「・・・これが俺の倒した使徒・・・・か。」

シンジがシャムシエルの残骸を見上げる。

「イカみたいだなぁ・・・食えんのかな?」

「・・・・んなわけあるかっての・・・。」

「・・・はぁ。」

ボーッとしたまま戯けた事を言い放つシンジ。
パソコンのキーを叩くリツコと壁にもたれ掛かっているミサトは人類の敵に対して何を言うかと呆れている。
シンジが残骸に近づいて行く。


「それにしても・・・シンジ君またお手柄ね。」

「ええ、あのジャーマンはしびれたわ。」

「・・・でもまさかエヴァでプロレス技をするなんて・・・。」

「私達全人類はシンジ君の趣味に助けられたのよ、認めなさい。」

「・・・不安だわ・・・。」








なんて会話をリツコ達がしている時。
シンジはうろつき回りながら使徒を観察していた。

「・・・虫・・・ロボット・・・??あ・・・。」

シンジがふと振り向く・・・そこにはゲンドウの姿。
こちらに近づいてくる。

「父さん!このイカ見に来たんだ。」

「・・・・シンジか。」

「やぁシンジ君。」

「こんにちは、冬月さん。」

「・・・・・・行くぞ、冬月。」

「・・・ふぅ、すまんなシンジ君。また会おう。」

「ええ、じゃあ。」

ゲンドウ達が使徒の方に歩いていく。
シンジは立ち去ろうとするがふとゲンドウの後ろ姿を見た。
ゲンドウはシャムシエルのコアを触りながら観察している。

「相も変わらず・・・無愛想な奴・・・ん?」

手袋を外して後ろで手を組んだ格好のゲンドウの掌にある火傷の後にシンジは気付く。

(火傷・・・?)

「何見てんの?シンちゃん。」

「あ・・・ミサトさん。・・・何か親父の奴・・・掌に火傷してるみたいなんですよ。」

「ヤケド?ねーリツコォ何か知ってる?指令の手のヤケドの事・・・。」

「・・・・あなた達がここに来る前・・・起動実験中に零号機が暴走したの・・・聞いたことあるでしょ?」

「あ・・・確か綾波の怪我はあの時に・・・。」

「そう・・・その時に碇指令がレイを助けたの・・・過熱したエントリープラグのハッチを素手でこじ開けてね。
・・・掌の火傷はその時のものよ。」

「へぇ・・・あの親父、中々やるじゃん。ちょっと見直した。」

「ほんと・・・考えられないわ。」

















新世紀エヴァンゲリオン
〜何が為に僕は戦う〜
第六話    白い孤独
















===第壱中学校===


ガヤガヤ


「ふんふ〜んふ〜ん。」

「おはようさん、シンジ。」

「よう、シンジ。」

ニコニコしているシンジにトウジとケンスケが話しかける。
シンジは振り向いて挨拶。

「よお〜。トウジ、ケンスケ。」

「シンジ、何か今日は機嫌良さそうやな?何かあるんか?」

「ああ!今日はな、綾波の退院する日なんだ。」

「また綾波かいな・・・アイツのどこがええんや?シンジは。」

「わかってないな〜トウジ。」

「まあ確かに顔はええ、だが性格が悪すぎや、
話しかけても何も言わへんんし。表情すら変えんやないか。」

「そこが良いって言う奴もいるんだぜ?」

「トウジ、ケンスケ、言いすぎだ。仮にもクラスメートなんだから・・・。」

「す・・・すんまへん。」

「わ・・・悪い。」

「とにかく、俺の友達をそういう風に言わないでくれよ。」

((友達ねぇ・・・。))

「遅いな・・・綾波。」




ガラッ・・・






教室の戸が開く、そして綾波レイが入ってきた。
レイは静かに自分の席に座り本を読み出す。

「あっ!俺ちょっと行ってくるわ。」

シンジは席を立ちレイに近づいていく。
教室は誰とも会話しないハズのレイに近づくシンジに視線集中。

「おいシンジ・・・・。」

「行ってもた・・・。」

レイは何も言わず本を読んでいる。
シンジはレイの横に立つ。

「よっ!綾波。」

「・・・・・・・?」

レイが本から目を離しシンジを見る。

「碇君・・・・おはよう。」

(((((はぁっ!?)))))

教室の時間が止まった。
無理もない、今まで誰とも会話らしい会話をしなかったレイが挨拶をしたのだ
それもとても柔らかい表情で。

「ああ、おはよう。もう大丈夫?痛いところとかない?」

「ええ・・・・もう大丈夫。」

「怪我も大丈夫そうだし、今日から同じクラスメートだな、仲良くしようぜ!」

「仲良く・・・・。」

(碇君と仲良く・・・碇君と仲良く・・・・一緒に居れる・・・暖かい・・・?)

「・・・・碇君。」

少し考えたレイはシンジに尋ねた。

「ん?」

「それは・・・暖かいの?」

「ああ、友達がいるってのは・・・暖かいよ。」

「・・・・・・。」

「改めて宜しく。綾波。」

シンジがそう言って微笑む、レイもとても柔らかい表情でシンジのことを見つめている。
この表情にもう数人の女子がK・Oされているがその微笑みが向けられているのが他の女生徒・・・面白いわけがない。
レイと普通に会話するシンジとシンジに微笑みかけられてもらっているレイ・・・今や2−A の教室は、
嫉妬と羨望の渦と化していた。レイはシンジの笑顔を見ていたがいったん俯いて考える。

(友達・・・碇君と一緒・・・嬉しいのね・・・私・・・。)

レイが顔を上げる。そして・・・

「・・・・碇君。」

「何?」

「・・・宜しく。」

・・・と手を出す。

「ああ!」

シンジが手を握り、握手を交わした。


((((((うっそおおおおぉぉぉぉぉ!!!))))))

((((((綾波さんに触れるなぁぁぁぁっっ!!!)))))


この時、教室の女性陣は驚き男性陣は心の中で血の涙を流した・・・・。

「んな・・・アホな・・・。」

「カッ・・・カメラ、カメラ!!」





その後、シンジはトウジとケンスケにレイの事が好きなのではないか?と
見ていたならば当たり前に思う疑問を投げかけたがシンジの「友達だよ?」の言葉に
「「嘘つけぇぇぇ!!」」と言おうと思ったが・・・止めておいた。






そんなこんなで昼食タイム。
シンジ・トウジ・ケンスケは教室で席を固めて昼飯タイム。





「いっただっきま〜っすぅ?」

シンジの語尾が変な上がり方をする。

「なんだよ?シンジ。」

「さ〜っメシやメシや!ワイは飯と体育のために学校来とるようなもんやしの〜!」

「なぁケンスケ・・・綾波って・・・飯は?」

シンジが綾波を見る・・・綾波は昼食を摂る気配も無く、だた黙々と本を読んでいる。

「ああ、そう言えば見たこと無いな。何か食べてるところは。」

「・・・・・・・。」

(まさかとは思ったが・・・本当に食ってなかったとは・・・持って来といてよかったな。)




シンジが席を立ち綾波に近づく。

「・・・・・・・。」

「綾波?」

「・・・・・何?碇君。」

「・・・病院での綾波見てたらさ、まさか学校でも食べてないんじゃないかって思ってさ。
いちいちお節介だとは思ったんだけど弁当作ってきたんだ・・・良かったら食べてよ。」

シンジが弁当箱をレイに渡す。

「・・・・・いいの?」

「ああ、勿論!」

「・・・・碇君のご飯美味しいから。」

レイが頬を薄く染めながらシンジから弁当箱を受け取る。

「そんでさ、迷惑じゃなかったらこれからも弁当作ってあげたいなって思ってんだけどさ。」

「・・・・・・・。」

「いらない?」

「・・・いる・・・碇君のご飯・・・毎日食べたい。」

「ホント!?よっしゃ!弁当箱は食ったら返してくれたらいいからさ、期待してて!
腕によりをかけて作るからさ!」

「・・・・・・・碇・・・君・・・。」

これを聞いたシンジは最高の微笑みでレイに言う。
シンジの微笑みクリティカルヒットのレイは俯いてしまった。
顔は・・・真っ赤のようだ。シンジはニコニコしながら自分の席に戻ってゆく。

(・・・顔が・・・熱い・・・これは・・何?胸も痛む・・・苦しい・・・でも・・・。)


(でも・・・嫌じゃない・・・・何故?)







((((((いかぁぁぁぁりぃぃぃぃ!!!!!)))))

((((((いやああああぁぁ!!!碇君がぁぁぁ!!))))



血の涙、再び。























===NERV本部・ケージ===


学校も終わり、NERV本部のエヴァケージ。
シンジはテストが終了したので後は家に帰るだけと言うことで一日の疲れが体から吹き出し、
エントリープラグの中でボケーッとしていた。


「・・・・・ふぅ・・・今日も・・・疲れたな・・・・。」

「あ〜だるい〜〜いっそこのまま寝てしまいたい・・・・・ん?」

シンジが初号機の前にある零号機を見る。
エントリープラグから出てきたレイにゲンドウが近づいている。

『レイ・・・明日はいよいよ零号機再起動実験だな。』

『はい。』

『・・・怖いか?』

『大丈夫です、心配ありません。』

『そうか・・・今度はきっと上手くいく・・・・。』

『はい・・・・。』

「・・・・・・・・。」

シンジは二人の表情をみている。
自分には全く見せた事のない表情をレイに見せるゲンドウ・・・。


(へぇ・・・心配してんのか・・・まともな面できんじゃねぇかよ親父も。)


シンジが小さく呟く。
レイに微笑みかけるゲンドウにシンジは少し考えを改めた。

(まあ人間本当に悪い奴はいないってことかな??)









===ミサトのマンション===


「マジ?」

「ええ、本当に。あの親父が笑ってました。」

「しんじられない・・・・・。」

「あの親父も綾波には優しいみたいです、良い事ですよ。
・・・・・でも只のロリコンかも。」

「シンちゃん、それは何が何でもやば過ぎるわ。」

「・・・・俺も言ってて気持ち悪くなりました。」

「あ、そうそうシンジ君。これ、本チャンのセキリティカード。」

「あ、どうも。」

「あと、これもね・・・・レイの更新カード、リツコのやつ渡すの忘れちゃっててさ。
悪いんだけど明日本部に行く前に彼女のところに届けてくれない?」

「え・・・・俺がですか?」

「んん??あら〜なにうろたえてんの?愛しのレイちゃんの家にお邪魔できる絶好のチャンスを上げたのに・・・。」

「愛しのって・・・・そんなんじゃないですよ。」

「殆ど毎日病室に顔出したり、お弁当作ったりしてたくせに〜。」

「友達はそれをしてはいけないんですか?」

「またまた〜〜♪」

「・・・・はぁ・・・・・もういいです。」












翌日・・・



===レイのマンション===


カコーン・・・

カコーン・・・・

「・・・・・何か・・・嫌なところだな。」

シンジは今、レイが住んでいるらしい集合マンションにいる。
周りからは工事をしているらしい音。
他に誰の気配を感じない廊下。
事実、このマンションに入ってから人っ子一人見ていない。
朽ち果てた・・・と言う表現がぴったりの場所だった。

「こんな所に住んでんのか・・・・・一人で?」

ある部屋の前でシンジの足が止まる。
そのドアの表札には「綾波」と書かれていた。
シンジは気をとり直してインターホンを押す。

「ポチッとな。」

カチッ

「・・・・・・・。」

カチカチ

「・・・・・・ん?」

カチカチカチ!

「何だ・・・・コラッ。」

カチカチカチカチカチ!!

「・・・壊れてる・・・・のか。しゃーないな。」

インターホンは諦め、シンジはドアをシバいて声を出した。

ドンドンドン!

「あっやな〜みさ〜ん、お届け物でっすよ〜??」

「・・・・・・・・あれ?いないのか・・・・な?」

ガチャッ・・・・

(・・・・・開いてるし。)

シンジは悪いとは思ったがカードだけ置いて帰ればいいかと思い・・・・玄関に入る。

「すいませ〜ん、おじゃましま〜す・・・・って掃除してんのか?」

バタン・・・

トットッ・・・・

シンジが靴を脱いで部屋の中に入った。
シンジはその部屋を見て・・・・・・唖然とした。




「・・・・・・何だよ・・・・・コレ・・・・・。」




 窓際に、ベッドがひとつ。
 
 その隣に、小さなタンス。
 
 壁についたいくつかのフックに、コンビニのビニール袋がぶら下がっている。
 
 床に置かれたダンボールに、血だらけの包帯。
 
 冷蔵庫の上の、ビーカーと、錠剤。
 
 床は足跡だらけで、掃除をしている形跡はない。
 
 ベッド、タンス、冷蔵庫、玄関……この間を結ぶライン上だけに足跡が集中し、床のその他の部分には、うっすらと埃が積もっている。
 
 打ちっぱなしのコンクリートの壁。
 
 絨毯も敷いていない、所々がひび割れた、床。

 ……タンスの上の、フレームの歪んだ、眼鏡……。


「・・・・こんな所で・・・たった一人で・・・・・。」


シャッ


「・・・・んっ?」

カーテンが開く音がしてシンジが振り向く、
そこには・・・タオルだけで全裸のレイが・・・。

「・・・・・・碇君。」

「・・・・・・・・ぶっ!!」

シンジは吹き出し、顔を真っ赤にしてレイに背を向ける。
まがりなりにも14歳、これは刺激が強すぎた。

「あ・・・・綾波・・・そ・・・その・・・服着ろよ・・・服を・・・。」

「・・・・・どうしたの?」

「どうしたのって、それを普通・・・・・・・。」

普通それを聞くか・・・と言いたかったがシンジはハッと気付き、
声を止めて振り向かずに綾波に尋ねた。

「・・・なぁ綾波・・・・。」

「・・・・・何?」

「綾波はいつからここに住んでるんだ?」

「・・・・・生まれてから。」

「・・・・・何で?寂しくないの?」

「命令だから。」

「・・・・・・親父の命令?」

「・・・・・ええ。」

「・・・・親父を・・・信じてる?」

「ええ・・・碇君は信じられないの?」

「信じたいとは思う・・・よ。」

「思う?」

「・・・離れてる時間の方が多かったから、いまいち俺の親って実感がわかないんだ。」

「・・・そう。」

シンジは確信した、この少女は・・・・・何も知らない。
表情も・・・様々な気持ちも・・・こんな所にずっと一人で居れば当然だ。
誰も教えてくれないんだから。
人との触れ合いに関心を持たなくなるのも仕方ない。
誰も本気で自分と接してくれないのだから。

(親父・・・・あんたは・・・・!!この子を・・・・どんな風に見てるんだよ?
こんな所に押し込めてほったらかして・・・・心も知らない子に・・・!!!)

「・・・・・碇君は何故ここに居るの?」

「・・・・・え!?あっそうだ、忘れてたな。」

シンジはポケットの中を探りレイのカードを取って振り向く。

「え〜っと・・・あ、これこれ。ミサトさんに頼まれてなああああっ!!?」

シンジがまた慌てて後ろを向く
レイは・・・・まだ全裸だった。
レイは首を傾げて?マークを頭の上に出していた。

「こっコレ!ミサトさんが渡してくれって・・・・じゃあ!!」

シンジはなるべくレイを見ないようにしながらカードを渡す。
そして逃げるように部屋から出ていった。

「・・・・・・何故?」

レイは首を傾げて?マーク・・・・。
シンジ君の理性の強靭さに乾杯。











===NERV本部・実験場===


NERV本部実験場・・・実験場はかなりの緊張感に包まれていた。
何故なら今日は零号機の再起動実験。
ゲンドウの声がスピーカーから響き渡る。

「これより、零号機再起動実験を行う。レイ、準備はいいか?」

『・・・はい。』

エントリープラグ内のレイが答える、それと共に実験場は動き出す。

「第一次接続開始。」

「主電源コンタクト。」

「稼動電圧臨界点を突破!」

「了解、フォーマットをフェイズ2に移行!」

「パイロット零号機と接続開始。」

「パルス及びハーモニクス正常。シンクロ問題なし。」

「オールナーブリンク終了・・・中枢神経に異常なし。」

「1から2590までのリストクリア。」

「絶対境界線まであと2.5。」

実験場が緊張に包まれている中・・・シンジは強化ガラスに手を着き、
零号機をじっと見つめ考えていた。

(・・・・・親父を信じてる・・・か。でもアイツは・・・・・綾波に愛情なんか・・・これっぽっちもあげてない。
あんな所に押し込めて・・・ずっと孤独にして・・・上辺の笑顔と言葉だけの・・・薄い愛。)

「1.7・・・1.2。」

(本当のあいつを見てやしない・・・結局・・・道具扱い・・・か。)

「0.2・・・0.1・・・ボーダーラインクリア。」

「零号機起動しました、引き続き連動実験に入ります。」

ガチャッ!

冬月が受話器を置いて声を出した。

「碇っ、未確認飛行物体がここに接近中だ。」

「おそらく第五の使徒だ。」

「・・・・・・・。」

「テスト中断!総員第一種警戒態勢!」

「零号機はこのまま使わないのか?」

「まだ戦闘には耐えん・・・初号機は?」

「380秒で準備できます。」

「よし、出撃だ。」

ゲンドウがシンジのほうを向く、シンジは実験場から出て行こうとしていたところだが。
シンジはゲンドウに見られている事に気付き、ゲンドウを見る。

「・・・・ああ?」

「どうした?さっさと行け。」

「黙れ・・・自分を信じてくれてる人に上辺でしか答えられない奴が偉そうに・・・。」

「シンジ君!出撃よ。」

「・・・・・・。」

シュン・・・

シンジが実験場から出てゆく・・・。
実験場の雰囲気は少し凍りついている。
冬月が口を開く。

「また喧嘩か?碇、今度は殴られるなよ。」

「・・・覚えは無い。」

「シンジ君は何か意味深な事を言っていたな。」

「・・・覚えは無い。」











発令所のモニターには第三新東京市の上空には四角すいを二つ張り合わせたような第五使徒「ラミエル」の姿。

『目標は芦ノ湖上空へ侵入。』

『・・・エヴァ初号機、発信準備完了!』

『エヴァ初号機、発進!』

「・・・・・っ!」

バシュッ!!!

ミサトの声で初号機を乗せたリフトが高速で打ち上げられる。
その時発令所にシゲルの声が響く。

「目標内部に高エネルギー反応!」

「なんですって!?」

「週円部を加速!収束していきますっ!!」

「!!まさか・・・?加粒子砲!?」

エヴァを乗せたリフトが地表に出る。

「だめっ!シンジ君よけてっ!!!」

『っ!?』

カッ!と一瞬、ラミエルが光る。

ドパウッ!!!

「うっ・・・・わ!!」

目の前の兵装ビルが突然溶けて無くなり、光が見えた。
シンジは反射的に腕で防御体勢をとる・・・が間に合わない。

バシュウン!!!

「ぐううぅああああああああああああああああ!!!!!!!!」

加粒子砲は初号機の胸に直撃。

バシュウウウウウウウウッ!!!!

「うああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」

『シンジ君っ!!!』

発令所に響くシンジの叫び声、ミサトの悲鳴にも似た叫びが上がる。

ドクン・・・!!!!

「ひっ・・・・・!!ぁ・・・・あっ・・・・!」

その瞬間、発令所に居たレイの心臓がドクン!と跳ね上がった。
レイの体が震える、目は思い切り開かれていて、顔は真っ青だった。

(碇君が・・・死ぬ?碇君が?友達の碇君、暖かい碇君、いなくなる?イナクナルノ?)

『ああああああああああああああああああっっっ!!!!」

(嫌!嫌!イヤ!!!)

「ぃゃ・・・・いや・・・イヤ・・・・いやあああああああっ!!!!!」

「「「「!!??」」」」」

「戻しなさいっ!!はやくっ!!!」

レイは叫び床に膝を着いて俯き耳を押さえている、発令所は一瞬レイに視線が集中するが
ミサトの声で我に返る。

「はっ、はい!!!!」

バシュルルルルルル・・・・・・

「あああああっっ・・・・・!!!!」

ドバウッ!!!!

初号機の機体が地下に戻される。
ラミエルは初号機が回収されたゲートを吹き飛ばし、沈黙。

「目標沈黙!」

「シンジ君はっ!!?」

「脳波異常、心音微弱!!」

「初号機は第7ケイジへ回収!!」

「リツコっ!救護班へ緊急処置の用意をさせて!!」

「わかったわ。」

「・・・・・レイ!」

ミサトがオペレーター達に指示を出し、レイに駆け寄る。

「レイ!・・・レイ!!どうしたの!?」

「友達・・・碇君が・・・・碇君が・・・・・死ぬ・・・イヤぁ・・・・・・。」

「・・・・!」

ミサトは驚いた、今まで全く感情を出さなかったレイが・・・・明らかに何かに恐れ、震えている。
しかもシンジの事を友達と言った、ミサトはレイと同じ大事な人を失うかもしれない苦しみを噛み殺し、レイを抱き締める。

「レイ・・・!!」

「・・・・友達・・・・友達の碇君が・・・・。」

「レイ!大丈夫よ、シンジ君は死なないわ!!」

「・・・・・・。」

「シンジ君はね、アナタを置いて死んだりしないわ!!絶対に!!」

「葛城・・・一尉・・・。」

「さあ、ケイジへ行きましょう、レイ。」

「・・・はい・・・・!」









つづく














あちがき

Picsでございます 。

第六話お送りいたしました、こんな感じでいかがでしょう。

はてさて次はレイの名シーンともいえるあの話です。

僕の場合はどうなるのでしょうか・・・至らない部分もありますが見てください。

御意見御感想も待っております。

・・・ということで、こんな物ですが次も読んで下さると感激です。涙嵐です。


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感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構
ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

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