「・・・う・・うぅ・くっ・・」


こんな世界になってしまったのは僕のせいだ・・・・

アスカにはこんな世界・・・見せたくない・・・・

LCLの海の中ですべてを知ってきた。サードインパクトを起こしたのは僕。

サードインパクトを防ぐことも僕次第だった。

すべての原因は僕にある・・・・・僕にしかない・・・・。









I wish  that I could  turn  back  time

〜シンジ帰還〜





「うぅ・・・・う・・・くぅ・・・」


僕はアスカの首を絞めている手に

力を加えた。


・・・あっ・・・・

(手だ・・・僕の頬に手・・・・・
  温かい手・・・・・アスカ・・・・)


次第に手の力が抜けていく・・・涙が溢れてくる。


「・・・気持ち悪い・・・・」


僕はハッとして手を離した。それは拒絶・・・・アスカからの・・・。

仕方が無いよ・・・・。僕は逃げたんだ・・・・・助けに行かなかったんだ

・・自分が死ぬのが怖くて助けに行かなかったんだ・・・。

僕はアスカから少し離れた所に座った。


「アンタ・・なんでここにいるの?」

「・・・・・・・」

「何か言いなさいよ!」

「もう一度・・・・・」

「・・・はぁ?」

「もう一度・・・会いたいと思ったんだ・・・」

「・・・・・・・・」

「でも・・・ここは違うんだよ・・僕が望んだ世界じゃない・・・」

「・・あっそ。・・・・で、なんでアンタはアタシを殺そうとしたわけ?」

「見せたくなかった・・・・。こんな世界・・・アスカに
見せたくなかった・・・だから・・・僕は」

「それで勝手に殺そうとしたわけ・・・はっ、アタシもなめられたもんね。
アンタなんかに殺されそうになったんだから」

「・・・ごめん」

「アンタまたそれ!?ムカつくのよ!」

「・・・・」


それ以上は僕たちの会話は無かった。







一体どれくらいの時間が経ったのかはわからない。

僕とアスカはまだ同じところに居て動いていない・・・・。

なぜか空腹にはならない・・・・・ただ赤い海を見続けている。











長い長い沈黙を破ったのはアスカだった。

今思い出すとずいぶん涙が出てくる・・・・。


「さよなら」


本当にその一言だけだった・・・。

アスカは直ったばかりの身体を少し引きずるようにして

赤い海に向かって歩いていった・・・。

そして彼女は再び・・・・心の壁を解き放ち・・・LCLへと帰っていった。










「・・・・・くん・・・」

「・・・・?・・」

「い・・くん」

「・・・・・・・??・・」

「いかりくん・・・」

「!!・・・・綾波・・・」

「どうして・・・泣いているの?」

「みんな、いなくなったんだ・・・。アスカも・・」

「でも、あなたはそれを望んだわ」

「そうだね。でも、やっぱりみんなに会いたい。
みんなを・・・アスカを救いたい。・・・
・ねぇ綾波?願いが何でも叶うのなら・・・」

「えぇ、戻ることはできるわ。・・・でも」

「・・・・・でも?」

「あなたに私の力を・・・使徒としての力を渡さなければならないの」

「えっ!!」

「そんなことしたら・・・それが周りのみんなに知られてしまったら、
あなたはまた拒絶されてしまうかもしれないのよ」

「・・・・それでも・・・いい」

「碇君・・・」

「それでも・・・みんなを救えることが出来るのなら僕は・・それでもいい」

「・・・・・わかったわ」

「ありがとう・・・あやな・・・・・レイ」

「向こうに着いても私を助けてあげて今の私はあなたのおかげで居るわ」

「・・・うん」

「じゃあ碇君・・・・・また・・・会いましょう」


身体の回りを縦横無人に光が駆け巡り閃光が走った。







『シンジ、忘れないで。生きていれば、どこだって天国なのよ。
だから頑張ってね。私の可愛い息子・・・』


「ありがとう・・・母さん」


作者"ma-sa"様へのメール/小説の感想はこちら。
hokuto7@apost.plala.or.jp

感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構
ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

inserted by FC2 system