夜空には満天の星が輝き芦ノ湖の水面は水鏡のごとく写し、風はなくロマンチックな夜を演出している。
  辺には自転車が一台と若者が二人。
  一人は黒い髪、黒い目どこから見ても日本人で黒いコートとジーパンを履いている少年。
  見た目は上の中であるが、今は身体中から悩みのオーラが湧き出しておりそのことが少年の見た目を台無しにしている。
  もう一人は赤みがかった金髪、蒼い目まるでフランス人形のようで赤いコートに赤いミニスカート、首には白色のマフラー、長い髪を黒いリボンの
  髪留めでポニーテールにして、耳には星型のピアス、唇には薄いピンクのルージュが塗られている。
  見た目を言えば、十人中十人が振り返る美少女で微笑を浮かべながら少年の顔を眺めている。






  「ごめんアスカ。誕生日プレゼントを買うのを忘れてたんだ。」





         〜プレゼント、シンジよりアスカへ〜






  時は一週間前まで遡る、シンジは悩んでいた。
  シンジは心の中を最も占めているアスカへの誕生日プレゼントを考え、そして自分の気持ちをどう打ち明けようか悩んでいた。
  14年間の中でシンジが女の子にプレゼントを贈ることは生まれて初めてであり、また女の子を好きになったのもまた初めてであった。 
   そんな時に加持に出会った。
  「シンジ君。」
  加持はシンジに声をかけたが、シンジに料理以外に二つの事を一度にできるはずがなく、気づかず立ち去ろうとしていた。
  「シンジ君。」
  加持はもう一度声をかけシンジの肩を叩いた。
  「わっ、かっ加持さんいきなり肩を叩かないでくださいよ、びっくりするじゃないですか。」
  シンジは驚いた表情を浮かべて加持に抗議したが、加持は別に何もなかったように質問をしてきた。
  「シンジ君、何をそんなに悩んでるんだい?なんだったら相談にのるよ。」
  シンジは又も驚いた表情を見せて応えた。
  「なっ何で僕が悩んでたって分かったんですか?」
  シンジは自分がいかにも悩んでそうな顔をしていることに気づいていなかった。
  そんなシンジに対して笑いながら加持は応えた。
  「はっはっは。シンジ君は自分がどんな顔をしていたか分からなかったかい?誰が見ても悩んでるって分かるよ。さてはアスカの事だな。」
  シンジは顔を真っ赤にしながら口をパクパクしている。
  「もうすぐアスカの誕生日だからな。」
  コク。
  シンジにはもう頷く事しかできず、シンジは加持に自分の悩みを打ち明けた。
  加持はそんなシンジをほほえましく見ながら応えた。
  「そうか、告白か。でもそんなに考え込まなくても大丈夫だと思うんだけどな。」
  シンジはそんな加持の言葉に混乱しながら反論した。
  「なっなんでそんなに軽いんですか。僕は真剣なんですよ。」
  シンジの剣幕に押されるように加持は後ろに一歩下がった。
  加持は少し考え込み、何かを思いつきシンジに話した。
  「シンジ君、女の子はムードを重視する。もちろんアスカも例外ではないはずだ。だからたとえば、星がきれいに見えるようなところでプレゼントを
  渡してみたらどうだ。たぶんアスカもシンジ君のことを見直すはずさ。」
  シンジは加持の言葉かみ締めて、加持の方を向き頭を下げて礼を言った。
  「ありがとうございました。」
  シンジは礼を言った後、すぐに走っていった。
  加持はそんなシンジを見て一言呟いた。
  「青春だね〜。シンジ君がんばれよ。」
  





  加持からアドバイス聞いてからというもの、シンジはいろんな人に質問していった。
  ケンスケには星がよく見える場所知らないかと聞き。
  トウジにはプレゼトには何がいいか聞いたが、もともと食い意地が張っているためよい返事をもらえてない。
  トウジいわく、「女のプレゼントなんてよく分からん。」だった。
  レイにも聞いてみた。
  「綾波はアスカの誕生日プレゼントはどんなものを買うの?」
  レイは相変わらずのすました顔で応えた。
  「その人にとって役に立つ物。赤城博士がその方が良いって言ってた。」
  「そうか、役に立つものか。ありがとう綾波。」
  シンジはレイに礼を言って去っていった。
  レイは少し悲しみを含んだ顔をしながらシンジを見送った。
  次にヒカリに聞いてみた。
  「洞木さんはアスカの誕生日プレゼントはどんなものを買うの?」
  ヒカリは笑顔で応えた。
  「私、私はアスカによく似合うものよ。」
  「そうか、アスカによく似合うものか。ありがとう洞木さん。」
  シンジはヒカリに礼を言って去っていった。   ヒカリは親友の幸せすぐ来ると思い、笑顔を浮かべていた。
  最後にシンジはミサトに聞いてみた。
  「ミサトさんはアスカの誕生日プレゼントはどんなものを買うんですか?」
  ミサトはにや〜としてシンジをからかおうとしたがシンジのあまりの真剣さにまじめに応えた。
  「シンジ君、誕生日プレゼントって言うものはね、送る人に誠意を見せればいいのよ。だからシンジ君もそんなに悩まなくって良いのよ。」
  シンジは驚いた顔を見せたが、ミサトの言葉に感動した。
  「そうですよね。精一杯の思いを込めたプレゼントならアスカも喜んでくれますよね。」
  「そうそう。だからシンちゃん、誕生日パーティーの料理も豪勢にいきましょ。そうすればアスカだって喜ぶわよ。後、えびちゅも解禁ということ
  で。」
  ミサトの何気ない一言はシンジに自信と言う爆弾を投下した。
  もっともミサトにとっては料理よりパーティーで飲めると思っているえびちゅの方が大事である。
  この一言によりシンジはおいしい料理を作るために学校とキッチンを往復するだけの生活になってしまった。
  アスカへのプレゼントも忘れて。





  アスカの誕生日当日、葛城亭にはアスカ、シンジ、レイ、ミサト、加持、リツコ、トウジ、ケンスケの8人が集合した。
  テーブルの上にはシンジの一週間の成果が並んでおり、その真ん中にはバースデーケーキがある。
  ケーキのろうそくには火がついており今まさに火が吹き消されよおうとしていた。
  「ふぅぅー。」
  ろうそくの火が消え、それと同時にクラッカーが鳴らされた。
  「「「「「「「誕生日おめでとう。」」」」」」」
  7人が同時に言葉を発した。
  「ありがと。」
  アスカが礼を言い、誕生日パーティーが始まった。
  トウジが真っ先に料理に手をつけ、ヒカリに説教をくらったのは言うまでもない。
  そしてそれぞれからプレゼントが贈られるようになって、シンジは初めて自分がプレゼントを用意していないことに気づいた。
  シンジの気分は天国から地獄に落ちた。
  「ど、どうしよう。」
  そんなシンジをよそにアスカはみんなからプレゼントを貰っていた。
  まずはミサトから薄いピンクのルージュを貰った。
  「アスカも少しは化粧をしてみなさいよ。きっと似合うわよ。」
  そう言うとアスカをつれて洗面所に行き、3分後帰ってきたらアスカの唇には先ほど貰ったルージュが塗られていた。
  アスカははにかんだ笑顔を見せてシンジの方を向いた。
  「シンジ、似合うかな。」
  「に、似合うよ。すっごく似あってるよ。」
  シンジは顔を真っ赤になりながらもはっきりと応えた。
    アスカは顔を真っ赤にし黙り込みながらもシンジの方を見つめている。
  この2人だけの空気は10分間消えることはなかった。
  次にアスカは加持からピアスを貰った。
  「ありがとう。加地さん。」
  礼を言い加持から貰ったピアスを眺めてると、ミサトからひとつの提案が出た。
  「アスカ、今つけて見なさいよ。みんなも見たいんだから。」
  「ええ、分かったわ。」
  アスカは頷いてピアスをつけてシンジの方を振り向き、先ほどとまったく一緒のことをしようとしたら、ミサトが肩をつかみ阻止した。
  「アスカ、よく似合ってるわよ。」
  ミサトは柔らかい笑顔で感想を述べながらも肩をつかんでる手は一向に力を抜かない。
  「あ、ありがとう。」
  アスカは少し引きながら応えた。
  次はリツコだった。
  リツコからはなぜか猫のぬいぐるみであった。
  リツコ言わく、「私はこれさえあればご飯三杯は食べれる。」っと豪語し、そのことについて熱弁しようとした時に突然倒れた。
  リツコの後ろにはレイが赤城印の巨大なピコピコハンマーを持って立っていた。
  「アスカ、私からはこれ。役に立つ物だから。」
  レイから渡された物はなんと小学一年生からの漢字ドリルであった。
  「あ、ありがとう。」
  アスカは引きながらも笑顔を見せた。
  笑顔とは裏腹にアスカの心で涙を流していた。
  そのことにいち早く気づいたヒカリが自分のプレゼントを差し出した。
  「はい。私からは髪留めよ。アスカもたまには髪型を変えてみたら。」
  そう言い、ヒカリはアスカを洗面所に連れて行き5分後ヒカリがくれた髪留めをつけてポニーテールに変わったアスカが登場した。
  今回はアスカの傍にヒカリが居たことによりまたもや10分間2人だけの空気が流れた。
  次にトウジとケンスケから送られたのはCDであった。
  アスカはついにシンジからのプレゼントを貰おうとシンジの方を振り向くと、すでにえびちゅを10本飲んでいるミサトに捕まってしまっていてそんな
  状況ではなかった。
  それにシンジが明らかにアスカの方を向こうとしないことがなんとなくアスカにはわかった。
  そんなこんなで3時間後にはみんな騒ぎ疲れて眠っていた。
  こんな状況のさなかシンジは目的の場所にアスカを連れて行くためアスカを連れ出した。





  夜空には満天の星が輝き芦ノ湖の水面は水鏡のごとく写し、風はなくロマンチックな夜を演出している。   辺には自転車が一台と若者が2人。
  1人は黒い髪、黒い目どこから見ても日本人で黒いコートとジーパンを履いている少年。
  見た目は上の中であるが、今は身体中から悩みのオーラが湧き出しておりそのことが少年の見た目を台無しにしている。
  もう1人は赤みがかった金髪、蒼い目まるでフランス人形のようで赤いコートに赤いミニスカート、首には白色のマフラー、長い髪を黒いリボンの
  髪留めでポニーテールにして、耳には星型のピアス、唇には薄いピンクのルージュが塗られている。
  見た目を言えば、十人中十人が振り返る美少女で微笑を浮かべながら少年の顔を眺めている。
 「ごめんアスカ。誕生日プレゼントを買うのを忘れてたんだ。」
  そう言うと、シンジは頭を下げた。
  2人の間に冷たい風が吹き抜ける。
  「シンジ頭を上げなさい。」
  アスカは感情のこもらない声で告げた。
  シンジは頭を上げたがアスカの顔を見ることはできない。
  「シンジ目を瞑りなさい。」
  アスカは先ほどと変わらない声でシンジに命令した。
  シンジは目を瞑りこれから起きるだろうと予測されるアスカからのビンタをと罵倒を歯を食いしばって耐えようとしている。
  そのようにしているシンジの頬に優しく手が添えられて次の瞬間に唇に暖かいものが押し付けられた。
  シンジはすぐ目を開けると目の前にはアスカの顔があった。
  時間にしてほんの5秒ぐらいだろうか、しかしシンジには永遠と思えるような時間であった。
  シンジからそっとアスカの唇が離れる。
  シンジは自分の唇に手を当てた。
  アスカはすっきりとした顔でシンジに告げた。
  「バカシンジ、このアスカ様がアンタの考えてることぐらいお見通しよ。」
  シンジは驚きの表情を見せ、もう一度謝った。
  「ごめん。アスカのプレゼントを買うのを忘れて。」
  「いいわよ別に。さっき貰ったし。
  シンジには最後の方の言葉は聞こえていない。
  「でも・・」
  シンジは今にも泣きそうな表情を見せていて、まるで雨に塗れている捨てられた子犬のようだ。
  そんなシンジを見てアスカは微笑んでいると時、アスカは名案が浮かんだ。
  「じゃあシンジ、私がこれから言うことを一つだけききなさい。」
  「うん、わかったよ。僕にできることなら何でもするよ。」
  アスカはシンジの応えに笑顔を見せて後ろを向いて自分の願い事を告げた。
  「シンジ、今からアンタの唇は私のものよ。だからシンジは私以外にはキスをしたらダメよ。」
  「ええ・・」
  シンジは今日何度も見せている驚きの表情を見せている。
  「いいわね。」
  シンジはアスカの方を見てみると耳が真っ赤になっていることに気付き、アスカが自分のことをどう思ってくれてたかを知り、心の中が暖まってく事
  が分かった。
  「分かったよ、アスカ。僕の唇は一生アスカのものだよ。」
  アスカはさっと振り向き最高の笑顔を見せた。
  「じゃあシンジ、アタシに誕生日プレゼントを頂戴。」
  「ああ、分かったよ。」
  空は星が輝き、水面にも星が輝く、神秘的な夜を演出している最中、月の光が2人の影を映しいる。
  その影はいつまでも一つに重なり合い月が隠れるまで離れることはなかった。




                                                                            おわり。





  あとがき
  お久しぶりです。
  怠惰癖がついてしまい情けない日を過ごしてしまいました。
  本来は4日に載せていただく予定で執筆していましたが作者である私の執筆活動が遅れてしまいました。
  ほんとに申し訳ありません。m(_ _)m
  これをからはそのようなことにならないように精進いたしますので見捨てないでください。
  次回の投稿は止まってしまっている連載です。
  今年中には投稿するつもりです。
  ではまたの機会で会いましょう。


マナ:シンジったら、誕生日プレゼント忘れるなんて・・・。

アスカ:ミサトがよけいなこと言うからいけないのよ。

マナ:やっぱ、ちゃーんとプレゼントは用意しなくちゃ。

アスカ:気持ちは伝わったから、もういいのよ。

マナ:駄目よ。今からでも何か買ってこなくちゃ。

アスカ:だから、もういいってば。

マナ:よくなーーーーーいっ!

アスカ:やけにしつこいわねぇ。

マナ:シンジの唇がプレゼントになっちゃうぅぅっ!

アスカ:フッ。もう貰ったもん。手放さないわよ。

マナ:ぬぅぅぅぅ。(ーー#
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