これもまたEVA?

第十七話 悪夢

-------------------------------------------------------------------------------------------------

何時の間にか、クリスマスや正月も終わり、三学期に入っていた。

ゲンドウと加持は、何とか南極から目的の”ロンギヌスの槍”を持ち帰って来たが、栄養失調の為に

再び入院を余儀なくされていたが、無事に(?)退院していた。

ミサトは、加持が戻って来た事でプロポーズを強要すべく迫ろうとしたが、NERV内に軟禁されており、

加持を捕まえる事が出来なかった。 飲みにも行けない有様であった為に。

最も、書類を溜め込み過ぎていた為であるが・・・尚、ミサトの机の上にある書類の一番底に、減棒

終了手続きの書類があるのだが、そこに到達するのには未だ未だ時間が掛かりそうだ・・・

 

シンジ、アスカは学校へ行き、ユイ、キョウコ、リツコは朝から会議・・・よって、ミライは一人寂しく

プライベートルームで遊んでいたが、アスカ譲りの性格の為に直ぐに飽きて、NERV内の探検に出かけた。

ミライがプライベートルームを出た瞬間に、MAGI(ナオコ)がサポートを開始している為に何も問題は無いの

だが、リツコが送ったヌイグルミに仕込まれているスイッチを押すと完全武装の保安要員が直ぐに駆けつけると言う

システムが確立していた。 そう言うバックアップを得ているミライは、猫のヌイグルミを着込んで歩き回るのであった。

他のヌイグルミだと、リツコが泣き出しそうな顔になる為にNERV内には猫のヌイグルミしか置いていないのである。

当初、職員は驚いたがそれも直ぐに慣れて、皆楽しみにする様になった。 余談だが、NERV本部内でもファンクラブ

に加入する人間が増加の一途を辿る事となる。

 

そうして、散歩している内にミライは食堂へとやって来た。

直ぐに、食堂の職員がミライの事を見つけて声を掛けた。

「ミライちゃん、今日も何時もの?」

ミライは笑顔で

「うん、おだいはママからもらってね」

「了解! 座って待っていてね。」

そう、ミライはアスカのツケで食事をする事を覚えていたのである。

覚えた切っ掛けは、給料日前のミサトの行動であった。偶々それを目撃したミライが、真似をしているのである。

食堂の職員も、ミライからお金を取ろうとは考えていないので、ミライの行動に付き合っているだけなのである。

そうしている内に、ミライの前にホットケーキセットが置かれて、円満の笑顔でそれを食べだした。

監視していたMAGI(ナオコ)が、その映像を記録していた事を知る人間は少ない。

 

そうして食べ終わると、今度はお昼迄各部署へ顔を出すのであった。

各部署には、ミライ専用のコップやオヤツに椅子までが常備してあるので、何時遊びに行っても大丈夫な様

になっている。これは、各部署が独自で準備したものである。 尚、技術部のはリツコの趣味で選ばれた物で

ある事を明記しておく。

 

お昼になるとプライベートルームへ戻り、ユイ、キョウコと一緒にシンジ謹製のお弁当を頬張るのである。

そうして、食後暫くしてからお昼寝をするのであった。

普通だと、シンジやアスカが来る直前迄寝ているのであるが、この日は早くに目覚め、再びNERV内の探検に

出発した。これが、悪夢の始まりであった。

そうして、暫く歩いていると、前方から退院したばかりのゲンドウが歩いて来た。

ミライは、何時でもボタンを押せる様に身構えた。

ゲンドウは、ヌイグルミが歩いて来るので面を食ったが、直ぐにそれがミライだと判ると、顔を崩して抱き付こう

と手を広げて走りだした。 それを見たミライは、悲鳴を上げ泣きながらボタンを押して逃げた!

ミライは、ゲンドウの顔にトラウマを感じる様になっていたのである。

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! へんたい!! くるな!!!」

「私は、君のおじいちゃんだ! 安心して抱かれるが良い!!」

「ミライにおじいちゃんはいないもん!!!」

「それは、嘘だ!! 私がおじいちゃんだ!!!」

それと同時にMAGI(ナオコ)から全館に非常事態宣言が流れた!

「緊急事態発生!! 現在碇ミライ司令室室長が変態に

 襲われている。 各員、武力排除せよ!! 繰り返す、

 現在碇ミライ司令室室長が変態に襲われている。 各員、

 武力排除せよ!! 各員、日頃の訓練の成果を見せ

 よ!! 碇ミライ司令室室長の身の安全を第一に行動せ

 よ!!変態はDEAD or ALIVE!! 生死を問わずに

 殲滅せよ!!」

各モニターには、泣きながら走って逃げるミライの姿が映し出された。

前回の停電の時の教訓から、各階に配備されてた武装保安要員も当然放送&映像を見ていた。

そうして、 全職員は支給されている拳銃を握りしめ全速力で現場へと向かった。

武装保安要員も、H&KG36Cを構えて走りだした。

当然、ユイとキョウコ、リツコも武装して走りだしていた。

 

ミライは、懸命に逃げていたが、足の長さの問題もあって引き離せないで居た。

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!くるな!!!

 パパ、ママたすけて!!」

「観念して、おじいちゃんに抱かれるが良い!!」

「いや〜!! だれかミライをたすけて!!!」

その時、捜索隊の一つが逃げるミライを発見した。

「居たぞ!! 各隊に連絡しろ!!」

「こちら、チャーリー ミライちゃんを発見!!

 現在ブラボーへ向かっている。 未だ無事だが、

 予断を許さぬ状況! 各部隊は至急集結せよ!!

 我々は、コレより追撃を開始する!!

 追伸、ミライちゃんは泣きはらしている!! オーバー」 

「ブラボー了解!! コレよりチャーリーへ向かう!!各隊も急いでくれ!!

 オーバー」

「キョウコ、りっちゃん急ぐわよ!!」

「当然でしょ!! ミライちゃんを守らないと!!」

「そうですよ!!」

「シンジやアスカちゃんが居なかったのが痛いわね。」

「確かに・・・あの二人が居ればこんな事にならなかったのに・・・」

「悔やんでいないで、早くミライちゃんを救出しないと!!」

「こちらアルファー! ミライちゃんを発見!! 現在の

 進路、デルタへ向かっているデルタ先回りせよ!! 

 オーバー」

「デルタ了解!! 現在、タンゴと合流! コレより全力で救出へ向かう!!

 オーバー」

そうしている内にも、MAGIから的確な指示が随時送られており、包囲網はドンドンと狭まって行った。

「こちらエコー及びロメオ! 総司令と副司令、技術部長と合流! 

 御三人を守りつつ救出予定地点へと向かう!オーバー」

「こちらユイです! 追跡中の部隊へ! ミライの状況を

 教えよ!! オーバー」

「こちら、アルファーです。 ミライちゃんは・・・泣き叫びながら六分儀元総司令

 から逃げております。 走る速度が速い為に追いつく事が出来ません。 

 発砲もミライちゃんに当たる恐れが在る為に控えております。 後、ミライ

 ちゃんの体力を考えると早急に対処する必要を感じます。 オーバー」

「ゲンドウさん? ミライちゃんを襲っているのは・・・・」

「ユイ、この間のお仕置きが足りなかった様ね。」

「無事だと良いのだけど・・・」

この時、エコー及びロメオの隊員は、三人から発する殺気で生きた心地がしなかった。

「「「救出予定地点へ急ぐわよ!!!!」」」

そうして、移動速度を上げた。

 

その時、ミライの前に一人の男が立ちはだかった。

「やあ、ミライちゃん♪ お兄さんと一緒に遊びに行こうか!!」

そこには、やはり退院したばかりの加持リョウジが居た。

ミライの顔が青くなって来た・・・・

「いや〜 ロリコンリョウジ!!! こないでよ!!!」

そう、ドイツに居た頃も狙われていたけど、その時は常にキョウコが傍にいた為に事無きを得ていたのである。

「こちらアルファー!! 状況悪化!! ロリコンリョウジが

 出現!! 各部隊未だか!! オーバー」

「ロリコンリョウジも敵と識別!! 殲滅せよ!!!」

MAGI(ナオコ)からも敵と識別された加持・・・だが、この放送を聞いてミサトが動きだした。

今迄、ミライが危ない状況でも自分の執務室でえびちゅを飲んでいたが、加持も敵と認識された今、好きな人を

守る為に行動を開始した。 その結果どう言う状況に成るのか考えずに・・・

「ユイ、不味いわよ!! ロリコンリョウジとは・・・」

「キョウコ、知っているの?」

「本名 加持リョウジ 特殊監察部のトップよ。 そして、女性のストライクゾーンが広すぎるの!!」

「広すぎる?」

「下は赤ん坊から上は60歳迄が彼の守備範囲よ! ドイツでは、シンジくんが頻繁に入院させていたけど・・・」

「加持君・・・そんな事していたのね・・・無様ね」

「りっちゃん、知っているの?」

「ええ、ミサトの好きな人です。 彼がドイツ勤務に成るまでは恋人同士でした。」

「そう・・・ミサトちゃんの・・・類は友をって奴ね」

「ユイ! そんな事よりミライちゃんが!!」

「そうだったわ! ゲンドウさん一人でも面倒だと言うのに!!」

 

ミライは、絶体絶命のピンチに陥っていた。

前門のロリコンリョウジ、後門のゲンドウ・・・両方とも非常に嫌な存在であった為に。

だが、ミライが走るのを止めた為に、救出部隊との差が縮まりだしていた。

「こちらデルタ及びタンゴ。 ミライちゃんを視認! 六分儀元総司令とロリコンリョウジの中央で竦み上がっています。

 丁度十字路の真ん中です。 各隊の状況知らせ! オーバー」

「こちらアルファー 現在、六分儀元総司令の後方に隠れている。 オーバー」

「こちらブラボー及びチャーリー デルタの対面に居る。 オーバー」

「エコー及びロメオ ロリコンリョウジの背後に居る。 オーバー」

各部隊の現在位置を確認したユイは、すぐさま指示を飛ばした。

「ユイよ!! ブラボー、デルタは突入して二人を威嚇し

 ながらミライを確保!!その後、ミライを安全な場所へ

 移動!! ミライの移動を確認した後、各部隊突入して

 敵二名を殲滅しなさい!!

 良い事! 必ず殲滅するんですよ!

 ミライの涙が如何に高いモノかその

 体に確りと刻み込んであげるのよ!

 判った!?

「キョウコです。 各部隊銃の使用を禁

 じます。 特殊警棒を使用しなさい!

 簡単に息の根が止まらない様にしっ

 かりと傷めつけなさい!!救出部隊

 は威嚇での使用は許可します。」

「良い事、取り逃がしたら人体実験す

 るわよ!!!」

各部隊員は、当初二人に同情していたが、ミライの泣き顔を見たら殲滅するのに何の躊躇いも無くなっていた。

又、取り逃がした時に自分自身に降りかかって来る、悪夢を考えると絶対に逃す訳には行かなかった。

 

「こちらデルタ及びタンゴ。 了解! オーバー」

「こちらアルファー 了解! オーバー」

「こちらブラボー及びチャーリー 了解! オーバー」

「エコー及びロメオ 了解!」

「では、ブラボー・デルタスタンバイ!!・・・3・・・2・・・1・・・GO!! GO!! GO!!」

ユイの合図と共に、ブラボー・デルタの隊員達が銃を構えて走り出した。

そうして、ゲンドウと加持へ銃口が向けられ動きを止めた後、女性隊員がミライを抱きしめて安全な場所へと

走り出した。 そうして、ブラボー・デルタの隊員達も後方を警戒しながら撤退した。 

ゲンドウと加持は、何が起きたのか一瞬判らなかったが、直ぐに持ち直しミライを追おうとしようとしたが、

残った部隊が四方から特殊警棒を振りかぶって襲い掛かった。

不意を付かれた二人は、避ける暇も無く攻撃を受けてしまった。

その為に次々と叩かれ、袋叩きの状態と化していた。

 

そんな時、加持にとっては女神とも思える女性が到着した。

そう、作戦本部長「酔いどれ酒徒 葛城ミサト」であった。

ミサトは、加持に群がる敵を追い払うべく、ショルダーチャージをかましたが・・・各隊員はそれを素早く避けた為に

加持に直撃し、加持はミサトと壁に挟まれた。

 

ゲンドウはこの混乱のドサクサに紛れて、逃げ出したが・・・逃げ出した先には、鬼の形相をしたユイ、キョウコ、

リツコが特殊警棒を持って佇んでいた。

「あら、六分儀さん。 そんなに慌てて何処に行くつもりかしら?」

「ユイ、決まっているじゃないの! 集中治療室に決まっているわよ!!」

「え!? 霊安室じゃないんですか?」

「其処でも良いわね♪」

「ちょっと待て!! 何で私が襲われなければ成らないんだ!!!」

「何故って? 決まっているでしょ!! ミライを泣かせた罪よ!!!」

「そうです! ミライちゃんがあんなに怯えているのに追い掛け回して!!!」

「情状酌量の余地なしですね・・・」

「何故だ!! 孫を抱こうとして何が悪い!!」

「顔」

「性格」

「態度」

「・・・・・・・・・」

「じゃあ、お仕置きタイムね♪」

そうして、ゲンドウは運よく集中治療室止まりで済んだ。

加持もまた、ミサトの攻撃で河を渡り掛けたが何とか戻って来れた。

 

その頃、ミライは女性隊員に抱えられ、他の隊員に周囲を守られてプライベートルームへと向かっていた。

「グス・・・グス・・・ミライはいいこにしているのに、なんであんなへんたいにおそわれなきゃならないの・・・

 パパ、ママどこにいるの?」

そうして後少しでプライベートルームに着くと言う時に、シンジとアスカと出合った。

二人を見つけたミライは、女性隊員の腕から瞬時に抜け出し、シンジへとダイブした。

「パパ!! ママ!! こわかったよ〜 

 ミライ、こころぼそかったんだよ・・・」

シンジに抱かれて、シンジの胸の中で思いっきり泣き出した。

シンジとアスカは何の事だか判らなかったが、ミライを抱いていた女性隊員から事情を聞いた。

直ぐ様、アスカが激情したが、シンジがそれを抑えた。

「あの髭眼鏡にロリコンめ!!!! 

 今から行って、殲滅してやる!!!

 場所は何処!?」

「アスカ、落ち着いてよ!」

「シンジ、何を言うのよ!! ミライが

 酷い目を遭わされたのよ!!! 

 これが落ち着けるものですか!!」

「だって、今から行っても母さん達に依って既に殲滅させられているよ」

「・・・・・確かに・・・・・・でも」

「それよりも、ミライを落ち着かせる事の方が大切だよ。」

ミライは未だシンジの胸で泣き続けていた。

そうして、ココまでミライを連れて来てくれた隊員達にお礼を言って、プライベートルームへ入って行った。

 

「ミライ、もう大丈夫だよ。 ママもパパもココに居るから。もう泣きやんで。」

「そうよ、ミライ。 ココにはミライの好きなパパとママしか居ないから。」

それでも、ミライは泣きやまなかった。

「余程怖い思いをしたんだろうね・・・」

「もう少し早くにアタシ達が来ていたら・・・四馬鹿の二人(トウジ&ケンスケ)が変な事をしなければ・・・

 あの二人は明日殲滅するとして・・・」

「アスカ、このままじゃしょうがないから、家に帰ろう。 その方がミライも安心するだろうし。」

「そうね、ペンペンも居る事だし。」

そうして、プライベートルームを出ようとした時に、ユイ、キョウコ、リツコが血まみれで帰って来た。

だが、誰の血なのか判りきっていた為、その事には全く触れなかった。

「シンジ、何処に行くの?」

「ミライを連れて家に帰るトコ。 家の方が安心出来ると思うし。」

「そうね・・・ユイ、私達も帰りましょう。」

「そうよ! 全員が要ればミライも安心出来るし!!」

「じゃあ、帰りましょう!!」

「りっちゃん、後宜しくね♪」

そう言って、5人は帰って行った。

それから、数日の間ミライはシンジの側を離れようとはしなかった。

アスカも焼餅を焼いたが、事情が事情な為に黙認していた。

 

暫くの間、ミライはNERVに顔を出さなくなり、職員(MAGI及びゼーレ含)はゲンドウと加持を恨んだ。

アスカとシンジがNERVに来るのが遅くなった理由を作った、トウジ、ケンスケは翌日アスカの手により

病院送りとなったのは言うまでも無かった。

 

つづく

 

後書き

作中のアルファー、ブラボー、チャーリー、デルタ等は、国際通信においての無線用語です。

日本版だと、朝日のア、いろはのイ、上野のウ、英語のエ、大阪のオ・・・・・・・となります。

しかし・・・TV版の15話と全然違う話になってしまった・・・まあ、気を取り直して次回へ!

次回は、第12使徒レリエル戦です。新兵器の登場です! 皆の知っているアレです。

では、次回!!


作者"みゃぎ"様へのメール/小説の感想はこちら。
myagi01@hotmail.com

感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構
ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

inserted by FC2 system