あまえんぼうアスカちゃん−番外編− written by モーミ 「シンジ・・・・」 アスカは、目の前にいる最愛の男性の名前をつぶやいた。 共に戦った人。 一緒に生活した人。 いつも助けてくれた人。 気がつくといつもそばにいた人。 いつのまにか私の心を奪った人。 いつまでも変わらないと思っていた。 ずっと一緒にいられると信じていた。 それかあたりまえだった。 こんな時が来るなんて思ってもみなかった。 「そろそろよろしいですか?」 係員の声が別れのときを知らせる。 シンジはアスカから目を逸らすと、静かにつぶやいた。 「アスカ・・・・もう行かないと・・・」 「シンジィ」 アスカはシンジの胸に飛び込むと潤んだ瞳でシンジを見上げた。 そんなアスカをやさしく抱きしめると微笑みながら言った。 「アスカ・・・。いつもみたいに笑ってよ。涙なんてアスカには似合わないよ」 シンジの優しさに触れ、心が暖かくなる。 「そうだよね。こんなの私らしくないよね」 アスカはそうつぶやくと、涙を拭いてかすかに微笑みをうかべた。 「私が決めた事だもん。後悔だけはしたくないしね」 シンジにそっとくちづけると、飛行機に向かって歩き出した。 シンジは少しずつ小さくなるアスカの背中を見つめつづけた。 そんな視線を感じたのか、アスカは振りかえると大きな声で叫んだ。 シンジに心配をかけために、何より自分を元気付けるために。 「じゃあ行ってくるね!」 アスカを乗せた飛行機はゆっくりと動き出すと、空へと舞い上がった。 くるくるくるくるくる・・・・・ やがて飛行機は速度を落とすと、地面に降り立った。 「ふう」 アスカは大きく息を吐き出すと飛行機を降りた。 一人の男がアスカに近づくと口を開いた。 「どうだった?楽しかったかい」 「うん!!!」 質問に、満面の笑みを浮かべ力いっぱいうなずくアスカ。 「じゃあ行こうか」 男はそんなアスカを満足そうに見つめると、歩き出した。 「待ってよぉ〜」 アスカは慌てて後を追うと、男の腕に自分の腕を絡める。 アスカは歩きながらあたりを見回すと、隣を歩く男に声をかけた。 「ねぇシンジ、次は何して遊ぼうか?」 「うーん。今度は二人で楽しめるアトラクションがいいな」 「そうだよね。せっかくのデートだもんね。ずぅぅぅっと一緒にいたいよね」 アスカはシンジの腕に頬ずりしながら歩いて行った。 その頃、飛行機のアトラクションの係員は重度の精神汚染に冒されていた。 「何だったんだ、あのカップルは・・・・」 名も無き男のつぶやきはが、シンジとアスカに届く日は来ない・・・・
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