「ATフィールド全開!!!!!!」


シンジは加粒子砲を避けることが出来ないことがわかると
咄嗟にATフィールドを展開した。





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発令所の職員は画面に映る光景にあっけにとられていた。


初号機は敵の加粒子砲をATフィールドでなんとか防いでいたが・・・・
敵の攻撃時間があまりに長いためATフィールドは破られてしまった。




『ぐわぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!』




シンジの叫び声でようやく気が付いたミサトは、オペレーターに急いで指示を出す。



「!!戻して!!早く!!!」


ミサトの叫ぶ声が発令所に響く。








I wish  that I could  turn  back  time

〜真実を今、伝えるとき〜












「初号機パイロット碇シンジは使徒:ラミエルの攻撃に対してATフィールドを展開。
しかし敵の攻撃力は予想を遥かに上回り、ATフィールドは15秒で破られてしまいます。

敵の攻撃は初号機胸部に直撃し、撤退をやむなくしてしまいます。
パイロット碇シンジは意識を失っており、ただいま病室で寝ております。
初号機の修復は5時間ほどで完了する予定です」


ミサトのいるところは司令室。
今日起こったことに対しての報告をしにきたのだ。


「これで報告を終わります」







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作戦指令室


「これまで採取したデータによりますと、
目標は一定範囲内外敵を自動排除するものと推測されます」

「エリア侵入と同時に加粒子砲で100%狙い撃ち。
ATフィールド中和可能なエヴァの近接戦闘はムリ・・というわけね・・・・・。敵のATフィールドは?」

「健在です。相転移空間が肉眼で確認できるほど、強力なものが展開されています」

「攻守共にほぼパーペキ・・・・。まさに難攻不落の空中要塞なわけね・・・。敵のボーリングマシンは?」

「現在、第二装甲板まで到達しています」

「ふ〜む・・・・まずいわね・・」

「白旗でも揚げますか?」

「それもいいけど・・・、チョッチやってみたいことがあるのよ」





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司令室


「敵のレンジ外、超長距離からの、直接射撃かね」

「そうです。敵のATフィールドを中和せず、
この状況を打破するにはそれしかありません」

「マギによる勝算は?」

「いままでで最も高い8.7です」

「反対する理由は無い・・。存分にやりたまえ、葛城君」





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病室






――アンタバカァ!?

――それが内罰的だって言うのよ!

――バカシンジ!

――マ・・・・マ・・・・・・

――ねぇ、キスしよっか?

――キァァァァァァァァ!!!!!!

――無敵のシンジ様にこのような雑務を・・

――アンタ見てると・・・ムカつくのよっ!!!

――風邪・・ひかないように、暖めてるの・・・。

――気持ち悪い・・・・






「・・はっっっ!!」


シンジは恐怖に襲われ、ユメから覚めた。
あの赤い海の世界でアスカが放った言葉・・・。
思い出してシンジは苦悩する。また同じように拒絶されて
しまうのではないか?そんな恐怖に襲われてしまう。


「嫌な・・・・天井だな・・・・」


「大丈夫?お兄ちゃん?」


ベッド脇の椅子に座っていたレイがシンジを心配する。


「綾波・・・・。うん・・・・・。もう・・・大丈夫・・。」

「そう・・・。あ、食事食べたほうがいいわ。
60分後には出撃だから・・」

「うん・・・・。食べるよ」


その後、シンジはレイに今後の作戦内容を聞かせてもらった。
前回と同じ作戦内容・・・・・、前回と同じ担当になってしまうのか?







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二子山
「これから言う、説明をよく聞いてね」


ミサトがプラグスーツに着替えたシンジ、
レイを前に話しかける。あたりはまだ忙しいらしく、人の行き来が激しい・・・。


「まずポジトロン・ライフル。戦自研で開発途中だったものを
ネルフ挑発しくみたてたもの・・・・、間に合わせだけどね。
計算上ではこの長距離からでも敵のATフィールド貫くに足るわ。
もとが精密機械のうえ急造仕様だから、野戦向きじゃないのが難点だけど・・・・・」


ミサトはここで言葉をとめ、リツコを見る。
そしてリツコが繋ぐ。


「そこで、この盾を使います。こちらも急造仕様だけど、
もとはSSTOの底部で超電磁コーティングされている機種だし、敵の砲撃にも17秒は耐えられるわ」

「そこで、これらをそれぞれ、砲手をレイ、シンジ君は防御を担当してもらうわ。
これはレイの方が射的の確率が高いからよ」

「さて、そろそろ時間よ、ミサト」

「では、二人とも準備に入って」

「「はい」」








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「綾波は・・・どうしてエヴァに乗るの?」


シンジがそう聞くと、レイは下を向いて・・・


「わからない」

「・・・わからない?」

「お兄ちゃんに会うまでは絆だった・・・・。でも今はわからない」

「そう・・・・か」

「お兄ちゃんは・・・」

「えっ?」

「お兄ちゃんはどうして乗っているの?」

「僕は・・・・、家族や友達・・・知り合いや親戚・・。
みんな・・みんなを守りたい・・・・、大切な人を・・・守りたい・・・。
だから僕はエヴァに乗ってる」

「そう・・・・守るために・・」

「綾波にだっているだろ?守りたい人とか・・・・、死んでほしくない人が」

「死んでほしくない人・・・・、そうね私にも居るわ・・・。
じゃあ私も、守るために乗るわ」


シンジはそれを聞くと、嬉しそうに笑った。それにつられてレイも少し微笑む。




「時間だわ・・・・」

「そうだね・・・・・。ねぇ、綾波」



「・・・なに?」

「この作戦が終わったら・・・・君に言って置きたい事があるんだ・・・」

「わかったわ・・・。お兄ちゃん・・・・・、またね」






「・・・・うん・・。またね」


二人はそれぞれエヴァに乗り込む・・・・。思いは・・
自分の兄弟を守りたい・・・。家族を友人を・・・・・大切な人を・・・。









『ヤシマ作戦、スタート!!!!!!!!』






『電圧上昇中、加圧域へ!』


『全冷却システム出力最大へ!』


『陽電子流入順調!!』


『第二次接続!!全加速機運転開始、強制収束機作動!!』


『全電力二子山造設変電所へ!』


『最終安全装置解除!』


『第三次接続問題なし・・・。撃鉄起こせ!!!』





今回の僕の役目は綾波を守ること・・・・。おそらく最初は外れてしまう・・・・。
そうなったら僕が綾波を守る。
盾だけだと100%もたないから、ATフィールドも使おうか。





『地球自転誤差修正プラス0.0009』


『第七次最終接続。全エネルギーポジトロンライフルへ!』


『発射まであと10秒・・・9・・8・・7・・』


キュィィィィィィ!!!


『!!目標に高エネルギー反応!!』


(くっ気付かれたか!・・・しかしやつより先に撃てば・・・勝機はある!!)


『撃てっ!!』


レイはポジトロンライフルの引き金を引いた。発射される陽電子砲。


しかしラミエルの加粒子砲に近づいた途端に、
お互いに反発しあって標準がずれてしまった。


(失敗!?)


『第二射いそいで!!レイは移動して時間を稼いで!!』

「はい!」

『目標に再び高エネルギー反応!!』

『まずい!!早すぎるっ!!』


カッ!!!バシュ!!!


「キァァァァァァァァ!!!!!!!」


『『『『『レイ!!!!』』』』』


ズババババババババッ!!!!


「うっ・・く・・。・・はっ!!」


おそるおそる目を開けたレイの前には初号機が立っていた。


「碇君!?」


バシュルルルルルル!!!!


『盾がもたない!!!!!』

『まだなの!?』

『あと10秒!!』


(早く!!早くしないと、お兄ちゃんが!!!)


バシュルルル・・・・ブァァァ!!!!!!


ついに時間がやってきてしまいシンジの持つ盾は融解してしまった・・・。


(よしここで・・・・・・)


ここからがシンジの計画だった。
ATフィールドを最大で張ればなんとかなる。そう考えたのだった。


「!!!碇君!!!!!!!」



『こ、これは・・・!!!今までに無い大きさのATフィールドです!!』

『なんですって!?どこから!?』

『初号機です!!初号機のATフィールドです!!』

『シンジ君!??』



「はぁぁぁぁぁぁ!!!!!」



『す、すごい・・・』

『・・・はっ!!今よ!撃って!!!』


シュバァァァァァァァ!!!!!!!!

             ドグワァァ!!!!!!!!!!


レイの放った陽電子砲は見事ラミエルに直撃した。


『やった!!!』


「碇君!!!」


レイは初号機のエントリープラグを取り出してから、ゆっくりと降ろし向かうのだった。


(まってて!今いくから!!)


「お兄ちゃん!!!」

       ぐぐぐぐぐぐっ!!

   バコンッ!!!!


勢いよくハッチが開いた。


「お兄ちゃん!!!」


レイが中を覗くと、シンジは元気そうな顔でニコニコしていた。


「・・・・心配してくれてありがとう・・・・レイ」


シンジに初めて名前で呼んでもらい嬉しいレイ。


「僕は大丈夫だから・・・・」


シンジはそう言って再び笑顔を見せる。


「・・・・・レイ・・・君に見せたいものがある。僕の手を握ってくれるかい?」


レイは頭にハテナマークをたくさんつけながらもシンジの手を握った。
とたんに自分の中のリリスが暴れているような感じに襲われた。



「キァァァァァァァァ!!!」







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レイの頭の中に映し出されたのは・・・
紛れも無いもう一つの世界・・・








――ヤシマ作戦でシンジを守る自分・・・・


――赤い髪の少女・・・・


――まだ会ったことのない使徒・・・・


――シンジの親友の乗るエヴァ・・・


――潰されるエントリープラグ・・・・・


――倒される青と赤の機体・・・・


――暴走する初号機・・・・


――エヴァに取り込まれるシンジ・・・


――失われる命・・・


――精神崩壊を起こす少女・・・


――消える自分・・・・


――三人目の自分・・・・


――自分と同じアルビノの少年・・・・


――自ら死を望んだ少年・・・・


――追い込まれるネルフ・・・・


――発動する人類補完計画・・・・


――飛来するエヴァシリーズ・・・・


――復活した少女の敗北・・・


――覚醒する初号機・・・・


――拒絶した自分・・・


――リリス・・・・


――起こるサードインパクト・・・・


――滅びゆく世界・・・・


――赤い海・・・・・


――拒絶した少女・・・・・・


――シンジにリリスを渡す自分・・・・・








そこまでだった・・・・・。




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「うっ・・・くぅ・・・ひっく・・」


レイは感情を持ってしまった。だからこれらの
映像を見てしまったから泣いてしまったのだ。


「お・・・にぃ・・・・ちゃん・・・・・ひっく・・」

「黙っててごめんねレイ・・・・。僕はもうあんな世界は
見たくない・・だから世界を変えるために戻ってきたんだ・・・・」


レイは無言のまま両手を口に当て、コクコクと首を縦に振った。




溢れる涙は・・・・・・人間の持つ・・・感情そのもの・・・。
人を想う心は・・・・・・・人にしか持つことが出来ない・・・・・純粋な心・・・




―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

あとがきっ!!

はてさて・・・・・ここまで読んでくれた人は思うでしょう。
「えっ、レイってシンジが未来から来たこと、三話でもう知ってたんじゃないの!?」・・と。
違うのだっ!あれは・・・・・・・・秘密なのだ(笑


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