている。」

「なら、その手を離せ。ユイ君が見ていたら何と言うか・・・。いい加減、ヤモメ暮らしも終わりにせんとな。」

「・・・問題ない。」

「大ありだ。まったく、お前という男は、初めて会った時から一向に成長せん。」

「それはお互い様ですよ、冬月先生・・・」

「相変わらず口の減らん男だ。・・・・・それにしても、あれから6年か。早いものだな。」

「・・・ああ。(クイッ)」

 

「それでは、三三九度の杯を・・・」

トクトクトク・・

「チョット、アンタ達――――っっ!!!」

ドタンッ! バタンッ! ドゴゴ――ンッ!

「こ〜〜の、オ・オ・バ・カ・シ・ン・ジ!! アタシの留守中に、一体なにやってんのよ!!??」

「ア、アスカ!? いや、これは・・・あ、綾波が、一度結婚式をやってみたいから、その練習だって・・・」

「練習?? 一体、『誰』と『誰』の結婚式を練習しようってのよ?! ・・・レイッ!!(ギロンッ!)」

「もちろん、碇君と私の・・・さ、碇君、今度は2段目の杯を使うのよ。」

「え? うん・・・・・って、僕と綾波のぉーっ!!??」

「ええ。ベランダであなたとキスした時、はっきり判ったわ・・・・・私は、碇君と結ばれる。(ボケボケ〜)」

 

「よく言ったぞ、レイ君。」

「うむ。問題ない。」

 

「わざとボケてるでしょっ! アンタがキスしたのはペンペンじゃないのっっ!!

 それより、このアタシの立場はどーなるのよ! 

 碇シンジの恋人で、近々婚約するとゆー噂の、このアタシの立場はぁ!!」

「それは、アナタが勝手にそう思い込んでいるだけ。碇君は、常々困っているわ。」

「ぬ、ぬ、ぬ、ぬぁぁあんですってぇええーーーっ!」

「このあいだも、私の膝の上で彼はこう言っていたわ・・・『アスカは疲れる。綾波といるのが一番だ』って。」

「シ、シ、シンジ〜ィ・・・(グギギギッ・・)」

「綾波! な、な、なんてことを言うんだよ??(オロオロ!)」

「私と碇君の関係を妨げているのは、半分ユイさんに借りたこの身体・・・・これさえなければ、

 碇君は何のためらいもなく私の所へ来るわ。」

「うっっ・・・(←ヒキ)」

(そ、そうなのかな・・・?)  ←<をい・・・

「そこで、赤木博士にお願いして用意したのがコレ。(パチンッ)」

結婚式参列用の和服を着て、リツコ登場。

同じく正装したマヤが等身大の試験管のようなモノをゴロゴロ押して入ってきた。

「ダミーシステム!?」

「そうよ、シンジ君。アスカは初めて見るかもしれないけど、これがダミーシステム。

 レイの魂―記憶―を保存し、次のレイへと置換する、精神と肉体の再生工場・・・」

「そんなものを、いまさらどーしようってのよ!?」

「分からない? これさえあれば、私の魂を別の肉体へ移し変えることができるのよ。」

「(ギクッ)ま、まさか・・・」

「そう・・・アナタの肉体に私の魂を宿らせることも可能。そして、御希望ならその逆も・・・」

 

言い忘れていたが、21歳になった綾波レイは、今でもネルフの総司令なのである。

肩まで伸ばした青い髪が、不思議な事に、それだけで大人の雰囲気を彼女に与えていた。

 

―――ちなみに、第1話で失踪した碇ゲンドウは前回再登場するまで、一体ドコで何をして

     いたのか? 気になる読者の方もおられると思うので、ちょこっと補足しておくと・・・

 

    発令所一同「「「「「「センチメンタル・ジャーニー(感傷旅行)??」」」」」

    ゲンドウ「うむ。」

    発令所一同(((((( 似合わん・・・ ))))))

    ゲンドウ「レイに捨てられた私は、傷心を癒すためユイとの思い出の地を旅してみよう

          と思い立った。まず、手始めに京都・・・次に、旧東京・・・そしてクムラン・・・」

    アスカ「クムラン?」

    冬月「イスラエルだ。かつて、死海文書が発見された地でもある。」

    シンジ(いくら探しても、いないハズだよ・・・・連絡くらいしてよ、父さん)

    加持「で、その碇元司令を連れ戻す役目を、新司令から与えられたのがオレというワケさ。」

    ミサト「なんでレイが?」

    レイ「碇君、かわいそうだもの。」

    リツコ(碇司令が・・・ではないのね)

    伊吹「あの・・・ところで、『使徒G』はどうして発生したんですか?」

    ゲンドウ「ズイブンいろんなモノを食べたからな・・・・食い合わせが悪かったのかもしれん。」

    伊吹「は?」

    ミサト「く、食い合わせが・・・」

    アスカ「わ、悪かった・・・?」

    伊吹「そんなコトで、Gが発生したんですか・・・???」

    冬月(碇・・・・フォローできんぞ)

    青葉「(ヒソヒソ)つまり・・・・どういうことなんだ?」

    日向「(ヒソヒソ)早い話が、セミやらキャットフードやら魚の骨やらを食べ続けた挙句、偏った

       栄養と碇司令の思念パターンみたいなのが右手に封印されていたアダムに流れ込んで、

       ついうっかり蘇らせちゃったって、コトじゃないか?」

    青葉「ヒドイ話・・・。」

 

余談が長くなってしまった。あまり深く突っ込まないでくれるとうれしいのである。(大汗)

 

一方、日本の大学へシンジと一緒に再入学したアスカは、ポニーテールにまとめた髪を

色つきのゴムで括り、三日間の合宿ゼミから帰ってきたばかり。

久し振りにシンジの顔を見ようと碇家の玄関を開けると、そこは留守。

『今日帰ってくるからって言っといたのにっ』と、プンスカしながら本部へ行くと、

角隠しを被ったレイが、紋付袴を着たシンジと三三九度を上げていたのである。

 

「綾波司令ファンクラブ、会員番号0021番さん、0103番さん。」

「「ハッ!」」

レイの呼びかけに応えて、礼服に白のネクタイを結んだ諜報部員が二人進み出た。

「元セカンドチルドレン、惣流・アスカ・ラングレーを拘束して。」

“黒服”改め“礼服”二人が左右からアスカの腕を取る。

「な、なによ、アンタたち・・・」

「大人しくしてもらいましょうか。」

「面倒をかけさせないでください。」

さすがは“礼服”。今日は言葉遣いまで丁寧である。

「・・・・くっ! ア、アタシをどうしようって・・・・・・エッ?」

フワ、フワリン。

ポニーテールがほどかれて、純白のヴェールが優しく載せられた。

「コレって・・・?」

 

・・・・・・・・・・・

 

「ただいまより、碇シンジ、綾波レイ、惣流・アスカ・ラングレー、合同結婚式を執り行います。」

 

「よかったな、レイ君。」

「うむ・・・問題ない。」

 

「チョット、何言ってるんだよ? 父さん! 冬月先生! 僕の意見はどうなるのさ??」

 

「ミサト、シンジ君が何か言ってるようだが?」

「シンちゃん、嬉しさのあまりワケ分かんなくなってんのね〜。もう、ウブなんだからン♪」

「多分、違うと思うぞ・・・」

 

「結局、第8話で振られた我々の出番はどこへいってしまったのだ?」

「延々と待たされてる間に、アメリカ代表とフランス代表が老衰で死んでしまったのだから話にならんよ。」

「綾波レイ・・・この修正、容易ではないぞ。」

―――いったい、誰が呼んだのだろう。

 

「結局、手間暇かけて再現したこのダミーシステムはどうなるのよ? 

 まったくレイのわがままにも、困ったものだわ。」

「ホント、もったいないですよね・・・」

「ネルフの科学力も、このままじゃ『猫に小判』・・・・ハッ!」

「どうしたんですか? 先輩。」

「マヤ、猫に・・・なってみる気はない?」

「は?」

 

「とうとう、オレ達本部から一歩も出してもらえなかったな。」

「それなりにセリフがあっただけ、マシってもんさ。」

「・・・そうかな。」

「・・・そう思って、ここはシンジ君達の門出を祝福しておくべきだろう。」

「「・・・・・(涙)」」

 

「おめでとう、碇、綾波、惣流!」

「おめっとさん!」

「おめでとう、アスカ! 綾波さん! 碇君、二人を泣かせちゃダメよっ。」

 

「サンキュー! ヒカリ!!」

「・・・ありがとう。(ぽっ)」

「だから、これ、真似事なんだってばっ!」

   ・

   ・

   ・

レイ(これが、私の望み・・・・・ネルフ総司令、綾波レイが望んだ世界)

   ・

   ・

   ・

レイ「・・・ね、碇君?」

アスカ「ぶぅ〜〜っ。」

シンジ(・・・どうしたらいいのさ?)

 

 

『綾波司令』 完

 

 

―――それでは、お終いの御挨拶です―――

レイ「・・・というわけで、『綾波司令』は今回で終わり。これから、最後のシメをするわ。」

シンジ「最後の・・・“シメ”?」

ゲンドウ「そうだ。『反省会』と称して“飲み会”を開く前に、本当の『反省』をする必要がある。」

レイ「何か不満があったの。」

アスカ「出ズッパリだったじゃない?」

リツコ「裸でね。」

ミサト「まぁ、ちょっちモラル厳しかったかもねぇ・・・。」

ゲンドウ「(バンッ!)そこで、新たに『碇ゲンドウ補完計画』を提唱する。」

冬月「おお、気合が入っとるな。」

ゲンドウ「まず、ストーリーの大幅な変更だ。

     シンジとその幼馴染の鬼娘が一緒に通学する所から、物語を始める。」

アスカ「だれが『鬼娘』よっ!」

・・・・・・・・・・・

タ、タ、タ、タ―――

シンジ「今日も転校生が来るんだってね。」

アスカ「まぁね、ここも来年は遷都されて、新たな首都になるんだもの。

    どんどん人は増えてくるわよ。」

シンジ「そうだね。どんな娘かな? かわいい娘だったらいいな。」

アスカ「ム〜〜。」

タ、タ、タ、タ―――

ゲンドウ「遅刻、遅刻ぅ〜、初日からさすがにヤバイという感じだ!」

ドンッ―――

シンジ「イタタ・・・。」

ゲンドウ「む、見たな?」

アスカ「ウゲ・・・。」

スック―――

ゲンドウ「スマンな、急いでいたのだ。ホントに、悪かったなぁ〜。(タ、タ、タッ)」

シンジ「・・・・(ぽっ)」

アスカ「ム〜〜っ。」

 

ガラガラ――

ミサト「よろこべー、男子。今日は、噂の転校生を紹介するぅ!」

ゲンドウ「碇・ゲン子だ。よろしくたのむ。」

シンジ「あぁ!」

ゲンドウ「オマエは、今朝のパンツノゾキ魔ではないか!」

アスカ「ちょっと、言い掛りはやめてよ! アンタがシンジに勝手に見せたんじゃない! この変態!」

ゲンドウ「オマエこそなんだ? すぐにこの子をかばってしまうとは。デキているのか?」

アスカ「た、ただの幼馴染よ! うっさいわねぇ!」

ヒカリ「ちょっと、授業中よ! 静かにして下さい!」

ミサト「あら、楽しそうじゃない。二人とも、続けていいわよ。」

生徒一同「わははは!」

 

 

ゲンドウ「――という話なのだが、・・・・・なぜ誰もおらん?」

レイ「司令、やっぱり・・・交代。」

 

 

『お終いの御挨拶』 完

 

※このお話を掲載して下さいましたタームさん、応援していただきました皆様方・・・本当にありがとうございました。

 またお会いする日まで、ひとまずお別れです。(TT)


マナ:まさか旅行に行ってただなんて・・・。

アスカ:アダムを復活させるし、とんでもないわね。

マナ:人騒がせもいいとこだけど、無事解決して良かったわね。

アスカ:むぅぅぅ、これが無事解決というのかしら。アタシが独り占めしたかったのに。(ーー)

マナ:みんな幸せになれて良かったじゃない。

アスカ:幸せぇ? だったら、あの最後のはいったい何よ?

マナ:だから、独り占めはよくないってことよ。わたしも仲間に入れてもらおっと。

アスカ:違うわよっ! ゲン子よっ! あんなもの見たら、アタシならその場で即死してるわっ!

マナ:ゲ、ゲン子・・・だめ。想像したくない。

アスカ:ゲン子のことは忘れましょ。ともかく、1つの長編名作がとうとう完結しちゃったのよね。

マナ:k100さん、楽しい作品ありがとうございましたぁ。

アスカ:次はアタシが主役よっ!

マナ:惣流司令・・・またやりたいの?

アスカ:司令にこだわらなくてもいいでしょっ。プリンセス アスカとかさ。

マナ:バカはほっといて。k100さん、お疲れさまでした。(^O^/

アスカ:勝手に幕引くんじゃないわなーーっ! プリンセス アスカぁぁぁぁっ!

マナ:せいぜい、プリン食うアスカが限界ね。きっと。(ーー)
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k100@poem.ocn.ne.jp

感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構
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