EVANGELION MOON PRINCESS 第一話 名も無き者 眼下に広がるのは果てしなき赤い海・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ それを見た者はその光景を地獄と呼ぶだろう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ その地獄の中に一人の少年と一人の少女がいた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「アスカ・・・・・・・・・・・・起きてよ・・・・・・・・・また僕の名前を呼んでよ・・・・・・・・・」 だが、アスカと呼ばれた少女は少年の呼びかけに答える事は無かった。 少女の命の炎はもう消えかけていた・・・・・・・・・・・・少年の心に深い傷をつけて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「気持ち悪い」 それが少女の唯一の言葉だった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 少年の心は次第に落ちていった・・・・・・・・・・・・・・深い・・・深い・・・闇の中に・・・・・・・・・・・ 「力が欲しい」 だが、それでも少年は力を求めた・・・・・・・・・・・・・・・ 「何者にも負けない強い力が・・・・・・欲しい!」 復讐ではなく護るために・・・・・・・・・・・・・・・ 「全てを護れる力が!愛する人を救える力が!皆を傷付ける敵を倒す力が欲しい!」 少年の叫びが周囲に木霊した。 『力が欲しいか!?』 声が響く、少年はその声に答えた。 「貴方が何者でも構わない!力が・・・・・・僕は力が欲しい!」 『ならば与えよう!汝らが使徒と呼んだ者の力を!全てを従え無から有を生み出す第零使徒『名も無き者の力』を!!』 再び声が響いた瞬間少年の体に衝撃がはしる。 そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「いい・・・・・・・・・気分だ・・・・・・・・・・・これなら・・・・・・・・・・・・・・・やれる・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 今度こそ・・・・・・・・護りきって見せる!!」 少年は変わった・・・・・・・・・・・人類を護る最後の守護神に・・・・・・・・・・そして・・・・・・・・・・・・・・ 「来い・・・・・・・・・・・・・初号機!」 少年の呼び声に答えて紫の鬼『エヴァンゲリオン初号機』が姿を現した。 「お前も連れて行く・・・名は・・・・・・紫音・・・神代紫音(カミシロシオン)だ」 鬼は静かに頷きその姿を人の姿へと変える。 透き通る白い肌、煌く緑の瞳、流れる紫の髪、そして均整のとれた美しい肉体・・・・・・芸術家の総力を結集して作り上げた 人形・・・・・・そう定義するのが最も適しているだろう。 「マスター・・・・・・名を・・・・・・貴方の名を教えてください」 「僕の名は碇シンジ・・・・・・いや、今この瞬間から僕の名は神代シンだ! 神にして真なる者・・・・・・それが僕の名だ!」 紫苑にそう自分の名を教えるとシンジは・・・いや、シンは一度だけアスカを見た。 その時シンは気付いた・・・・・・アスカに宿った煌きに。 「僕が第零使徒なら・・・・・・第十八使徒は・・・・・・まさか!?」 そう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・目の前に横たわる少女・・・・・・・・惣流・アスカ・ラングレー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 第十八使徒『リリン』に覚醒せし者・・・・・・・ゆっくりと目を開ける・・・・・・・・・・ 「ここは・・・・・・何処・・・・・・?シンジ・・・・いないの?夢・・・・だったの・・・?」 アスカは薄れ行く意識の中シンジの泣き顔を見ていた・・・・・・しかし、自分がシンジに何をしたのかは覚えていなかった。 「アスカ・・・・・・」 「シンジ!?」 アスカは声のした方を見た・・・・・・そこにいたのは紛れも無く碇シンジだった。 「まさか君が第十八使徒になるなんてね・・・・・・・・・・・・」 「アタシが・・・・・・使徒!?」 シンはアスカに全てを話した・・・・・・サードインパクト、自分に宿った力、紫音、アスカに宿った力・・・・・・そして、自分の目的。 アスカは戸惑いを隠せなかった・・・・・・しかし、それ以上に喜びがあった。 「つまり・・・・・・アタシはこれから永遠にシンジの・・・・・・シンのそばにいられるのね」 だが、紫音はアスカの心を試すべくシンに何をしたのかをアスカに問いかける。 「貴方は既にシンを拒絶しています・・・・・・そんな貴方にシンの傍にいる資格が有りますか?」 「アタシはアスカであってアスカじゃない・・・・・・惣流・アスカ・ラングレーは一度死んだわ!私は第十八使徒リリンよ!」 アスカの瞳に迷いは無かった。 「なら新しい名前を考えないと・・・」 「そうね・・・」 考え中・・・ 考え中・・・・・・ 考え中・・・・・・・・・ 「・・・アイ・・・と、ゆうのは如何でしょうか?」 「・・・いい・・・かも・・・(名前の通りにシンを愛する・・・キャッ♪)」 アスカ改めアイの顔は真っ赤になっていた・・・ 「じゃあ、神代アイで」 「なんで同じ苗字なの・・・?」 「えっと・・・一応プロポーズみたいなものかな・・・」 そう言ったシンの顔は真っ赤になっていた、そしてアイの顔も。 「あ・・・・・・えっと・・・・・・嬉しいな・・・・・・シンジから言ってくれるなんて」 もう三人の間に言葉は必要なかった。 三人はお互いの手を取り時を越えた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ そして、三人は辿り着いた運命の加速した瞬間に、第参使徒襲来の日に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「紫音?アイ?・・・・・・この時代の自分の肉体に辿り着いたか・・・・・・・」 シンは一通り能力の確認をおこない迎えを待った。 丁度その瞬間一台の車が目の前に止まる。 そのドアを開けシンは驚愕した。 「待ちましたよ、葛城さ・・・・・・・・・・・・・・父さん!」 迎えに来たのは葛城ミサトではなく父碇ゲンドウだった。 「話は後だ!乗れ!シンジ・・・いや、シン!」 シンは慌てて車に乗り込むとそれを確認したゲンドウは猛スピードでネルフに向う。 「何故・・・!?僕の名前を知っている、碇ゲンドウ!」 「私も同じだ!お前と同じく時を越えたのだ。 しかし、我々は時ではなく時空を越えてしまった!」 「じゃあ・・・ここは別の世界!?」 「そうだ!私は自分の肉体に入れた・・・しかし、紫音君はともかくお前たちは肉体が変化しているため自分達の肉体に 入る事が出来なかったのだ!」 「じゃあこの世界のシンジは!?アスカは!?」 「シンジは既にネルフに来ている、セカンドは本部だ!この世界ではセカンドは本部に、そしてフォースが既に選抜されている。 さらに、多数の候補生がネルフにいる」 それを聞いてシンは思わず天を仰いだ。 「紫音は初号機の中に居るとしてアイは何処に?」 「おそらくドイツだろう・・・弐号機は本部にあるがあそこにはアダムが居る」 二人は互いの情報を交換しつつネルフに向った。 シンの当初の目的は達成されていた・・・・・・父は既に母の呪縛から解放されていた。 そして、ここは自分達の世界では無いのだから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「車で行くより僕の力を使った方が速い!開け、ディラックの海よ!」 それは車の中の二人を瞬時に初号機ケージへと移動させた。 シンは誓った・・・・・・自分達の世界でなくてもこの世界を護ろうと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 初号機ケージ 「そんなの無理だよ!見たことも聞いたことも無いのに出来るわけ無いよ!」 シンジが悲しみの叫びを上げていた。 「シンジ君、貴方しか居ないのよ!」 「嘘だ!僕はサードって呼ばれた!他にもパイロットが居るんだろう!」 葛城ミサトは懸命にシンジの説得をおこなうがシンジはそれを聞き入れなかった。 赤木リツコはゆっくりとシンジに近付いて他のパイロットの状態を伝える。 「シンジ君、他のパイロットは三人いるわ・・・・・・でもね、三人とも一度出撃して負けているの。 一人は重体で他の二人は機体が限界を超えているのよ・・・もう私たちには初号機しか・・・貴方しかいないのよ」 「じゃあ、他のパイロットがいるならその人を乗せればいいじゃないか!」 エヴァを知らないシンジにシンクロシステムを説明しても無意味だった。 シンジは父を恨んでいた・・・・・・呼んでいて姿を現さない・・・そして、自分を利用しようとしている父を・・・・・・・・・・・・・ 「リツコ!そんな臆病者なんかほっときなさい!アタシが初号機に乗るわ!」 「でもアスカ、貴方じゃ起動しなかったじゃない」 「こんな臆病者よりはマシよ!」 「そうね・・・・・・初号機のパーソナルパターンをアスカに書き換えて!」 やっぱり僕は要らないじゃないか・・・・・・シンジがそう考えているとアスカと呼ばれた少女が此方を睨んできた。 シンジはその視線に耐えられず俯いてしまう。 「その必要は無い!」 ケージに声が響く、そこにいたのはゲンドウとシンだった。 「久しぶりだな・・・・・・シンジ。 話は聞いているだろう・・・・・・初号機にはお前の声しか届かない」 「シンジ君・・・・・・他の人間じゃ駄目なんだ・・・・・・君だけが希望なんだ」 「キ・・・ボ・・・ウ・・・?」 「そうだ、希望だ!君が今勇気を振り絞ればここに住んでいる人々の未来が護れるんだ!」 「未来を護る・・・・・・でも・・・」 「シンジ・・・私はお前に償いがしたい」 ゲンドウの言葉にその場にいた全員が驚いた。 「シンジ、私はお前の父親であることを放棄した。 しかし、今こそ私はお前に償いがしたい!」 「シンジ君、君の、そしてお父さんの未来を守るためだけでいいんだ。 僕らのことは気にしなくていい。 君がお父さんともう一度話をしたいならエヴァンゲリオンに乗ってくれ」 「・・・わかりました・・・僕に・・・僕にしかできないなら・・・僕が・・・僕が乗ります!」 シンジの真剣な表情にアスカは見覚えがあった・・・・・・しかし、思い出す事が出来なかった。 (アタシは・・・あいつを知っている・・・?) 「それでこそ男だ!少年」 「貴方はいったい・・・?」 「神代シン・・・本日から作戦部長補佐を命じられネルフに配属になりました、宜しく皆さん! さあ、発進準備を!」 シンの号令の下初号機の発進準備が進められる。 シン達は発令所に移動し決戦の準備を進めた。 「さて・・・・・・改めて自己紹介をしましょうか・・・・・・神代シンです、宜しく葛城さん」 シンはミサトに手を差し出し握手を求める。 ミサトはその手を握り返し自分達の紹介を始める。 「此方こそ、ネルフ作戦部長の葛城ミサト大尉です」 「技術部長の赤木リツコです、私は博士だけど大尉待遇よ」 「作戦部の日向マコト中尉です」 「技術部の伊吹マヤ中尉です」 「諜報部の青葉シゲル中尉だ、俺達三人はオペレーターをやっている」 発令所のメンバーがそれぞれ挨拶をすると、ゲンドウが正式にシンに階級を与える。 「皆、神代君には葛城大尉の副官として配属されているが緊急時の対応の為に少佐の階級を与える」 周囲がざわめく。 「しかし、あくまでも作戦部長は葛城大尉であり通常時の指揮は大尉に任せる。 しかし、私や冬月が不在の場合、もしくは緊急時は彼の指揮を第一とする」 「と、ゆう訳です葛城さん、俺はアドバイザーに徹しますから俺が階級で呼んだとき意外は貴方の指揮でお願いします」 「解ったわ、よろしくねシン君・・・・・・所で歳いくつ?」 《本当の歳言ったらまずいよね、父さん》 《24ぐらいがいいだろう》 シンはゲンドウとATフィールドを応用したテレパシーに似た方法で会話をおこなう。 「24歳ですよ・・・あ、結婚もしてます」 ミサトとリツコの額に僅かだが冷や汗が流れた。 ((私より若いのに・・・・・・不味い・・・非常に不味いわ!)) 「初号機の発進準備が整いました!シンクロ率42・17%!」 マヤがケージからの報告を受け取り皆に伝える。 「指令!構いませんね・・・?」 ミサトがゲンドウに最後の確認をする。 「無論だ・・・使徒を倒さねば人類に未来は無い」 「さて・・・今回は俺が指揮を執ります。 俺の能力に疑問を持つ人もいるでしょうから」 「反対する理由は無い、やりたまえ神代少佐」 ゲンドウの了承を受けた瞬間、シンの表情が変わる。 「シンジ、発進だ!」 「は・・・はい!」 「初号機発進!」 シンの号令で初号機が地上に打ち出される。 「赤木博士、他のエヴァの状況は!?」 「零号機はパイロットが重体、弐号機は左腕切断、参号機は右腕部損傷です」 「セカンド、フォースは搭乗し待機!零は候補生の中から至急選別しろ!」 「無茶です少佐!損傷したエヴァで戦闘は厳しいですし候補生ではシンクロ率が低く此方も戦闘は無理です!」 「シンジは素人だ!訓練している候補生やベテランが乗っているエヴァの方が使える!」 そう・・・シンジは素人なのだ・・・それを忘れてはいけなかった。 「日向中尉、兵装ビルはいくつ使える?」 「ミサイルタイプ十機、ガトリングタイプ十三機です!」 「少ないな・・・葛城大尉、兵装ビルは君に一任する」 「・・・了解です」 ミサトはまだ納得がいかないと表情に出ていたが次のシンの言葉に表情が一変した。 「任せた・・・ま、適当にやれ!」 「りょ・・了解!(軍隊用語・・・本物ってわけね)」 「いくぞぉ!使徒に人間の底力を見せてやれ! (人間か・・・使徒がなに言ってんだかなぁ・・・紫音、旨くやれよ)」 今、シンジにとって最初の・・・そして、シンにとって二度目の第三使徒戦が始まろうとしていた・・・・・・・・・・・・・・・・・ 月は蒼く輝いていた・・・・・・ -------------------------------------------------------------------------------- 後書き 鋼鉄「新連載開始!」 シュウ「またなめた作品を・・・」 鋼鉄「どうせ文才が無いよ」 シン「ところで何で『適当にやれ』が軍隊用語なんですか?」 鋼鉄「第五世界参照」 シュウ「ってことはやつら来るのか?」 鋼鉄「秘密♪」 シン「次回予告です! 『第三使徒サキエルに戦いを挑むシンジ・・・ しかし歴史は繰り返し初号機は破れてしまう。 そのとき大地を揺るがし蒼き機神が現れる。 EVAMGELION MOON PRINCESS 第二話 戦神光臨 蒼き光が世界を救う!』 出るの早いな・・・」 鋼鉄「シュウが何者かはイフリートさんの雪月花に投稿している我求めるは紅の少女を呼んでくれ!」 シュウ「しかし・・・この内容マナが怒り狂うぞ・・・」 鋼鉄「はっはっはっ!洗濯板娘が何を言おうが知ったことか! 私は根っからのLAS‘S信者だ!!」 シュウ「命知らずな・・・」
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