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                    素直になれなくて    
                                         アスカ編
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残酷な戦いから開放された少年少女。
その戦いのため此処、第三新東京市は崩壊していたが、みごと復興を果たした。

疎開していなくなっていた人々は再び戻ってきていた。
エヴァのパイロットの通う学校にもたくさん帰ってきた。

長々と説明した割には、ハッキリ言って・・・・・・・関係ナシ!!!!!!!!
そんな彼らの幸せな一日。少年少女の青春を・・・・・・

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「おっはよ〜♪」


アタシは教室に入って朝の挨拶をする。


「おはようアスカ、碇君」


ヒカリ、たぶん一番まともな会話を最初にしてきてくれる。


「おっ、センセ達は今日も夫婦で登校か?!」

「な、なに言ってんのよ!バカジャージ!」

「よっ!碇夫妻!!」


鈴原と相田・・・余計なことを言ってくる。
アタシと一緒にからかわれている奴。隣にいる碇シンジはだからなに?と言わんばかりの顔をしている。
ちょっとムカついた。





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時が経つのは早いとはこのこと。
早くもお昼である。

昼休み。この時間は休憩時間の中で、もっとも騒がしくなる。


「あ〜、お腹空いたぁ〜」

「アスカ、食べましょ」

「ちょっと待っててね」


アタシのお弁当はシンジが作ってくれるの。だからシンジに持たせてる。


「シンジ〜おべんと〜」

「はい」


みなそれぞれ好きなもの同士がグループを作って食べている。

アタシはシンジからお弁当を受け取って席に戻る。


「今日のおかずは・・・・っと。からあげね♪」


アタシは蓋を開けて喜んだ。シンジはアタシの好きなものを入れてくれる。
そんなシンジの作ったお弁当は大好き。


「ねぇ、アスカ」

「なぁに、ヒカリ?」


こんな感じでヒカリがアタシを呼ぶのは珍しいことじゃない。
ちなみにこういうときは帰りにどこか寄ることになるはず・・・。


「放課後になったらさぁ、こないだ出来たカフェにでも行きましょうよ」

「いいわよ」


しかしアタシは今週は週番の仕事がある。
ハッキリ言ってめんどくさい・・・。

そこでアタシは一つの結論が出た。


「シンジ!」

「なに?アスカ」

「今日の週番の仕事、代わりにやってくれない?アタシ今日用事ができたのよ」

「え・・・・・・でも・・・・」

「ごちゃごちゃ言わない!!よろしくねっ」

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やはり時が過ぎるのは早いもの
もう放課後である

アタシは週番の仕事をみごとシンジに押し付けることが出来たので
ヒカリと新しく出来たカフェにお邪魔している。


「ねぇねぇアスカ〜」

「なに、ヒカリ?」


うっ・・・・このパターンは・・・・・・
ヒカリにはアタシを呼ぶときにパターンがある。
こういうときは恋愛の話になることが多いのだ・・・・。


「アスカって碇君のことどう想ってるの?」


ほら・・・。やっぱり・・・。
そりゃあ・・・アタシはシンジのこと・・・す・・・好き・・・・・だけど・・・。
やっぱり・・・・人に言うなんて恥ずかしいじゃない?


「へっ?別にどうも思ってないわよ!!勘違いしないでほしいわ!!メイワクな!!」


アタシは一生懸命に照れ隠し・・・・。きっと顔は赤くなっているに違いない。


「へぇ・・・・そうなの?」




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家に帰って来て、自分の部屋に入る。
そして制服のままベッドにダイブ。
シンジはまだ家には帰って来ていなかった。いくら週番の仕事といえどこんなに時間はかからない。

アタシはそのうち帰ってくるだろうと思い、ご飯まで寝ることにした。






「アスカぁ〜ご飯できたわよ〜」


アタシはミサトの声で目を覚ました。


「ミサト、今日は帰ってくるの早いのね」

「ん?今日は仕事がすぐ終わったのよ♪」



久しぶりに三人での食事。
アタシとミサトは話をして盛り上がっていたが、今日に限って妙にシンジが沈んでた。


「ねぇアスカ・・・・。シンちゃんどうしたの?」


ミサトはアタシの耳元でボソボソっと話しかけてくる。
アタシも同じようにして返事した。


「わかんないわよ・・・・・学校じゃ普通だったし・・・」







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次の日の週番もシンジに頼んでいた。
だからアタシはゆっくり学校にきた。




「碇君、私と付き合ってくれない?」

「碇先輩!付き合ってください!」


アタシはいつものように学校に来ると驚いた。
シンジが女子に告白されてる?
しかもおかしいくらいの人数に・・・・。


「ちょっと、なによあれ!」


アタシはだんだんイライラしてきて爆発・・・。


「さぁ・・・・・・?なんで急に?」

「センセばっかり〜!!!!」

「シンジ!俺達の友情はその程度もんだったのかーー!」


鈴原・・・・・あんたはヒカリがいるからいいでしょうが!
相田・・アンタは絶対に彼女はできないわ!

確かにシンジは女子のなかで結構・・・・ううん、かなり人気はあった。
でもいきなり、なんでこんなことに?


「ちょっと聞いてくる!」


すたすた・・・


「ねぇ、どうしたのみんな急に?」

「あら?惣流さん」

「ねぇ、なにがあったの?」

「見たらわかるじゃない。みんな碇君を狙ってるのよ」

「はぁ?なんでバカシンジなんか狙うの?」

「それはみんな碇君のことが好きだからよ。まっ、メイワクがってる惣流さんにはわからないだろうけど」

「なっ!!」

「もう、みんな知ってるわよ。この学校のみんなが。碇君含めてね」

アタシはその言葉を聞いてヒカリのほうを向いた。
すると聞いていたヒカリもビックリしていた。
昨日の会話はアタシとヒカリの二人しかしらないはずなのに。
みんな知っていた。

アタシはその場で呆けていた。

もしかしたら泣いてたかもしれない・・・。
“みんな”ってことはシンジも知ってる・・・・。




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「ただいまぁ〜」


アタシは重い足取りで家に帰ってきた。


「(シンジの靴は・・・・・無い・・まだ帰ってないのか)」


そして自分の部屋に来てベッドに寝転んだ


「(どうしよう・・シンジに知られてるだなんて・・・・素直にならないのがいけなかったのかな。
やっぱり・・・・帰ってきたら・・・本当のことを言おう・・・。人からメイワクだなんて言われて心が
傷つかないわけないわよね)」

「たっだいまー♪」


ダダダダダダッ!


「シンジ!?、、、、なんだミサトか」

「なんだとは失礼ねぇ〜、夕食買ってきてあげたのに〜」

「シンジが作るんじゃないの?」

「あれ?シンジ君から聞いてないの?」

「?、、、なにを??」

「シンジ君なら今日この家出ていったわよ」

「えっ、、、なんで、、、どうして、、、」

「さぁねぇ、昨日急に言い出したのよ」

「(、、アタシの所為だ、、、あんなこと言ったから、、、シンジは、、、)」


そう考えた途端に泣きくずれてしまった。
アタシが素直にならなかったから、シンジは離れて行ってしまった。


「ア、アスカ!急にどうしたの、、!?」

「アタシがシンジのことメイワクって言ったの!でも、、、でも素直になるのが嫌で言ったことが、、、、!!」

「それ・・・シンちゃんに直接言ったの?」

「違うわよ!誰かに聞かれてて、そいつが広めて・・・・」


ミサトはそれを聞くと笑顔を見せて言った。


「それならまだ大丈夫よ・・・・・。シンジ君に直接、あなたの素直な言葉を言えばわかってくれるわ」

「うん・・・・・・・・ありがとう・・・・・・・・ミサト・・・」




アタシはミサトの言葉を聞いて「まだ希望はある」
そう気付いてミサトの胸の中で泣き崩れた。


「そうそうアスカ。シンちゃんの新しい住まいはお隣よん♪」

「・・・・・・・・・・・近っ!!!」


なんですってぇ!
アタシはてっきり遠いところに行ったのかと・・・。


「まぁ、でもシンちゃんは今、とっっっっても傷ついてるから・・・・ケアしてきなさいな!」


そうよね・・・・・。あんなこと言われて心が傷つかないわけないもんね。

ミサトの言葉を聞いて、アタシは笑顔で言った。


「うんっ!!」


そう言ってアタシは急いで玄関へ行って、靴を履き出かけて行った。




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玄関を出たアタシは隣の部屋の玄関前まで来ていた。
アタシはインターフォンに手を伸ばしては引っ込めるという行動を何回も行っていた。

怖い・・・・これでシンジに拒絶されてしまったら・・・・。
そう考えるとアタシは押すのをためらった。


十回くらい繰り返してやっていたアタシは「ええぃ!」と勢い良くインターフォンを押した。


          ぴんぽーん


アタシがインターフォンを押すと中からドタドタっという音が聞こえてきた。


「はーい・・・・・・・・・・・。なんだ・・・・・アスカか・・・」

「あ、あの・・・・シンジ・・・・」

「なに?なにか用?それなら早くしてよ」


シンジがいままでアタシに見せたことないような怖い顔で睨み付けてきた。
でもここで引き下がれない。











「え・・・・・っと・・・・その・・」

「なんなんだよ?」

「い、いや・・・・その・・・。なんで・・・・出て行ったの・・・?」

「そんなの・・・・どうだっていいだろ!!」


長い一本道の途中 
幸せを拾うよ 
決められてない場所 
幸せがそこにはほら 


「用はそれだけ?なら・・・・もう帰ってよ・・・・」

「待って!!まだ・・・・」

「“まだ”用があるんだとしても僕にはかまわないでよ!!アスカには関係ないじゃないか!ほっといてよ!!」


風が吹き荒れる夜でも 
雨が打ちつける日々でも 
必ず未来に続くから 


「っ!!関係なくないっ!!!!!!!!」

「なんでだよ!!アスカは僕がメイワクなんだろ!!?じゃあ僕が出て行って良かったじゃないか!!」

「・・・・・・・そんな・・・・・・・そんなこと・・・ない!!!」

「なんでだよ!?便利な家政夫がいなくなって困ってんのか!?」

            パンッ!!!!

「・・・・何するんだよ!!」

「アタシは・・・・・・・」


明日もし出会うなら
幸せでしょう 
明後日もし世界が壊れても 
二人は出会っているから 
幸せだよね


「アタシは・・・そんなふうに思ったことなんて、一度も無いっ!!!」

「・・・・・・・」

「アタシは・・・・・・・・アタシは・・・・・・」

「・・・アスカ・・・・・・・なんで、泣いてるの・・・?」

「シンジのこと・・・・メイワクなんて・・・・思ったこと・・・・ない・・・」

「・・・・・・・・・・」


大切な人と二人
嬉しいよね
わかりきった事だけど
嬉しいことだよね


「アタシは・・・・・・・・・・アタシは!!」

「ア・・・・・・アス――」

「アタシは、シンジのことが好きっ!!!!!!」

「!!!!」


一人歩いていたはずの道
気付けば隣に君が居て
幸せそうに笑ってる


「だから・・・・・嫌われたく・・・・・ないの・・・」

「アスカ・・・・・・」

「だから・・・・一緒に居てほしいの・・・・一緒に笑ってほしいの!」

「・・・・・・・・」

「今日も、明日も、明後日も、ずっとずっと、一緒に居たいのっ!!!!!」


明日もし笑っていたら
楽しいでしょう
いつの日か涙が流れても
悲しみじゃない


「ずっと・・・・・・・ずっと・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・アスカ・・・・・・・・・・もう泣かないでよ・・・・」

「・・・・・・・・・・・」

「僕は・・・・・嫌われてると思ってた・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「いつも・・・臆病で、内罰的で、弱くて、なさけなくてっ!」

「・・・・・・・・」

「でも・・・・僕も笑いたい・・・・アスカと一緒に・・・・」

「・・・・シンジ・・・・」


明日もし世界が壊れても
二人は一緒
いつかもし悲しくなっても
気付けばいつもの二人
笑い合っている


アタシはシンジの胸に飛び込んだ・・・
とっても・・・・とっても温かかった。

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あとがきっ!!!!!!


レイ:ひどいわ赤毛猿・・・・・かわいそうな碇君・・・

アスカ:幸せそうじゃないの

レイ:きっと家で泣いてたのよ碇君は・・・

アスカ:うっ・・・・・・・・

レイ:さぁ碇君・・・・私のところへ・・・

アスカ:アンタこの話に出てこないじゃない

レイ:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(がーーーーん)

アスカ:それにして人の会話を盗み聞きするなんて!

レイ:(がーーーーん)・・・・・・・・(がーーーーーーん)

アスカ:あら?どうしたのファースト?

レイ:・・・・はっ!・・・これは涙・・・・泣いてるの私・・・・


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