これもまたEVA?
第六話 来日

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太平洋の上を飛ぶヘリの中でシンジは不機嫌だった。

同乗者の一人はご機嫌で、はしゃぎまわっているが・・・

「輸送ヘリ! こんなことでもなけりゃあ、一生乗る機会ないよ。

 全く、持つべきものは権力って感じ。なあ、シンジ?」

「えーっ!?なんだって?」

ヘリのエンジン音がすごくて、ケンスケの言うことなど聞き取れるものではない。

もっとも、聞く気も無いのだが・・・

もう一人は、勤務中に酒盛りをしているミサトを見て浮かれまくって騒いでいる。

「毎日同じ山ん中じゃ息苦しいと思ってね。たまの土曜だから、デートに誘ったんじゃないのよン♪」

「エーッ!?それじゃ今日はミサトさんとホンマにデートっすか?

この帽子、今日のこの日のために買うたんです、ミサトさぁん!」

恥ずかしい奴。いや、この恥も外聞もなさがすごいところなのかも、と妙な感心をする。

そして、ミサトの周りに転がる空缶をみて溜息しか出ない、シンジであった。

NERVを飛び立ち2時間強で、500mlのえびちゅが48缶転がっていた。

「で、どこ行くんです?」

「豪華なお船で太平洋をクルージングよっ ヒック!」

はあ?まさか真に受けるわけにもいくまいが。

雲が切れて海面が望めるようになる。

「おおおっ!空母が5、戦艦4、大艦隊だ!ホント、持つべきものは権力だよなあ」

「これが豪華なお船?」

興奮するケンスケに対し、冷ややかなトウジ。

「まさにゴージャス! さすが国連軍の誇る戦略空母、オーバー・ザ・レインボー!」

「あのね。でかいのは認めるけどね」

「よくもまあこんな老朽艦が浮いていられるものねえ」

「いーやいやァ、セカンドインパクト前の、ヴィンテージものじゃないっすか?」

シンジの言葉はミサトとケンスケに完全に無視される。

 

オーバー・ザ・レインボー甲板上

そこには、ヘリの着艦予定位置から赤い絨毯が敷かれ、絨毯の脇には正装した海兵隊員が立ち並び

その先に、赤みかかった金髪にレモンイエローのワンピースを着た女性が立っていた。

そして、誰にも聞こえない様な声で囁いた。

「アレに乗っている訳か・・・」

 

そして、ヘリが着艦した。

先ずは、ケンスケとトウジが飛び降りた。

「おおおおおーっ! すっごいすっごいすっごいすっごいすっごいすっごい、すごすぎるぅ! 

 男だったら涙を流すべき状況だね、これは」

ケンスケはずらりと並んだ戦闘機や出迎えの海兵隊員に構わずビデオカメラを向けて大騒ぎである。

甲板上は風が強い。トウジの野球帽が風に飛ばされる。あわてて後を追うトウジ。

「止まれ!止まらんかい!」

帽子は赤いパンプスに引っかかって止まる。と、思ったらその靴はトウジの帽子をぐしゃと踏み潰した。

(何だ?コイツらは?? 馬鹿決定!!)

赤みかかった金髪の女性は、心の中でそう決め付けた!

そして、次に降りてきたミサトを見つけると、帽子を引っ張るトウジを無視して足の持ち主はミサトに声をかけた。

「ヘローウ。ミサト、元気してた?」

声に振り返るミサト。そこには赤みかかった金髪を腰のあたりまで伸ばした女性が立っていた。碧い瞳は白人で

あることを明かしているが、その言葉使いは流暢な日本語である。

「まあね。あなたも少し背伸びたんじゃない?」

 気安い返事をするミサト。

「そ。他のところもちゃーんと女らしくなってるわよ

 それより、31歳で未だ独身なんだって!?」

「五月蝿いわね!! 好きで独身しているんじゃないわよ!!

 アスカこそ、早く彼氏でも見つけなさいよ!!」

ケンスケが、頭の中で売れる!!と思いながら聞いた。 

「ミサトさん、この美女誰なんですか?」

「紹介するわ。エヴァンゲリオン弐号機の専属パイロット、セカンドチルドレン。惣流・アスカ・ラングレーよ」

ミサトの言葉に挨拶しようと思った瞬間、強い風が吹き上げて、女性のスカートをめくり上げた。

トウジとケンスケが「「白」」と叫んだ瞬間

パン!!パン!!

トウジ、ケンスケの二人に平手打ちをかましていたのだ。

その時シンジは、ヘリの中でミサトの飲んだビールの後片付けをしていた。

どうやって、持ち込んだか不明だが空缶は50缶あったとか・・・

「何すんのや!」

トウジが怒り狂っている。まあ、帽子のこともあるし、わからないでもない。

「見物料よ。安いもんでしょ」

あたかも当然の様に答えるアスカ 

「何やてェ? そんなもん、こっちも見せたるわ!」

トウジはジャージのズボンを引き下げた。そして一緒にパンツまで降ろした!!

ケンスケ・海兵隊員・ミサト・アスカが、トウジの息子を見て

「トウジ・・・でかい!!」

「・・・ジャンク」

「ちょっち、小さいわね」

「見せびらかす程のモノじゃ無いわね!」

ケンスケ以外の言葉に、涙を流しているトウジ&ケンスケであった。

そのまま、暫くさらし者になっていると、アスカの影から赤みかかった金髪碧眼の幼児が

出てきた。そして止めの一言!

「ちょっと! れでぃに、いちゅまでなちゃけないものをみせているのよ!!!」

(注:一寸! レディーに何時まで情けないモノを見せているのよ!!!)

その一言で、トウジが再起動した。

「なんやと! このガキ!! ワイの息子が情けないやと!!! 他のを見たことも無いのに

 偉そうに言うな!!!」

「ふん! パパのみたことあるもん!! パパのはりっぱなんだから!!」

「ガキの言うことなんかあてになるかい!!」

息子を出しっぱなしで、幼児と互角の言い争いをしているトウジ。

でも、言い争いは長くは続かなかった・・・

「ちぃちゃつぎ れいぴあ!!」

(注:死殺技 裂破!!)

そう幼児が叫んで、トウジの息子に蹴りを入れ終結した。

トウジは、息子をさらけ出した状態で大の字で伸びていた。

それを見ていたアスカと幼児を除く全員の思考が停止した・・・

「ぶれいものはほろぶのよ!!」

(注:無礼者は滅ぶのよ!!)

その一声で、ミサトが再起動

「ちょっ一寸、アスカ! この子は何??

 それに何で神威流死殺技を使えるのよ!?!?」

アスカは、ニヤリと顔を歪めて笑うと、楽しそうに

「この子は、ミライ! アタシの娘よ!

 残念だったわね、ミサト! 私には、愛する夫がいるの♪

 売れ残りとは違うのよ!!

 売れ残りとは!!!

初代ガン○ムのラ○バ・ラルの台詞の様に言い放った!

ミライは、ミサトを指差し 

「ママ、このおばちゃんとしりあいなの??」

「このおばちゃんはね、ママとパパが出会う切っ掛けを作った人なのよ」

ミライは、人差し指を顎に当て顔を傾け暫く考えて

「このおばちゃんのんべずぼらな、ミサトってひとなの?」

「そうよ、ミライ。このおばちゃんがそうなのよ!!」

「一寸、アスカ・・・」

ミサトが反論しようとするのを遮って、

「…で、うわさのサード・チルドレンはどれ? …まさか今のジャージが?

 それとも、そこのカメラ馬鹿?」

「違うわ。ジャージは鈴原トウジと言って、サードのクラスメートよ。

 で、そこのカメラ馬鹿はハーフチルドレンの変態相田ケンスケよ。」

トウジとケンスケを示すミサト。

「ふーん、でサードは?」

「僕だよ、アスカ」

そこには、ミサトの出したゴミを片付け終わったシンジがいた。

信じられない顔をしてシンジを見つめるアスカ

「・・・シンジ? シンジなの?」

「そうだよ、愛しい奥さん。」

その一言で、アスカは涙を流しながらシンジに飛びついた。

「シンジ!シンジ!! 会いたかった!会いたかったよ!!!」

そして、一ヶ月以上会えなかった寂しさを晴らすかの様に、ディープなキスを見舞った。

シンジは、アスカを抱きしめ頭を優しく撫でていた。

暫くして、落ち着いたのかアスカはシンジから離れて、満身の笑顔で

「宜しく、サード。 一緒に闘いましょうね、アナタ♪」

シンジも”天使の微笑み”を浮かべ

「こちらこそ。お手柔らかに、奥さん♪」

そして、足元で見ていたミライもシンジに飛びついて

「パパ! あいたかった。 さみしかったよ・・・」

シンジは、優しくミライを抱きなおすと、笑顔を一緒に

「パパもミライに会いたかったよ」

ミライは、嬉しいのと恥かしいのでシンジの胸に擦り寄り顔を埋め頬擦りをしていた。

 

未だ伸びているトウジはおいておいて、ミサトが叫ぶ!

「一寸! アスカとシンちゃんは知り合いなの?」

「そうですよ、ミサトさん。

 僕とアスカは籍こそ入れていないけど、実質夫婦ですよ。

 愛娘のミライもいますし」

「本当なのアスカ? 15歳で子供迄いるの??

 私なんて31歳で彼氏もいないのに・・・(泣)」

「さっき言ったでしょ、ミサト!

 アタシは、売れ残りじゃない!って」

現実を受け入れる事の出来ないミサトに対して、アスカが止めを刺す。

「ミサト、2年以内に結婚しないとアタシ達が先に結婚式を挙げるわよ」

ミサトは、項垂れてヘリの中に戻り隅でのの字を書きだした。

ケンスケが我に返り、質問攻勢をかけ出した。

「シンジ、俺様に黙ってこんな美人な彼女を作っているとは!!」

「アンタ馬鹿? 何でアンタなんかに断りをいれないといけないのよ!!

 大体アンタ誰?」

「俺様か? 俺様は、EVA試作機専属パイロット 天才(自称)ハーフチルドレン

 相田ケンスケ様だ!!」

「EVA試作機・・・・・・あ! 無様に街を破壊しまくった恥さらし!!」

「恥さらしなどではない!!

 兎に角、ベテランエリートパイロットの俺様の言う事は絶対に聞けよ!!」

ビッシ!と鳴る位指を指して言い切ったが、アスカやシンジは既にその場には

居なかった。

そして、ケンスケも海兵隊員に服を脱がされ、晒し者となった。

 

シンジ、アスカ、ミライが休憩の為に、士官食堂に向かっていると、艦橋から館長と副長

が降りてきた。

「艦長、副長、お久しぶりです。 ドイツ出航以来ですね。」

「おお!! やはり君だったか! 上で見た時は見間違いかと思ったよ。」

「君が出航前に変態を退治してくれたお陰で、女性隊員の被害が無くて助かったよ。」

「いえいえ、僕は自分の妻の身を案じただけですから。

 処で、その変態は?」

「独房に放り込んでいるよ。24時間体制で監視している。安心してくれ。」

「有難う御座います。」

そうドイツ出航時に、女と見れば年齢に関係なく手を出そうとするドイツ支部でも有名な(悪名が)

”加持リョウジ”が一緒に同行すると聞いた瞬間に、シンジが加持を瞬殺してから太平洋艦隊に

引き渡していた。太平洋艦隊では、加持が乗艦すると聞いた時から、如何扱って良いのかが判らなかった

為、シンジの行為は喜ばれたのであった。特に、女性隊員に。

「処で、NERVの作戦部長は何処にいったのかね?」

「ミサトなら、ヘリの中でいじけているわよ。」

「いじけている? 何故かね? 惣流少佐」

31歳で独身だから売れ残りって言っただけよ。」

「確かに、惣流少佐から言われると、いじけますね・・・・」

「そうだな」

「一応、僕もNERV本部作戦課に属していますから、僕でよければ乗艦許可を貰えれば・・・」

「そうだな、君なら文句は無い。」

「それでは、NERV本部作戦課 碇シンジ三佐他3名貴艦隊への乗艦許可を頂きたく思います。」

「結構、乗艦を許可しよう。 しかし、作戦課のトップより階級が上なのかね君は?」

「無謀な命令は聞きたく無いもので・・・」

「確かにそうだな」

「それと、万が一使途が襲撃してきたら、指揮権をNERVへ頂きたいのですけど・・・」

「それは、いかな君の頼みでも聞けない。申し訳ないが」

「・・・では、NERVにでは無く僕に指揮権を下さい。

 それなら、問題ないですよね。」

「・・・確かに、守護天使の君になら問題はない。

 よし、非常事態には君に指揮権を渡そう。」

「艦長・・・」

「良いんだ、副長。 NERVにでは無く守護天使に指揮権を譲渡するんだからな。

 上層部も納得するだろう。 それに、戦自のトライデント部隊は解散したと言うではないか。」

「確か、霧島マナ板でしたっけ? 原因は。」

「そうだ、第4使徒戦で9機ものトライデントを破壊したからな・・・」

「その時、NERV全支部で賭博が行われていましたよ。

 そのマナ板と言う人が何分で何機のトライデントを破壊するのか?って」

「え! シンジ その話聞いていないよ! 何でアタシに連絡が来ないのよ!!」

「ゴメンねアスカ。 僕も出撃準備があって連絡出来なかったんだよ。」

「それなら、しょうがないわね。 でも正解者って出たの?

 全支部なら、配当金も凄いでしょ!?」

「配当金は、50億円だよ。 正解者は僕一人だよ」

「ええ!! シンジ本当なの? その話!!」

「パパ、ミライおおきなぬいぐるみがほしい」

「本当だよ、アスカ。 既に一寸使ってしまったけど。 これで、豪華な結婚式が

 挙げれるね。」

そう言って、再び”天使の微笑み”をだすシンジ

「ミライにも、ちゃんとヌイグルミを買ってあるからね。」

「パパ、ぬいぐるみはどこにあるの?」

「ヌイグルミは、お家に置いて来たよ。 ミライより大きなのを買ったからね。」

「パパ〜だいすき」

ミライは、嬉しいので再びシンジの胸に擦り寄り顔を埋め頬擦りをしていた。

微笑ましい家族の団欒を見ていた艦長が

「君たち、何時迄も飛行甲板い居る事は無いだろう。

 士官食堂で寛いで居たまえ。」

「そうですね。艦長。 お言葉に甘えさせて貰います。

 アスカ行こう。」

敬礼をして士官食堂に向かおうとした時

「使徒を全部倒して、君たちが結婚したら、ハネムーンは我が艦隊で行くかね?」

「艦長、それは名案ですな。 我が艦隊なら余程の事が無い限り安全ですし。」

「艦長、その時になったらお願いしますわ。」

「そうだね、でもその前に使徒を全部倒し、ミライや他の子供たちが安心して暮らせる

 世の中を作らないと! 協力してくれますかな?奥さん」

「当然でしょ、アナタ♪」

「我々も、出来る限り協力させて貰うよ。」

シンジ達は士官食堂へと向かって行った。

 

つづく

おまけ

ケンスケ&トウジは、今だ晒し者状態

ミサトは、ヘリの中でえびちゅを飲みまくっていた。

 

後書き

コメント係りのアスカさん、扱いはこれで問題ないですか?

マナさんに比べると・・・比べる迄もない程良いと思いますけど。

次回は、アスカさんの華麗な活躍が!!(少し)

そして、アスカさんの会いたがっているあの人が登場!!

それでは、次回!!

 

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