いつもここから.....

 

プロローグ3 ”罪と罰”

 

 

 

シンジは、そっと目を開いた。

そこには紅い海が広がっている。

全てが終わった世界

誰もいなくなった世界・・・・

「また、ここか・・・・」

そう呟いて、横を向くと人影が見えた。

自分と・・・・そして、見慣れた女性・・・・

波打ち際に座り、俯いたままの自分・・・・

その横に寝ている彼女・・・・

微笑んだ彼女の瞳は、もう・・・・開かれることはない・・・・

 

そんな二人を横から眺めながら、シンジは溜息をついた。

 

その時、紅い海から一人の少女が現れる。

蒼い髪に紅い瞳の少女は、その少年・・・・もう一人の自分に近づいていった。

『碇君・・・・』

『・・・・・・・』

『碇君・・・・・』

『あ・・・や・・・・なみ・・・』

ゆっくりと頭を上げる少年。

『今日はあなたの誕生日・・・・・あなたが、生まれた日・・・・』

『そう・・・・・』

『あなたは何を望むの?』

『・・・・・・・・』

『あなたは何を願うの?』

『・・・僕は・・・・アスカと・・・・もう一度・・・』

『あなたは、誰と生きるの?』

『もう一度、やり直したい!アスカを・・・・守りたい!!』

『・・・・・・』

『アスカと生きたいんだ!!』

 

『そう、わかったわ・・・』

そう言って、少女は湖へと姿を消した。

 

シンジは、二度目の溜息をついた。

何度も夢に見た光景、何度も夢で聞いた会話・・・・・

もう、悲しみも苛立ちもなくなっていた。

ただ黙って、もう一人の自分を見つめていた。

 

『アスカ・・・・』

『・・・誕生日だって・・・・』

『・・・忘れてたな・・・・』

少年は、そばにいる少女の手をとった。

冷たくなったその手をきつく握りしめながら、少年は呟く。

『・・・・また・・・パーティーできるといいね。』

少年の瞳から涙がこぼれる・・・・・

 

その瞬間・・・・

辺りは、光に包まれた。

 

 

 

 シンジ!!

部屋中に響くその声に、驚いて目を開ける。

見慣れた天井・・・・そして、見慣れた少女・・・・

シンジはゆっくり起きあがった。

「シンジ〜!アンタいつまで寝てんのよ。」

横にはアスカが仁王立ちで立っている。

「さっさと料理作らないと、ヒカリ達が来ちゃうわよ。」

「・・・・・へ?」

「へ?じゃないわよ。このバカ!!今日はアンタの誕生日でしょ!」

「・・・・僕の誕生日の料理を、僕が作るの?」

「イヤなの?」

「あ、いや、嫌ってゆうか、その・・・」

「そう・・・・」

 

「ミサト〜、シンジがアンタの料理を食べたいって〜!!」

「あら〜、そうなのシンちゃ〜ん! わかったわ、この私が・・・」

「わーー! わかったよ!!作ります!」

シンジは、顔面蒼白になり、一気に目が覚めた。

「わかればいいのよ。」

アスカは薄笑いを浮かべて出ていった。

「あ〜あ、しょうがないな・・・」

そういって、パジャマを着替えると、台所に立った。

シンジの腕は、もう一流料理人の域に達している。

次々と、三ツ星レストラン級の料理ができあがる。

その光景を横目で眺めながら、アスカはリビングの飾り付けをしていた。

そんなこんなで、日曜の午後は過ぎていった。

 

 

 

「「「こんばんはー!」」」

例の三人が到着したのは、全てが終わってから十分後だった。

アスカはいつの間に着替えたのか、紅いワンピースで、

胸には、銀の十字架が光っていた。

三人がリビングに入ってきて驚いたのは、その料理である。

とてもホームパーティーには見えない高級料理・・・・

呆けるヒカリと、よだれを垂らす二人。

そして、宴は始まった。

「「「「ハッピー・バースディ!」」」」

「「「「乾杯!!」」」」

「「「「いただきまーす!」」」」

ガツガツガツ・・・

修羅場と化したリビング

さらに呆けるヒカリ

引きつった顔のシンジ

 

そこに家主が帰ってきた。

「シンちゃーん、おめでとーー!」

「「ミサトさーん!」」

目を輝かせるケンスケとトウジ

ムッとなるヒカリ

「プレゼントがあるのよー。ネルフのみんなから・・・・」

といいつつ、袋から取り出す。

「まずはリツコから・・・・」

ドン・・・・赤ワイン

「そして加持から・・・・」

ドン・・・・白ワイン

「司令から・・・・」

ドン・・・・シャンパン

「副司令から・・・・」

ドン・・・・養◯酒

・・・・・・・・・・・・以下略

 

数本並んだアルコール飲料を片っ端から飲んでいくミサト・・・・・

さらに盛り上がる会場・・・・・

まさに酒池肉林!!

シンジは笑うしかなかった・・・・・

 

 

 

モゾモゾ・・・・

静かになったリビングで、アスカは起きあがった。

アルコールと料理のおかげで、皆はぐっすり眠っていた。

時計の針は、既に十一時をまわっている。

「あれ?シンジ?」

アスカは気がついた。そこにはシンジが居ない。

「おーい、シンジー! シーンちゃーん!!」

部屋にも、トイレにも、風呂場にもシンジの姿はなかった。

そして、キッチンのテーブルの上に短い手紙を見つける。

そこには、ただ一言・・・・・

 

”さよなら アスカ”

 

アスカは、その手紙を握りしめると、玄関を飛び出した。

 

 

 

シンジは、公園のベンチから星空を眺めていた。

「もう・・・泣いてるアスカは見たくないんだ・・・」

「シンジ!」

驚いて振り向くと、そこには・・・・・彼女がいた。

「あ・・・アスカ・・・・なんで?」

アスカは呼吸を整えると、すごい形相でシンジを睨んだ。

「このバカ!!アンタ、こんな手紙書いて何のつもりよ!」

「あ・・・それは・・・・」

「さよならって、アンタどこ行くつもりだったのよ!!」

「・・・・・・」

「アタシを置いて・・・・・行っちゃうなんて・・・・許さない・・・」

アスカは泣きそうな声で言うと、シンジに背中を向けた。

「・・・・・ねえ、アスカ」

「・・・・・・・」

「これはね、罰なんだよ。」

「・・・・・・・」

「僕が犯した罪に対する罰なんだ。」

「僕は、アスカが居ない世界より、アスカが居る世界を望んだ。」

「罪を背負ってでも、アスカを守ろうって決めたんだ。」

「・・・・・・・」

「アスカは強くなったよ。もう大丈夫・・・」

「・・・・・・・」

「僕がいなくても・・・・きっと、幸せに・・・・なれるよ。」

「・・・・なに、いってんのよ。」

振り返ったアスカは、目を見開いた。

月明かりに照らされたシンジの姿が、透けて見える。

「・・・・もう、時間みたい・・・・」

「・・・・シンジ・・・・」

「さようなら・・・アスカ」

「ちょっと待って!!」

アスカは、自分の首にあるロザリオを外すと、シンジの首にかけて、そのまま抱きついた。

「ごめんね・・・・シンジ」

「・・・・アスカ・・・・」

「いままで、いろいろ・・・・ひどい事したから・・・」

「うん、いいよ」

「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・ごめん・・・」

蒼い瞳から涙が溢れ出した。

「もう、いいよ。アスカ」

「シンジ、どこにも行かないでよ。」

「アスカ・・・笑ってよ・・・」

「どこにも行かないで!!」

「笑顔を見せてよ・・・アスカ」

「行かないで!!」

「アスカは、笑顔が一番・・・・・

 

 

似合ってるよ・・・・・

 

 

 

深夜の公園に、アスカの叫び声が・・・響いていた。

 

 

 

そして

少年は

あの時へ・・・・

 

 

 

 

プロローグ

 

 

 

あとがき

はじめまして、皆様。 SHINと申します。

やっとプロローグが終わりましたが・・・・長いです。

ちょっと辛かったのですが、できるだけ短くまとめたつもりです。

なんか、文章がおかしいですが・・・・私の腕が未熟なので、ご勘弁下さい。

こんな私におたよりをくださった皆様、まことにありがとうございます。

P.S

PNがかぶっております。投稿してから気づきました。

「真」様、申し訳ございません。


マナ:ネルフからの差し入れって、お酒ばかりなのね。

アスカ:養◯酒って、お酒の仲間に入れていいのかしら?

マナ:それにしても、自分の誕生日にシンジに料理を作らせるなんて。

アスカ:アタシだって、ミサトの手料理なんて食べたくないわよっ。

マナ:そうかなぁ。わたしは美味しかったけど。

アスカ:アンタの舌はおかしいのよっ!

マナ:でも、楽しそうなバースデーパーティーだったわね。

アスカ:それより、シンジは何処へ行っちゃったのよっ!

マナ:あの時へ・・か。まぁ本編を見たらわかるんでしょうねぇ。

アスカ:そ、それよりっ! 本編が始まったら、アタシはどうなっちゃうのよっ!

マナ:なんだか、世界が変わる様な雰囲気だから、出て来ないんじゃない?

アスカ:いやーーーっ!!!
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