これもまたEVA?

第十八話 恐怖

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ミライが、前回の事件から立ち直り、NERVへ来る様になっても以前の様に出歩かなくなり、職員達の士気が低下して

いた。 ミライは、プライベートルームで家から連れて来たペンペンと遊んでいた。 出歩くときは、ユイ、キョウコ、リツコ、

シンジ、アスカの誰かと一緒でないと出歩かない状態であった。 そんな状態である為に、加持のナンパが上手く行く

筈も無く、逆に頬に紅葉を咲かせていた。

そうして、季節は2月中旬・・・俗に言う、バレンタインデイであった。

 

アスカは、日本の風習をよく理解していなかったが、一週間前にヒカリから情報を仕入れてシンジへ送るチョコレートを

作っていたのである。

当日、朝食を食べ終わり学校へ行く準備も終わりリビングでお茶を飲んでいるとアスカがシンジへチョコを渡した。

「はい、シンジ。 バレンタインのチョコよ! 当然、本命なんだからね!!」

「有難う、アスカ。 嬉しいよ♪」

それを見ていた他の人は・・・

「あら、今日はバレンタイだったのね・・・忘れていたわね」

「そうね・・・縁が無かったからね・・・」

「パパ、チョコレート良いな〜 ミライも食べたい・・・」

「大丈夫よ、ミライ。 シンジが一杯貰って来るから。」

「そうね、シンジ君なら大量に貰って来るでしょうね。」

「駄目よ!! シンジにあげるのはアタシ一人よ!!」

結婚して更に独占欲が増加したアスカであった。

 

そうして、学校も終わりNERVへ来たシンジとアスカ。

だが、アスカの機嫌が良くなかった。 それは、学校でシンジが貰ったチョコの量が原因であった。

結婚しているのが知れ渡っているのに、貰った量が半端では無かった。ダンボールで3箱。

それに、NERVでも引っ切り無しに渡しに来る女性職員が居るからであった。

そうして、プライベートルームでは、ユイ、キョウコ、リツコ、ミライからも貰っていた。

最も、ユイ達についてはアスカは何も言わなかった。

 

そうして、発令所へ行くと珍しくミサトが居た。

「あれ?ミサト何してんの? 辞めたんじゃなかったの??」

「誰がよ!! 私だって仕事するのよ!!」

「・・・偶にですけど・・・」

「日向君! 何を言うの!! 手作りのチョコあげたでしょ!!」

(葛城さんの手作りなんて誰も要らないよ)

「ミサトの手作りなんて誰も食べないわよ!! この料理音痴!!!」

「確かに、ミサトさんの料理は食べれたものじゃないからね・・・」

「・・・っく、ミライちゃんは、食べてくれるわよね。 私の手料理」

「一寸! ミサト!! アタシのミライに変なモノを食べさせ

  ないでよね!!」

「そうですよ! ミサトさん。 ミライにトラウマを与えない

  で下さい!!」

「そうよ! ミサト。 貴女の料理は加持君にだけ与えなさ

 いよ!!」

「ミライ、おばちゃんのつくったりょうりたべたくない!!」

ぼろかすに言われる、ミサト。 だが、減棒で満足に飲む事が出来なかったのでストレスが溜まっていたミサトは

簡単に切れた!!

「其処まで言うのなら、全員に特製スペ

 シャルミサトカレーを食べさせてあげ

 るわ!! 楽しみにしていなさい!!」

そうして、ミサトは仕事を放棄して発令所を出ていった。

「一寸、特製スペシャルミサトカレー・・・・どんなモノよ!!」

「人が食べれるのかな?」

「多分死ぬわね・・・」

「パパ、ミライたべたくない!! しにたくないの!!! パパとけっこんするまでしにたくないの!!」

「一寸、ミライ!! アンタがシンジと結婚できる訳ないでしょうが!!!」

「ミライのすべては、パパのものよ!!」

「アンタね!! 兎に角シンジはアタシのモノなの!!」

「アスカ、それよりミサトさんの暴挙を止めないと!!」

「そ、そうね。 アレは二度と食べたくないし・・・」

発令所の全員が対策を考えていた時に、内線が入った。

「はい、発令所。・・・・・え! 本当か?・・・判った。 ご苦労」

「日向君如何したの?」

「葛城二尉が、食堂を占拠してカレーの製造に入ったそうです。」

「「「「え?」」」」

その場の全員が血の気を失った・・・

「もう、終わりなの? 折角シンジと結婚出来たのに・・・」

「アスカ、しっかりして!! 未だ、終わった訳じゃないから!!」

「そうよ! 未だ完成していないわ!! 時間はあるわよ!!」

「偵察隊を出すべきです。 先ずは情報収集です!!」

「そうね・・・ロンゲは何処に?」

「アイツなら、サボって一服していますよ。」

「なら決まりね! ロンゲに食堂に行くよう通達して!!」

「了解!!」

そうして人身御供としてロンゲは、食堂へと向かわされた。

「これから、如何するのよ!? 少ししか時間稼ぎが出来ないわよ!!」

その時、再び内線が入った。

「はい、発令所。・・・・・え! 本当か?・・・判った。 そのまま情報収集せよ!」

「今度は何?」

「葛城二尉が、食堂にある鍋を全て使いカレーを製造しているそうです。」

「なんですって!!!」

「一寸、リツコ! 食堂の鍋全て使ってカレーモドキを作ったらどれ位の量になるのよ!?」

「・・・そうね・・・軽く見積もって2tってトコかしら?」

「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」

「如何にかしないと、NERVが崩壊しますよ!!」

「一番良いのは、使徒が来てくれたらドサクサ紛れに処分出来るのに・・・」

数時間作戦会議が行われていた処に、三度目の内線が鳴った。

「はい、発令所。・・・・・え! 本当か?・・・判った。 足止めせよ!」

「今度は何?」

「特製スペシャルミサトカレーが完成したそうです」

「何ですって!!!」

「アスカ、ミライ、プライベートルームへ逃げるよ!!」

「そうね、アレから逃げないとね。」

「パパ、ママはやくいかないと!!」

シンジ達が逃げ出そうとした時、警報が鳴り響いた。

「第三新東京市上空に使徒出現!! パターン 青!!」

「何? あれ?? 縞々の球体?? あんなのが使徒??」

「試作機と零号機にパレットガンを装備させ射出準備にかかれ!!

 レイと変態は何処?」

「トレーニングルームに居たので、着替えて居ます。」

シンジとアスカは使徒の能力を見極める為に、発令所に居た。

 

そうして、準備が整い試作機と零号機が射出された。

「良い事、使徒の能力は未だ不明だから、慎重に対応してね!

 最も、貴方達に出来ればの話だけど・・・」

『変態、アナタが先方を務めなさい!!』

『何で、俺様が?』

『じゃあ、チョコ返して!!』

『了解! 先方行きます。』

「今の話だと、綾波がケンスケにチョコをあげたって事だよね?」

「そう言う事になるんじゃないの?」

「って事は、トウジだけが1個も貰えなかったって事か・・・」

「あれ? ヒカリは全員にあげるって言っていたけど?」

「ケンスケと一緒に、闇に囚われていたからじゃないのかな?」

「まあ、馬鹿ジャージには良い気味じゃないの。」

そう、発令所で話をしている内に、ケンスケは使徒の側へと来ていた。

『よ〜し、ココまで近づけば確実だろう!!』

そうして、パレットガンを使徒へ向け構えた。

『俺様の明るい未来の為に死ね!!!』

そして、パレットガンを全弾発砲した。そして、発砲と同時に使徒が消えた。

「何? 使徒が消えた? 何処?」

ケンスケは、未だ余韻に浸っていた。

「反応あり! 試作機の真下です!!」

「ケンスケ、逃げろ!!!」

『何言っているんだよ!! 使徒は俺様が倒したのに!!』

試作機が足から、影に沈んで行った。

「何? 上の球体が囮で影が本体だと言うの??」

「如何対応しようか?」

と、発令所で話し合われている間に、試作機はドンドンと影に吸い込まれて行った。

そうして、誰にも知られずに試作機は影に吸い込まれた。

『一寸、私は如何すれば良いのよ!! 未だ愛しのシンちゃんにチョコを渡していないんだから

 早く戻してよ!!!』

その台詞にアスカが素早く対応した。

「アンタは、其処で使徒の監視よ!! チャンと見張って居なさい!!!」

『何で、赤毛猿に命令されなきゃいけないのよ!! 私は三尉よ!!』

「お生憎様、アタシは二佐よ!! 上官の命令に従いなさい!!」

『・・・っく』

そうして、レイは零号機の中で待機となったのである。

 

「さて、使徒を如何するか・・・何時の間にか試作機も吸い込まれていたし・・・」

「生命維持モードにしていれば12時間は持つわ。」

「でも、それよりも先に、特製スペシャルミサトカレーを如何にかしないと・・・アタシ達の命が無いわよ!」

「全く、ミサトもこんな時に、あんなモノを作らなくても・・・」

「リツコさん、使徒の本体は下の影ですよね?」

「ええ、多分”ディラックの海”に繋がっているわ。」

「ディラックの海と言う事は、この世界では無く、虚数空間ですよね!?」

「ええ、そうよ。 それが?」

「なら、現存する全ての特製スペシャルミサトカレーをブチ込みましょう!!」

「ナイスアイデア!! 流石、シンジ!!!」

「でも、試作機が・・・・」

「リツコさん、僕たちは人類存続を掛けて戦っているんですよ!! ケンスケ一人の命で僕たち全員が

 助かれば良いじゃないですか!!」

「そうよ、リツコ!! ミサトカレーの被害者は一人で十分よ!! 未だ使徒は来るんだから!!」

「そうよね、そうだわ。 シンジ君達の言う通りだわ。 N2爆雷の空容器にミサトカレーを詰めて、使徒の

 影の部分にブチ込んでから爆発させれば、上手く行けば殲滅できるわ!!」

「上手く行けばじゃ無いわよ!! あんな毒物、使徒でも死ぬわよ!!」

「なら、早急に準備をしないと!」

死を覚悟していた職員達が生き残る為に動き出した。

ケンスケを助けようとはセズ、ミサトカレーの破棄のみを目的として・・・

「武装保安要員に告ぐ! 全員麻酔弾を使用して、葛城二尉の動きを止めなさい!! 生死は問いません!!」

そして暫く経った頃

『こちら武装保安要員です。 只今、葛城二尉の動きを止めました。 こちらは5分の4の隊員が行動不能に

 陥りました。』

「ご苦労! 整備班 全ての特製スペシャルミサトカレーをN2爆雷の空容器に入れなさい!! 

 鍋ごとよ!! ホンの少しでも残っていたら人類は滅ぶわよ!!! 作業に当たる時は、防護服を二重に着用

 するのよ! 間違っても素手で触らない様に!!!」

『了解! 慎重に作業を行います。』

そうして、人類史上最凶の殺人兵器”TSMC爆雷”が完成した。

だが、この兵器は核以上に使用するのに細心の注意が必要であった。 ある意味、核よりタチが悪いのである。

 

「完成したわよ! NERV最凶の局地兵器TSMC爆雷が!!」

「これで、試作機もろ共使徒を殲滅出来るわね。」

「ケンスケもチルドレンなら、世界平和の為に命の一つや二つ投げ出すでしょう。」

「でも、コレを誰がぶち込むんですか?」

「決まってるじゃない! 既に準備が出来ているファーストよ!!」

「そうね、レイの零号機なら既に待機状態だから、直ぐに作戦行動に移れるわね。」

「その前に、ミサトさんを隔離しないと!! 折角、全部処分するのに又作られたら、元もこうも無いですよ!!」

「それもそうだわ! 武装保安要員は、ミサトを独房に放り込んで周りを、硬化ベークライトで固めなさい!!!

 良い事、私達が生き残る為です! 情けは無用です!! 派手にやってしまいなさい!!!」

そうして、ミサトは四方八方を硬化ベークライトで固められた独房で暫く暮らす羽目となった。

 

そして、1時間後

完成したTSMC爆雷を持った零号機が、作戦開始の合図を待っていた。

「良い事、レイ! 絶対に使徒の中に入れるのよ!! 外に出したら、第三新東京市は壊滅するんだからね!!!」

『葛城二尉の料理が酷いと言っても、其処まで酷いわけではないじゃないの!!』

「なら、食べてみる? 生命維持に問題が生じるわよ!!」

『・・・遠慮します。 未だ死にたくないので』

「賢明な行動ね。 良い事、この作戦は、試作機の救出でも使徒殲滅でもありません!! 特製スペシャルミサト

 カレーの殲滅を目的としたモノと言う事を理解しなさい!!」

『了解!』

「それでは、作戦開始!!」

リツコの号令の下、零号機がTSMC爆雷を使徒の影に投げ込んだ。

そして、30秒後セットしてあったタイマーにより、爆発を起こした。

 

オペレーター達はセンサーやモニターで使徒の様子を確認していた。

そして、使徒の異変に気が付いた。 

「使徒に変化あり!! まるで悶え苦しんでいる様です!!」

「コアにTSMCが付いたのかな?」

「多分そうよ!! ミサトカレーは使徒にも効いたのよ!!」

「コレこそ、正に貧乏人の核兵器ね。」

「使徒のエネルギー値が下がって来ています。このままだと殲滅出来ます!!」

「全く、たかがカレーで使徒が殲滅出来るなんて・・・・」

「厭きれて嫌になるね。」

発令所で殲滅間際で空気が緩んだ時に、更なる変化が起きた。

「あれ? あの腕・・・試作機のでは??」

「え!? あ!本当だ!! 試作機のよ!」

「レイ! 試作機を引き上げて!! ミサトカレーが付いているから慎重にね。」

『嫌です!!』

「特訓が良いのかしら? それとも引き上げる?」

『・・・・・・・・・・引き上げます。』

「なら、早く引き上げなさい!!!」

そうして、嫌々試作機を引き上げるレイであった。

そうして、試作機が引き上げられ暫く経った時、上空に浮かんでいた球体が影に吸い込まれ、

影も消滅した。

 

「使徒消失・・・エネルギー反応無し! パターン 検出されず!!

 使徒消滅しました!!!」

「やったわね。 これでミサトカレーの恐怖から逃れられた・・・」

「ねえ、リツコ。」

「なあに、アスカ?」

「パレットガンの弾頭をミサトカレーにしたら使徒戦が楽になるのでは?」

「そうしたら、誰が処理するのよ! 飛び散ったミサトカレーを!」

「戦自にやらせれば良いじゃないの!! マナ板を使って、トライデントを全部全損にさせたんだから!!

 大体、トライデントの損害は1機を除いて全部あのマナ板が壊したんでしょ!!

 税金の無駄遣い等と言われたくなかったらやらせれば良いのよ!!!」

「それもそうね・・・劣化ウランを使うよりも良いかもね。 効果の程は今回立証されたし。

 何と言っても安く上がるわね。」

「リツコさん、それを行うのならミサトさんを特別室にいてれ行わせないと、僕たちの命の危険がありますよ。」

「安全面には十分に配慮するわ! ミサトカレーで死にたくないものね。」

こうして、MC(ミサトカレー)弾が開発された。 その系列で、TSMC(特製スペシャルミサトカレー)弾、SMC

(スペシャルミサトカレー)弾及び、各種の爆雷も完成し今後の使徒戦役の主力兵器の座を勝ち取った!!

只、その保管に付いては、核より厳重になっては居たが・・・

 

ゲージには、ユイ、キョウコ、リツコが居た。

そして、洗浄中の試作機を見ながら、

「今日ほど、ミサトカレーが恐ろしいと感じた事はありませんでした・・・」

「人より生み出された・・・人外のもの・・・・」

「全く、ミサトちゃんにも困ったものね・・・」

「暫く、カレーが食べれなくなったじゃないの!!」

「ホンと、今夜はカレーの予定だったのに・・・」

「アスカとミライちゃんが、ハンバーグへ変更させた様です。」

「あの二人は好きね・・・ステーキが良かったのに・・・」

「明日はステーキにして貰いましょう。 ユイ」

「そうね、偶には私達の好きなモノも作って貰わないとね。」

そうして、NERVの夜は更けて行く・・・・

 

おまけ♪

「今日は、バレンタイ♪ シンジにこのチョコを渡して、赤毛猿と離婚させないと、マナちゃんの

 薔薇色の新婚生活がやって来ないわ!!」

マナは、特大のチョコレートを持ってシンジの通学路で待って居たが・・・アスカの運転するテスタロッサが

あっと言う間に通り過ぎた・・・

「・・・・そう言えば、シンジは車通学だった!!! 急がないと遅刻しちゃう!!」

尚、マナの現在位置から学校迄走って15分掛かる・・・現在時刻8:15分 遅刻ギリギリであった。

「今日遅刻したら4週間連続の遅刻でトイレ掃除1ヶ月が決まってしまう!!」

そう、マナはこの一ヶ月間シンジの通学路を調べる為に遅刻していたのである。

だが、今日も全ての信号に引っ掛かり遅刻してしまったのである。

途中で、転んだりぶつけたりしたので、チョコレートは無残にも砕けちっていた・・・

「ふん! 未だあるもん!!」

そう言って、鞄の中から別のチョコレートを取り出しシンジへ渡そうとした時、他の女子生徒がシンジにチョコを

渡す為にマナを突き飛ばしたのである。 偶然にも突き飛ばされた先には、トウジとケンスケが居て、チョコは

ケンスケの口の中に・・・そして、マナはトウジとキスをしてしまった。 当然、アスカが見逃す訳も無く

「あら、マナ板さん。 変態だけで無く、ジャージ馬鹿にも手を出すの? 二股って奴??

 熱いわね・・・アタシには真似出来ないわ。 アタシはシンジ一筋だし。」

そう言って、鼻で笑っていた。

レイは、レイで、未だ学校に来て居なかったのである。

 

続く

 

後書き

どうも、みゃぎどす。

題名と内容が合っていない気が・・・気の所為かな?

久しぶりに風邪をひきました。 でも、夜勤の最中にこの話を仕上げましたが・・・

そう言えば、某所の人気投票にこの作品がエントリーされて居たのには驚きました!

この話が掲載される時には、結果が出ている事だと思いますけど・・・何位くらいなんだろう?

結果が楽しみな、みゃぎでした。

では、次回又!!


作者"みゃぎ"様へのメール/小説の感想はこちら。
myagi01@hotmail.com

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ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

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