エヴァンゲリオン「映画補完計画-前半」

シンジがアスカに「気持ち悪い」と言った後の物語です
映画を見ていない方は映画を見た後、ご覧になってください
また「幸せを求めて」という作品が映画を補完させる物語なのでこちらの物語を読み終わったあと、この作品を暇つぶし程度に見ていただければ光栄です
私は「幸せを求めて」を読んで感動した読者が興味本位で作成した物語です
また、綾波レイはこの話で一切出てきませんのでレイ派はご控えください
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「もーーーーーー!!」

「アンタ見ているとイライラするのよ」

「アンタ私の事分かっているつもりなの?」

「救ってやれると思ってんの?」

「それこそ傲慢(ごうまん)な思い上がりよ」

「分かるはずないわ・・・。」


「分かるはずないよ・・・。」

「アスカなにも言わないもん」

「なにも言わない!!、なにも話さないくせに!!、分かってくれなんて無理だよ・・・。」


「バーカ」

「知ってんのよ」

「あんたは私をおかずにしてること」

「いつも見たくやってみなさいよ、ここで見ててあげるから」

「アンタが全部私のものにナラナイならあたし何も要らない」


「だったら僕に優しくしてよ」


「優しくしてるわよ」


「嘘だ!!!」

「笑った顔でごまかしているだけだ」

「あいまいなままにしているだけなんだ」

「このままじゃ怖いんだ」

「いつまた僕がいらなくなるかもしれなくて怖いんだ」

「ざわざわするんだ、落ち着かないんだ」

「声を聞かせてよ」

「僕の相手をしてよ」

「誰か僕にかまってよ!!」

<ミサトのマンション>

「何か役に立ちたいんだ」

「ずっと一緒にいたいんだ」


「じゃあ何もしないで」

「もうそばに来ないで・・・。」

「あんた、私を傷つけるだけだから・・・。」


「アスカ助けてよ」

「ねぇ、アスカじゃないと駄目なんだ!!」


「嘘ね、」

「アンタ、誰でもいいんでしょ?」

「ミサトもファーストも怖いから!!」
「お父さんもお母さんも怖いから!!」

「あたしに逃げているだけじゃないの!!」

「それが一番楽で傷つかないもの・・・。」


「ねぇ・・・」

「僕を助けてよ」


「本当に好きになったことないのよ」

「自分しかここに居ないのよ」

「その自分も好きだって感じたことないのよ!!」

アスカがシンジを突き倒す
コーヒーメイカーとともにシンジ、倒れる

「哀れね」


「助けてよ」

「誰か、誰か、誰か僕を助けてよ!!」

部屋中の物をなぎ倒すシンジ

「僕を見捨てないで」

「僕を一人にしないで・・・。」


「嫌」



シンジ、アスカの首を絞める・・・



そしてATフィールドが再び張られる
シンジとアスカは横に並んで寝ていた
シンジはおきるとあの時と同じようにアスカの首を絞める
なぜ自分が彼女の首をしめているかは分からない

アスカの痛々しい腕がシンジのほほをさわる

シンジから涙がこぼれる
アスカの上で泣きじゃくるシンジ



「気持ち悪い」




すべてを思い出すシンジ
今までのシンジが崩壊した瞬間でもあり、自分のすべてを失った瞬間でもあった
だがそれでもいいと思っていた



アスカがミサトにどうしても一人で暮らしたいとの要望により、アスカがミサトのマンションのとなりに引っ越すことになった
シンジはアスカが引っ越すことには何も話さなかった
むしろミサトの居る前では一言もしゃべっていないでただ下を向いているだけ
また、ミサトはアスカの首についている手のあとを見つけ、ただ事ではないことを確信し、許可したのだった

二人は別々の部屋で暮らすことになった

この世界に使徒が襲ってこなくなった今、彼らの役割はエヴァンゲリオンに乗ってすべての人間を抑制させることだけだった
つまりそれは世界を制覇するのと同じ意味だった
ゼーレの活動も停止し今はネルフが世界の権力をもっていた

<ミサトのマンション>

彼にはもう何がなんだか分からなくなっていた
ただベットの上で天井を眺めているだけだった
あの時の僕の選択は間違いだったのか?
彼は自分の生きている意味がまったく分からなくなった

「なんで僕はあんなことを言ってしまったんだ、どうして僕はあんな事をしてしまっ・・・。」

一人で叫ぶシンジ
しかし途中で言葉が途切れてしまう
自分のしてきた事を思い出したくない、そしてその事実が生きているうえで一生まとわりつく
決して撤回できることではない事実である

<アスカの部屋>

アスカは風呂にも入らず、食事もせず、ただうつぶせになって寝ているだけであった
彼女には何も考えることができなかったのだった



一方ミサトは・・・。

ミサトは何もできなかった
保護者として失格だと実感した
彼らを何とかせねばとも思うものの、何もできない
むしろ何が起こったのか、わからない始末なのである
しかし彼らが完全に冷めてしまったのは誰の目にでもわかる

「私がいけないのね、あの子達にすべてまかせっきりだったもの、保護者失格ね」

今の彼女には何もできない。彼女も十分承知だった。
今、彼女が分かっていることは、シンジとアスカの間には深い傷があることだけ
だけど、何かしたい
どうにかしてあの二人を助けてあげたい
彼女は思い悩むのであった


数日後、彼らにネルフからの呼び出しがかかった
人類が元に戻ってから、二度目の二人の対面だった

お互い何もしゃべらず、見ようともせず、下を向きながらミサトの話を聞いていた

「今回二人に集まってもらったのは、エヴァが正常に起動するかどうかを調べるためにきてもらいました」

「あなたたち二人の間に何があったかは分からないけど、エヴァが起動しなければあなた達がここに居る意味がなくなるわ」

「真剣に取り組んでちょうだい」

「二人ともわかった?」

しかし返事はなかった
二人はミサトの話が終わると同時に更衣室に向かったのだった。
特にミサトは何も言わなかった
むしろ何もいえなかった

そして実験が始まった

「どう? シンジ君たちのシンクロ率は?」

「起動指数ぎりぎりです、これじゃあ、いつエヴァに乗れなくなってもおかしくない数値です」

「二人ともなの?」

「はい・・・。」

ミサトは考えた
このまま二人をエヴァに乗せるかどうか・・・。
しかし、今彼らを解雇したら彼らはどうなるのであろうか?
シンジ君はまた昔のように閉じこもった生活になり、アスカは自分の意味を完全になくすことになるだろう
彼らはすべてを失うことになるかもしれない
ミサトの判断としては『今回ばかりは目を覆っとこう』という決断をした

「おつかれさま、エヴァは正常に起動したようだし今日は家に帰ってゆっくりしてて」

そして、何も言わずにエントリープラグから二人は出てきた
『彼らをこのままほっといたらいつしかエヴァが起動しなくなるのは間違いない』
しかし、今は何もできない
二人の仲を改善させるまでとはいかないが、彼らをエヴァに乗れるまで安定させる必要があった

「シンジくん!!ちょっときてくれないかな?」

「はい・・・。」

シンジの第一声はあまりにも寂しいものだった
シンジを誰もいない部屋に連れて行く

「シンジ君、実はさっきのテストのことなんだけど、シンジ君のシンクロ率が今までにないような低い数値だったの」

「もしかしたらエヴァに乗れなく可能性があるかもしれないの、だから・・・。」

「もう僕はエヴァに乗れなくても別にかまいません」

「え?」

「だから、これ以上僕にかかわろうとしないで・・・。」

いつもならシンジに張り手を食らわすミサトが今回は何もしなかった

「わかったわ、あなたたちに何が起こったかはわからないけど、これだけは言わせて」

「あなた達二人は自分の本当の気持ちから逃げようとしているだけなの」

「ミサトさん何かに・・・。ミサトさん何かに僕の気持ちの何が分かるんだ!!」

「ええ、分からないわ。だけどあなた達が自分の気持ちから逃げているのは確かよ」

「分かっていない!!僕はみんなから捨てられたんだ!!もう僕なんかどうでもいいんだ!!」

「本当にそう思ってるの?」

「僕なんかもうこの世から必要ないんだ!!」

「僕が居るとみんなを不幸にさせるんだ!!だから僕なんか必要ないんだ!!」

ミサトが思いっきりシンジの顔をはたく

「あなたが居るからみんなが不幸になっているわけじゃない!!あなたがあなた自身のことしか考えてないだけなのよ!!」

「だからそうやって勝手に思い込んで逃げているだけじゃないの?」

「じゃ、じゃ、僕はどうすればいいんですか・・・。教えてくださいよミサトさん!!!」

「あなたがアスカに何をしたかは知らないわ。私はあなたの手形がくっきりと彼女の首についていたのを見たわ」

「彼女が何をして、何を言ったか分からない」

「だけどあなたがやったことは人として最低のことだってことは分かってほしいわ」

「僕は、僕は・・・。」

「あなた自身がその事実を理解しない限り、あなたは人を不幸にさせるだけの存在なの」

「僕は、僕はアスカに・・・。」

「私に言ったってしょうがないでしょ!!自分で考えて解決しなくちゃ意味がないの!!」

「あなたにならできる・・・。」

「私はシンジ君を信じるわ」

そして部屋から出て行くミサト
部屋に一人だけ残されるシンジ
彼は悩んでいた
自分のこと、そしてアスカのことを・・・。
『僕は・・・。僕はアスカの首を絞めた』
『僕は一人になりたくなかった』
『だけどアスカは僕に冷たいことばかり言った、だから僕はアスカを恨んで首を・・・。』
『だけど、どうして?』
『僕は・・・。』
『僕は自分のことしか考えていなかった・・・。だけどアスカは僕が一人で寂しいときに僕を見放した』
『だから僕はアスカを・・・。』
シンジの目から涙があふれてくる
自分のしたこと、されたこと、そして感じたことすべてを思い返す
『そういえばあの時・・・。』
シンジはアスカが自分のほほに手を差し出したのを思い出した
『あれは、どういうことなのだろうか?』
『僕は今まで自分のことしか考えていなかったから、そんなことも考えたことはなかったんだ・・・。』
『そういえば、ミサトさんは僕が逃げているだけだといった』
『自分の気持ちから逃げているだけだと』
シンジには対処しきれないほどの疑問が一気にわきあがる
今のシンジには何をしたらいいのかわからなくなった
今シンジ自身に分かることは、その疑問を解決しなければ何も変わらないし、何も進まない

<アスカの部屋>

「アスカー、入るわよー」

アスカの部屋に入っていくミサト
アスカは布団の上でうつぶせになって寝ていた

「アスカ、ちょっと話したいことがあるんだけどいい?」

アスカは無言である
マンションを移してもらうよう頼まれたときに声を聞いたが、それ以外に一度も声を聞いていない

「アスカ?おきてるんでしょ?」

アスカは布団でうつ伏せになっているままである

「アスカいい加減にしなさい。あなたとシンジ君の間に何が起こったかはわからないけど・・・。」

「私の言うことぐらいは聞いて」


「ミサトは好きな人に首をしめられたらどうする?」


アスカの以外な言葉にとまどうミサト
なんと返したらいいのか分からなかった・・・。

「アスカ・・・。」

「どうすんのって聞いてるの!!」

「・・・。」

「どうすればいいのよ・・・。」

「どうすればいいのよ!!!」

「あなたはどうしたいの?」

「私は・・・。」

「私はまた元の生活に戻りたいの・・・。」

「じゃあ何で引っ越すなんていったの?」

「ほっといてよ!!」

「いいえ、ほっておけないわ」

「何で? どうして? ミサトは私を苦しめたいの?」

「そんなわけないじゃない」

「じゃあどうしてそんなこと聞くの!!」

「あなたはシンジ君と一緒・・・。」

「あなたは自分の気持ちから逃げているだけ・・・。」

「私が?逃げている?」

「そうよ、あなたは自分の気持ちから逃げているだけ」

「シンジ君と元の生活ができなくなるかもしれないから」
「シンジ君といつものように生活できなくなって」

「そして、あなた自身が傷つくことから逃げているのよ!!」

アスカは無言だった
ミサトは内心、不安を感じていた
いまの自分の発言によってアスカがアスカ自身の心を取り戻せなくなることを
今はアスカを信じるしかなかった
昔のアスカを自分で取り戻すことを・・・。

「よく考えておきなさい・・・。」

ミサトはアスカの部屋を出て行った

「私が逃げている・・・。」

「私が私自身から逃げている?」

「自分が傷つくことから逃げている?」

アスカもまたシンジと同じく考えていた
解決しなくてはいけない問題を・・・。

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今回初めて投稿することになりました影鬼と申します
小説などを作るのは正直な話はじめてなので、文章力、構成力にかけている部分があると思います
精一杯がんばって作っていきたいと思います
また、今回は第三者からの視点と言う形で物語を進めていきますが
アスカからの視点、シンジからの視点、ミサトからの視点でまた投稿したらおもしろいかな?と思っております
またここが駄目、ここをこうしたら面白いなどの意見をなるべくいただければ光栄です
さらに言うならば、この小説の感想などを聞かせていただければ、こちらとしてもうれしい限りです
初心者ですがよろしくおねがいします


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ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

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