サードインパクトの後、人はLCLの海より帰ってきた。
  真実を知るものしかサードインパクトの記憶を持たず、ほとんどの人が記憶が無い。
  それでも人々は元の生活を取り戻そうとがんばっていた。
  ネルフ総司令の碇ゲンドウとファーストチルドレンの綾波レイだけは帰ってこなかった。
  ネルフは解体され、ほとんどの人はちりぢりになり行方のわからない者が多かった。
  幹部クラスでは冬月コウゾウ、赤木リツコの行方はわかっていない。
  ただ、伊吹マヤは赤木リツコを追いかけ、その伊吹マヤを青葉シゲルが追いかけて行ったという噂だけが残った。
  葛城ミサトは自暴自棄のころに惣流・アスカ・ラングレーを見捨ててた負い目があるのか、子供2人とは一緒に住んでいない。
  その葛城ミサトの世話をしていたのは日向マコトであった。
  碇シンジ、惣流・アスカ・ラングレーは2人だけで生活していた。




       恋が終わった日




  アタシとシンジが一緒に暮らしだしてから3ヶ月、アタシはシンジと2回目のキスをした。
  キスをしようと言った訳ではない。
  ただそういう雰囲気だったから。
  ただそれだけだったの。
  ミサトはよほどのことがない限りアタシ達、いやアタシの前には現れない。
  よほどアタシを見捨ててたことが気になるらしい。
  もうそんなことはどうでもいいのに。




  シンジと一緒に暮らして5ヶ月、アタシとシンジは傍から見れば恋人になっていた。
  告白をしたわけではない。
  ただアイツの隣りが気持ちよかったから。
  ただそれだけ。
  家に帰れば必ずシンジがいる。
  アイツとは何も話さない。
  アイツは何を考えてるかはわからない。
  でもアイツはアタシから離れない。
  だからアタシもココにいた。




  シンジと一緒に暮らして半年、アタシはアイツの腕の中で目覚めた。
  だんだんこの生活がわからなってきた。
  なぜアイツはアタシを抱いたのか、なぜアタシはアイツに抱かれたのかわからない。
  アタシ達は恋人でもなんでもないのに。
  アタシにとってアイツは、気持ちよくなれる道具でしかない。  
  アイツもアタシのことをそんな風にしか、想っていないと思う。
  気持ちよければ誰でもいいと思った。
  アイツでなくても良かったと思っていた。




  アイツと一緒に暮らしてちょうど1年、アイツがアタシの前から消えた。
  いつものように家に帰ってきたら家に居なかった。
  テーブルにはただ一言、『アメリカに言ってきます。』っと書いてあるメモが一つだけあった。
  その時は何も思わなかった。
  別にアタシとアイツはなんでもない。
  アイツが居なくなって、1日、2日、3日・・・
  もう何日たったかわからない。
  



  TVはドラマを放送していた。
  でもアタシには聞こえてこない。
  その時、アタシは気付いた。
  アタシは耳が聞こえてないことを。
  そして、今まで一緒に暮らしてきたシンジのことを初めて意識した。
  そして、アタシは1回も喋っていないことに気付いた。
  シンジはアタシに何も言ってこなかった。
  シンジはアタシのことが何でもわかっていたのだ。
  そこが気持ちよかったのだ。
  そして、アタシはそんなシンジの傍にいることで恋していたのだ。




  でもアタシの前にはシンジはいない。
  アタシに愛想が尽きたのであろう。
  しょうがない。
  アタシは耳が聞こえず、喋れない。
  当然のことだ。
  アタシは心を凍らせていたのだから。
  でも今はシンジの暖かい想いがアタシの心を暖めてくれた。
  アタシの世界に音が戻ってきた。
  その時、ドアが開く音がした。
  玄関からアイツが、シンジが入ってきたのだ。
  アタシの目から涙がこぼれ落ちて、あたしはアイツに抱きついた。

   「シンジ。」

  アタシの恋が終わり、愛が始まった。

                                                                                   おわり。


  あとがき
  どーも味噌屋です。
  m(_ _)m ふかぶか
  ひさびさの投稿となりました。
  今回の話は冒頭以外はアスカの一人称になってしまいました。
  ホントはもっと違った、ほのぼのとした話になる予定でしたが、暴走して今回のような話になってしまいました。
  連載を待っているかたはもう少々お待ちください。
  どうもテンションが上がってこないからです。
  すいません。
  意見でも、感想でも何かメールしてくれればうれしいです。
  では、又この続きで会いましょう。  



マナ:失って初めてわかるものって、あるわよね。

アスカ:もうちょっと早く気付いてたら、悩まなくていいんだけどね。

マナ:それがなかなかわからないから、難しいのよ。

アスカ:でも、雨降って地固まるってこともあるじゃん。

マナ:ねぇ。本当にシンジが必要か、見詰め直す為に1度わたしに貸してよ。

アスカ:なんでアンタに貸さなきゃいけないのよっ!

マナ:見詰め直すためによ。

アスカ:アンタ、なんとしても返さないに違いないわっ!

マナ:ばれた?(^^;;;

アスカ:見え見えでしょうがっ!
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