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幸せとは

こんぺいとう 作
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「気持ち悪い…」



 アスカの声が僕の頭の中に響き渡る……。

 そう、僕がアスカを苦しめたんだ……。

  アスカがこうなってしまったのも、全ての原因は僕にある。

 ごめん……。アスカ……。

 僕は……僕はアスカを救いたい…。











「碇くん…」

 僕の背後から声がする。

 声がする方向を振り向くと、そこには綾波が赤い水面の上に立っている。

「綾波…」

「碇くん。私の……リリスの力を使えば、碇くんの望みをかなえられるわ」

「僕の望み……?」

「そう。ここも、碇くんが望み、創られた世界…だけど…」

「ちょっと待って。…僕が望んだ?この世界を?」

「…そうよ。誰も傷つけない、傷つけられない世界。これはあなたが望んだ結果」

「違う!僕が…僕が望んだのは、こんな寂しい世界じゃない!」

「これは、事実よ」

「でも………そうだ。綾波、さっき僕がこの世界を創ったって言ったよね」

「ええ」

「だったら、また僕が創り直すって事も……」

「できないわ」

「どうしてさ?」

「碇くんの力は、この世界を創った事で失われたわ。使い果たしてしまったの……」

「そ、そんな……」

「だから、私の……リリスの力を使うの」

「綾波の……力を……?」

「そうよ……あなたは何を望むの?」

「綾波……。僕は…アスカを…皆を救いたい……」

「…どうして?」

「アスカがこんな風になったのは、僕のせいなんだ。僕がもっと上手くエヴァに乗れてたら、こんな事には……」

「…碇くん、それは違うわ」

「え?」

「弐号機パイロット…アスカがこうなったのは、あなたのせいでも、ましてや他の誰かのせいでもないわ。
 これは、彼女自身の心の問題……」

「でも!僕にも何か出来たはずなんだ!もう、指をくわえて見てるだけなのはいやなんだよ!」

「…確かに、手助けをする事はできるわ。でも、解決するのはアスカ自身であるべきよ。
 そうでなければ意味はないわ…それだけは忘れないで……」

「分かったよ、綾波」

「それで、あなたはどうしたいの?」

「時間を元に戻して皆を救いたい……」

「それで良いの?」

「うん」

「わかったわ。目を閉じて……」

 そして、僕は光に包まれた。














 気付いたら、駅を降りた場所だった。

 父さんに呼ばれて…。

 誰かを待ってるんだ……。

 そうか……。戻ってきたんだ……。

  綾波……ありがとう。

 

 そこへ、一台の車が走ってきた。

 きっとミサトさんだ。



「お待たせ。…と言ってもそんなに待ってないか」

「あ、あの…」

「シンジくんでしょ。前と同じね」

「はい?」

  国連軍も出てこなかったし、N2地雷も使われなかった。

 不思議に思うまま、僕は第3使徒を倒した。



  ……どうなってんだろ?














 それから何日か経って学校に行った。

 そして、前回と同じ様にトウジに呼び出された。

  またトウジの妹が怪我をしたんだろうか……。

「まあ、瓦礫が来る場所はわかっとったさかい、ケガ無かったけど。気いつけや」

 はい?














 そう言えば、今日はJAとか言うロボットが暴走するはず……。

「あらゆる点で危険な原子炉を使っても仕方無いですからなあ。作りなおしている最中です」

 リツコさんに聞いたら、完成披露パーティーの予定だったが、時田さんという開発責任者の説明により、
 中間報告会になったらしい。



 おかしいなあ……。

















 今日はアスカと再会する日だ。

 夢にまで待った日だ。

 きっと、アスカは元気に黄色のワンピース姿を見せてくれるはず……。

 で、でもスカート捲れちゃうんだよね……。

  僕がスカートを押さえてあげないと……。

「はあい、ミサト。久し振りね」

「そうね。今回は上手く行くようにするわよ」

「任せてといてよ。何度も失敗しないわ」

 アスカはジーパン姿だった。

 あれ?

 風のイタズラは?



















 僕が赤い海で言った、戻して欲しいという発言を綾波が叶えてくれたのは良かったんだけど……。

 まさか、みんなが戻っているなんて……。

 気付いたのは、かなり後だった。

  
でも、そのおかげで、トウジの足の怪我や綾波の自爆、アスカの心が壊れる事もなかった。

  それに……アスカとは、恋人同士になれたしね。

  嬉しいんだけど、素直には喜べないんだよな……。













ミサトさんが言うには、僕たちだけじゃなく、世界中の人々が戻って来ているらしい。

  でも、ゼーレの老人達は違うようだった。


彼らは、前回と全く同じ事をしようとしたが、ミサトさんをはじめとするネルフの面々、
 日本政府や戦自、果ては国連に至るまで、どうなるのかが分かっていたため、
  ゼーレは潰され、実に簡単にサードインパクトは阻止された。



  綾波……しっかりしてるなぁ。















「あんた一人だけ、戻って英雄気取りしても無駄って事よ」

「アスカァ。そんな言い方無いだろ?それに、僕はそんなつもりは……」

「分かってるわよ。シンジがそんな事考えるような奴じゃないって事は。でもね、
 いくらシンジが頑張っても、周りに分かるのは目の前の事実だけ。当然よね。
 前回の事なんて誰も知らないもの。だから、どれだけ誉めてもらえたって、
 それは本当の意味での、シンジが心から欲しいと思う言葉とは違うのよ……って、
 私の言いたい事、分かる?」

「……う〜ん……よく分かんないや。あはは……」

「……要するに、サードインパクトを経験していない人にいくら誉められても、
 嬉しくないでしょ?って事が言いたいのよ」

「……うん。何となく分かる気がする」

「でしょ?でも、だからって自分で自分を誉めるなんて空しい事考えんじゃないわよ」

「……………」

「あんたならやりかねないわ」

「……そ、それぐらいしてもいいじゃないか」

「あんたバカァ?そんなことされたんじゃあ、私が困るのよ!」

「なんでアスカが困るのさ?」

「う、うるさいわねっ!男のくせにいちいち細かい事言うんじゃないわよ!」

「細かい事って…普通気になるじゃないか(ブツブツ)」

「はいはい。でも実際問題として、一人だけ戻って幸せって言える?」

「うっ……」






fin





 後書きという名の言い訳  皆様、はじめまして。こんぺいとうと申します。  以後お見知りおきを。  えーっと、これが僕の初投稿になるんですが…いかがでしたでしょうか?  なにぶん、SS書き始めてまだ日が浅いため、稚拙な文章でありますが、  ご意見などをいただけると、嬉しい限りです。      最後に。  タームさん、快く掲載許可をいただきましてありがとうございました。


マナ:こんぺいとうさん、投稿ありがとー。(^^/

アスカ:みんなで逆行って壮大ねっ。

マナ:でも、ゼーレの人達は戻らなかったみたいよ?

アスカ:そりゃ、あいつらを戻したらなにしでかすかわかんないじゃない。

マナ:危険人物は駄目なのね。

アスカ:あったり前じゃん。

マナ:じゃぁ、なんでアスカは戻れたの?

アスカ:アタシは、いっつもシンジと一緒だからに決まってるでしょ。

マナ:綾波さんも、アスカを逆行さすなら、この性格を一緒に逆転してくれたらよかったのに。

アスカ:バカ言ってんじゃないわよ。そんなことしたら、がさつで生意気で意地っ張りで我侭な子になっちゃうじゃない。

マナ:・・・・・・。マジで言ってるの?(ーー;
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