「準備、完了ぉ♪」

 懐かしい部屋。懐かしい窓から見える風景。


 夕べまで使った事が無かったはずであるが、よく使っていた記憶のあるバスルーム。

 そして誰かさんが丁度良い時間に、丁度良い温度に設定して湯を張ってくれている湯船。

 懐かしい第壱中学の制服。

 そしてキッチンから漂ってくる朝食の香り・・・・・・。

 全てが懐かしく、そして涙が溢れるほど嬉しい。


 少年から奪い取った──正確に言うと、“今回”は『譲り受けた』──部屋で服を着替え、いつものヘッド
セットを外し、同じ赤い色ではあるが一般で売られている星印のポップな髪留めをつける。

 千円にも満たないそれは、少女の魅力を受けて高級品と変わりない彩色を持つ。


 それに、彼女にとっては万の値を超えるバレッタ等よりよっぽど高級品である。



 同居している少年が、“この部屋への帰り際”に買ってくれたものだからだ。



 「おっはよ〜〜」

 お風呂に入る前に言ったはずだが、もう一度挨拶する。


 「おはよう、アスカ」

 そうすれば、少年がもう一度微笑んでくれるからだ。

 「おっはよ♪ シンジ」

 だから微笑で返す。




 なんてステキな朝だろう。




 「ああ、アスカ・・・・・・おはよ〜〜〜〜・・・・・・・・・」


 飲みすぎのミサトが視界の隅に見えたり、


 「さっきも言ったはずよ・・・・・・・・・・・・」


 シンジの横でレイが朝食の準備を手伝っているのが見えなければ、の話であったのだが・・・・・・・・・。





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   For “EVA” Shinji

          フェード:壱拾参

─────────────────────────────────────────────────────────────



 「おはよう」

 「おはよう・・・・・・」

 「みぃ」

 「おう、シンジ、綾波。おはようさん。今日はアルも来とんやな」


 アルファを頭に乗せたまま教室に入るとトウジが明るく迎えてくれた。

 シンジは微笑んでそれを受ける。

 たちまちフニャける女生徒(と一部の男子)。


 ちゃっかり着いてきているレイと共に席に着く。

 アルファは机の上に乗って毛繕い。

 その子猫の可愛い仕種に見とれる生徒達を尻目に、教室を見回すとケンスケの姿を見付る。


 「ケンスケ」

 「ん?」


 彼は大事そうにカメラを磨いていた。

 「一昨日、ネルフの用事で出かけたんだけど・・・・・・・・・これ、お土産・・・・・・・・・」

 胸のポケットからデータメモリーを取り出し、カメラ少年に手渡した。

 「お♪ サンキュ。何が入ってんだ〜〜〜・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 礼を言いながら再生するケンスケの動きが止まる。

 いや、正確に言うと恐ろしく機械的になったのだ。


 「ん? どないしたんや?」

 流石にその様子に気付き、トウジもノートのモニターを覗き込む。


 そこには、

 歴戦の雄姿を見せる空母、数々の戦闘機、数々の駆逐艦、

 そして、赤い巨体・・・・・・・・・。


 “前回”とは違い、一緒に来られなかったケンスケの為にシンジが写真を撮っていたのである。


 「これ、EVAなんか? 新型か?」

 初号機を知っているトウジはシンジに問い掛ける。


 「うん。ドイツ支部で生まれたエヴァンゲリオン弐号機だよ」

 生まれた・・・・・・とシンジが言うのは、人造人間だと認識しているからだ。

 「ほ〜〜強そうやなぁ・・・・・・」

 素直に感心するトウジ。

 トウジにしてみれば、一人で苦労を背負い込むシンジの負担が少しでも軽くなるならそれに越した事はな
い。

 それにより、シンジが負傷する確率も下がるはずであるし・・・・・・。


 もっとも、シンジが怪我をして入院などすれば、妹のハルミから全くいわれの無いお仕置きを食らってし
まうので、友情七割、飯抜きの恐怖三割と言ったところか?


 「うん。でも、そのパイロットの方が凄いんだ。ドイツで天才って言われてたのは伊達じゃないんだよ」

 そう手放しで褒め称えるシンジに、クラスメイト達の頬も緩む。

 自分の評価より、実際に眼で見た他人の方を評価する彼は、誰から見ても好ましいものなのだ。


 「碇君・・・・・・・・・」

 嫉妬バリバリのレイとか、


 「すんごいっ! すんごいっ!! ああ、これは空母オーバー・ザ・レインボウ?! こっちはオセロー?! 
  すっげー!! 感動だぁ!! オレは今! モーレツに! 感動しているぅ〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」

 じぇんじぇん気が付かない少年もいたりするが、

 まぁ、一部であった・・・・・・・・・。



                     *   *   *   *   *   *




 「え〜・・・・・・今日は皆さんに転校生を紹介します」

 担任の言葉を聞き、途端にざわめく教室。

 「転校生? この時期に?」

 「男か? 女の子かぁ?!」

 「美人だったらなぁ・・・・・・」

 「おい、ケンスケ! そんな情報なかったのかよ?!」

 「そんな・・・・・・オ、オレだって初耳だよ〜〜」


 「静かにして!! 先生の話は終わってないのよ!!」

 ヒカリが声を荒げるとピタリと喧騒が止んだ。

 これ以上騒いで超音波破砕砲を放たれてはかなわない。


 静まるのを確認するかのように教室のドアが開き、廊下から赤みがかった金髪の美少女が現れた。


 宝石のような青い瞳。

 制服から覗くほっそりと、それでいて細すぎないバランス取れた白い四肢。

 生命の光が放たれているような雰囲気と言うか、オーラ。


 正に、とびっきりの美少女である。


 「「「「「おおおおおおおおおおおお〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!」」」」」


 男子が騒ぐのは当然だ。

 いきなり他の女子とは一線を引く、格の違う美少女が転校してきたのだ。

 それも、自分らのクラスに!!


 このクラスには既にレイという美少女がいる。

 シンジが転校してくるまではとっつきにくく、何を考えているかサッパリ解からない少女であったのだが、
彼がやって来てから、その性格は激変。

 相変わらず表情は読みにくいが、よく喋るし、話すと積極的に会話に関わってくる。

 お陰で人気もグングン上がってきた。


 もっとも、“前の従順さが無いのイヤ〜!”とほざく一部の男子もいたりしたのであるが、硬派である
トウジと女生徒達によって殉滅されていたりする。


 ただ、ヒカリ等は『碇君との熱いプレイが彼女の“女”を引き出したのよ!!』と信じて疑わない。

 ホント〜〜〜に純情でお堅いヒトなのか疑ってしまう。



 「惣流・アスカ・ラングレーです。よろしくお願いします」

 思いっきり営業スマイルで微笑むアスカに、ころりと誑かされる男子一同。


 尤も、彼女が行動に移るまでの話ではあったのであるが・・・・・・。


 「はい、では惣流さんの席は・・・・・・」

 「ハイ! あそこがいいです!』

 教師の言葉を遮るように、ある席を指差すアスカ。

 当然のように固まるシンジの左隣である。

 
 その席には既に他の男子生徒が座っていたのであるが、何の問題も無いと言わんばかりにズカズカと歩み
寄ってゆく。

 「ね。退いてくれないかな?」

 口調は柔らかく笑顔ではあるが、明らかな殺気に満々ち溢れていたりする。

 「ハ、ハイ、どうぞ・・・・・・」

 コソコソとダンゴムシの様に背を丸めて後の空いている席に移動する男子生徒(14)。

 さっきまでの夏の花を思わせる爽やかさがスポ〜ンと抜け、血まみれの戦斧をもった凶戦士の様なオーラ
に皆はびびりまくっていた。



 一人を除けば・・・・・・・・・。



 「アスカ・・・・・・ずるいわ・・・・・・」

 赤い眼をさらに赤く染め、赤い髪の凶戦士を睨みつける魔獣のオーラ。

 言うまでも無くレイである。


 「ずるい〜? 一月以上シンジと居れたってのに、これ以上を望むって訳?」

 その彼女の背後に、なぜか血まみれの斧を振り上げた凶戦士のビジョンが出現する。

 「・・・・・・隣の席までは陣取ってないわ・・・・・・あなたと違ってね・・・・・・」

 レイの背後には口から鮮血を滴らせる白狼が見えた。

 両雄ともエラく強そうなスタンドだ。


 「ほぉ〜〜・・・・・・“アタシの”シンジにちょっかい出そうっての?」

 じわり・・・・・・と殺気が弛む。


 「・・・・・・間違えてはダメ・・・・・・“わたしの”碇君なの・・・・・・」

 殺気を受けるも、それを魔獣が食いちぎる。


 「へぇ〜・・・碇君・・・・・・。んじゃあ、司令を持っていくといいわ。アレも碇君よ。歳食ってるけどね」

 「・・・・・・じいさんは用済みなの・・・・・・貴女にあげるわ・・・・・・熨斗つけて・・・・・・」



 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・。




 荒れ狂う殺気。



 教師含め、生徒達は失禁寸前である。



 だが、その諍いはアッサリと鎮められるのだった。



 「ダメだよ綾波、アスカ、転校初日から喧嘩なんかしちゃあ・・・・・・」

 二人の殺気なんかじぇんじぇん感じていないシンジが、やや苦笑を浮かべて二人をいなす。


 もし、背後にスタンドがいるとしたら彼の顔をした天使であろう。


 たちまち彼女達のスタンドはとろけて消え去り、二人はフツーの美少女中学生となった。

 「あ、うん。ごめんねシンジ」

 「・・・・・・わかったわ」

 「うん。良かった・・・・・・」




 また一緒に学校に通える。

 一緒に教室で勉強し、

 一緒にお弁当を食べ、

 ヒカリとおしゃべりするアスカが見られる。




 その歓喜に心が震え、思わず涙が出そうになる。

 「? シンジ?」

 「碇君?」

 他の生徒もシンジの様子に戸惑いを隠せなかった。

 アスカとレイを見つめる表情は明らかに喜びなのであるが、その眼は潤んでいるからだ。

 流石に皆の様子に気付いて、シンジは眼を拭う。



 「あ、あは・・・・・・なんでもないよ・・・・・・・・・」














 と、涙を誤魔化す為に“微笑んで”・・・・・・・・・・・・・・・・・・。






















 『シンジ・・・・・・またやったニャ・・・・・・』

 溜息をつくアルファ。




 アスカの教室との“再会(再開?)”の光景は、シンジの心を溢れさせている。

 つまり、その笑顔はリミッターが完全に外れているのだ。











 案の定、一時間目の授業はつぶれた・・・・・・・・・。











 その理由を女生徒達に聞いても、

 『なんでもないのよ・・・・・・が・・・・・・・・・・・・スゴイの・・・・・・・・・』

 と頬を赤く染めてサッパリ訳の解らない事しか語ってくれなかった・・・・・・・・・。





                     *   *   *   *   *   *




 「へぇ・・・・・・じゃあ惣流さんはドイツにいたんだ・・・・・・」

 「そうよ・・・それと、アタシの事はアスカって呼んでよ。ファーストネームで呼ばれてる方が慣れてるから」

 「そ、そう? じゃあ、私のことも“ヒカリ”でいいわよ」

 「OK、ヒカリ♪」


 昼休み。

 屋上でシンジ達──シンジ、アスカ、レイ、トウジ、ケンスケ、ヒカリ──六人は弁当を広げて話を弾ま
せていた。

 広げて・・・・・・とは言っても、実際に弁当があるのはケンスケ以外の人間で、ケンスケは購買部のパンだ。

 アスカの弁当は鳥の唐揚げがメインだが、ちゃんとブロッコリーとポテトのサラダも入っている。

 レイの弁当には魚のすり身を上げたものにソースをからめた一品が入っている。

 シンジのはその残りをつめただけ。

 自分だけ手抜きなのが彼らしいと言える。

 当然、量はかなり少ないが、同じものをアルファが食べている。

 暇な時は学校に着いてきているので皆も慣れたものだ。


 最初はヒカリが注意したのだが、

 「僕の家族なんだ・・・・・・」

 の一言で撃沈。

 トウジよりシンジの家庭環境の複雑さを聞いていたヒカリは、シンジの哀れ極まりない不遇と絶望と裏切
りの少年時代(注:大半妄想・・・・・・でも間違いではないのが泣ける)に大いに同情し、積極的に学校とクラ
スに働きかけてアルファを受け入れさせたのだ。


 尤も、シンジが一言、

 「ダメかな・・・・・・?」

 と言えばオワリであったという話もある。



 閑話休題(それはさておき)。



 食事を終えたケンスケは、アスカを空母の話で質問攻めにし、あまりのしつこさにアスカから怒りのエル
ボースマッシュを喰らい、

 トウジはヒカリとお茶(ヒカリ持参)を楽しみ、

 シンジはアルファの背を撫でながらレイと話をして(当然、アスカは乱入する)いた。




 そこへ、




 「碇くん・・・・・・」

 レイの様なボソっとした声が聞こえてきた。


 「え? ああ、先輩」

 シンジが声をかけたのでアスカが振り向くと、そこには三年の女子が立っていた。


 ヘタな男子より高い身長、腰まである長い黒髪、切れ長の眼。

 凛々しい美少女であり、自分に勝るとも劣らない大きな胸・・・・・・。


 『誰? この女』

 アスカの目は険悪だ。

 シンジに近寄る女はレイはもとより、大半は敵なのだ。


 「三年の榊先輩よ・・・・・・落ち着いて、アスカ・・・・・・」

 「べ、別にアタシは・・・・・・」

 榊はスタスタと近寄ってきて、シンジの前にしゃがむ。

 焦るアスカ。

 トウジ達は慣れたものである。


 すっと、伸ばされた榊の妙に傷だらけの右手。

 その手は、

 アルファの背中に伸びていた。

 『え?』


 驚くアスカの前で、実に幸せそうにアルファを撫でている。


 「おどろいた? 榊先輩ね、すっごく猫好きなの。でも、なぜかしょっちゅう猫に噛まれてて・・・・・・」

 「うん。だからアルファだったら大人しいから触ってみたらって言ったんだ」

 ヒカリの説明をシンジが後を続ける。

 それでも聞く耳もなくアルファを撫で続ける榊。

 アルファも嫌がりもせず、その行為を甘受していた。


 時々、「みぃ・・・」とか鳴いて榊を喜ばせる事も忘れない。


 『ふぅ〜〜ん・・・・・・リツコと同じ世界の人間なのね・・・・・・』

 考えようによってはかなり失礼な事な想像をしていた。



 お昼休みの屋上。

 友達との会話。

 好きな男の子と話をする女の子。

 猫と戯れる先輩の美少女。

 地面に転がるメガネ少年・・・・・・・・・(ヲイヲイ)。




 このまま終われば平和な光景であるのだが、そうは行かないのが世の常、人の常である。




 「ところでシンジ。今日は放課後までいられるのか?」

 いきなり復帰したケンスケがシンジに話しかけてきた。

 「え? う、うん。使徒さえ来なかったら居られるよ。待機状態だから訓練も休みだし・・・・・・」

 その不死身ぶりに焦りながらも律儀に答えるシンジ。

 「そっか・・・・・・じゃあ、ハルミちゃんに会ってやれるよな?」







 ぱきぃん・・・・・・・・・。







 空間にヒビが入る音が聞こえた気がした。

 「ハルミ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・? 誰なの?」

 実に静かな声であるが、アスカから抜刀直前のような気配が辺りに漂う。

 「ワ、ワイの妹や・・・・・・シンジがよう怪我するさかい、心配しよったから・・・・・・」

 「ふぅん・・・・・・? あ、そう・・・・・・」

 トウジの妹の話を聞き、流石の彼女も冷静になる。

 嬉しそうにその話をするシンジを思い出したからだ。


 『でね、トウジの妹を助けられたんだ!! 変えられたんだよ?!』


 彼の心に引っかかっていた棘の一つが抜けた嬉しそうな笑顔は彼女らも喜びとして共感できた。

 その妹なら仕方ないだろう。

 自分も我慢できる。


 そう納得した時、


 「あ、そう言えば、チヨちゃんも心配してたぜ? 『シンジさん、元気なんですか〜?』ってさ」


 『『いらん事言うな〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!!!!!!!』』


 トウジとヒカリは心の中で絶叫していた。



 事態が収拾つかない方向へと向かうぢゃないか〜〜〜!!


 である。



 「チヨちゃん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・? シンジ・・・・・・誰の事?」


 榊と猫談義していたシンジに、話をふった。


 「え? チヨちゃん? ハルミちゃんの友達で、同級生なんだよ」


 と、ニッコリ。


 うっ・・・・・・と次のセリフに繋がらないアスカ。


 「・・・・・・チヨちゃん? 美浜チヨちゃんの事?」

 「あれ? 榊先輩、知ってるんですか?」

 「ああ・・・・・・わたしの近所に住んでるんだ・・・・・・タダキチというピレネーを飼ってる・・・・・・」

 その犬を思い出し、頬が緩む。

 「そっか・・・・・・僕も見てみたいなぁ・・・・・・」

 「チヨちゃんに頼めばいい・・・・・・多分・・・・・・ううん絶対に見せてくれる・・・・・・」

 「ホントですか?」

 嬉しそうに微笑むシンジ。

 その笑顔を見て頬をリンゴの様に染める榊。

 別の意味合いで顔を赤くするアスカ。

 そして、その様子に『ああ、やっぱり先輩も撃墜されてた・・・・・・』と、青くなるトウジ達。

 レイは変化なし。


 「ちょっと、シンジぃ〜〜・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 地獄の底から響くような怨鎖の声。



 だが、



 「ね、アスカ。ピレネーだって。僕、大型犬にあまり触れた事ないんだ。アスカは?」


 実に幸せそうに微笑むシンジの前に、ヘナヘナヘナと飴の様に怨鎖はとろけてゆく。


 だが、怒りが収まるわけでもない。



 かと言ってシンジのこの幸せそうな笑顔を曇らせられない。




 となると・・・・・・・・・。




 「こぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜の馬鹿メガネぇ!!!!」



 ドゲシっっっ!!!



 「なんでオレがぁ〜〜〜っ!!!」




 疑いうるも無く、八つ当たりである。




 「うっさいわね!! さっきアタシの写真撮ってたでしょ?! どーせその写真売るんでしょ?!」

 「な、なぜその事を・・・・・・?!」

 「ハンッ!! アンタみたいな奴のパターンなんか(“前回”で)お見通しよ!! 学校のプールの写真
  なんかも撮ってるんでしょ?! セット売りかしら?」

 「な、なぜ知って・・・・・・・・・ハっ!!」


 「ちょっと相田く〜ん・・・・・・聞きたいことあるんだけど・・・・・・」


 ヒカリが剣呑な眼で見つめているじゃありませんか。


 「い、いや、委員長、その・・・・・・ね? 冷静にだね・・・・・・話し合おうじゃないか・・・・・・」

 みるみる顔色が悪くなるケンスケ。


 「・・・・・・・・・何を怒っているの・・・・・・? 写真撮られたことがそんなに嫌なの・・・・・・?」

 そのヒカリの様子に、ピンと来ないレイが疑問を口にした。

 レイは今までNERVで写真はおろか身体データまで撮られまくっているのでそんなに抵抗は無いのだ。




 無いのだが・・・・・・。




 「ちょっと、綾波さん。もし、碇君があなたの水着写真とか撮ってたらどう思うの?」

 「わたしの・・・・・・写真を・・・・・・碇君が・・・・・・・・・? ・・・・・・・・・・・・・・うれしい・・・・・・・・・(ぽっ)」

 如実に表情に出る。


 その仕種が余計にアスカの怒りを燃え上がらせる。


 「じゃあ、碇君以外の人があなたの写真とかもってて、イヤラシイこと考えてたらどうするの?」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・殉滅するわ」


 いきなり殺気が出る。


 「で、相田君はあなたの写真とかも売るわよ? 絶対」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・そう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・相田君、絞殺と扼殺と撲殺と刺殺・・・・・・どれがいい?」

 「ちょ、ちょっと、ま・・・・・・・・・・・・」


 「「「問答無用」」」


 「うぎょわぇええええええええええええええええええええええええええええっ!!!!!!」











 「悪いなぁケンスケ・・・・・・ワイは止められへんのや・・・・・・」




 ま、一応は平和であった。


 「うそだ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」




                      *   *   *   *   *   *




 「警戒中の巡洋艦「はるな」より入電。紀伊半島沖にて巨大な未確認潜行物体を発見」

 画像と共に送られて来るデータ。

 MAGIとパターン照合させると当然のごとく帰ってくるその答え。

 「パターン青! 使徒です!!」

 青葉の声を受け、日向が自分の上司に連絡を入れる。

 「葛城部長、第一種コールです!!」

 『解ったわ!! 悪いけど、シンちゃん達にコール入れといて』

 「了解!!」


 シンジ達の平凡な生活にヒビを入れたくないのは職員全員の一致した意見だ。

 だが、彼らでなければ勝つことはおろか、戦いにすらならないという不甲斐無い現実が、立ちはだかって
いる。

 溜息をついて日向とマヤが少年達にコールを送った。


 「やれやれ・・・・・・仕方あるまい・・・・・・・・・総員第1種戦闘配置!!」

 ミサトの到着を待たず、冬月が号令を発した。







 第七使徒襲来────



 だが、この事件は他ならぬシンジ達に試練を、



 そしてゼーレの老人達を更なる動揺が襲う事となる。



 それだけの事実に、本部の面々が気付くはずも無かった・・・・・・・・・。








                                           TURN IN THE NEXT...









 ──あ(と)がき──

 今回の戯言は短めにします。

 クイズの経過報告〜〜〜〜〜〜〜〜。

 現在、正解者14名!!

 前の前の話がヒントになったのかイキナリ増えました(^^;)


 今のままでも選考は辛いですね。

 けっこうレスのネタとして面白いのありましたから・・・・・・・・・。

 でも、○○(一応、名指しは止めます)さん!! 
 
 LASって言ったでしょう?! ゲンドウパパとケンスケの絡みなんか書きたくねぇっス!!!


 それと、『キ○○○○о○○○ー』さん!!

 ドコをどう見たらレイの心にド○ベ○こと山田太○が居るって言うんですか(;;)!!

 それじゃあアスカは岩○がいるとでも(;;)?!


 
 一応、〆切は四月三十日PM11:59にしました。

 選考と執筆は五月からです。



 それでは、またお会いしましょう。



 〜〜三人の連携に幸いあれ・・・・・・〜〜


作者"片山 十三"様へのメール/小説の感想はこちら。
boh3@mwc.biglobe.ne.jp

感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構
ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

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