空が紅く染まる時・・・・・・

何も無い筈の空間から一人の青年が大地に降り立った。

「さて・・・・・・確かあそこだったな」

青年はそう呟くと何処かに向っていった・・・・・・

その青年は金色の髪と紅い瞳をしていた・・・・・・







Judgment

第一章 運命を切り開け









どこかで誰かが泣いていた。

それは、とても幼い声だった。

青年はその声の聞こえる方に向っていった・・・・・・

「何故泣いている?」

青年の前に一人の少年が泣いていた。

「おにいちゃん、だれ?」

少年は泣き止んで青年を見上げる。

「悲しいことでもあったのか?」

少年は再び泣き出した。

「おとうさん・・・ぼくをおいてどっかにいっちゃった・・・・」

「名前は?」

「いかり・・しんじ・・」

少年は泣きながらそう答えた。

「そうかシンジ、そのことでお父さんを怨んじゃいけないぞ。

 お父さんは訳があって君と一緒にいられないだけだ」

「ほんとう?」

シンジに青年は笑顔で答える。

「もちろんさ!だからそれまで一緒にいよう。

 僕が君の家族になってあげよう」

「いっしょ?」

「ああ!ずっと一緒だ!」

シンジは泣き止んだ。

「うん!」

「それじゃ僕達の家に行こうか」

二人は手を繋いで歩き始めた。

「僕の名前は神代シンだ。

 よく覚えておくんだよ」

「うん!シンおにいちゃん」

















そして時は過ぎて・・・・・・・・・シンジは14歳の夏を迎える。













「ただいま、シンジ」

「お帰り、兄さん」

二人が暮らし始めて早くも十年の時が過ぎていた。

「今日のメニューは終わったかい?」

「うん」

シンジは五歳の頃からシンから様々な課題を与えられて過ごしてきた。

結果、彼は同年代の少年より強く賢くなっていた。

「さて、シンジ」

シンはシンジの名前を呼び、

「いよいよお父さんが君と一緒に住めるようだよ」

「本当?」

「明日、送ってくよ」

「じゃあ準備しないと!」

シンジは慌てて部屋に駆け込んで荷造りを始めた・・・・・・

部屋へと急ぐシンジを見送りながらシンはテレビを見る。

『・・・さて、次のニュースです。

 最近世間を騒がせているテロリスト集団Judgment Angel Knights(ジャッジメント・エンジェル・ナイツ)

通称JAK(ジャック)が再び戦略自衛隊の基地を襲撃しました。

 今回襲撃された基地は戦災孤児の保護施設も兼ねており幼い子供も多数生活していた模様です。

 戦略自衛隊からの公式発表はなく子供たちの安否が気遣われます・・・』

























第三新東京市特務機関ネルフ本部入り口・・・

「神代シン様と碇シンジ様ですね?総司令がお待ちです、こちらへ」

屈強なガードマンの一人が二人の身元を確認すると白衣を着た金髪の女性が二人を出迎える。

「申し遅れました、私は技術部長の赤木リツコです」

「神代シン、シンジの保護者です」

「碇シンジです、よろしくお願いします」

二人はリツコの案内に従い迷路のような本部施設を歩いていく。

数十分後・・・三人は司令室の前に立っていた。

「司令、御子息をお連れしました」

『入れ』

司令室の扉が開く。

「では私はこれで」

リツコは一礼すると司令室を後にする。

飾り気のない司令室の中に机があり、その前に一人の男性が立っていた。

「父さん!」

シンジはその男性に向かって走り出す。

「シンジ・・・大きくなった・・グハッ!」

父に向かい走る息子・・・そこまでは感動的な場面だった。

シンジの渾身の右ストレートが男の顔面を捕らえた。

「父さん!」

その後父を抱きしめる・・・いや・・・あれは絞めているな、とシンはのんきにその光景を眺めていた・・・・・・

















数分後・・・・・・

「すまなかったな、シンジ」

ようやくシンジから解放された父-碇ゲンドウ-は椅子に座るとそう言った。

「そしてシン君・・・今までシンジを育ててくれてありがとう」

「気にしなくていいよ、俺も楽しかった」

「シンジはかなり鍛えられているな・・・」

「これならやれるさ」

「そうだな」

シンジは二人の会話の内容が解らずおろおろとした様子で二人の顔を交互に見ていた。

「シンジ、ついてきなさい」

ゲンドウはシンジについてくるように言い席を立った。





















やがて二人は巨大な顔の前に立っていた。

「これは汎用人型決戦兵器人造人間エヴァンゲリオン・・・その初号機だ」

「エヴァン・・・ゲリオン・・・?」

シンジは初号機と呼ばれたそれを見上げる。

紫色の装甲、人の眼にあたる場所にある一対の緑色の眼、そして角・・・それはシンジに鬼を連想させた。

「父さん、こんな物を僕に見せてどうするの?」

「シンジ・・・おまえがこれに乗るんだそして来るべき驚異と戦うのだ」

シンジは黙って父の話す言葉を聞きのがす事の無いようにゲンドウを見上げる。

「シンジ・・・セカンドインパクトは知っているな?

 真相は隕石の衝突ではない、最初の使徒アダムが眠りについたとき放出されたエネルギーが原因なのだ。

 そしてアダムは今ここで眠っている。

 やがて襲来する使徒がアダムと接触するとサードインパクトが起こってしまう・・・それだけは何としても防がねばならん!」

「シンジ・・・俺はおまえをこれに乗せるために鍛えた訳じゃない・・・・・・」

シンはゆっくりとシンジに近づきその肩を叩く。

「だがなシンジ・・・逃げる為に鍛えた訳でもない。

 おまえが大事な物を護れる為に鍛えたんだ。

 世界・・・滅んでほしいか?」

「そんなのはいやだ・・・」

「なら・・・やるしかないな?」

「解ったよ父さん、兄さん・・・僕が・・・乗る!」

「すまん・・・シンジ・・・そして、ありがとうシン君。

君のおかげで息子は強くなった・・・心も体も」

三人はしばらく無言でその場に立ちつくしていた・・・・・・

今、この瞬間に人類の希望が誕生した・・・

その名は碇シンジ・・・・・・彼は己に科せられた使命に耐えられるのだろうか?































「ええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっっっ!一緒に住めない!?」

「すまない・・・シンジ」

「いいかシンジ。

 おまえの父さんはネルフで一番偉い人だ。

 そしておまえは世界に何人いるか解らない貴重なパイロットだ。

 一緒に住めば狙ってる連中がどう思う?

 襲撃しやすいだろう?」

「この戦いが終われば必ず一緒に住める・・・だから我慢してくれ。

 住居はこちらで手配しよう」

「大丈夫、心配いらない」

当事者のシンジが固まってる間に話は進んでいた・・・・・・

























そして1時間後・・・・・・

「ついたぞシンジ」

「凄い・・・」

二人の目の前に有るのは大きな屋敷だった。

「これ・・・兄さんの?」

「ん・・・まあな」

二人は門を開け中に入る、すると・・・

「シン!」

大きな声でシンの名前を呼び走ってくる人影が一つ。

「ユウジ、今日からしばらく住むことになった」

「そうか、でこいつがシンジか?」

「初めまして、碇シンジです」

「おう!ワイは牙王ユウジや!よろしゅうたのむわ!」

シンの姿を見かけたのか一斉に人が集まる。

ユウジを除き皆まだシンジを同じくらいの年齢や小さな子供たちばかりだった。

「皆元気にしてたか?」

「お帰りシン先生!」

「お帰りなさい!」

「お帰りシン兄!」

シンジはその様子に少々困惑していた。

ユウジはシンジにそっと近づき説明する。

「ここは『聖霊の泉』っちゅうてな、孤児院なんや」

「孤児院・・・ですか?」

「そや。

 シンが院長先生でワシらが先生やって子供たちを育ててるんや」

「ユウジ!すまんがシンジを部屋に案内してやってくれ!」

「おう!任しとき!シンジ、こっちや」

「は、はい!」

シンジはあわててシンの荷物も持つとユウジの後を追った。

階段を上り二階の奥の部屋に案内されると・・・

「まって・・・」

女性の声に呼び止められる。

「ん・・・マイ、なんか用か?」

「まだ部屋の掃除が終わってないの・・・」

「じゃ外で待ってるさかい早うたのむで」

「任せて・・・」

「ユウジさん、今の人は?」

「氷室マイ、この孤児院の先生の一人や」

数十分後・・・

「終わったわ・・・」

「シンジ、早う荷物入れて食堂に行くで!

 食事の時間や」

「は、はい」

シンジはユウジに急かされ慌てて荷物を部屋に運び込む。

















孤児院聖霊の泉食堂・・・

シンが中央に座りその周りに教師達が座っている。

子供達は別のテーブルに座っており、シンジは教師側のテーブルに座っている。

「皆、今日から皆と一緒に生活する事になった新い家族を紹介しよう。

 碇シンジ君だ、皆と違ってお父さんはいるんだが訳があってこの家で暮らす事になった。

 皆仲良くするんだぞ」

シンがシンジを皆に紹介するとシンジは立ち上がって一礼し挨拶した。

「碇シンジです、宜しく」

なお、余談であるがこのときの挨拶で見せた微笑によりこの孤児院での彼の安全は保障されたとか・・・

「さて・・・シンジ、これからここの職員に自己紹介してもらうからしっかり覚えろよ。

 俺から時計回りでいいだろう」

シンの隣に座っていた女性が立ち上がる。

赤い髪をポニーテールにし、透き通った青い瞳がシンジをじっと見つめる。

「私は神代アイ、副院長よ」

「神代・・・兄さんの兄弟ですか?」

「妻よ」

シンジは一瞬凍りついた・・・

「兄さん・・・一緒に住んでるのに一言も言ってなかったじゃないか・・・」

「シン・・・まだ恥しいの?」

「・・・すまん」

申し訳なさそうに謝るシンを見て思わずアイは微笑んだ。

「ゴメンねシンジ君、隠すつもりは無かったんだけど主人は恥ずかしがり屋なのよ」

「兄さんの秘密は今に始まった事じゃ無いです・・・」

シンジは少し涙をこらえているようだ。

続いて紫色の髪を腰まで伸ばし、不思議な輝きを放つ紫の瞳をした女性が立ち上がる。

「神代初音、妹よ・・・」

シンはシンジの非難めいた視線をあえて無視する。

「牙王ユウジや、よろしゅう頼むわ!」

「氷室マイよ」

「夫のカイです、よろしく」

マイは青い髪に紅い瞳、カイは銀髪に緑色の瞳、ユウジは髪の色こそ普通だが瞳が金色に輝いている。

「青山カオリよ、よろしくねシンジ君」

「李白竜だ」

「ユウジの妻の牙王メグミです」

「花岡カスミよ」

「夫のレイジだ、よろしくな」

続いて挨拶した五人は至って普通の容姿をしていた。

「シンジ、気になるか?」

シンジの疑問を見透かすようにシンが問う。

「髪や眼の色なんか気にするな、いずれ慣れる。

 人とは違う見た目をしているからといって嫌うなよ」

「解ってるよ兄さん。

 みなさん此方こそよろしくお願いします」

シンジは礼儀正しく挨拶を返すと周りの子供達と自己紹介を始める。

「良い子じゃない」

「当然だろアイ、俺が育てたんだ」

「それが心配だったんだけど・・・あの事伝えてるの?」

シンの表情が一変する。

「まだだ」

「いずればれるわよ?」

「解ってるさ・・・」











































暗闇に包まれた中、数人が話をしている。

「リエル、次の任務だ」

「了解しました、マスター」

リエルと呼ばれた女性は男の声に答えその手に銃を構える。

「それで目標は?」

別な声が男に尋ねる・・・リエルと呼ばれた女性より幾分若い女性の声だ。

「ネルフ作戦部長葛城ミサト、セカンドチルドレン惣流=アスカ=ラングレー」

「ドイツ支部を襲撃ですね?」

「そうだ」

「任務了解」


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後書き

鋼鉄「Judgment第一話をお送りしました」

シュウ「また連載増やしやがってこの阿呆は・・・」

シン「作者・・・この設定は・・・」

鋼鉄「なお、もしこの小説を見て自分のパクリだ!とおっしゃる方はどうか寛大な処置をお願いします。

   その小説を読んだこと無いかもの凄くおもしろくて影響を受けた証拠です」

シュウ「いっぺん死んでこい!」

カキーン!

シン「ホームラン!」

シュウ「次回予告だ!

    『使徒迎撃の準備を進めるネルフ・・・

     そんな中ドイツ支部が突然の襲撃を受ける

     セカンドチルドレン惣流・アスカ・ラングレーの誘拐・・・

     そして水面下で蠢くJAKの陰・・・

     次回 Judgment第二話 使徒襲来 天使光臨

     神の軍勢は使徒か・・・それとも・・・』

     よかったら次も見てくれ!」


マナ:シンジが一人ぼっちじゃなくて良かったじゃない。

アスカ:ひとりぼっちって、寂しいわよね。

マナ:仲間がこれだけいたら、どんな辛いことも乗り越えられそう。

アスカ:アタシは、シンジ1人いればなんだって耐えれるわよ?

マナ:その分、シンジがアスカの我侭に耐えてるのよ。きっと。(ーー;
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