サードインパクトが過ぎ、前のような日常・・・・とまではいかないが、だいぶ平和になってきた。
 あの後、シンジとアスカは、ネルフのヘリで、ネルフ総合病院に連れて行かれ、念のため、1週間入院していた。
 その間に、サードインパクトを目論んだ「ゼーレ」と言う組織が、ネルフにより占拠されたことと、そのため、実質上ネルフが、全世界の権力を手にしたと言っても過言で無いほど、大きな組織になったことなどを、聞かされた。ちなみに、残ったEVA初号機は、凍結されている。もしものときにしか、使わないらしい。まぁ、まずEVAの力を知っている限り、そんなことは無いらしい。
 そんなこんなで、1週間が過ぎ、シンジとアスカは、退院しコンフォートマンションへ、戻ってきたわけだが・・・・
 「ミサトも、よく1週間でここまでしたわねぇ・・・・・」
 シンジ達の周りには、とても、人がすむような場所ではないほどにゴミだらけだった。



 「幸せへ・・・・」
   


 「ふぅ・・・・・いやはや、おいしいですなぁ、アスカさん」
 「いえ・・・まったくおいしいですねぇ・・・・」
 日の当たるベランダで2人紅茶を飲むシンジとアスカ。いつものアスカなら胸キュンな状況だが、なぜか今回は、かなり老けている。後ろを見れば、わからなくもないが・・・・
 「後ろがもうちょっとましなら、もっとおいしいですのにねぇ・・・・シンジさん。」
 「まったく、そのとうりですなぁ・・・・・」
 シンジ達の後ろ、つまり部屋に値する部分、そこは、見る人は「小型ゴミ捨て場?」と思うほどの散らかしよう。ここの家の主、葛城ミサトによるものだ。
 「はぁ・・・・・ほんとに・・・・おいしいね・・・・」
 シンジは泣いていた。表すなら「とほほ・・・」とか言いながら泣く、漫画の一シーンみたいな・・・・いや、まったくそのとうりだった。
 その理由もまた、わからなくもない・・・・・述べる必要は無いだろう・・・・
 「シンジ・・・・・」
 アスカがシンジの肩に、手を乗せた。
 シンジは、その時点で
 「がんばってね♪」
 て、聞こえたような気がした。 
 はぁ・・・結局、人は一人なんだね・・・・
 だが、考えと裏腹に聞こえた台詞は、シンジにとって意外なものだった。
 「がんばろうね。」
 「え・・・・がんばろうねって・・・手伝ってくれるの?・・・・」
 「なっ、なによ!手伝ってほしくないわけ?」
 「そっ、そんなこと無いよ。」
 「だったら、早く準備しなさい。」
 「わ、わかったよ。」
 そう言うとシンジは、準備をするためにベランダを出て行った。
 「ふぅ・・・・まったくもう・・・・乙女心くらいわかりなさいよ・・・・馬鹿シンジが・・・・・」
 アスカが、ため息混じりに呟く。その顔は、少し赤かった。
 「アスカ。」
 「(びくぅ!!)」
 出て行ったシンジか、なぜか戻ってきている。
 アスカは、今の言葉が聞こえたんじゃないかと思うと、もう心臓バクバクだった。ショート寸前、
 「なっ、なによ・・・・・」
 「あの・・・・ありがとう。」
 そういうシンジの顔には、慢心の笑みが浮かんでいた。
 ボン!
 という音が聞こえそうなくらい、アスカの顔は急激に赤くなった。
 「それじゃあ準備してくるよ。」
 そう言うと、今度こそシンジは出て行った。
 後に残ったアスカは、シンジが出て行ったほうを向きながら立ち尽くしていた。
 先ほどの不安はどこへやら、今のアスカは顔を真っ赤にしている(もしかしたら、首まで真っ赤かも)
 頭の中は、シンジの笑顔でいっぱいで、それ以外は考えられないと言う状態。
 シンジが、「アスカー?」とかいいながら、呼びに来るまで、ずっとこの状態だろう。
 まさしく、微笑ましい光景だった。




 「微笑ましい光景だな。」
 「ああ。」
 ネルフ司令室、冬月とゲンドウが言っているのは、アスカとシンジのことだ、いまなぜかゲンドウたちの見ているディスプレイに写っている。
 「全て、シナリオどおりか?」
 「あぁ。ああでもせねばシンジは強くはならない。それにアスカ君も同じだ。」
 「少し酷すぎたと思うが・・・・」
 「人は、悲しさを知ってこそ、人に優しくできるものだ。それに・・・・あの子達なら乗り越えれると信じていた。」
 「まったく、約束の時まで、シンジ君たちのために利用するとは、親馬鹿にもほどがあるぞ。」
 「ふん、それと、レイや、フィフスの子、ユイにキョウコさんのサルベージ計画は順調か?」
 「順調だ。2%も遅れてはいない。今日にはレイがサルベージされるところだ。そしてその後葛城三佐にすぐ引き取ってもらう予定だ。」
 「そうか・・・・」
 遠い目になる、今までしてきたことを振り返っているのだろう。
 これは、碇の罪滅ぼし、ではないか?と冬月は思う。
 約束の時、それまでの使徒戦で、シンジ達に酷いことをした。だから、もう何も無い今、少しでもシンジ君達の幸せを誰よりも願っているのだろう。
 ・・・・ユイ君、君が可愛いと言っていたのがわかる様な気がするよ・・・・
 「しかし碇、これは誰に撮らせているんだ?諜報部は全て出払っているはずだが・・・・」
 これというのは、もちろん、シンジ達のことだ。
 「問題ない。加持君に、一任してある。」
 「いや、問題は十分あると思うぞ・・・・第一子供たちのプライベートはどうした?」 
 「問題ない、これはベランダだ。」
 子供の言い訳のようなことを言うゲンドウに、冬月は呆れた。
 ・・・ユイ君、君が可愛いいといっていた意味が少しわかったような気がするよ・・・いろんな意味で・・・・
 



 「今日は、レイのサルベージね。」
 「ええ、あと二時間後にスタートするわ。」
 レイのサルベージについて話している、ミサト&リツコ
 「ところで、シンジ君連れてこなくていいの?」
 「あーーいや、ちょっちね・・・・」
 ミサトは曖昧に答える。
 ミサトは、今行ったら掃除は手伝わされるから、行かないだけだ。
 部屋は、シンジ君にアスカ、それと、マナがいるから帰ってきたらきっと綺麗になっているだろう。常に、計算高いミサトだった。
 「ふーん、まあいいわ。あっ、マヤ。このプログラムを起動させるよう、マギにやっといて。」
 「はい。」
 ふぅ・・・・帰ってきたら驚くだろうか?・・・・私が、レイを連れてきたら・・・・
 ミサトは、椅子に腰掛け、シンジ達の驚く様子を、思い浮かべた。
 きっと、驚くだろう・・・今までが今までだけに、この幸せを・・・・・・
 「ミサトさん?」
 「ZZZZZZ」
 「呆れた。」
 ミサトは椅子に腰掛けたまま寝ていた。
 「起こしますか?」
 日向が、リツコに聞く。
 「そっとしといてあげなさい。ミサトも疲れてるのよ。ここんとこ残業多い上に厄介事もあったから。」
 その場にいたオペレーター三人組が珍しいと云った顔でそろってリツコを見る。
 「な、なによ・・・・」
 「いえ、優しいとこもあるんだなと・・・・」
 青葉が言う。
 「ふん、事実を言ったまでよ。」
 そう言うと、ツカツカと作戦室を出て行った。
 「先輩・・・・素敵です・・・・」
 マヤがうっとり顔でリツコの出て行った方を見ていた。
 「そ、そういえばさ、今日が退院だったよな。」
 「ああ、今ごろ家でくつろいでるんじゃない?」
 「・・・・幸せになって欲しいよな・・・・・」
 「あぁ・・・そうだな・・・・・」
 2人は、チルドレン達の幸せを祈った。


マナ:碇司令、盗み見してるみたいね。

アスカ:ったく、あのヒゲおやじめ。(ーー#

マナ:葛城さんは、ぐーたらしてるし。

アスカ:ま、平和ってのはこんなものかしら。

マナ:盗み見も?

アスカ:それは却下っ!(ーー#
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