「あなた……名前は?」
「シンジ……碇シンジ」
「私はレイ……けど、もう忘れた方がいいわ」
僕はその少女の憂いを秘めた横顔に見入っていた



アスカを訪ねて三千里

第7話「二人のレイ・後編

「もう……帰った方がいいわ……」 レイの横顔を見詰めていた罪悪感のせいか、僕はレ
イの言葉を聞くと、身体が一瞬震えてしまった。
「どうして?」 僕はおそるおそるその言葉の理由を問いかけた。

「剣呑なお迎えが来てるからよ……」 レイは廃墟の一角を指差した。
「あれは……ミサトさん」 眼が闇に慣れて来ると、廃墟の一角に紅い上着を来たミサト
さんの姿を確認する事が出来た。
「総員撤収!」 僕はレイの凛とした声に聞き惚れていたが、
次の瞬間には煙幕のようなもので、僕は視界を奪われてしまった。

僕は白い闇の中で、去って行くレイの影が見えたような気がしたが、あえて追う気にはな
れなかった……だが、寂しそうに名前を告げたレイの横顔は忘れる事が出来なかった。

「シンジ君 大丈夫?」 僕はミサトさんに声をかけられて、ようやく正気に帰った。
周りにあれだけいた少年達はすでにどこかに逃げ出していた。
「リーダーの女性(ひと)が僕の荷物……返してくれたんです……」
僕は鞄を持ち上げてミサトさんに見せた。
「しかし、あなたも無茶するわねぇ……このグループはあまり武闘派じゃ無いけど、良く
返して貰えたわね……」 ミサトさんは苦笑しながら僕の肩を叩いた。

「さ、帰りましょう シンジ君」 ミサトさんは親しげに僕の背中に手を回して言った。
「どこに帰るんですか?」 僕は訳が解らずおうむ返しに問いかけてしまった。
「リョウジに聞いたわよ……あなた帰る所無いんでしょ?」
「ええ……そうですが……施設は嫌です……僕 人を探してるんです……だから、施設に
入る訳には行かないんです……」 僕はミサトさんの立場を思い出して言った。

「誰もあなたを施設に入れるだなんて言って無いわよ……帰る所が無いんなら、私の家に
来ない? 実は娘があなたにもう一度会いたいって駄々こねてるってリョウジから電話が
あったのよ まぁ落ち着く先を決めるまでの間 家に泊まって行きなさいよ」
僕はミサトさんの言葉を聞いている内に、世の中の人情と言うものに初めて触れた時のよ
うに、目元が潤んで行くのを感じた。
「本当にいいんですか? 僕みたいな孤児を家に入れて……」
僕は目元を手の甲で軽く拭いながら言った。

「いいからいいから 早く帰りましょ リョウちゃんが晩御飯作ってくれてるし」
「ありがとうございます……」 僕はミサトさんに連れられて車に乗り加持家に到着した。
僕は加持家の玄関の前で唾を飲み込んでしまった。
「何してるの? シンちゃん いい匂いしてるし、早く入りなさいよ」
もうすでに玄関に入っているミサトさんが鼻をクンクンさせて言った。
いつの間にやらシンジ君からシンちゃんに呼び名が変わっていたが、違和感は無かった。

「おじゃまします……」 僕は片足を踏み出そうとしたが、ミサトさんが手で制した。
「今日からここはあなたの家でもあるのよ……挨拶が違うでしょ?」
ミサトさんの笑みに僕は心から救われたような気がした。

「ただいま……」
「おかえりなさい」

アスカ……今日だけは誓いを破ってもいいよね……
僕は涙で滲んで見えるミサトさんの背中を見ながら歩いて行った。
「お兄ちゃん 何で泣いてるの?」 昼間に比べればかなり僕に心を許したのか、
子供用の椅子に座って食卓についていたエミコちゃんが僕の顔を覗きこんで言った。

「何でも無いよ……ちょっと眼にゴミが入っただけだから、心配しなくていいよ」
僕はエミコちゃんに、恐らく少し引きつっていたであろう笑みを見せた。

「ねぇお兄ちゃん……明日は、お遊戯してる所を描いて欲しいの」
エミコちゃんは僕の似顔絵が気にいったのか、早速リクエストを出して来た。
「うん 明日描いてあげるよ」 僕は昔 アスカの絵を描いた時の事を思い出していた。

「こら、エミコ あんまりシンジ君に駄々こねちゃいかんぞ」
加持さんが笑いながらエミコちゃんの頭を撫でていた。

「お兄ちゃんが出来たみたいで、嬉しいの……お兄ちゃんに絵を描いて貰うなんて、夢だ
ったもん……」エミコちゃんは一人っ子のせいか、兄弟愛に飢えていたのかも知れない。
僕は滞在する間はエミコちゃんの願いを出来る限りかなえてあげようと心に誓った。
「御馳走様でした」 僕は箸を置きながら軽く頭を下げた。

「おかわりはいいのかい? 育ち盛りなんだから、遠慮せず食べてくれよ」
僕は加持さんの言葉で、これまで小さい子供達に食べ物を分けてあげたりと、
食欲を押さえて来た事を思い出している内に腹の虫が行儀悪く最悪のタイミングで泣いて
しまい、加持さんは笑いながらおかわりをよそってくれた。


「何故だろう……どうしてこんなに落ち着くんだろう……」
僕は客間に敷いて貰った布団に寝そべって、外の街灯の明かりがわずかに差し込んで、
天井に光と影が映し出されているのを見ていた。

「強い光が差せば、闇もまた深くなる……か」
僕はレイにかしづいている少年達の事を思い出した。

セカンドインパクト後の復興……その時に孤児の救済よりも高速道路の復旧や、リニアの
復旧のような生活に必要なパイプラインを復旧させた所までは良かった……だが、セカンドインパクトで目減りした自衛隊……その後戦略自衛隊と名を変えてからは、軍隊色が強く
なり、予算はなんとセカンドインパクト前の倍近くまでなっていた……
戦闘機を一機購入する金があれば、子供達を三年間以上 2千人は義務教育を受けさせる事が出来ただろう……空母を一隻建造する金があれば子供たちを収容する施設から逃げ出す
子供はいなかっただろう……施設の中にいても苛めや派閥闘争で食事や質のいい毛布を奪
い合っているのだ…… 子供達の大人や世間に切り捨てられたと言う観念が強くなってし
まったのも無理の無い事だろう。

孤児院を出た僕がこうして暖かい布団の上で眠る事が出来る事の幸福と、
今なお橋の下や公園の片隅で寝ているだろう孤児達の事を思うと胸が痛んだ。
常夏で無ければ、毎年数千人単位で孤児達の凍死者が出た事だろう……

「もう寝よう……」 僕はまぶたを閉じて身体の力を抜いた。


(注:ボルテスVのED曲”父をもとめて”のCDを持ってる人は、聞きながら読んでね)
http://www.remus.dti.ne.jp/~waadiy/31/voltes.htm 歌詞データ



真夏日のある日……僕は父さんと草原の中の細い道を歩いていた……
どこに行こうとしていたかは解らなかった……だけど父さんと一緒に歩くのが楽しかった。

風が吹き抜ける度に草原の草々が風になびいているのを僕は珍しそうに見ていた。
その時、ひときわ強い風が吹き、頭にかぶっていた麦わら帽子が僕の頭を離れ、
大空に還って行くかのように、みるみる飛ばされて行き、見えなくなってしまった。

「あっああぁ〜 お父さん……ごめんなさい 麦わら帽子が飛んでっちゃった……せっか
く父さんが買ってくれたのに……」 大粒の涙が目尻から落ちようとしているのを感じて
いた……父さんが買ってくれた子供用の麦わら帽子……草原を吹き抜ける風に吹かれて飛
んでしまった麦わら帽子…… 「シンジは悪く無いから、もう泣くんじゃ無い」 父さん
は僕の頭に父さんの大きい麦わら帽子を被せてくれながら不器用だが優しい笑みを浮かべて言った。



「んっ……夢か……父さんがいた頃の……」 僕はトーストの匂いで眼を覚ました。
セカンドインパクトで離れ離れになってしまった父の事を思い出して涙ぐむ事も最近は無
くなっていたが、夢を見てしまったせいか、今日は涙ぐんでしまっていた。

「朝ご飯か……カヲル君 元気でやってるかな……」 出羽家で朝食を作っていたカヲル
君の事を思い出しながら、僕は破れたワイシャツと、ズボンを身に付けて おそるおそる
居間に歩いていった。

「あら、おはようシンちゃん 良く眠れたかしら」 今日はミサトさんがキッチンの中でフ
ライパンを手にしていた。
「何か手伝える事はありますか?」 昨日は加持さん 今日はミサトさんがキッチンにいる
と言う事は家事を交代で行っているだろう事に気づいたので、僕はそっと申し出た。

「もう出来たから、席に付いてていいわよん」
ミサトさんはスクランブルエッグを4枚の皿に入れ分けていた。

ポン 小気味良い音と共に二枚のトーストが旧時代的なトースターから飛び出して来た。

「シンジおにいちゃん おはよう」 「ようっ シンジ君 良く眠れたかい?」
「エミコちゃん おはよう 加持さんおはようございます ミサトさんにも同じ事聞かれ
ましたけど、良く眠れました」

「さ、朝ご飯にしましょっ」 ミサトさんがスクランブルエッグの入った皿をテーブルに
置きながら言った。


「シンジ君は はちみつ派かい?ジャム派? それともマーガリン派かな」
僕は加持さんの問いにきょとんとしてしまった。

「はちみつってパンにつけて食べるものなんですか? パンに何かつけて食べた事が無い
ので、良く解らないんですが」 僕は差し出されたはちみつの瓶を見て戸惑ってしまった。

「そうか……じゃ、ものは試しに今日ははちみつを塗って食べてみるといい明日は別のを
試せばいいだろう」 加持さんはスプーンを差し出しながら言った。
「じゃ、そうさせていただきます」
僕はスプーンを受けとってはちみつの瓶を開けて中に
突っ込んでパンの上にかけていった。
「わたしはジャムなの イチゴのジャム以外ではパンを食べた気にならないの」
エミコちゃんはイチゴジャムをトーストに塗りながら言った。

「それじゃ、頂きます!」 全員が一斉にトーストにかじりついた。

「美味しいです……蜂蜜ってこんなに美味しいものだったんですね……」
僕は感動しながら、はちみつを塗ったトーストをたいらげた。

「いい食べっぷりね シンちゃん もう一枚行く?」 ミサトさんは僕の返事も聞かずに
袋からトーストを出してトースターに押し込んだ。

「シンジおにいちゃん 今度は私のお気に入りのイチゴジャムにしてみない?」
エミコちゃんは僕の返事も聞かずに、焼き上がったばかりのトーストにイチゴジャムを塗
りたくった。
「あ、ありがとう」
僕はジャムだらけのトーストを手を汚さないように持って食べ始めた。

「おいしい? おにいちゃん」 エミコちゃんが僕の顔を覗きこんで同意を求めた。

「うん 美味しいよ」 僕は最後の一口を口に放り込んでから言った。

「シンジ君 コーヒー牛乳のお代わりはいるかい?」
今度は加持さんが僕の返事も聞かずに僕のグラスにコーヒー牛乳を注いでくれた。

僕は頭を軽く下げてコーヒー牛乳を飲み干した。


「シンジ君……夕方になったら店じまいした方がいいよ それと場所代を請求されたら、
稼ぎの一割を正確に差し出せばいい……」 
似顔絵描きの仕事に行こうとした僕を加持さんが呼び止めて言った。
「夕方に戻って来るの? じゃ遊園地から帰ったら、また絵を描いてね」

「解りました じゃそうします エミコちゃん 今日はお遊戯をしてる所だったね」
僕は加持さんとエミコさんに挨拶して家を出た。

「気をつけてな」 「いってらっしゃーい」

僕は二人の言葉がとても嬉しく、昨日からの事を思い出しながら公園に向かっていた。
画材が入った鞄には加持さんが作ってくれた弁当が入っていた。

「店開きするかな……今日はお客さん来てくれるかな……」
僕は鞄から道具を出しながら、少し雲が浮かんではいるが晴天の空を仰ぎ見ながら呟いた。

「8時か……ちょっと店開きが早すぎたかな……」
僕は道具を全て出してベンチの上で、少し向うの大通りを行き交う人々を眺めていた。

「ん?」 公園の入り口からこっちの方を見ている少女の姿が目に入った。

薄ら蒼いショートカットの髪型……他人を寄せつけないトゲを持った白いバラのような美
しい肌……今日は学生服らしきものを身に付けていたが、間違い無く昨日出会った レイ
と名乗る少女だ……昨日、似顔絵を描いてるのを見たと言っていたのを思い出し、
僕の様子を見に来てくれたのかと思い、僕は立ち上がって駆け出した。

「昨日はありがとうございました レイさん」 僕の方を一見あまり関心無さそうに見て
いる少女に僕は近づいて話しかけた。

だが、少女が口を開こうとした直後、僕は背後から羽交い締めにされてしまった。

そして、黒い服を身に付けた人が更に、蒼い髪の少女を守るかのように僕の目の前に立ち
ふさがった。
「僕が何をしたんです? あなたは誰です」 僕は訳が解らずもがいたが、がっちりと後
ろから固められており、抜け出せなかった。

「離してあげて……」 蒼い髪の少女が呟いた瞬間 僕の身体は自由になった。
僕を背後から羽交い締めしていたの人も黒い服を着ているのを見て、僕は少し驚いた。

「多分人違いよ……行きましょう」 蒼い髪の少女はそう言って、二人の護衛らしき黒服
の男を従えて、去っていった。

「見間違える訳は無いのに……あれは確かに昨日の……」 僕は呆然としながらすでに遥
か彼方に行ってしまって黒い点となった三人の後ろ姿を見ていた。


さすがに平日の午前中とくれば、客が来る訳も無く、昨日のお客さんから口コミで聞いた
人が数人訪れただけだった。

「もう11時半か……」僕は公園の中を見回しながら呟いた。
「ん?」 一つ向うのベンチに座ってこっちをちらちら見ている少年に僕は気づいた。
「ケンジ君だっけ……どうかしたの?」 僕は勇気を出して声をかけてみた。

すると、おずおずとケンジ君は僕の前まで歩いて来て、唐突に口を開いた。
「昨日……どうして僕を庇ったの? 僕は君の荷物を奪ったのに……」
ケンジと呼ばれていた少年はあまり顔に表情を出さずに淡々と話しはじめた。

「説明すると長くなるんだけど……僕がいた教会の孤児院に君と同い年ぐらいの男の子が
いたんだ……名前もケンタって言うから似てたし……だから君が他人のように思えなかった
から……」 僕はゆっくりと説明していった。

「……」 ケンジと呼ばれていた少年は僕の説明で納得したのか、
軽く頭を下げて僕に背を向けた。
その時、お腹が鳴る音が盛大に聞こえてしまった。

「お腹空いてるの?」 僕は聞くまでも無い事をつい聞いてしまった。
「昨日は……罰として食事抜きだったから……」 どうやら朝食も食べて無いようだった。
「僕がお世話になってる人が、お弁当作ってくれたんだ……ちょっと余りそうなんだけど、
残すのも悪いし……手伝ってくれないかな」 僕は鞄から弁当箱を出しながら言った。

「この卵焼き……甘い……」 ケンジは僕が進めた卵焼きを口にして呟いた。
「ほんとだ……砂糖は高いから、いつも塩味のしか僕も食べた事が無かったんだ……」
僕も卵焼きを一切れ食べて言った。
少年もこくこくと首を振り、どうやらケンジのいた施設でも似たような……あるいはもっと
ひどい状態だったであろう事が想像出来た。

僕のいた孤児院も、国の僅かな援助だけでは、朝ご飯を食べさせるだけで精一杯だったよ
うだ……中学生になって、いろいろ手伝い初めてからその事を知ったんだ……
神父さんの私財……そして教会への寄付……それらの殆どが僕達の食費や生活費になって
いた事を知った時はかなりショックを受けた事を思い出した。

だから……出羽さんが僕を引き取る時……神父様に結構な額のお金を支払っていた事を恨
む気持ちなど無かった……体よく言えば売られたようなものだったが、そのお金が小さい
子供達の食費になるのなら……僕は出羽さんの家にいつづけて、どんな酷い目にあっても
我慢して、教会にお金を送って貰うべきだったのでは無いかと思い、少し後悔した。

気が付くと、二人で食べたので弁当はすでに空になっていた。

「シンジ……靴が汚れてる……」
ケンジは僕の泥まみれになった皮靴を見て言った。
出羽さんの家にお世話になった初日に買って貰った靴だが、すでにあちこちが汚れていた。
「いろいろあったからね……」 僕は出羽さんの家を出た時の事を思い出しながら言った。

「また来てもいいか?」 ケンジは恐る恐る僕に問いかけた。
「うん……お客のいない時は退屈だし……また遊びに来てよ」
僕は去って行くケンジの背中に向かって言った。

公園の巨大な時計は、三時を指していた。
「お客来ないな……またサンプルでも作ろうかな……」
残り8枚になった色紙を一枚手に取り、僕は鉛筆を手に頭を捻った。
「そういえば、色鉛筆買ったんだっけ」 僕は鞄から色鉛筆のケースを取り出して開いた。

「青……」 僕は青い色鉛筆を見入ってしまっていた。

「よし……」

僕は鉛筆で輪郭を描いて行き、目と鼻や口を描き、そして髪を描きはじめた。
青い色鉛筆に握り変えて……
「背景に月も入れようかな……」 僕は黄色い色鉛筆を手に取って仕上げていった。

「出来た……」
まるで昨日の出会いを絵に封じ込めたかのような出来の絵に僕は見入っていた。

薄暗闇の中、背後からの月の光りに照らし出された蒼い髪の少女……その神秘的な横顔を
僕は自分の持てる力を全て使って描き出していた。

「これには……値段を付けられないな……」 僕は鞄の中に大事にしまい込んだ。
時計を見ると、4時になっており、一時間もかけていた事に気づき少し驚いた。

僕は時計の下からよれよれの帽子を被ったケンジが歩いて来るのを発見した。
「シンジ……靴……磨かせてくれないか……」 ケンジは手にした大きめの取っ手のつい
た箱から、足を置く台と布と油等を取り出して僕の足元に跪いて、僕に足を載せるように
指示した。

「ありがとう……」
僕は段々奇麗になっていく靴と、一所懸命に靴を磨いてるケンジの姿を交互に見ていた。

僕は磨いて貰う間、黙っているのが何故か苦しかったので、いろいろ話しかけた。

「ねぇ……昨日のレイさんに良く似た人が今朝公園の入り口にいたんだ……話しかけよう
としたら、黒い服を着たガードマンみたいな人に止められちゃったけどね……紺色の制服
を着てたし……別人だったのかな……」

「それは間違い無くレイ様だ……レイ様は大金持の家に去年引き取られたんだけど、それか
らも、夜には家を抜け出して、僕達のリーダーとして指揮してくれてるんだ……昼間のレイ
様を見ても知らないフリをしないといけないのがちょっと寂しいけど、仕方無いんだ……」

僕はケンジから衝撃的な事実を告げられ少し驚いたが、僕を見ていたような気がしたのは、
間違い無かったようなので、少し嬉しかった。
「凄く奇麗になったね ありがとう」 僕は台から足を降ろして言った。

「あっ いたいた あれが噂の似顔絵描きだよ」
その時、数人の男女が僕の方に走って来るのが見えた。

「似顔絵描いてくれないか……縮小して名刺に印刷したいんだ」
先頭の長髪の男が、線が引かれた上質紙を手にして言った。

「解りました この枠の中に描けばいいんですね」 僕は紙を板の上に置いて言った。

「営業用だから、愛想良く好印象を与えて、しかも覚えて貰いやすく描いてくれよ」
注文がいろいろついたが、僕の腕を信頼してくれているんだと思い、僕は張り切った。

「ん? 靴磨きとタイアップしてるのかい?じゃ描いて貰うる間にやって貰おうかな」
用意しておいたみかん箱に座った長髪の男はケンジに言った。

「あ、はい」 ケンジは帽子を脱いで長髪の男の足元に屈み込んで靴磨きを始めた。

女性のお客は靴磨きを頼まなかったが、男性のサラリーマンらしき人は殆どがケンジに
靴磨きをやって貰っていた。
太陽が西に傾き、日も暮れかけた頃には、ケンジが脱いで置いてあったよれよれの帽子に
は小銭が大量に入っていた。

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おまけ(みんなにはナイショだよ)
http://www.ufo.co.jp/~zin/madpage/toukou_mov/eva_v.viv
エヴァ+ボルテスVなマッドビデオ 雰囲気が似てます
http://egg.real.com/vivo-player/vivodl.html
再生する為のプラグイン
http://www.ufo.co.jp/~zin/madpage/ まっどちゃんねる
マッドなデータが盛り沢山
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マナ:レイってお嬢様だったのね・・・二人のレイってそういうことだったのね。

アスカ:ファーストったら、シンジのこと無視しちゃってさ。

マナ:仕方ないわよ、ああいう立場なんだから。

アスカ:下手にシンジと仲良くされるよりは、いいけどね。

マナ:レイはともかく、シンジにも友達ができたみたいでよかったわね。

アスカ:ようやく、シンジも幸せになってきたわね。ほっとするわ。

マナ:そ・・・それがねぇ。

アスカ:ちょっと・・・いつもいつも、その含みのある言い方やめてよ。言いたいことがあるなら、はっきり言う!

マナ:なんだか、嫌な噂が・・・。

アスカ:次回、何かあるの?

マナ:そういうわけじゃないんだけどね。

アスカ:だったら、何なのよ!

マナ:とにかく、シンジを見守ってあげましょ。

レイ:やっと、登場したのにもう終わりなの?(ボソッ)。(; ;)
作者"尾崎貞夫"様へのメール/小説の感想はこちら。
uraniwa@ps.inforyoma.or.jp

感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構
ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

第8話予感】に続く!

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