いつもここから....

第六話

“使徒?親友?”

 

「まさか四号機がねえ・・・・」

「三号機の次は四号機・・・・トラブル続きね。」

ミサトは、正面のモニターを見つめている。

「それで、彼は乗ってるの?」

「えぇ、もっとも意識はないけどね」

落ち着いた様子のリツコを横目で見ながら、歯を食いしばるミサト。

「アスカ、レイ、準備はいい?」

モニターに向かって叫ぶ。

「ええ、いいわよ」

「はい。」

 

「弐号機、シンクロ率上がりません。ハーモニクスも不安定です。」

「駄目ね。アスカは・・・・レイも不安定だし、やっぱりシンジ君が原因?」

リツコは、手元の資料を読みながらミサトに問う。

「見ればわかるでしょ。アスカ、どう?使徒には、勝てそう?」

「起動はできてるわ。ギリギリだけどね。動くのは動くけど、勝てるかどうかは・・・・ね」

苦い表情で答える。シンクロ率はともかく、今のアスカが戦える状態ではないことは明らかだった。

「まったく、シンちゃんは何してんのかしら」

シンジが居なくなってから三日が経っていた。そして、新たな使徒の襲来・・・・・

「シンジ君、まだ見つからないの?」

「ええ、諜報部は何やってんのかしら!」

病人だと油断していたのだろうか。手薄な監視の網を、シンジは見事にかいくぐっていた。

「で、どうするの?弐号機・・・・」

「やるっきゃないでしょ!使徒を倒さなきゃ、未来はないのよ・・・・・弐号機、出撃!!」

 

 

パシュ

弐号機が射出される。市街地ではない。芦ノ湖が見える・・・・

「シンジ・・・・」

エントリープラグの中で、アスカが呟く。

そして、頭を振ると、キッと正面を見つめる。

目に入るのは、黒の巨人

「あれが・・・・使徒?」

『そうよ、第十四使徒』

「だって、エヴァじゃない・・・・」

弐号機の正面に立つ黒い巨人は、エヴァとそっくりだった。

『使徒が寄生しているわ。敵よ』

「でも・・・・」

『来るわよ!アスカ!』

暴走状態のエヴァ四号機は、弐号機めがけて突っ込んできた。

まさに紙一重でかわす。

だが、信じられないくらい伸びた四号機の腕が、弐号機を捕まえる。

アスカは、プログナイフを構えると、迫ってくる四号機の胸に突き刺した。

バチバチバチ

火花が散る。胸からは、橙色の体液がにじみ出ている。苦しそうに悶える使徒。

左からは、パレットガンを捨てナイフを装備した零号機が、弐号機を掴む使徒の腕を切り落とした。

 

 

そんな戦闘を、遠くから眺めている少年がいる。

碇シンジ。

彼は芦ノ湖の畔に座り、エヴァ同士の戦いを、無表情で眺めている。

いつからここにいたのか、着ていた服は、かなり汚れていた。

だが、そんなことは彼にはどうでもよかった。

すべてがどうでもよかったのだ。

 

突然、聞き覚えのあるリズムが耳に入る。

不意に横を振り向くと、見覚えのある少年が、そのリズムを口ずさんでいる。

「やあ」

その少年は言った。

「歌はいいね」

「・・・・・・・」

「歌は心を潤してくれる。リリンの生みだした文化の極みだよ」

「やあ、カヲルくん」

驚きもせず、シンジはその名を口にした。

「!僕を知ってるのかい?」

「・・・・・・・」

カヲルは一瞬驚いた表情を見せるが、すぐに微笑んだ。

「君は、僕の見た資料とずいぶん違うみたいだね」

「・・・・・・」

「ゼーレのシナリオは、もう終わりかな・・・・」

そう呟きながら、シンジの正面に回り込んだ。

「シンジ君、ちょっと君の記憶を見せてもらおう・・・・・」

そう言ってカヲルは、シンジの額に手をかざした。

手のひらに、紅い光が集まってくる。

 

 

「おりゃーーーーー!」

アスカは、四号機を投げ飛ばすと背中から跨り、エントリープラグを引き抜いた。

ガクンと動きが鈍くなる四号機。プラグをその辺に投げ飛ばしたアスカは、膝を落として四号機の頭をつぶした。

ピクリとも動かなくなる四号機。

発令所に、安堵のため息と歓喜の声が漏れる。

「任務完了。」

「これより帰還します。」

だが、アスカとレイの顔に喜びの表情はなかった。

そしてミサトにも・・・・・・

「あのこと話したら、許してくれないかもね」

歯をかみしめる。

 

「碇、大丈夫なのか」

「問題ない」

「しかし、シンジ君が戻ってこなければ初号機が・・・・・・」

「大丈夫だ。・・・・使徒はあと三匹、それで終わる」

「しかし、老人達が黙ってないぞ」

「所詮、奴らには何もできはしまい」

指令席では、いつもの二人が語り合っていた。

 

 

 

カヲルは、そっとシンジから離れると、隣に腰を下ろした。

ちょうど、芦ノ湖の反対側に夕日が落ちる。

二人は、眩しそうに見つめていた。

「ガラスのように繊細だね、君の心は」

「・・・・・・・・」

「好意に値するよ」

「コ・・・ウイ・・・・」

「好き・・・・ってことさ」

くすっとカヲルは笑いながら、語りかける。

「その繊細な心が、時として人を傷つけることになる」

「・・・・・・ヒト?」

「そう、君にとって大切な人さ」

「・・・・・・・」

シンジの瞳に、夕日が映る。

「君は、なぜ何度も同じ事を繰り返させられるのか・・・・・考えたことがあるかい?」

「・・・・うん、何度も考えた。どうすれば・・・・・抜け出せるのかって」

時間の牢獄・・・・・

まさに、言葉通り。いつまでも、同じ事の繰り返し。

出会い・・・・・別れ、そしてまた出会う。

無限の時間のループ

「君は、心に傷を持っているね。だから、他人と深く関わろうとしない。

 でも、それは逃げているだけさ。

 他人から、そして自分から、辛いことから・・・・・・」

「でも、いつか別れるなら・・・・逢えなくなるなら」

「それが逃げてるんだよ、シンジ君。」

「でも・・・・・・」

「このままでいいのかい?この時間に縛られたままで。」

優しくシンジに問いかける。

「いやだ。またみんなと・・・・アスカと別れるのは、悲しませるのはいやだ!」

「辛いことかもしれないよ。シンジ君」

「いいよ。それでも・・・・・・」

真剣にお互いの目を見つめ合う。

不意にカヲルは立ち上がった。

「シンジ君、君がもし・・・・・本気で足りないモノを探そうというならば、それを考えるだけの時間と、後悔しないだけの力をあげよう。いつかきっと、役に立つはずだよ。どうする?」

シンジも立ち上がる。

「僕は、もう逃げない。自分から。心の傷が、どんなに深くても」

カヲルはシンジの手を取ると微笑んだ。

例えるなら・・・・・そう、天使の微笑み

カヲルの体に、夕日の光が集まっていく。

「シンジ君。僕は、君に逢うために、生まれてきたのかもしれない」

あまりの眩しさに、シンジは瞼を閉じた。

 

そして、ゆっくり目を開いたとき、彼の姿はなかった。

 

「ありがとう、カヲル君」

 

そう呟いた少年の目には、もう迷いはなかった。

 

そして歩き出す

 

帰るべき場所に

 

家族の元に

 

そして、悲しき戦場に・・・・・・

 

 

 

第五話 終

 

 

おまけ

「キール議長!カヲルの反応が消えました。」

「早過ぎるな・・・・・」

「これでは計画自体が・・・・・・」

「碇の奴か!」

「それよりも・・・・・更新のペースが落ちてるな」

「ああ、私達の出番もないしな」

「タームさんの所のSSばかり読んでいるからだ」

「大丈夫なのか、明日から中間考査だぞ」

「SHIN、君が新たなシナリオを作る必要はない」

ハッ 全てはゼーレのシナリオ通りに!(ハァ、死海文書にテストの答え書いてないかな)

 

 

あとがき

短編のつもりで書いたのに・・・・・全然終わらない。

五話じゃ終わらなかったっす。すいません!(>_<)

学校行事が多いので、なかなか書けません!

お便りください!そしたら書ける!

SHINでした。


マナ:渚くんが、シンジになにかしたみたいね。

アスカ:雰囲気見てると、シンジの為になにかしてくれたみたいだけど・・・。

マナ:けど?

アスカ:アタシはどうなるのかしら?

マナ:アスカと別れるのは嫌だって言ってるわよ?

アスカ:そうよね。シンジがアタシと別れたりするわけないもんね。

マナ:だからきっと、アスカのいない世界に行くのよ。そしたら、別れることも2度となくなるわっ!(^^v

アスカ:本末転倒でしょうがっ!

マナ:でもそこには、マナちゃんがいっぱいいるから、シンジも辛い想いしないわっ!(^^v

アスカ:やかましぃっ! シンジのことだから、アタシがいっぱいいる世界を望むはずよっ!

マナ:煩くって仕方が無いわ・・・その世界。(ーー)
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