ドアが開いてアスカが飛び込んできた。

「シンジ!結婚するわよっ!」









「………………え?」
















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ペンペンの気持ち その後?
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今日はアスカが論文の発表で帰国していたドイツから戻ってくる日。



朝からシンジはなぜか落ち着きがなかった。


「おふぁよう、シンちゃん」

「あ、おはようございます。お湯の温度、合わせときましたから」

ミサトが飲んで帰ってきた翌日は、お風呂ははぬるめの設定である。

「アリガトね」


・・・・・・


「きゃっ! ちょっとぉ〜 シンちゃん。これはぬるいっていうんじゃなくって
冷たいっていうのよ〜!?」

「すっすいません! あ、水設定だ。確かめたつもりなのに…」

「シッシンちゃん! ケムリ煙!!」

「ああっ!」



焼き魚がパアだ…



「……」

「すいません…」

「…そぉねぇ〜、今日は仕方ないかもねぇ〜(ニヤリ)」

「えっ なっ何でですか?」

「だあってねぇ〜(ニヤリニヤリ)」

風呂上りのエビチュを片手に、ミサトの口の端は片一方だけつりあがりっぱなし
であった。

「だから、なぜなんですか?」

「いやね、今日アスカが帰ってくるな〜、なんて」

「そっそれが、どうしたんですかっ」

見る間にシンジの顔は赤くなる…

「やぁねぇ〜 そんなにムキになってテレ(!)なくってもいいじゃない。それとも
アスカが帰ってくるのが嬉しくないの?」

「嬉しいですよ、だって家族…」

「あっら〜!『家族』!? もう新婚さんってカンジィ〜!?」

「ミサトさんっ!!」

「(ニヤリ)あ、エビチュもう一本ねん」



「クエ?」

ペンペンは生の魚を咥えて不思議そうにシンジを見つめた。
もちろん皿を蹴っ飛ばしたりはしない…










『今朝は失敗だったよなぁ〜…さんざんからかわれるし…』

いつもの通学路をボーッと登校。

一人で歩く道は味気ない。いつもうるさいくらいに話しかけてくるアスカが
いなくて「静かでいいや」と思ったのは最初の一日だけだった。




「センセ、元気ないで。男っちゅうもんはいつでも気合やでぇ!」

「あ…トウジ、おはよう」

「ここしばらく夫婦喧嘩しとらんから、寂しいてしゃあないっちゅうわけやな?」

「な、何言ってんだよっ! アスカとはそんなんじゃないって…」





「…あら、今の言葉をアスカが聞いたら、どう思うかなぁ?」

「洞木さん…おは、じゃなくって!」

「おはよう、碇君。今の言葉、アスカが聞いたらきっと悲しむわよぉ。表には絶対
出さないでしょうけどね」

いつもながら、有無を言わせずつっこんでくる。






「からかわないでよ!…

…夫婦喧嘩なんて…僕はともかくアスカが…きっと…怒るよ…」






いいんちょの唇がかわいくもニヤリと捻じ曲がった。





「『僕はともかく?』」






「僕はともかくってことは、夫婦喧嘩って言われても碇君は怒らないのよね?」

「!!……そうだよ!」

一世一代の勇気とトウジは言うかもしれない。





その日は一日、トウジとヒカリ、その一言をトウジに聞いたケンスケにからかわれつづけた
シンジであった。

「いやーセンセも言うもんやのー」

「まさか『僕はともかく』なんて言うとは思わなかったわ」

「いや〜んなカンジィ?」










「ふぅ〜…今日は疲れたなぁ…」


などと言っている暇はない。なんせアスカが帰ってくるのだ。から揚げ用の鶏肉、
ハンバーグ用の挽肉、スペアリブ…アスカを迎えるための夕食の準備があるのだ。

『今日はさんざんだったなぁ…みんなにからかわれるし…失敗も多かったし…』

…………………

もちろん、学校ではやらかしっぱなしのシンジであった。





疲れてはいたが、いそいそといつもより品数の多い夕食の下準備をする。

『スペアリブはこれでよし、オーブンもOK…と』

『にんにく醤油で揉んで…』

玉ねぎのみじん切り、パン粉とミルク、塩、胡椒、ナツメグ、挽肉をこねて、冷蔵庫で
寝かし、手を洗ったそのとき…







ドアが開いてアスカが飛び込んできた! バッグを放り出してシンジを探す。

…いた!!

「シンジ!結婚するわよっ!」












「え…………?」





「おかえり」と言う暇もなく、シンジは…


地獄に落ちた。















『誰と…そうか…ドイツで…
『やっぱり僕じゃだめだよね…
『祝ってあげなきゃ…


『ムリダヨ!
『ドンナカオスリャイインダヨ…』






エプロンで手をふいたポーズのまま固まっているシンジに、アスカは宣言する。

「いい!?アタシはシンジと結婚するのっ!!」

アスカはこれ以上ないくらい真っ赤になっている。








『そうか…アスカはシンジっていう奴と…   へっ?』























『…………僕…………?』










……………………







「バカッ!!」

アスカはシンジの胸に飛び込んだ。






その10分後…

二人はリビングのソファに向かい合って座っていた。


「あれって、本当にアスカだったの?」

「そうよ。理由は聞かないでよ。アタシにもわかんないんだから。」

「でも、信じられるよ…」

「あったりまえでしょ! アタシがそう言ってるんだから!」




『そうじゃなくってね、見た目はペンペンでも、行動はアスカそのものだったからね』
とは言える筈もない。




「で、わかったわね。だからその…そういうわけで…アタシはアンタと結婚すんの!!」

「僕…僕でいいの?」


既に二人とも真っ赤だし、アスカはうつむいて、それでも上目遣いで
シンジをまっすぐに見つめる。

「アタシの下僕はアンタだけなのっ!アンタはアタシだけ見てりゃいいのっ!」

「アスカ…」

「アタシについてくれば、アンタの未来はバラ色よっ!…って、シンジっ!ケムリ煙っ!!」

「あああっ!!」




「ごめん…」

「もう…ほんっとうにボケボケしてるんだから!」

「ほんとにごめん…」

「結婚したら、謝ってばかりってのは許さないわよ…

                 ……あのね……アイシテル……大切にしてね……」




「うん… っと!」

シンジのお腹がグーッと鳴った。

アスカのお腹もユニゾンする。

「アスカ、お腹空いたろ? スペアリブはだめだけど、ハンバーグは大丈夫だよ。
楽しみに待っててねっ…て!!!?」


キッチンへ向かおうとしたシンジはアスカの足に見事に引っかかった。
シンジの視界にフローリングが迫る。


ガッ!

「☆※★●▼□※刀氈「★☆※★●▼□※刀氈「★!!!」




アスカの後ろにある特設冷蔵庫の扉が空き、一羽の温泉ペンギンがキッチンに向かった。
フライ返しを持って…




「クエーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!」





        終劇


マナ:miyamoさん、ペンペンの気持ちの続編投稿ありがとうございましたぁ。

アスカ:まさか、続編がくるとは・・・。

マナ:ペンペンになったアスカは、笑えたけど、どうしていきなりラブラブモードに・・・。

アスカ:そこがいいとこじゃないっ! どこかの失礼なタなんとかが書いた駄作とは、わけが違うわ。

マナ:はっ! しまった・・・。

アスカ:どうしたのよ?

マナ:あなたがいない間に、シンジに迫っておけばよかったわ。

アスカ:無理無理。見てみなさいよ。アタシが帰ってくるってわかった途端、シンジったら同様しちゃってさ。

マナ:そんなに、怖いのね・・・。

アスカ:なんでそうなるのよっ!

マナ:だって、アスカがプロポーズした途端、”地獄に落ちた”って。

アスカ:違うでしょっ! あれはシンジが勘違いしたからでしょーがっ!

マナ:あまりの怖さに、諦めたのよ・・・。

アスカ:なんで、そーなんのよっ! もう一回、目をこじ開けてよーく読んでみなさいよっ!

マナ:何度、読んでもそうとしか読めないわ。

アスカ:アンタ・・・都合の悪い所、読み飛ばしてるでしょっ!

マナ:そんなことしてないわ・・・なんか、一部文字化けしてたけど・・・。

アスカ:そこを読み飛ばしてるのよっ!!!!
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