「ねぇリツコ〜」

「なに?」

「セカンドチルドレンはいつこっちに来ることになってるの?」

「そうね・・・・。後一ヶ月もすれば新横須賀に船が着くと思うわ」


ここはネルフ本部内リツコの研究室。
今はリツコとミサトしかいない。ミサトはコーヒーを飲みながら昨日のことを思い出してしまった。



「そういえば、セカンドチルドレンもアスカね・・・・」

「“も”ってなによ“も”って。他に誰か居るの?」




I wish  that I could  turn  back  time

〜大人の疑問〜







「いやね。昨日シンちゃんの寝顔が見たくて部屋に忍び込んだのよ。そしたら寝言で“アスカ”って言ってたのよ」

「ふ〜ん、まぁ人違いでしょ。シンジ君はアスカとの面識は無いはずだし」

「そうね」


そこまで話すとミサトが手のひらをポンッと叩き、笑顔で話しかけた。


「そうそうリツコ、今日はもう仕事ないんでしょ。だったらウチで食事でもしていきなさいよ♪」

「・・・・そうね。そうさせてもらうわ」


などなど、会話を交わした後、二人は車に乗り込み、
シンジの料理の待つ、葛城邸へと旅立った。


「ところでミサト・・・・今日はアナタが食事当番じゃないんでしょうね?」





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葛城邸
「あ、リツコさん。いらっしゃい。ミサトさん、ご飯できてますよ」

「おじゃまするわね」

「シンちゃぁ〜ん、えびちゅ取って〜」


リツコは「やれやれ」と言いながら、すでに食事の準備の
出来ているリビングへと足を運び、座る。


ミサトはビール・・・もとい、えびちゅを片手に座る。
すでに二本目突入完了。
シンジは一番最後にやってきて座った。


「「「いただきます」」」


もぐもぐ
  もぐもぐ


「!!!すごいわシンジ君。これホントにあなたが作ったの?」

「ええ、まぁ・・」

「ホントすごいわ。それにしてもミサトが料理当番じゃなくてよかったわ」

「むっ!ちょっとリツコ、それどういう意味?」

「そのまんまの意味よ。あなたの料理は兵器よ!兵器!」







「たしかに・・・あのカレーだけはもう勘弁したいですね・・・」







シンジは表情からも伺えるように、顔が青ざめてきている。
そのカレーの威力がよく伝わってくる。
リツコも納得したような顔をしているが、ミサトだけは不思議そうにシンジを見つめていた。


「あれ?私、シンちゃんにカレー作ったっけ?」

「!・・・・・」


シンジは「しまった!」といわんばかりの顔をした。


「い、いや。なんとなく・・・・です。そんな感じが・・・・」

「ふ〜ん・・・」






「あ、そうそう、シンジ君?お願いがあるのだけれどいいかしら?」


リツコのなんともいえないグッドなタイミングでほっとしたシンジ。


「は、はい。なんですか?」


「はい」と言って、シンジになにかのカードを手渡す。


「レイのカード、更新したから、それをレイに届けておいてほしいのよ」

「わかりました」


そう言って、受け取ったカードのレイの写真をジーっと見つめるシンジ。
そこへ、なにを勘違いしたのか・・・・・


「な〜にシンちゃん、レイの顔写真なんか見つめちゃって♪」

「え、いや別に・・・」

「ふ〜ん、そうなんだ〜。シンちゃんの好みって・・」

「ち、違いますよ!!」


もほやシンジはミサトのビールのツマミとなっている。


「よかったじゃない。レイの家におじゃまする
オフィシャルな口実が手に入って♪」

「違いますよ・・・・・綾波は・・・・そんなんじゃないんです・・」


一気にシンジの表情が険しくなる・・・・。
リツコはその変化を見逃さなかった。そして興味も持ったが、ここは
別の話題があったことを思い出したのでそっちの方を優先した。


「シンジ君?あなた、セカンドチルドレンって・・・知ってる?」

「セカンドチルドレン?さぁ?誰なんですか?」

「ホントに知らないの?」

「知りませんよ・・・。僕は来たばっかりなんですから・・・」




「じゃあ、アスカって知ってる?」




「ア、アスカ・・・ですか?知りません・・・」


「でもねぇ、シンちゃん・・・。アナタ寝言で言ってたのよ。
アスカ・・・・ってね」

「ホントに知りませんってば!!・・・もう寝ます!」


シンジはそういうと自分の部屋に閉じこもってしまった・・。



「ふぅ・・・・」



(・・・・今日はもう寝よう・・・明日は使徒がくるんだな・・)






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カチッ・・・カチカチ・・・・


「また壊れてるのか・・・」







シンジは昨日リツコに頼まれていた用事を済ませるために、
レイの家に来ていた。しかしインターフォンはやはり
壊れていて鳴らないのであった。


ドンドンッ!


「綾波〜っ!開けるよ〜!!」


ガチャ・・・


シンジが入ったそこは部屋と呼べるのか
よくわからないところだった。壁がコンクリートで打ち付けられているだけの
そこは箱庭のようだった。床にはダイレクトメールが適当に捨てられている。


「ふぅ・・・まったく・・・・。綾波ぃ〜!ネルフのカード、
更新した新しいやつ、ここに置いておくからね〜!」


そしてその場から逃げるようにして離れていくシンジ君・・・。
後からお風呂に入っていたレイが出てきて、


「お茶でも飲んでいけば良いのに・・・」


と言ったセリフは虚しくも部屋に木霊していた。









通学路
「あ、綾波、おはよう」


シンジはニッコリとした笑顔で挨拶をした。


「おはよう・・・。?どうしてここにいるの?」

「綾波を待ってたんだよ。さぁ、学校に行こう」

「そうね」


そこからシンジとレイは、学校に着くまでいろいろ話し込んだ。
もっとも話が弾んだのが、一昨日の事件。
教室でシンジがアスカの名前を叫んだこと・・・。
これについて未だシンジの言い訳では納得のいっていないレイは二人きりでチャンス!
といわんばかりの質問攻めをした。

レイはアスカのことを知っていると思っていたシンジはこの奇襲にビックリした。
自分の次に決まったチルドレンのことなのだ。情報くらいはレイにも入ってきているはずだ。


(もしかして興味が無かったとか?)


シンジはそう思いながら言い訳をならべまくっていた。





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学校
いつも変わらぬ授業風景。
ネルフからいきなり電話が掛かってくることも無く。
いたって穏やかな日常が過ぎていった。






「碇君」


レイがシンジに話しかけてきた。
ちなみにすでに放課後である。


「なに?綾波」

「そろそろネルフに行きましょう」

「そうだね・・・・。あれ?もしかして今日って
零号機の再起動実験の日だっけ?」

「うん」

「・・・綾波は怖くないの?」

「どうして?」

「答えてよ・・・・」

「怖くないわ・・・。きっと成功すると信じているもの」


シンジは少しホッとした。前と同じ質問をしてみたのだ。
その結果、前回とは違った答えを出してもらえた。
少なくとも前向きに自分の考えが出来るようになっている。
シンジは、そのことに少なからず喜びを覚えていた。






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そして起動実験の時はやってきた。


ネルフ本部
「エントリープラグ、注水」

「準備、整いました」

「いいわ。実験開始」

「エントリースタートします」











「・・・・・・・・・・・・・・」

「ボーダーラインクリア!精神汚染の心配はありません。起動完了です!」

「やったわ!」


ミサトが喜びの声を上げる。
そこへ一本の電話が入ってくる。
それを冬月が取る。


「・・・・・・碇、太平洋上に未確認飛行物体が
確認された。おそらく使徒だろう」

「・・・・現実験を中止。初号機パイロットは
ケージに向かい、出撃をしろ」


シンジはこれを聞くとダッシュで更衣室へ向かっていった。


「碇、零号機はどうする?」

「まだ実践には耐えられん。今回は初号機だけだ」






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発令所
「シンジ君!準備はいい?!」

『はい。いつでも』

「初号機、発進!!」


初号機が打ち出される前に、使徒のほうが先に行動を起こしてしまった。


「目標内部に高エネルギー反応!!!」

「なんですって!」

「周円部を加速!収束していきます!!」

「まさかっ!!?加粒子砲!!?」





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シンジはこのこと知っていたのですぐに対応できると思っていた。
しかし現実は実につらいもので・・・。


(よし!地上にでたら、すぐに上に跳ぼう!・・・・・・・・)


初号機が地上に打ち出されて、今頃気が付いた真実・・・。


『だめっ!!シンジ君よけてっ!!!!!』


(し、しまった!!拘束具が・・・・!!!)


「ATフィールド全開!!!!!!」


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