想いは永久に…

第一話:もう一つの過去へ

by.夢幻の戦士
あれから、特訓開始から2年の月日が流れた。

僕はその間、必死になって彩音さんの言う『力』を身につけた。

彩音さん曰く、『シンジ君はそっち方面の才能がありそうね。多分だけど1000万人に一人の才能かしら』
と、言っていたのを憶えてる。

最初の一年で『力』の基本と応用は全部体得した。

そして、それに伴う体術も学んだ。

そして現在。

見違えるほど成長したした僕の前に、彩音さんがいる。

彼女は微笑みながら言った。

「良く此処まで頑張りました。及第点をあげます♪」

「有り難うございました。彩音さん」

「いいのよ別に。元々、私はシンジ君に眠っていたモノを開放したに過ぎないんだから」

肩の上をポンポンと叩きながら、彼女は続けた。

「シンジ君の修行も終わったことだし、私も真実を話します。どうしてこうなったのかという事を」

僕は一瞬、彩音の言っていることが解らなかった。

真実?自分が知らなかったことが有るというのか?

そして、彩音の一言はシンジが予想していたモノとは全くかけ離れていた。

「今から君を過去に飛ばすけれども、それが君が知っている過去と同じかどうか解らないわ」

「えっ…」

「いい?未来って言うのは一つじゃないの。いくつもの未来があるモノなの。
過去だって同じ。
君が知ってるのも在れば違うのだって当然あるの。……でもそこに変化が起きた。
それが『ゼーレ』という組織の存在よ」

『ゼーレ』……自分たちの為だけに世界を、人の持っている夢や希望も全て無にした老人達。

僕が最も憎んでいる存在。

「彼らの持っている『死海文書』。これが全てを狂わせたの」

彩音はシンジから視線を外すと、一枚の写真を出した。

「見て。これが誰だか解る?」

そこには彩音と数人の人物が写っていた。

そこに写っていた人物に、僕は見覚えがあった。

「父さん!母さん!?」

間違いなく僕の両親だった。随分若いけど見間違うハズなど無い。

「彼らもまた、『ゼーレ』によって狂わせれた人物の一人なの」

「でもどうして彩音さんが、僕の両親の写真を…?」

「彼らは優れた科学者だった。私と、私の仲間も彼らにはお世話になっていたの。
勿論、それは別の世界での話だけど…」

俯きがちに視線を落とす彩音。その目には悲しい光が在った。

「『ゼーレ』の持っている『死海文書』は、一種の魔導書なの。その持ち手の願う世界にしてしまうと言うね。
そのせいで、いくつもある世界の全てが、こんな世界になってしまった」

「じゃあ彩音さんは、初めから僕が碇ゲンドウの息子と知って協力してくれたんですか?」

「いいえ。それは違うわ」

即答だった。

彩音の心意ある言葉に、それが嘘ではないと知れた。

「私の居た世界の彼らに子供は居なかったの。欲しかったようだけどね。
それに、様々な世界に行ってみたけど、生き残っていたのはシンジ君……君一人だけだった」

乾いた笑みをシンジに向けながら、遠い目で空を見上げている彩音の姿は、どこか哀しかった。

「正直、シンジ君の話を聞いたときは驚いたわ。まさかこんな処に彼らの息子が居るなんてね。
まぁ、内容は非道かったけど」

シンジは苦笑した。

過去の自分に、弱かった自分に。

「『死海文書』は多次元にも影響を及ぼす魔導書。
かなり危険な物だったんで、私が亜空間に封印したんだけど、やっぱりダメだったみたいね」

「どうして燃やす成り、破壊する成りしなかったんですか?」

「しようと思ったんだけど、下手に破壊したりするとそのせいで膨大なエネルギーが時空その物を破壊しかねないから。
っていうリーダーの見解で亜空間に封印したのよ」

ここまで来るとただの復讐劇ではなくなってきたことにシンジは気付いた。

これは全ての次元に生きる命を巻き込んだモノなのだ、という事に。

「今から君を過去に送るわ。ただ、その過去がどういった物なのかは皆目検討も着かないわ。
私が此処に来たのだって偶然なんだから。それだけ『死海文書』の力が強いって事なのよ」

何時になく真剣な表情をしている彩音。

シンジの本能が告げる。これは危険な賭けだと。

だがそれでも、シンジの心には怯えはない。

むしろ静まり返っている。不思議なくらいに。

「シンジ君、良く聞きなさい。今から君をアン日から2〜3年前へ送ります。
そこで“心奥流拳法”っていう拳法の道場の門を叩きなさい。良いわね?」

「どうして拳法道場に行かなきゃいけないんですか?」

「解ってないな〜、シンジ君は!いい!!」

この辺は2年前とちっとも変わっていない。

この後景はシンジにとって、とても懐かしかった。

「いきなり強いままで向こうに行ったら、警戒されるのがオチでしょ!
そう成らないように、そこで拳法を習っておけば『ああ、その強さも拳法を習っていたからなんだ』、って思うじゃない」

成る程。

「それにそこでも、私が教えた“念法”も教えてくれるわ。私よりも詳しくね。
私の名前を出せば、入門を許してくれるはず。まっ、後はシンジ君の頑張り次第かな」

言い終わると彩音は、ゲンドウも真っ青のニヤリ笑いをした。

ハッキリ言って怖い。

「さってと。それじゃ、イますか☆」

「ちょっちょっと待ったーーーッ」

怖くなったのかシンジよ。

「何よ」

膨れっ面の顔の彩音。

こうして見ると、実年齢より可愛らしく見える。

「体は、体はどうなるんですか?」

僕にとっては重要な問題だ。

「向こうにも僕が居るんだから、いきなり未来の僕が行ったら大変なことに!」

「心配ないと思うわ。多分、融合すると思うから」

何か・・・・・すっごい投げ遣りなセリフだな。ヲイ。

「えい!」

彩音が触れた空間が、水面のように波打ってきた。

向こう側の景色が見えない。何やら虹色の模様が見える。

「さってと。それじゃシンジ君、健闘を祈る」

そう言う成り彩音は、シンジを水面のようなゲート押し出した。

「うわああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

光の中にシンジの姿は消えて行く。

シンジが過去への旅立った事を確認すると、彩音は携帯を取り出し電話した。

「私です!シンジ君を過去へ送りました。私も暫くしたら戻ります」

「・・・・・・・」

「解ってますよ。それよりシンジ君のバックアップ、宜しくお願いしますね。
私は少し疲れたので、休みます」

電話を終えた後、寝ころんだ彩音からは微かな寝息が聞こえてきた。

そして舞台は、第3東京市へ





























後書きもどき

夢幻の戦士です。

これでやっと一話目です。少々強引な箇所もあったりしますが、ご了承下さい。

さて、次回はいよいよ第3新東京市に舞台を移します。

そこでシンジは、あり得ない光景を見ることに。

それは・・・・・

次回・『黄昏色に染まるとき』

題名、変わる可能性があります(ヲイ)

それでは


マナ:修行してシンジ、強くなったのね。

アスカ:じゃぁ、使徒がきても安心じゃない。

マナ:また使徒がくるのかなぁ?

アスカ:そりゃぁ、過去に戻ったら・・・。

マナ:過去もいろいろあるみたいよ? どんな過去に行くんだろう?

アスカ:どーでもいいけど、やっぱアタシとシンジはラブラブじゃなきゃね。

マナ:どーして、あんたはすぐそっちへ思考が行くわけ?

アスカ:1番大事なことじゃない。

マナ:この調子じゃ、またシンジ苦労しそうね。

アスカ:苦労じゃないわっ! アタシの為に頑張ってくれるのよっ!

マナ:はぁ・・・。(ーー)
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