エヴァンゲリオン「映画補完計画-後編」
タイトル 「人は変われる」

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<学校までの道のり>

二人はそれ以降何もしゃべらなかった
むしろ何もしゃべることがなかったのである

しかし、二人は何か話しかけようとはおもってはいない

お互い今の状況を整理していたのだった

[アスカ]

『いきなりびっくりするじゃない!!』
『だけど、普通に話しかけてもらえてよかった・・・。』
『また昔に戻れるんだよね?』

[シンジ]

『いきなり話しかけたからびっくりしちゃったかな?』
『今アスカ何考えてるんだろ?』
『やっぱり迷惑だったかな?』
『迷惑どころか、僕を存在として認めたくないと思っているのかもしれない・・・。』
『だけど、覚悟はできていた』
『僕は今日で、すべてを終わらせるんだ』
『終わらせるんじゃない。始めようとするんだ』


この二人の光景はとても他から見たら異様な光景であった
お互いしゃべろうともしないのに、二人並んで学校に登校している
お互い特に楽しそうでもない
だがそんなことは今の彼らには関係なかった
今の状況を整理するので頭がいっぱいだった

<学校の教室>

「おおお!!今日は夫婦そろっての登校か?」

ケンスケが叫ぶ

「昨日はあんなに元気なかったのはやっぱりお互い意識しすぎたっちゅうことやな」

思わずトウジも叫ぶ

しかしこの言葉は二人にとって一番気まづくさせるような言葉でしかなく
二人は何も言おうとはしなかった・・・。

「どうしたん?はずかしくて、なにもいえないゆーこっちゃなぁ?」

トウジはまたはやし立てる
しかし、二人からは何も返事がかえってこなかった

「トウジ、二人なにかあったみたいだからこの辺でやめときな!!」

小声でケンスケが叫ぶ
それに対してトウジは

「どういうこっちゃぁ?わいにはさっぱりわからん」

小声で叫んだにもかかわらず大声でトウジが答える
それに見かねたヒカリが・・・。

「す〜ず〜は〜ら〜〜!!ちょっとこっちきなさい!!」

「いいんちょ!!どういうことなんや?わいにはさっぱりわからん」

「いいからこっちにきて!!」

そういってヒカリはトウジを連れて廊下に出て行ったのであった

『ヒカリ、ありがと・・・。』

『洞木さん・・・。助けてくれてありがと・・・。』

お互い何もしゃべらずに自分の机につく
何事もなかったかのようにお互い装っているが、実際のところとてもあせっていたようだ

『いきなりトウジのやつ、なに言い出すのよ』
『あいつの鈍感振りにはあきれるものがあるわね』
『まったく、いま私がこんなんじゃなかったらぼこぼこにしてるのにぃ』

アスカもだいぶ自分を取り戻してきたようだ
これも保護者ミサトとクラスの雰囲気、そしてシンジのわずかな勇気のおかげだった

『まったく、トウジのやつ』
『今回ばかりはちょっと許せないかも・・・。』
『あとでなんか言ってやんなくっちゃ!!』

シンジは昔を取り戻すどころか、逆に強くなった気がする
なぜかシンジには今までなかったものを手に入れようとしている
それは勇気とかそういうものではなく、男としての自覚というものが強くなったのかもしれない

<授業前>

『あれ、この前配られたプリントを忘れちゃったのかしら?』

アスカはかばんの中を探し回る
必死に探す
しかし、いっこうに見つからない
しかたなくあきらめることにした・・・。

<授業中>

「この前、くばったプリントをだせー」

教師が叫ぶと全員かばんの中からプリントを出し始める
しかし、アスカはかばんから探すフリをしながらかばんをごそごそとあさっている
そして全員がプリントを出し終わったと同時にその行動をやめる・・・。

「おや?惣流はもってきてないのか?」

運が悪いことに、ばれてしまった

アスカの持ってこなかったプリントは授業用ではなく、学校行事で使うプリントであった

もし授業用のプリントだったら
中学生にしてドイツの大学を卒業の超天才少女にはそんなことを口が滑ってもいえないのであった
だが今回はべつもの
今まで彼女が恐れていたこととは・・・

「しょうがない、となりの奴に見せてもらえ」

その瞬間、二人の間になんともいえない空気が流れていた

「どうした?はやく碇、見せてあげなさい」

「は、はい」

アスカの反対の席は休みだったため、隣に居るのはシンジしかいなかったのである

シンジが机をアスカの机に近づけようとする
アスカも近づけようとするそぶりを見せる
実際は、ほとんどお互いの縮まっていなかった
さすがにこの距離ではプリントを見せるには遠すぎると感じたシンジがまた机を移動させる
そのたびお互いの距離は縮まっていく

「あ、ありがと・・・。」

アスカがさりげなく言う

「う、うん」

シンジもさりげなく答える

そして二人は一枚のプリントを眺めながら授業を聞くのであった

シンジが少し体勢をなおそうとしたときアスカが伸ばしていた足にぶつかってしまうのである

「あっ、ごめん」

「うん」

そしてまたシンジの足がアスカの足にぶつかってしまうのである

「あっ、ごめん」


そのときアスカは返事をしなかった
彼女には前から疑問に思っていたことがあった


シンジに嫌われるかもしれない・・・。
だけど逃げたら終わり
ミサトに教えられたはず
だから今、聞かなくてはいけない・・・。
たとえシンジとの仲が壊れてしまっても・・・。
シンジと自分が分かり合えなければ、私たちの仲がよくなることはないのであるから・・・
彼女はシンジを信じるしかなかった
二人が共に分かり合える答えをみちびきだせるということを・・・
アスカが口を開いた


「なんで、すぐ謝るの?」

「え・・・。だって悪いことしたと思ったから・・・。」

「じゃあ購買ですれ違ったときなんで謝ったの?」

「え? そ、それは、、なんとなく・・・。」

「前まで私にしたわれてきたから?」

「そ、そんなことあるわけないじゃないか!」

「じゃあ何で謝ったの?」

「そ、それは・・・。」

「私は確かにひどいことをしてきたかもしれない」

「私は許されないことをしてきたかもしれない」

「許せるものではないかもしれない」

「許していいことでは、ないかもしれない」

「いいんだよ、僕が悪かったんだし」

「・・・。」

「そうやってねー」

「そうやってねー」

「そうやって何でもかんでも自分のせいだと思い込むところが悪いところなのよ!!」

クラス中にその声が響きわたる
クラス中が静かになる

「先生、ちょっと碇君と廊下に出て話し合ってきます」

「あ、ああ、わかった・・・」

シンジとアスカは廊下に出る

<学校の廊下>

二人の間にまた沈黙が続いた

しかしアスカはすでに決心していた

絶対に聞いてはいけないこと

絶対に話してはいけないこと

それを今、聞くということを・・・

アスカの口がひらいた

「なんで私の首をしめたの?」

「・・・」

「・・・」

「僕はみんなから捨てられたと思ったから・・・。」

「・・・」

「だ、だから・・・。」

「だから?」

「だから僕は・・・。」

「だから僕は、信じていたアスカもも捨てられたと思って」

「だから僕は・・・。」

「もういい」

「・・・。」

「だけど、そのことについては悪いとは思ってないの?」

「そんなことないよ!!」

「だけどまだ一回も謝られてないわよ」

「私はシンジを捨てたなんて一回も思ったことない!!」

「なのに、なのに、なのに、、、、」

「なのにシンジは私がシンジを捨てたと思ったのね・・・。」

「そ、そうだけど、、そうだけど、、、だけど今は・・・。」

「いいえ、いいの・・・。」

「私が今までしてきたことは決して許されることではないの・・・。」

「だけど、だけどねシンジ」

「・・・」

「これだけは聞いてほしいの。私はシンジにだったら殺されてもよかった・・・。」

「え」

「ごめん、変なこと言っちゃったわね・・・。」

アスカが教室の扉をあける

「先生、ちょっと調子悪いので早退させてください・・・。」

「どうした惣流?そんなに調子悪いのか」

「はい。ほんとすみません」

「おう、わかった。お大事にな」

そして教室をでるアスカ
シンジの方は小刻みに揺れていた・・・。

<ミサトのマンション>

シンジは部屋中で暴れていた・・・。
そこらじゅうにあるものを蹴りだした
今までの彼を見る限り想像しにくい光景だった
『僕は、、僕は結局なにもできなかったんだ!!』
『アスカの質問にちゃんとした答えを返せなかった!!』
『ぼくは、ぼくは、、、、、、』
『僕はあれほどまでにアスカが思い悩んでるとは思っていなかった・・・。』
『僕はどうすればいいんだ!!!』
ベッドをこんしんの力をこめて殴り始める
『ああああ!!!』
『僕はどうして、、、』
シンジの目から数えられないほどの涙がでてきた
『ど、ど、どう・・、どうして僕は・・・!!!』
彼の精神状態はもはや手に負えないほどに興奮していた
『こんな僕なんて!!こんな僕なんて!!』
『アスカに対して僕はなんてことを!!』
もはや彼は混乱していた
そこらじゅうのものを投げ飛ばし
壁をけり
なぐり
そして、地面に崩れた・・・。

「シ、シンジ・・・。」

「え?」

「あ、アスカ・・・。」

「シンジ、ごめんなさい」

「あなたをここまで追い詰める気はなかったの・・・。」

彼女の目にも、うっすらと光るものが流れていた

「ごめんなさい・・・。」

「本当にごめんなさい・・・。」

「ア、アスカ・・・。」

「謝るのは僕のほうだ!!」

「なんでアスカが謝るんだよ・・・。」

「僕はアスカがそこまで思い悩んでるなんて思わなかった・・・。」

「だから僕はアスカが真剣に悩んでるのを見て、自分のおろかさが身にしみて分かった気がするんだ・・・。」

「そんなことは別にいいの、だから・・・」

「アスカ、聞いてほしいんだ」

「僕はまたいつものように話しかければ前と同じ生活ができると思ったんだ」

「だから今日の朝も挨拶して話しかけてみたんだ」

「だけど、それはただ単に逃げているだけだって気づいた・・・。」

「自分がそうやって、安易な気持ちで、解決しなければいけない問題から逃げようとして、いつものように話しかければ大丈夫って心の奥で思ったんだ」

「だけど、アスカは違った」

「アスカは逃げようとしなかった」

「だから僕はこんな、こんな情けない自分を悔やんだんだ」

「シンジ、こっちにきて・・・。」

シンジがアスカのそばまで寄る



パシッ



アスカがシンジのほほを殴った



「ばかシンジ・・・。」



しかし、アスカはシンジに抱きついた・・・。





「もう、そんなこと言ったら許さないからね・・・。」

「ア、アスカ・・・。」

シンジもそっと手を後ろに回す

「アスカ、ゴメン・・・。」

「いいのよ・・・。」

「いいから、しばらくこのままでいさせて」

二人はそのまま時間を忘れ抱き合った



「シンジ、わたしはシンジのことが好きよ」



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レイ 「最後まで読んでくれてありがと」

アスカ「ふふふ、これでシンジも私のものねぇ」

レイ 「そう?」

アスカ「キャーーーーーーーーーーーーーーシンジに好きって言っちゃたわ!!」

レイ 「ええ」

アスカ「シンジと今度デートいこおおおお!!」

レイ 「ええ、いってらっしゃい」

アスカ「なにグーたれてるの?そんなに羨ましい?」

アスカ「まぁ私の美貌に任せればシンジなんていちころよ!!」

レイ 「よかったわね」

アスカ「ふふふ、シンジとあんな事やこんな事もしちゃうのかなぁ?? レイ!!あんたも応援しなさいよ!!」

レイ 「命令ならするわ」

アスカ「・・・」

アスカ「まぁ、いいわ」

レイ 「ええ」

アスカ「だけどこのシリーズまだ続くらしいのよねぇ」

レイ 「そう」

アスカ「あたしから見た、映画補完計画なんて作ってるらしいわよぉ」

レイ 「ええ」

アスカ「楽しみにしてる人はごく少数だと思うけど、楽しみにしててね〜〜」

レイ 「私には関係のないこと」

レイ 「それは必要のないこと」

レイ 「好きじゃない」

アスカ「まっ、レイなんてほっといて楽しみに待っててくださーい」

レイ 「あなたに『レイ』っていつの間に呼ばれてたのかしら・・・」

レイ 「碇君と仲良くなったからって・・・。」

レイ 「碇君・・・」

レイ 「わたしの碇くーーーーーーーーん!!!」

アスカ「気持ち悪い」


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