「きゃぁぁぁぁ!」
 ガラガラガラ・・・・・
 「アスカ!?」
 シンジとアスカが部屋を、掃除し始めて30分くらい立つころ、アスカがミサトの部屋を掃除しようとしたとき、ミサトの部屋から、大量のゴミ(?)が倒れてきた。
 その下敷きとなったアスカは、目を回しており、「ばたんきゅー」状態だった。
 「はぁ・・・・・」
 ため息をつく。つかないほうがおかしいくらいの状況。
 まず・・・アスカからだよな・・・・・・
 シンジは、アスカを背負ってリビングへと向かった。


「私、ペンペンです。」



 「う・・・・ん・・・・」
 「あっ、起きた?アスカ。」
 目が覚めたアスカの目には最初に、シンジの顔が写った。
 かなり、距離が近い。
 アスカの思考回路がいっきに働く。
 シンジの顔がすぐそこに・・・・
 シンジの瞳がすぐそこに・・・・
 シンジの唇がすぐそこに・・・・
 顔を上げるだけでキ・・・・キス・・・・がぁ・・・・・
 ボン!
 本日二度目のショート、顔が真っ赤になり、頭がフラフラする。
 「アスカはねぇ、ミサトさんの部屋のゴミに、埋もれたんだよ。」
 シンジは、アスカがボーっとしているのを、勘違いしたらしく、アスカがリビングに運ばれたことを説明する。
 しかし、アスカは聞いてはいない。そんなすぐにショートした思考回路を戻せるはずなく、まだボーっとしている。
 「アスカ聞いてる?」
 ボーっ
 「アスカ?」
 ボーっ
 「あの・・・アスカさん?」
 ボーっ
 プシュゥゥゥゥ
 扉の開く音と同時に、知らない声が聞こえてきた。
 「シンジくーん?ゴミ捨ててきたよー。」
 ぴく!
 「あ、マナ?ありがとう、お茶でも出すから座ってて。」
 「はぁーい」
 ギュイー−ン
 アスカの思考回路が一気に回復した。
 「ふぅ、疲れたーー」
 そういって、リビングに入ってくる少女、先ほどシンジにマナと呼ばれていた子だ。
 歳は、13、14くらいで、髪は茶色、明るい感じの印象を受ける、可愛い子だ。
 「ちょっ、誰よ!この人!」
 アスカが指を指しながら言う。もちろんこの人とは、マナのことだ。
 「え?覚えてませんかぁ?」
 そういうマナの表情は、笑っている。
 「わかるわけ無いでしょ!初対面なんだから!」
 「ひ・・・酷い!私は、アスカさんのこと嫌になるほど覚えているのに・・・・」
 表情は一変して、悲しい顔になる。
 「なっ、なによ!初対面だから、初対面って言っただけでしょ!」
 「酷い・・・う・・・うわぁぁぁん!シンジくー−ん!」
 明らかに泣いた振り。涙は無論出ていない、まぁ手で顔を隠していたが・・・・
 マナは、シンジに抱きついた。
 無論、これにはアスカは驚く、口パク状態、
 「うわっ、こ、こぼれる。」
 シンジは、紅茶を入れたカップを持っていたので危うくこぼれそうになったがマナは、お構いなしだ。
 「シンジ君・・・・アスカさんが・・・・私のこと覚えてないって・・・・」
 「マ、マナ・・・・泣きまねするの止めて、アスカをからかうのももう止めてね。」
 「あれ?ばれてた?」
 顔を上げたマナは、笑顔だった。
 「ばれてるよ・・・・」
 「あはは、シンジ君も、‘大丈夫かい?マナ・・・’とかいって抱きしめてくれてもいいのに・・・」
 「両手、コップでふさがってるんだけど・・・・・」
 「そこで、変なつっこみを入れない。」
 そんな、やり取りを見てるアスカは、なにがなんだかわからない状況。
 「アスカも、座って、ちゃんとマナのことも話すから。」
 「え・・・あ・・・うん、わかった・・・・・・」
 アスカは、しぶしぶ座る。
 周りは、シンジがしたのかかなり片付いている。
 「はい、紅茶。」
 「ありがと・・・・」
 「ほんと、大丈夫?なんか今日、元気ないね?」
 アスカは、あんたのせいよ!と言ってやりたい気分だった。
 自分が寝ているうちに、知らない子がいてしかも、シンジと親しい。
 そりゃぁ、元気なくて当然。
 「あのね・・・・アスカ・・・・実は・・・ペンペンなんだ・・・・」
 「はぁ?なにが?」
 「いや・・・なにがってペンペンが・・・・」
 アスカは、マナ某ペンペン、を見たが、確かに、人間だ。
 「あんたバカァ?人間じゃん。」
 アスカは、見たとおりの感想を述べた。
 「いや・・・それが・・・さぁ・・・僕達ってその・・・サードインパクトのとき、みんなひとつになったよぅ・・・・そして、僕がそれを否定したから、みんなまた自分が持っているA Tフィールドによって、自分に戻ろうとして、サルベージされたわけだよぅ・・・・たいてい・・・・いや、ほとんどの人が、自分の姿に戻れるわけだけど・・・・なんか、たまにいるみたい・・・・ペンペンみたいに、自分の姿を変えてサルベージされた姿が・・・・リツコさんがいうには・・・ペンペンは、自分の姿というものを見たことが無い上に人間になることを望んでいたから、こうなったらしいんだよ・・・・・」
 そう、説明されると、認めたくは無いが、なるほど・・・・とアスカも思ってくる。
 「あんたがねぇ・・・・ところで、なんでマナなの?名前。」
 「あっ!そういえば・・・・・」
 アスカの疑問に、いままで気づかなかったシンジも疑問を持つ。
 「それはですねぇ・・・ご主人様が、いきなり‘じゃあ、あんた、人間になったんだし、ペンペンじゃなくて、霧島マナって名前にしなさい’って言ったんです。」
 「ご主人様って・・・・ミサトのこと?」
 今聞いていた話に、ご主人様、という死語が出てきたことにアスカは気づいた。
 「はい、そうです。」
 ・・・・・・暫く沈黙・・・・・・
 「はぁ・・・ミサトさんらしいと言うか・・・・・」
 シンジがため息混じりに言う。
 「あのバカ、なに吹き込んでんのよ・・・・・」
 アスカも、ため息混じりに言う。
 それから暫く、シンジの入れた紅茶を飲んでいた。




 「ふぅ・・・・」
 あれから三人で、掃除を完璧に済ませ、今シンジは夕食を作っている。
 しっかし驚いたな・・・・まさか、ゴミの中に埋もれてるなんて・・・・
 シンジは、マナを最初に発見したときのことを思い出していた。
 あの時、見つけたら、いきなり‘シンジ君’とかいったときは、驚いたな・・・あの後も‘私、ペンペンです’だもんな・・・・ふぅ
 シンジは今日の夕飯、ろくなものが無かったので、簡単にチャーハンを作っている手を止めずに考えている。
  世の中って・・・・・案外何でもありかも・・・・・
 シンジがそんなことを考えてるとき。
 プシュゥゥゥゥ
 「ただいまーーー!」
 この声からして、この家の主、葛城ミサトの帰還だろう。
 「おかえりなさい。」
 「ただいまーーシンちゃん!」
 「お邪魔します・・・・」
 ん?とシンジは思った。
 誰かもう一人、しかも聞いたことのある声がシンジには聞こえた。
 「レーイー?ここは、貴方の家なのよ・・・・・」
 レイ!!?
 その言葉を聞いたとたん、シンジは料理をする手を止めて、玄関へ向かった。
「た、ただいま・・・・・」
「おかえりなさい。レイ・・・・」
「葛城三佐・・・・」
「だめよレイ、アタシのことはミサトって呼んで。」
「はい、ミサトさん・・・・」
「うむ・・・・」
「レイ!」
ミサトは、シンジを見つけた。
そしてレイに、
「ほらっ、レイ。」
ミサトはドンとレイの背中を叩く。
「きゃっ・・・・あ、あの・・・・・」
レイはなんかもじもじしている。
「あ・・・あの、その・・・た、ただいま・・・・」
その声を聞いたとたん、シンジの瞳から、涙が流れた・・・・
「おかえり・・・・綾波・・・・」


マナ:なんで、わたしの名前をペンペンにつけるのよっ。

アスカ:ペンペンが可愛そうじゃないっ!

マナ:違うでしょっ!!!(ーー#

アスカ:あら、違うの?(^^;

マナ:わたしが、シンジの元に戻ったらややこしくなるじゃない。

アスカ:ペンペンが突然、ぶちゃいくになったと思っちゃう。

マナ:違うでしょっ!!!(ーー#

アスカ:あら、違うの?(^^;
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