シンジが、ネルフを去って、早四年の歳月が経っていた。その間、魔界からの戦士は、一度もネルフへの攻
撃は加えていない。シンジが、生きていたという事実は、向こうにとって、そうとうな、ダメージだったらし
い。その間に、アスカ達は、厳しい訓練を受け、ネルフでも、有数な、部隊になっていた。部隊とは、リツ
コ、ミサト、加持、アスカ、レイ、トウジ、ケンスケ、ヒカリの、八人部隊で、ネルフでは、一番の戦果を
誇っていた。中でも、アスカとレイの成長はめざましく、既にネルフでは、トップクラスの実力をもってい
た。さらに、アスカとレイは、この四年間で、すばらしい変貌を遂げ、美しい美少女へと、すがたをかえてい
た。そのため、この二人は、男性からしょっちゅう交際を求められた。レイは、取り敢えずデートをして、奢
らせるだけ、奢らせておいて、すぐに捨てるという、悪女ぶりを発揮していた。一方、アスカの方は、頑なに
それらを、拒否していた。彼女には、思い人がいたからだ。碇シンジが・・・。
                                                             

 天冥戦争  第二話   〜シンジ帰還〜
                                                  

「シンジったら、いつになったら帰ってくるのかしら!まったく、こんな美少女、ほったらかしといて!」
「アスカ、それ、シンちゃんが居なくなってから、毎日言ってるじゃない。もう耳にタコができちゃったわ
よ。」
 レイは、アスカに指摘した。もっともこの指摘も毎日のように言っていることである。もはや、これが彼女
らの挨拶と言っても過言ではない。
「それにしても碇君、本当にいつ帰ってくるのかしら?もう四年も経っているわよね。」
 ヒカリは、ふと思ったことをいった。
「そうよ!もうあんな約束なんて、時効だわ時効!どっかから男でも捕まえてこようかしら?」
「おんや〜?アスカ、そんなことができるのかしら〜?」
 レイは、不適な笑みを浮かべながらいった。
「う、そ、そんなことできないわよ!いってみただけよ!」
 こんな、いつもと変わらない会話を交わしていたが、この平和が、突如、けたたましい警報装置によって、
破られた。
『アンカー部隊、アンカー部隊、至急作戦室に、集まれたし。くりかえ
す・・・』
 アンカー部隊とは、アスカ達の部隊の名前である。アスカが、「碇」の名前からとって、付けた名前だ。
「いきましょう、レイ、ヒカリ!」
「「ええ!」」
 アスカ達は、急いで、作戦室にむかった。

 作戦室には、もう既に全員集まっていた。
「全員集まったみたいね。」
 ミサトが、口を開いた。
「みんな、よく聞いて、今度の敵は、間違いなく魔界から来た者よ。」
「ほ、ほんまでっか!?ミサトハン!?」
「ええ、ほんとうよ。あれから四年ぶりね・・・。」
 リツコは、そう答えた。
「いい、数は、約100。その中に、一つ大きな反応があるわ。たぶんそれが、隊長クラスなんだと思うわ。
 まず、レイちゃんと、トウジ君と、ケンスケ君と、ヒカリちゃんが、周りの雑魚を片づけて。それで、私と
加持と、アスカと、リツコがボスを叩く。雑魚が、片づきしだい、私たちの援護。いいわね?」
「「「「「「「了解!!」」」」」」」
(シンジ、早く帰ってきて・・・)
 アスカは、シンジの帰還を、拙に祈った。




「水広範囲魔術 水龍破壊陣」
 レイは、魔術で広範囲を攻撃し、敵を弱らせ、トドメは、ケンスケに任していた。この二人は、タッグを   
組むことが多かった。
「風陣列波!!」
 ケンスケは、属性は、「風」であり、ショートソードを使って、戦うタイプだ。
 一方トウジたちは、トウジは、なりふり構わず、突進していくため、ダメージが、どうしても大きくなって
しまう。しかし、そこはヒカリの、白魔術で、回復し、見事に敵を一蹴していった。ちなみに、トウジは
「土」、ヒカリ「光」である。こちらは、全て順調に片づいていたが、アスカ達はそうはいか無かった。

「どうしたの?あなた達の実力はそんなもんなの?」
「う、うるさい!」
 アスカは強がって見せたが、どうにもいかなかった。
 シャムシェル、それが彼女の名前だ。魔界では軍団長を務めているが、前に来たサキエルとは、実力は段違
いだ。 
 シャムシェルの攻撃パターンは、光の鞭、ただそれだけである。しかし、動きが早すぎて避けきれないの
だ。さらに、相手自体もはやく、こちらの攻撃がなかなか当たらないのである。
「闇魔術 ダークフレイム!!」
「土遁 大地の波!!」
 リツコと、加持が、同時に術をかけるものの、避けられてしまった。
「そんな攻撃あたらいわ。やっぱり、天の者が居ないと、地上の者はダメね〜。」
 シャムシェルは、あざ笑うかのように言い、リツコへと攻撃を加えた。それがまともに入り、リツコは気絶
してしまった。どうやら、肋が折れたらしい。
「リツコ!!」
 ミサトは、リツコに、駆け寄ろうとした。だが、
「人の心配なんてしていて良いのかしら?」
 シャムシェルは、ミサトに、光の鞭を喰らわせた。ミサトは、よそ見をしていたので、避けきれずまともに
喰らい、戦闘不能になった。もう、こちらには、アスカと加持しかいない。レイ達は、いくら雑魚といっても、数が多すぎて、なかなかアスカ達の援護にいけない。 
 そうこうしている内に、加持もやられてしまい、とうとうアスカ1人になってしまった。
「もうあなた一人ネ。あきらめて、エヴァを渡しなさい。」
「い、嫌よ、私はシンジが来るまであきらめないんだから!」
「シンジ?ああ、天の者ね。あわれね、彼は今、中国にいるわ。それは検証済み。だから私たちが攻めてきた
のよ。そんなことも分からないの?」
「ち、ちくしょーーー
炎魔剛襲剣!!」
「無駄なあがきね。」
 アスカは、剣に、炎を纏い、シャムシェルに襲いかかった。
「無駄なあがきね・・・。」
 そういうと、光の鞭で、アスカの持つ剣をたたき落とした。
「く、くそっ。」
「はは、あんたも終わりね。死んでもらうわ。」
(ごめんね、シンジもうだめみたい・・・。)
 アスカは、死を覚悟した。シャムシェルの光の鞭は、すぐそこまで来ていた。
 アスカの目の前に、黒い穴のような物が現れた。アスカは、それがすぐに闇魔術ディラックの海だと分かっ
た。しかし、そんなのどうでもよかった。もう自分は、死ぬんだ・・・。アスカは目をつぶった。
 しかし、いつまでたっても、光の鞭は来ない。おそるおそる、目を開けてみると、そこには、少年の後ろ姿
があった。服は、ボロボロ。髪もボサボサ。しかしアスカには、それが、シンジだとすぐに分かった。
「シンジ!!」
「アスカ、遅くなったね。」
 シンジは、光の鞭を剣に絡めながらいった。
「バカバカ!シンジのバカ!いつまでまたせるのよ!」
 アスカは、目に涙を浮かべていた。シンジとの再会がよほど嬉しかったようだ。
「なんで、ここに天の者が・・・」
 シャムシェルは、驚愕の表情を浮かべていた。
「君は、ディラックの海を知らないのかい?」
「知ってるわよ!でも、あなたは、覚醒してまだ四年。4年ぽっちで修得できる技じゃないわ!!」
「そんなことどうでもいい。アスカ達をいたぶった罰だ。一瞬で消してやるよ。
風雷舞皇剣!!」
 シンジは、剣に、雷と、風を纏わせた。アスカは、驚愕した、2つの力を複合して使うのを、初めて見たか
らだ。
「くらえーーーー。」
 シンジは、シャムシェルに、疾風迅雷の如く斬りかかった。それはあまりのスピードであったため、シャム
シェルでも避けきれなかった。
「ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 シャムシェルは、シンジの剣技によって、絶命した。
 他の魔物は、シャムシェルの断末魔は、一帯に響き渡った。それによって、初めてレイ達は、シンジの存在
に気づき、そして、気絶していたリツコ達も目が覚めたようだ。
「「「「「「「シンジ(くん)(碇君)(シンちゃん)!!!!!」」」」」」
「ただいま、みんな。」
 シンジの身なりは、ひどい物であったが、その笑顔だけは、変わらず残っていた。
 シャムシェルが死に、他の魔物たちは、戦を喪失し、逃げだそうとした。だが、
「逃がすか!煉獄火炎!!」
 シンジは、灼熱に炎を召還し、まだ2,30匹残っていた魔物をすべて一瞬で、消滅させた。
「す、すごい・・。」
 レイは、思わずため息をもらした。無理もない、押していたとはいえ、かなり苦戦していたあいてを、あっ
という間に一蹴してしまったのだから。
「あーん、シンジーーー逢いたかったよーー」
 アスカは、シンジに抱きついた。
「ごめんねアスカ、遅くなっちゃって。」
「ホントよ!罰として、明日は私とデートすること!もちろん全部シンジの奢りなんだから!」
 アスカは、泣きながら言った。
「わかったよ。アスカ・・・」
 シンジ達は、今までの空白を埋めるように、熱い口づけを交わした。
「・・・あんた達・・・場所を選びなさいよ・・・。」
 ミサトは、一人で愚痴った。
「・・・素敵・・・」
 レイは感動しており、他の面々も、同じようなことを考えていた。
「シンジくん、お取り込み中、悪いんだけど、すぐ指令の所に言ってくれないかしら?報告をしてもらいたい
の。」
 リツコは、冷静だった。
「は、はい。済みません。直ぐに行きます。でもその前に着替えたいんですけど、いいですか?」
「ええ、かまわないわ。」
 シンジは、アスカをなだめて、シャワールームへと向かっていった。アスカ達もそれに続いた。

男子シャワールーム
「シンジ、よく帰ってきたな。」>ケンスケ
「ほんまや。わいたちだけやったら、危なかったで。」>トウジ
「ごめん、最期の仕上げがうまくいかなくて。」>シンジ
「ほう?どんな仕上げだ?教えてくれないか?」>加持
「はい。とりあえず、全ての属性は、1年くらいで使いこなせるようになったんですけど、さっきみたいに、
力と力を複合するのがうまくいかなくて、思ったより時間がかかったんです。」
 加持達は、絶句した。なぜなら、シンジは、全ての属性を、1年足らずでマスターしたという。ふつう、自
分の属性をマスターするのにだって。とても時間がかかることだ。一生マスターできない人だって居るのだ。
それを、たったの一年で・・・。
 しばらく雑談した後、シンジ達は、シャワールームをあとにし、女性軍を待つことにした。

女子シャワールーム
「シンちゃんかっこよかったね!」
「あげないわよ」
「まさか、アスカから物を奪うなんて無謀な事する分けないじゃん!」
 レイは、力強く言った。
「そうね。」
 ヒカリは、それに、同調した。
「なによ!ヒカリまで!」
「それよりほんとなの?さっき言ってた話って。」
 ミサトは、聞いた。
「もし本当ならとても興味深いわね。力と力を複合するなんて。」
「本当よ。シンジったら、すごいのよ!風と雷を複合したの!まるで、風神と雷神みたいだったわ!」
 アスカは、他にもシンジの、凄かったことをみんなに話、リツコは、そのことにとても興味深そうにきいて
いた。

「お、やっとでてきたな。」
と言ったのは、加持。女性軍がでてきたのだ。
「さあ。行きましょう。司令室に。」
 リツコは、みんなを促し、司令室へと向かっていった。

「失礼します。」
 リツコは、代表して、いった。
「いや、みんなご苦労であった。なにより、シンジ君、よく頑張ったな。」
 冬月は言った。
「ところでシンジ君、修行の成果は、どうだったかな?」
 シンジは、先ほどした説明を、みんなに話した。
 やはり、みんな愕然としたようだ。そして、先に口を開いたのはアスカだった。
「シンジ、全部の属性をマスターするのに、たったの1年だったのに、どうして複合には、三年もかかった
の?そっちの方が簡単そうに見えるけど・・・。」
「うん。僕もそう思ったんたけど、どうも属性にも相性が有るみたいで、それを見つけるのにも苦労したん
だ。それに、違う属性の力を、その場に、二つ留めるのは、凄い大変で、それで三年もかかったんだ。」
 シンジは、淡々と話したが、きっと、自分たちには分からない、苦労があったんだと、その場にいた皆は、
悟った。
「・・・シンジ君。ついてきなさい。」
 冬月は、唐突に言った。
「何処へですか?」
 シンジは、聞いた。
「今の君になら使いこなせるかもしれん。『聖剣エヴァンゲリオン』を。」
                                                     
あとがき
 ついにシンジが帰ってきました。(と言っても一話も間がなかったが・・・)アスカも喜んでいます。
 次回は、聖剣エヴァンゲリオンのエピソード。ついにエヴァの、実態が明らかに!!


作者"カムイ"様へのメール/小説の感想はこちら。
yuigadokuson1987@yahoo.co.jp

感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構
ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

inserted by FC2 system